大阪くらしの今昔館は、天井改修工事の実施に伴い、令和4年秋頃(予定)まで、9階常設展示室(江戸時代のフロア)および10階展望フロアが閉鎖されています。今回は、大阪くらしの今昔館の8階近代展示室の隠された展示「住まい劇場ーあの日 あの家 ある家族の住み替え物語-」をご紹介します。
「住まい劇場」は空堀通で理髪店を営んでいた一家が、戦災と戦後の混乱で住む場所を失い、仮住まいのバス住宅を経て、新しく古市中団地で暮らすようになるまでを、大正13年(1924)生まれの長女悦子が語る「住み替え」物語です。
家族はそれぞれの住まいで、住宅の規模と設備、地域の環境と家族の成長をうまく合わせながら、住まいの履歴を重ねていきます。
住まいの大阪六景のうち、近代展示室に入って、向かって右側にある3つのジオラマ「4・5・6」が、ストーリーに合わせて順に場面展開していきます。
場面転換の後 |
場面転換の前 |
(1930年の空堀通)
空堀商店街で生まれた悦子さんの子ども時代。昭和5年(1930)の出来事。空堀通りにある4軒長屋、その一つが理髪店「浪花軒」です。御堂筋の拡幅、地下鉄工事、大阪城天守閣の再建など、時の話題で盛り上がっています。主人公の悦子は6歳。初恋の人から地蔵盆への誘いがかかりました。
1930年の空堀通 (悦子6歳:住まいの大阪六景の4) |
(1948年の城北バス住宅)
昭和23年(1948)。戦災と戦後の混乱で住む場所を失った一家が、やっと一緒に暮らせるようになった城北のバス住宅でのお話。24歳になった悦子さんに恋人が訪ねてくることになったからさあ大変。大事な客を迎えるために、一家は大騒動です。
1948年の城北バス住宅 (悦子24歳:住まいの大阪六景の5) |
(1959年の古市中団地)
昭和34年(1959)のこと。抽選に当たってやっとのことで入居できた古市中団地。これは結婚した悦子さん一家に初めてテレビが来た日のお話。ちょうどそこに花見帰りの両親と兄の家族が団地見物にやってきました。
1959年の古市中団地
(悦子35歳:住まいの大阪六景の6) |
今回は「住まい劇場 ある家族の住み替え物語」をご紹介しました。
「住まい劇場」は1時間に2回しか上演されませんので、いわば「隠された展示」となっています。上演時間になると ストーリーの展開に合わせて「4・空堀通」、「5・城北バス住宅」、「6・古市中団地」の模型が順に展示ケースの下に沈みこみ、天井から住まい劇場の模型が降りてきます。
この上下に動く模型の意外性が受けて固定ファンも多くおられます。しかし、何しろ1時間に2回しかないので、この展示をまったく知らないまま展示場を後にするお客さんが多いのは残念なことです。今でも、お客さんから「前に来たときは、動かなかったけど、最近できたのですか?」と問われることもあるくらいです。「いえいえ、22年前の開館当時からありますよ。」「住まいの劇場の終了時には、3つの模型がいっせいに上にあがり、下から普段の模型がせり上がってきます。これも是非見て帰ってください。」
最近の展示改修によって、模型が動いている間にも、解説映像がスクリーンに流れるようになりました。時間がある方は、1度目は模型を見て、2回目はスクリーンの映像を見ると、理解がさらに深まると思います。お勧めします。
悦子さんの声は、大阪出身の八千草薫さん(故人)が担当しておられ、その上品な大阪言葉も隠れた人気になっています。
〇企画展「漆造形の旗手 栗本夏樹の世界」開催中です
2022年4月16日(土)〜2022年7月3日(日)
天然の塗料である漆は、古くから日用品や調度、建築装飾などに多用され、その独特な美観でもって、日本の伝統的な住まいやくらしの中に彩りを添えてきました。大阪出身の造形作家である栗本夏樹は、日本人の生活文化と密接に関わってきた漆という素材を、新たな生命を吹き込む神聖な存在と捉え、現代の生活空間を飾る様々な作品へと昇華してきました。栗本が漆を塗る対象は流木や樹皮、石などの自然物をはじめ、使用されなくなった紙管や自動車のボンネットなどの人工物にも及びます。1994年には大阪南港にあるアジア太平洋トレードセンターで行われたモニュメント制作の指名コンペティションに参加。この時に選出された“アジアの中の私”は、1996年のおおさかパブリックアート賞を受賞し、これを機にその活躍の場は公的な空間に置かれる造形物にまで広がりました。
本展では立体、平面、器物を中心とした栗本の過去から現在に至るまでの代表的な作品を一堂に集め、栗本が取り入れてきた表現の移り変わりを概観することができます。長い歴史の中で育まれてきた伝統的な美を継承しつつも、新たな発見に満ちた漆造形の世界をご覧ください。
◇ギャラリートーク◇
4/23(土)・5/28(土)・ 6/25(土)
/8階企画展示室にて14時から約1時間(申込不要)
※入館チケットが必要です
※状況により人数制限をする場合があります
〇天井改修工事の実施に伴う一部展示室等の閉鎖のお知らせ
大阪くらしの今昔館から重要なお知らせです。
天井改修工事の実施に伴い、令和4年秋頃(予定)までの約1年間、9階常設展示室および10階展望フロアが閉鎖されますので、ご注意ください。
・9階、10階の閉鎖期間中は8階企画展示室に町家座敷を実物大で再現し展示します。
・8階の吹抜け部分に大型映像コーナーを新設し、江戸時代の大坂の町なみと天保年間の人々の暮らしを描いた動画をご覧いただけます。
