2025年2月11日(火)〜2025年4月6日(日)
大坂夏の陣の後、豊臣期の大坂は徳川氏による城の再築と城下の整備によって大きく姿を変え、現代大阪の基盤となりました。天守閣は17世紀半ばに焼失しましたが、大坂城はその後も「錦城」「華城」と呼ばれ、ながく人々に親しまれました。大坂城再築から400年。本展では徳川期大坂の城の形態と、城とともにあったまちの姿を立体的に解き明かします。
徳川大坂城には本丸御殿が幕末まで存在していました。この御殿は徳川将軍の居所として造られ、狩野派の手になる障壁画で飾られていました。本展ではその大坂城御殿のうち詳細な大広間と銅御殿の復元模型(縮尺10分の1)を展示します。参考資料とした狩野探幽の作品、作事関係資料、江戸時代前期の大阪を描いた市街図屏風などとあわせてお楽しみください。
※再現模型製作にあたっては(公益財団法人)芳泉文化財団「地域文化活性化部門」の令和5年度・6年度の助成金をいただきました。
【講演会】
2025年3月2日(日)13:30~16:00(開場13:00)
演題・講師
「徳川大坂城の建築絵図」
谷直樹氏(大阪市立住まいのミュージアム学術委員・前館長/大阪市立大学名誉教授)
「徳川大坂城の障壁画」
岩間香氏(大阪市立住まいのミュージアム学術委員/摂南大学名誉教授)
申込はこちらからお願いします。
https://www.osaka-angenet.jp/event/458
〇企画展「布のすがた―いまむかし」は終了しました
〇模型の現場を訪問しよう 心斎橋筋商店街
今回は、大阪くらしの今昔館の8階近代展示室に入って向かって正面のスクリーンの裏側にある「心斎橋筋商店街」をご紹介し、模型の現場を訪問します。
心斎橋筋は近世から続く商いのまちです。近代にはショーウィンドーをしつらえ、とりどりの看板を掲げた華やかな店構えの商店が軒を並べ、消費文化・情報発信の中心地として賑わいました。心斎橋筋をウィンドーショッピングしながら歩く「心ぶら」は、都市生活の楽しみの一つとなっていました。
「心斎橋筋案内」は昭和2年(1927)に描かれた町並みのイラストで、各店舗の店構えが表情豊かに描かれています。模型では、心斎橋筋の東側、周防町から三津寺筋、宗右衛門町に至る町の賑わいを「心斎橋筋案内」をもとに再現しています。
模型は、通りに沿って並ぶ街並みと、通りを歩く人々が動く仕組みになっています。「廻る寿司」と同じ仕掛けを利用しています。
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「心斎橋筋案内」(大阪くらしの今昔館蔵) |
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昭和4年の心斎橋(「大大阪の時代を歩く」より) |
現在でも、心斎橋の周辺は、心斎橋筋商店街を中心に、百貨店、専門店、高級ブランド店などが集積する大阪市を代表する日本有数の繁華街です。
心斎橋筋の名前は、船場と島之内を分ける長堀川(現在は埋立。長堀通)に架かっていた心斎橋(橋梁)に由来し、単に船場と島之内を繋ぐにとどまらず、道頓堀川にも戎橋が架けられ、なおかつ、西横堀川(現在は埋立。阪神高速1号環状線北行き)寄りの道であったことから、道頓堀の芝居小屋と下船場の新町遊廓を結ぶ道として賑わいを見せるようになり、今日に至っています。
このように心斎橋筋は土佐堀川から道頓堀川まで南北に伸びる道ですが、船場においては心斎橋という認識は薄いです。これは、明治5年(1872)に心斎橋筋(1・2丁目)の町名が島之内においてのみ実施されたことに拠ります。
もともと心斎橋筋は、新町遊廓へ至る順慶町通と交差する船場側が栄えていました。順慶町通は夜市で知られ、煌々と照らされる街路は江戸から来た人々も驚くほどでした。しかし、松島遊廓の誕生や大火によって新町遊廓は衰退・焼失してしまい、南海難波駅や湊町駅(現・JR難波駅)の開業(道頓堀以南は「戎橋筋」と名称を変えますが難波駅前まで通じている)、大丸や十合(そごう)といった呉服店による百貨店経営の開始などにより、明治以降は島之内側が栄えるようになりました。なお、現在も船場側には、順慶町通を境に、せんば心斎橋筋商店街と心斎橋筋北商店街があります。
平成元年(1989)に島之内のうち堺筋~畳屋町筋間が東心斎橋、御堂筋以西が西心斎橋という町名になりました。しかし、現在も鰻谷(中之町・西之町)、大宝寺町(中之丁・西之丁)、東清水町、西清水町、千年町、玉屋町、笠屋町、畳屋町、周防町、八幡町、三津寺町、久左衛門町といった旧町名およびそれに基く筋や通の名称は健在で、御堂筋などの交差点名にも使用されています。千年町、玉屋町、笠屋町、畳屋町は、南北の道に沿ってまちが形成されているため、東西方向の周防町、八幡町、三津寺町は、周防町筋、八幡筋、三津寺筋と呼称されています。
