2026年9月16日水曜日

今週の今昔館(507) 大大阪時代のまちづくり(18) 長期臨時休館中です 20260916

〇大阪くらしの今昔館を応援する一個人による非公式ブログです。


〇大大阪時代のまちづくり(18)

 第二次市域拡張直前である1924年(大正13年)発行の大阪市パノラマ地図と、その12年後1936年(昭和11年)発行の大大阪観光地図などの古地図を見比べながら、大大阪時代の大阪のまちづくりを振り返っています。今回は電気大博覧会と市立運動場を取り上げます。

 電気大博覧会は、1926年(大正15年)3月20日から5月31日に大阪市で開催された電気に関する博覧会。社団法人日本電気協会関西支部が主催し、総裁に閑院宮載仁(ことひと)親王、副総裁に清浦奎吾、会長に田健治郎を迎えて行われ、来場者数は2,900,862人を数えました。
 港区築港の田中及び八幡屋を第一会場、天王寺公園を第2会場として開催されました。第一会場は、大阪市西部の開発を進めていた安治川土地(株)が、その土地発展策として市電築港線間の埋め立て20万平方メートル敷地を提供し、会場が市街地というのは当時としては珍しいことでした。

電気大博覧会会場図(国際日本文化研究センター蔵)
電気大博覧会内容一班
会場拡大図
本館付近拡大図
外国館付近拡大図
池付近拡大図

 第1会場は4地区に分け、南西部を本会地帯、西部を外国館地帯、東部を遊園地帯、東北部を余興地帯とし、全地帯を区切るように運河をめぐらせ、橋によって各地区を連結しました。

 第1会場本館前には、電氣を象徴するフランクリンの像が立つ大噴水と、本館、実験館、電力館、動力館、交通館、家庭電化館、保健衛生館など大小150余館が建てられました。
 建物は全て武田五一博士の設計のもとで、「東洋趣味を多分に加味せるスパニッシュ・ミッション方式」が日本で初めて採用されました。この方式は無用の修飾を避けるデザインで、工事費節減を図ったうえ、随所に照明設備が施されました。
 外国館地帯には殖民館、外国館とシンボルの水晶搭が屹立しました。

 また、第2会場の天王寺公園では既設の勧業館が本館に使用され、電気関係の展示即売を行いました。正門入り口に航空館が建てられました。

 電気大博覧会内容一班から、会場に建設されたパビリオンを見てみましょう。
【第一会場】
敷地5万坪、運河水面1万坪、附属競技場1万坪
本館(811坪) - 電気機械照明類。入り口前には電気を象徴するベンジャミン・フランクリン象のたった噴水があった。
交通館(200坪) - 電鉄沿線、パノラマ。
動力館(200坪) - 模型及び外国製品。
別館(240坪) - 船用及び無電気類。
参考館(300坪) - 統計及び官庁出品。
実験館(112坪) - 印刷及び電気実演。
第二別館(300坪) - 計器及び家庭器具。
農事電化園(2,000坪) - 農事電化機械。
家庭電化館(112坪) - 家庭電気応用機。
殖民館(120坪) - 殖民地特産物類。台湾館や朝鮮館、シンボルの精華水晶塔が建てられた。
外国館(312坪) - 外国製諸機械類。
水晶塔(9坪) - 高さ100尺、採水落下。夜間には電飾が見られた。
保険衛生館(62坪) - 電気医療器具類。
その他出品 - 水力電気模型、エレベーター高塔(200尺)、ラジオホール、電気温泉(400坪)、館外出品(川北電気、電業社、荏原製作所、日本エレベーターなど)
余興設備 - 演芸館(216坪)、第二演芸館(200坪)、野外余興場(25坪)、第一奏楽堂(14坪)、第二奏楽堂(18坪)、大海運動館、コドモ電車、世界一周、お伽園、シープレーン、電気温泉

【第二会場】
会館及び周辺地帯3,000坪
本館(勧業館) - 電気関係出品、各国特産品、ラジオ関係出品。即売も行われた。
朝日航空館
余興設備 - 公会堂が当てられた。