・天井改修工事期間中の入館料
8階常設展と企画展をご覧いただけます。
一般 400円 団体(20名以上)300円
高・大生 300円 団体(20名以上)200円 *要学生証提示
【年間パスポート】
現在年間パスポートは販売を休止しております。
【年間パスポートをお持ちの方へ】
天井改修工事期間を含む年間パスポートをお持ちの方は有効期限を延長いたします。インフォメーションにて手続きをいたしますので、次回ご来館の際にご提示ください。
今昔館の近代のフロアをご紹介する動画が2編公開されています。動画を見てから見学すると、見どころがよくわかると思います。
⇒https://www.youtube.com/watch?v=SbqzmybwKss&feature=youtu.be
⇒https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4
〇住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」とは?
住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」は2001年4月26日に開館しました。昨年、開館20周年を迎えました。
前館長の谷直樹先生と新館長の増井正哉先生がこれまでの道のりを振り返り、これからの課題について語り合う動画が公開されています。
こちらからどうぞ。
⇒ https://www.youtube.com/watch?v=kFW0qbelLNo
ここは「住まいの歴史と文化」をテーマにした、日本で初めての專門ミュージアムです。
住まい情報センターのビルの9階「なにわ町家の歳時記」は、江戸時代のフロア。天保初年(1830年代前半)の大坂の町並みを実物大で復元しています。
8階「モダン大阪パノラマ遊覧」は、明治・大正・昭和のフロアで近代大阪の住まいと暮らしを模型や資料で展示。
さらに企画展示室では特別展や企画展を開催しています。
〇大阪くらしの今昔館は開館していますが、イベント・ワークショップ等の開催は中止しています。
イベント・ワークショップおよびボランティアによる展示解説(町家衆による町家ツアー)等は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の為、当面の間 開催を中止いたします。
開催を楽しみにしてくださった皆様にはご迷惑をおかけしますが、ご理解をいただきますようお願いいたします。
〇大阪くらしの今昔館の紹介動画
今昔館の江戸時代のフロアをご紹介する動画(全4編)の目次はこちらからどうぞ。
こちらから、見たい部分だけを見ることができます。英語の字幕入りの動画を見ることもできます。
⇒http://konjyakukan.com/link_pdf/what's%20this%20.pdf
このほかに「天神祭となにわの町」をご紹介する動画があります。
⇒https://www.youtube.com/watch?v=3or8fq4U8zE&feature=youtu.be
〇落語家 桂米團治と歩く江戸時代の大坂
大阪くらしの今昔館の9階常設展示室にある江戸時代(天保年間)の大坂の町並みをご紹介する新しい動画ができました。案内人は上方の落語家、桂米團治師匠です。
〈①表通り編〉
こちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=n1moBJy5uB4
〈②町家の暮らし編〉
こちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=dDb2VBmyKnw
〇【動画】重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界
重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵(さあん)」の実物大構造模型(竹中大工道具館所蔵)を京都工芸繊維大学名誉教授 日向進先生が分かりやすく解説してくださいます。
こちらからご覧ください。
⇒https://www.youtube.com/watch?v=tqJEnPZckbc&feature=youtu.be
〇「今昔館のオンライン まなびプログラム」が公開されています
大阪のまちと住まいや くらしのことを おうちで学んでみませんか?
こちらからどうぞ。
⇒https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/manabi_program/今昔館のオンラインまなびプログラム
大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
≫ https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/
「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
≫ http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html
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