東心斎橋(とりわけ周防町筋以南)および南接する宗右衛門町は、歓楽街として「ミナミ」と呼ばれることが多いですが、このエリアでは店舗や居場所の特定に旧町名が頻繁に用いられています。また、西心斎橋の周防町筋周辺はアメリカ村と通称されています。
心斎橋筋2丁目、三津寺筋付近を「大阪市パノラマ地図」で見たものです。「三ツ寺」が描かれ、心斎橋筋の一つ東の筋には、「タタミヤ丁」の文字があり、南北に町が形成されていることが分かります。
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大阪市パノラマ地図の心斎橋筋(大阪くらしの今昔館蔵) |
範囲を広げて見ました。島之内の北半分は東西の通りに「鰻谷」「大宝寺町」などの名前が入っていますが、南半分は南北の筋に沿って「笠屋町」「畳屋町」など、町の名前が入っています。御堂筋が拡幅される前ですから、大丸、十合(そごう)も心斎橋筋に顔を向けています。
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大阪市パノラマ地図の心斎橋筋付近 (大阪くらしの今昔館蔵) |
江戸時代天保年間発行の「浪華名所獨案内」の心斎橋筋付近です。心斎橋と戎橋の間に「大丸呉服店」「ヲグラヤ」があり、「三津寺」「三ツハチマン」も描かれています。
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浪華名所獨案内の心斎橋筋 (「ちずぶらり」より:上が東) |
範囲を広げて見てみると、大丸の前から心斎橋筋を南へ進み、戎橋を渡ると千日前に至り、道頓堀五座(芝居小屋)があります。逆に、北へ進み心斎橋を渡り、順慶町通を西に曲がると新町廓に至ります。お勧めのモデル観光ルートにもなっていて、当時から栄えていたことが分かります。
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浪華名所獨案内の心斎橋筋 (「ちずぶらり」より:上が東) |
天保8年(1837)発行の「天保新改攝州大阪全圖」を見ると、通りと筋が細かく描かれていて、町の名前も書かれています。島之内の北半分では通りに沿って町が形成され、南半分では南北の筋に沿って町が形成されています。現在でも東西の道が「八幡筋」「三津寺筋」と呼ばれているのは、このためです。
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天保8年(1837)発行の「天保新改攝州大阪全圖」(日文研蔵) |
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1920年代の心斎橋(「大大阪の時代を歩く」より) |
『大阪春秋』#133心斎橋・島之内特集号に、島之内の町名変更前後のわかりやすい図が掲載されていましたので、ここに転載させていただきます。
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町名変更前の島之内地区略図(大阪春秋#133より) |
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いまの島之内地区略図(大阪春秋#133より) |
【模型の現場を訪ねてみよう】
それでは、模型の現場を訪ねてみましょう。心斎橋筋は御堂筋の1本東側の筋で、大阪メトロ御堂筋線の淀屋橋、本町、心斎橋、なんばの区間に相当します。御堂筋が完成する以前は、堺筋と並んで、船場・島之内を貫くメインストリートでした。模型のモデルとなっているのは、周防町から南の部分ですが、ここでは、商店街となっている本町通から南側を訪ねることにします。
本町通から南本町通までの間はアーケードが無く、南本町通からアーケードのある「せんば心斎橋筋商店街」が始まります。ホームページによると、船場センタービルを超えて順慶町通までがこの商店街のようです。ほぼ旧東区の範囲に当たります。
順慶町通から南、かつて心斎橋が架かっていた長堀通までの間は「心斎橋筋北商店街」となっています。住居表示は南船場3丁目で、「センバマーケット」という愛称がついています。