乃村工藝社博覧会資料COLLECTIONより
乃村工藝社博覧会資料COLLECTIONより
乃村工藝社博覧会資料COLLECTIONより

 最初にご紹介しました「電気大博覧会会場図」は、
・電気大博覧会会場全景図絵
・大大阪市街電鉄線路図
・三電力送電線路図
・郊外電鉄線路図
という長いタイトルの地図の裏面です。
 裏面の全体は、以下のように、地図の周りに広告が入っています。広告主を見てみると、住友電線、マツダ瓦斯入電球、サン瓦斯入電球、電光ステッキ、川北電機扇など、電気関係の広告が並んでいます。

電気大博覧会会場全景図絵の裏面:電気大博覧会会場全図(国際日本文化研究センター蔵)

 表面の方には、いろいろな情報が詰まっています。丁寧に見ていきましょう。タイトルの下のビオフェルミンの広告が目立ちますが、大口のスポンサーだったのでしょう。

電気大博覧会会場全景図絵他(国際日本文化研究センター蔵)

 まず、タイトルを拡大して確認します。手前に桜の花と建物群があり、後方に電柱や送電線が描かれています。

長いタイトル

 中央の大きな地図を拡大してみてみましょう。京阪間、阪神間、和歌山付近です。いろいろの色で線が描かれています。当時は鉄道は走っていましたが、高速道路はありません。国道かなとも思いますが、どうも違います。

京阪間拡大図
阪神間拡大図
和歌山付近拡大図

 答えは、こちらの凡例にあります。電気博覧会ですから、電力会社の送電線の経路が表示されているのです。当時は、宇治川電気、日本電力、大同電力の3つの電力会社があったので、色分けされています。
 3つの会社の概要も紹介されています。

凡例および電力会社一覧

 この表の上には、鉄道会社の一覧と、概要説明があります。大阪市電、南海鉄道、大阪鉄道(大鉄:現在の近鉄南大阪線)、大阪電気軌道(大軌:現在の近鉄奈良線、大阪線)、京阪電気鉄道、新京阪鉄道(現在の阪急京都線、千里線)、阪神急行電鉄(現在の阪急電鉄)、阪神電気鉄道が、掲載されています。

鉄道会社一覧

 紙面の右下に、ピンク色の路線地図があります。大大阪市街電鉄線路図です。大阪市内の市電と私鉄(郊外電車)、省線(国鉄:現在のJR)の路線が描かれています。電気大博覧会の第一会場、第二会場の位置も表示されています。

大大阪市街電鉄線路図

 この地図は、「大正広重」として知られる吉田初三郎氏によって描かれた鳥瞰図です。初三郎の地図には必ず富士山が描かれているといわれますが、この地図にも、ちゃんと富士山と東京が描かれています。

東京と富士山

 青森付近には、函館の後方に、カラフトの文字。

青森付近

 敦賀付近には、当時の航路が描かれ、後方には、ウラジオの文字が見えます。

敦賀付近

 九州付近には、「初三郎作」のサインがあり、下関から釜山への航路があります。後方には、朝鮮、台湾の文字が見えます。
初三郎作のサイン、九州・朝鮮・台湾

 このように、この地図には見どころが満載です。みなさんで、地図探偵をお楽しみください。この地図はこちらからご覧ください。
https://lapis.nichibun.ac.jp/chizu/map_detail.php?id=002239648

 電気大博覧会の会場に戻って、会場は港区のどのあたりにあったのか、探ってみます。
 博覧会開催後の昭和3年(1928)の空中写真を見てみましょう。長屋がびっしりと立て並んでいる中に、運河と運動場が目に付くと思います。

昭和3年空中写真

 上の写真と、会場図を見比べると、両方に描かれている運河と運動場の位置関係から、電気大博覧会は現在の八幡屋公園付近で開催されたことがわかります。

電気大博覧会会場図(国際日本文化研究センター蔵)

 大阪市立運動場は、大正12(1923)年から昭和39(1964)年頃まで大阪市港区にあった陸上競技場で、27,000席のスタンドを持ち、完成当初東洋一の規模とされる施設で、絵はがきにもなっています。1964年以降、長居公園陸上競技場に施設を集約したため、運動施設としては放棄されました。その後数回、国際見本市の会場となりました。
 1972年には「八幡屋交通公園」として整備され、1997年開催のなみはや国体に合わせて、1996年に敷地内に「大阪市中央体育館」と「大阪プール」が完成。八幡屋公園と呼ばれるようになりました。

大阪市立運動場(絵はがき:大阪市立図書館蔵)

 今昔マップを使って、会場周辺の変遷を見てみましょう。左上の明治42年には、明治36年に開通した市電の線路と夕凪橋、朝潮橋、千舟橋の停留所があります。周りは干拓による水田でした。右上の昭和7年には市街地化が進み、運動場が描かれています。左下の昭和42年では、地下鉄中央線が開通し、朝潮橋駅があります。安治川沿いには貨物線の線路が見えます。右下の平成7年では、阪神高速大阪港線が開通しています。

今昔マップで見る会場付近(M42、S7、S42、H7)

 大正13年発行の大阪市パノラマ地図と昭和11年発行の大大阪観光地図で、会場付近を見てみましょう。パノラマ地図では市立運動場と運河、市電の路線が確認できます。博覧会の開催前です。

大阪市パノラマ地図(1924・T13)の会場付近

 大大阪観光地図では、博覧会終了後、市立運動場以外は市街地に戻っています。千舟橋の傍に市電の築港車庫があります。

大大阪観光地図(1936・S11)の会場付近

 最後に、最新の国土地理院地図を掲載しておきます。

国土地理院地図の八幡屋公園付近



〇大大阪時代のまちづくり(バックナンバー)
 2025年が大阪市の第二次市域拡張から100周年に当たることから「大大阪時代のまちづくり」の連載を始めました。
(1) はじめに
(2) 大阪城天守閣
(3) 中央卸売市場
(4) 四ツ橋
(5) 拡張前後の大阪市域
(6) 大阪市パノラマ地図に見る拡張前夜の大阪市
(7) 大大阪観光地図に見る拡張後の大阪市
(8) 御堂筋の淀屋橋付近
(9) 御堂筋の本町付近
(10) 御堂筋の心斎橋付近
(11) 御堂筋の難波駅付近
(12) 御堂筋の梅田新道付近
(13) 大阪駅の高架化と貨物駅の建設
(14) 京阪電鉄の複々線高架化
(15) 中之島の東部
(16) 中之島の西部
(17) 大大阪記念博覧会


〇大阪くらしの今昔館は、長期臨時休館中です。
2026年9月1日(火)~2027年1月5日(火)は、エスカレーターおよびエレベーターの更新工事ならびに館内各所の設備改修工事を実施するため臨時休館となります。ご注意ください。

※開館は令和9年(2027年)1月6日(水曜日)からを予定しています。
 なお、工事の進捗状況等により、休館期間を変更する場合があります。ご利用の皆様にはご不便、ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。


〇おかげさまで開館25周年!!
 大阪くらしの今昔館は2026年4月26日(日)に開館25周年を迎えました。これまで多くの皆さまにご来館いただき、心より感謝申し上げます。

 開館25周年の節目を迎えた大阪くらしの今昔館へ、皆さまのご来館を心よりお待ちしております。

〇住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」とは?

 「住まいの歴史と文化」をテーマにした、日本で初めての專門ミュージアムである「大阪くらしの今昔館」は、2001年4月26日に開館しました。2023年4月26日に開館22周年を迎えました。これからも、大阪くらしの今昔館をどうぞよろしくお願いいたします。

 住まい情報センターのビルの9階「なにわ町家の歳時記」は、江戸時代のフロア。天保初年(1830年代前半)の大坂の町並みを実物大で復元しています。
 8階「モダン大阪パノラマ遊覧」は、明治・大正・昭和のフロアで近代大阪の住まいと暮らしを模型や資料で展示。
 さらに企画展示室では特別展や企画展を開催しています。

 前館長の谷直樹先生と新館長の増井正哉先生がこれまでの道のりを振り返り、これからの課題について語り合う動画が公開されています。
 こちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=kFW0qbelLNo




〇「今昔館 まなびプログラム」が公開されています
 大阪のまちと住まいや くらしのことを おうちで学んでみませんか?
 こちらからどうぞ。
 ⇒https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/manabi_program/今昔館 まなびプログラム




〇おうちにいながらミュージアムを楽しもう!
 今昔館の展示関連の動画を集めました。
https://www.youtube.com/@user-zy5nw1vs2o


 英語の字幕入りの動画を見ることもできます。
https://www.youtube.com/watch?v=lOgkk5mfaT0
 https://www.youtube.com/watch?v=1ZFcAzP08Ys



 今昔館の近代のフロアをご紹介する動画が2編公開されています。動画を見てから見学すると、見どころがよくわかると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=SbqzmybwKss&feature=youtu.be


https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4



〇落語家 桂米團治と歩く江戸時代の大坂
 大阪くらしの今昔館の9階常設展示室にある江戸時代(天保年間)の大坂の町並みをご紹介する新しい動画ができました。案内人は上方の落語家、桂米團治師匠です。
〈①表通り編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=n1moBJy5uB4
〈②町家の暮らし編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=dDb2VBmyKnw



〇天満天神繁昌亭コラボレーション企画【チケ得】が始まりました

「天満天神繁昌亭」×「大阪くらしの今昔館」

コラボレーション企画【チケ得】が始まりました!
窓口でチケット半券を提示していただくとお得に入場、入館していただけます。
詳細は以下に記載しておりますのでご利用の前にご確認ください。
(実施期間2023年8月1日(火)~2024年3月31日(日))

■天満天神繁昌亭にお得に入場■
「大阪くらしの今昔館」のチケット半券を提示すると
「天満天神繁昌亭」の入館料が300円OFF!!

※対象チケットは公演日より30日間有効
※窓口でお買い求めの際にのみ適用されます
※昼席一般当日入場料から300円引きいたします(例)当日料金2,800円が2,500円に!!
※半券1枚につき1名様1回限り利用可
※満席の場合はご利用いただけません
※その他割引との併用はできません
※ご利用いただけない日程がございます。詳しくは天満天神繁昌亭にお問い合わせください

■大阪くらしの今昔館にお得に入館■
「天満天神繁昌亭」のチケット半券を提示すると
「大阪くらしの今昔館」の入館料が100円OFF!!

※対象チケットは公演日より30日間有効
※窓口でお買い求めの際にのみ適用されます
※入館料から100円引きいたします(例)常設展大人600円が500円に!!
※半券1枚につき1名様1回限り利用可
※企画展のみの場合は割引できません
※その他割引との併用はできません
※ お支払い方法は現金のみとなります



 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html



2026年9月7日月曜日

今週の今昔館(506) 大大阪時代のまちづくり(17) 長期臨時休館中です 20260907

〇大阪くらしの今昔館を応援する一個人による非公式ブログです。


〇大大阪時代のまちづくり(17)

 第二次市域拡張直前である1924年(大正13年)発行の大阪市パノラマ地図と、その12年後1936年(昭和11年)発行の大大阪観光地図などの古地図を見比べながら、大大阪時代の大阪のまちづくりを振り返っています。今回は大大阪記念博覧会を取り上げます。

 大大阪記念博覧会は、大正14年(1925)4月1日の第2次市域拡張による大大阪の誕生に合わせて、毎日新聞社が主催、大阪市が後援して、大正14年(1925)3月15日~4月30日を会期として開催された博覧会。第一会場は天王寺公園、第二会場は大阪城でした。また、市内の主要な百貨店が協賛しました。

上町台地今昔タイムズVol.12(大阪ガス エネルギー・文化研究所)より

■天王寺会場のパビリオン
本館(←勧業館)
娯楽館(←天王寺公会堂)
参考館(←大阪市民博物館)
機械館
パノラマ館
廉売館
朝鮮館
大陸館
台湾館

■大阪城会場のパビリオン
豊公館

■協賛館
今と昔の大阪館: 三越呉服店大阪支店
美術と新市街の大阪館: 高島屋呉服店
風俗の大阪館: 大丸呉服店
流行の大阪館: 十合呉服店
花の大阪館: 松坂屋呉服店

 第一会場の本館では、大パノラマを中心に「水」「文化」「工業」「商業」「交通」「劇と音楽」「食料」「電化」「キネマ」「社会事業」など27のテーマで都市・大阪の現状や未来像を示すなど、「大大阪」の理想が掲げられました。
 3月15日からの47日間の会期中に、天王寺公園と大阪城の両会場に180万人の入場者を集めるほどの盛況で、終了後に博覧会の余剰金をもとに大阪都市協会が発足し、市政普及の月刊誌「大大阪」を発行しました。

食料の大阪
徳川大坂城の天守台の上に建設された豊公館
豊公館のライトアップ

 なお、2021年から22年に放送されたNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」は、100年のファミリーストーリーで、タイトルにも「- Since 1925 -」と付記されています。1925年(大正14年)3月22日、日本で初めてラジオ放送が始まったその日に、主人公の橘安子が誕生するところから始まります。まさに「大大阪記念博覧会」の会期中に日本でラジオ放送が始まったということになります。

 博覧会の会場となった天王寺公園と大阪城を、大阪市パノラマ地図(大正13年発行)と大大阪観光地図(昭和11年発行)で比較してみます。

 天王寺公園周辺は、明治36年の第5回内国勧業博覧会の会場となったのち、しばらくは陸軍によって使用されていました。会場の西半分は明治45年に民間の開発により通天閣とルナパークを中心として新世界が整備されました。大阪市パノラマ地図を見ると、初代の通天閣とルナパーク、ホワイトタワーと通天閣を結ぶロープウェイも描かれています。
 会場の東半分は、大阪市によって明治42年に天王寺公園として整備されました。大正4年には、国内3番目の天王寺動物園が開園しました。大阪市パノラマ地図を見ると、内国勧業博覧会で使用されたパビリオンが、美術館・市民博物館・公会堂・勧業館として利用されています。これらは、大大阪記念博覧会の際にはパビリオンとして利用されました。現在大阪市立美術館が建っている場所には、「住友邸」の文字が見えます。

大阪市パノラマ地図の天王寺公園

 昭和11年発行の大大阪観光地図を見ると、天王寺公園・美術館・茶臼山・動物園・新世界の文字が見えます。住友家から寄付を受けた土地に昭和11年に美術館が新築されました。その建物が挿絵となっています。大大阪記念博覧会の閉会後も、公園として重点整備されていることがわかります。

大大阪観光地図の天王寺公園
第五回内国勧業博覧会の場内案内図
(地図の右下が天王寺駅、左下が新今宮駅にあたる)


 一方、第二会場となった大阪城は、大阪市パノラマ地図では、徳川天守の天守台の石垣だけがあり、その周辺は陸軍によって使用されています。大大阪記念博覧会で天守台の上に豊公館が建設されたことをきっかけに、市民の間で天守閣の再建を望む声が大きくなり、昭和天皇の御大典記念事業として、市民の寄付によって、昭和6年(1931)に天守閣の再建と陸軍師団司令部の建設が実現しました。市民の寄付の半分以上が師団司令部の建設費用に充てられましたが、郷土資料館として建設された天守閣を中核施設として、大阪城の本丸が公園として市民に開放されることになりました。大大阪観光地図には、再建された大阪城天守閣が大きく描かれています。

大阪市パノラマ地図の大阪城
大大阪観光地図の大阪城


 関西時層地図に掲載されている地形図によって、天王寺公園周辺と大阪城周辺の変遷を見てみます。

【天王寺公園周辺】

 西側には今宮村の文字、農地もあります。東側は茶臼山と河底池以外は空き地です。東西に走る鉄道は、明治22年開通の大阪鉄道(現在の関西本線)。天王寺駅付近は、上町台地を切通しで通したので、線路は道路よりも低く、阿部野橋が架けられています。

明治中期(M20年ごろ)

 「M」の記号は陸軍用地。明治37年(1904)から38年(1905)まで、日露戦争でした。左下へ伸びる鉄道は、南海天王寺支線。天下茶屋と天王寺をつないでいました。

明治後期(M40年ごろ)

 西側には新世界、通天閣、国技館、市電の天王寺車庫が、東側には、住友邸跡に新築された美術館があり、動物園の文字も見えます。

昭和初期(S5年ごろ)

 国技館がなくなり、逢坂下之町、玉水町などの町名が見えます。地下鉄1号線が通っています。

昭和中期(S30年ごろ)

 新世界と天王寺公園の間に阪神高速道路ができています。慶沢園、河底池の文字が見えます。通天閣が再建されています。地下鉄堺筋線が開通し、動物園前駅が見えます。

昭和後期(昭和60年ごろ)

 市電車庫の跡地にフェスティバルゲート、スパワールドがあります。地下鉄堺筋線の動物園前~天下茶屋間が開通し、南海天王寺支線は廃止となっています。

平成中期(約20年前)

 天王寺公園の市立美術館と、あべのハルカスのハルカス美術館に美術館の地図記号が見えます。

国土地理院地図

 茶臼山、慶沢園、動物園の緑が目立ちます。

最近の空中写真

【大阪城周辺】

 天守台と陸軍司令部の記号、練兵場の文字が見えます。
明治中期(M20年ごろ)

 陸軍司令部が紀州御殿に移り、水道貯水池の文字が見えます。砲兵工廠の建物が増えました。

明治後期(M40年ごろ)

 天守台の東に水道貯水場の文字。

昭和初期(S5年ごろ)

 再建された天守閣、桜門、警視庁の文字が見えます。師団司令部の建物は、戦後GHQに接収されていましたが、昭和23年(1948)の接収解除後、大阪市警視庁が昭和30年(1955)まで使用していました。

昭和中期(S30年ごろ)

 大阪城跡、天守閣、市立博物館、刻印石広場、金蔵、桜門などの文字が見えます。大阪市警視庁の移転後、市立博物館となり、昭和35年(1960)から平成13年(2001)まで使用されました。

昭和後期(昭和60年ごろ)

 地下鉄長堀鶴見緑地線が開通しています。

平成中期(約20年前)

 地図には表記はありませんが、師団司令部の建物は、市立博物館が歴史博物館に移転後は使用されていませんでしたが、リニューアルされて、平成29年(2017)に、ミライザ大阪城としてオープンし、物販店舗・レストランとして利用されています。

国土地理院地図



〇大大阪時代のまちづくり(バックナンバー)
 2025年が大阪市の第二次市域拡張から100周年に当たることから「大大阪時代のまちづくり」の連載を始めました。
(1) はじめに
(2) 大阪城天守閣
(3) 中央卸売市場
(4) 四ツ橋
(5) 拡張前後の大阪市域
(6) 大阪市パノラマ地図に見る拡張前夜の大阪市
(7) 大大阪観光地図に見る拡張後の大阪市
(8) 御堂筋の淀屋橋付近
(9) 御堂筋の本町付近
(10) 御堂筋の心斎橋付近
(11) 御堂筋の難波駅付近
(12) 御堂筋の梅田新道付近
(13) 大阪駅の高架化と貨物駅の建設
(14) 京阪電鉄の複々線高架化
(15) 中之島の東部
(16) 中之島の西部


〇大阪くらしの今昔館は、長期臨時休館中です。
2026年9月1日(火)~2027年1月5日(火)は、エスカレーターおよびエレベーターの更新工事ならびに館内各所の設備改修工事を実施するため臨時休館となります。ご注意ください。

※開館は令和9年(2027年)1月6日(水曜日)からを予定しています。
 なお、工事の進捗状況等により、休館期間を変更する場合があります。ご利用の皆様にはご不便、ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。


〇企画展「写すからはじまる創造 ―大阪画壇・五井金水の粉本―」は終了しました


〇おかげさまで開館25周年!!
 大阪くらしの今昔館は2026年4月26日(日)に開館25周年を迎えました。これまで多くの皆さまにご来館いただき、心より感謝申し上げます。

 開館25周年の節目を迎えた大阪くらしの今昔館へ、皆さまのご来館を心よりお待ちしております。

〇住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」とは?

 「住まいの歴史と文化」をテーマにした、日本で初めての專門ミュージアムである「大阪くらしの今昔館」は、2001年4月26日に開館しました。2023年4月26日に開館22周年を迎えました。これからも、大阪くらしの今昔館をどうぞよろしくお願いいたします。

 住まい情報センターのビルの9階「なにわ町家の歳時記」は、江戸時代のフロア。天保初年(1830年代前半)の大坂の町並みを実物大で復元しています。
 8階「モダン大阪パノラマ遊覧」は、明治・大正・昭和のフロアで近代大阪の住まいと暮らしを模型や資料で展示。
 さらに企画展示室では特別展や企画展を開催しています。

 前館長の谷直樹先生と新館長の増井正哉先生がこれまでの道のりを振り返り、これからの課題について語り合う動画が公開されています。
 こちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=kFW0qbelLNo

〇入場料のお知らせ
【常設展】一般 600円(団体500円)
     高校生・大学生 300円(団体200円)
【企画展】展覧会ごとに料金が異なります。
     今回の企画展は500円です。
     詳しくはホームページをご覧ください。
     ※常設展と企画展のお得なセット券も販売しております。

(注)団体は20名以上
(注)高校生・大学生は学生証原本要提示
(注)中学生以下、障がい者手帳等持参者(介護者1名を含む)、大阪市内の在住の65歳以上の方は無料(証明書原本(運転免許証、健康保険証、敬老優待乗車証、障がい者手帳等、またはミライロID)要提示)

今昔館は、毎週火曜日が休館日となっています。
 https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/guide


〇着物体験サービス

 着物(夏季は浴衣)に着替えて江戸時代の町並みを散策することができます。洋服の上からはおる簡単な着付けなので気軽にご利用いただけます。

●受付時間 10:00〜
●受付場所:9階着物コーナー(人形屋)
●料金:お1人につき1回1000円
●体験時間:30分(着替え時間を含まない)
●定員:先着100名様/日

※身長制限 110cm以上
※国内外に関わらず、小学校・中学校団体様の着物体験利用の受付は行っておりません。

【ご提供するサービスの内容】
・着物・草履のレンタル
・着付け ※服の上から着物を着ていただきます。
・上着、厚手の衣類(セーター、トレーナー等)は脱いでください。





〇「今昔館 まなびプログラム」が公開されています
 大阪のまちと住まいや くらしのことを おうちで学んでみませんか?
 こちらからどうぞ。
 ⇒https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/manabi_program/今昔館 まなびプログラム




〇おうちにいながらミュージアムを楽しもう!
 今昔館の展示関連の動画を集めました。
https://www.youtube.com/@user-zy5nw1vs2o


 英語の字幕入りの動画を見ることもできます。
https://www.youtube.com/watch?v=lOgkk5mfaT0
 https://www.youtube.com/watch?v=1ZFcAzP08Ys



 今昔館の近代のフロアをご紹介する動画が2編公開されています。動画を見てから見学すると、見どころがよくわかると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=SbqzmybwKss&feature=youtu.be


https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4



〇落語家 桂米團治と歩く江戸時代の大坂
 大阪くらしの今昔館の9階常設展示室にある江戸時代(天保年間)の大坂の町並みをご紹介する新しい動画ができました。案内人は上方の落語家、桂米團治師匠です。
〈①表通り編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=n1moBJy5uB4
〈②町家の暮らし編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=dDb2VBmyKnw



〇【動画】重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界
 重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵(さあん)」の実物大構造模型(竹中大工道具館所蔵)を京都工芸繊維大学名誉教授 日向進先生が分かりやすく解説してくださいます。
 こちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=tqJEnPZckbc&feature=youtu.be



〇天満天神繁昌亭コラボレーション企画【チケ得】が始まりました

「天満天神繁昌亭」×「大阪くらしの今昔館」

コラボレーション企画【チケ得】が始まりました!
窓口でチケット半券を提示していただくとお得に入場、入館していただけます。
詳細は以下に記載しておりますのでご利用の前にご確認ください。
(実施期間2023年8月1日(火)~2024年3月31日(日))

■天満天神繁昌亭にお得に入場■
「大阪くらしの今昔館」のチケット半券を提示すると
「天満天神繁昌亭」の入館料が300円OFF!!

※対象チケットは公演日より30日間有効
※窓口でお買い求めの際にのみ適用されます
※昼席一般当日入場料から300円引きいたします(例)当日料金2,800円が2,500円に!!
※半券1枚につき1名様1回限り利用可
※満席の場合はご利用いただけません
※その他割引との併用はできません
※ご利用いただけない日程がございます。詳しくは天満天神繁昌亭にお問い合わせください

■大阪くらしの今昔館にお得に入館■
「天満天神繁昌亭」のチケット半券を提示すると
「大阪くらしの今昔館」の入館料が100円OFF!!

※対象チケットは公演日より30日間有効
※窓口でお買い求めの際にのみ適用されます
※入館料から100円引きいたします(例)常設展大人600円が500円に!!
※半券1枚につき1名様1回限り利用可
※企画展のみの場合は割引できません
※その他割引との併用はできません
※ お支払い方法は現金のみとなります



 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html