長堀通から南、心斎橋から道頓堀に架かる戎橋までの間が「心斎橋筋商店街」です。住居表示は心斎橋筋1丁目、2丁目です。写真は長堀通側の入り口です。心斎橋筋商店街振興組合のホームページにマップがありますので、ご紹介します。
鰻谷南通りを過ぎると「心斎橋パルコ」があります。かつて「十合(そごう)」があった場所で、元は心斎橋筋側に玄関がありました。村野藤吾の設計による名建築でしたが、2000年12月25日に閉店し、2003年に解体撤去されました。
跡地に建設されたビルは2005年8月に竣工、9月に「そごう再生のシンボル」として開業しましたが、4年後の2009年8月に閉店しました。跡地と建物は大丸に売却され、大丸心斎橋店北館を経て、心斎橋PARCO となっています。
大丸本館。先代の本館建物はウィリアム・メレル・ヴォーリズ設計の名建築としても知られ、86年間にわたって心斎橋の顔にもなってきていました。外壁の一部を保存して建て替えられ、2019年9月にオープンしました。
大丸本館と心斎橋パルコの間は、道路の上空にもビルが建っています。特区を活用して立体道路制度が適用されています。
心斎橋筋商店街周防町通南側です。ここから南側の心斎橋筋の昭和2年(1927)の様子が、今昔館の模型で再現されています。
心斎橋筋商店街振興組合のホームページに紹介されているマップと見比べると、大半のお店が変わっており、ドラッグストアやチェーン店、横文字のお店が目立ちます。
数少ない例として「小大丸ビル」が残っています。
模型で再現されている心斎橋筋商店街は、現在はこのような風景となっています。
心斎橋筋商店街の南端は、道頓堀です。
道頓堀に架かる戎橋から南は「なんば戎橋筋商店街」です。住居表示は道頓堀1丁目、難波1丁目、難波3丁目となります。戎橋南詰の西側にグリコの看板があります。
なんば高島屋前の難波広場まで、「なんば戎橋筋商店街」が続いています。
今回は、大阪くらしの今昔館8階の「心斎橋筋商店街」をご紹介し、模型の現地を訪問しました。模型は、近代展示室に入って正面のスクリーンの裏側にありますので、見落とさないようにしてください。
〇ワークショップ・イベントのご案内
和文化体験のワークショップやパフォーマンスです。どうぞお楽しみください。
春夏秋冬の季節にちなんだ年中行事、町家の屋敷で行われる乙女文楽、狂言や上方舞、つまみ細工や折り紙のワークショップ、そして表通りでは町家の案内人に出会うこともあります。これらの催し物にはボランティア「町家衆」が大勢参加しています。
※参加には入館料(常設展)が必要です。開催日時は予告なく変更することがあります。事前にお確かめください。
*スケジュール表はこちら≫https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/event
定員がある当日先着イベントは8階受付で12時から参加券を発行しています。
〇入場料のお知らせ
【常設展】一般 600円(団体500円)
高校生・大学生 300円(団体200円)
【企画展】展覧会ごとに料金が異なります。
今回の企画展は500円です。
詳しくはホームページをご覧ください。
※常設展と企画展のお得なセット券も販売しております。
(注)団体は20名以上
(注)高校生・大学生は学生証原本要提示
(注)中学生以下、障がい者手帳等持参者(介護者1名を含む)、大阪市内の在住の65歳以上の方は無料(証明書原本(運転免許証、健康保険証、敬老優待乗車証、障がい者手帳等、またはミライロID)要提示)
今昔館は、毎週火曜日が休館日となっています。
https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/guide
〇風呂屋シアターもリフレッシュ
「桂米朝・米團治と行く 大坂むかしまち巡り」と題して、商家の賑わいを紹介しています。
〇着物体験サービス
感染症対策のため中止しておりました、着物体験サービスを再開しています。
着物(夏季は浴衣)に着替えて江戸時代の町並みを散策することができます。洋服の上からはおる簡単な着付けなので気軽にご利用いただけます。
●受付時間 10:00〜
●受付場所:9階着物コーナー(人形屋)
●料金:お1人につき1回1000円
●体験時間:30分(着替え時間を含まない)
●定員:先着100名様/日
※身長制限 110cm以上
※国内外に関わらず、小学校・中学校団体様の着物体験利用の受付は行っておりません。
【ご提供するサービスの内容】
・着物・草履のレンタル
・着付け ※服の上から着物を着ていただきます。
・上着、厚手の衣類(セーター、トレーナー等)は脱いでください。
〇反物着装パフォーマンス
約13メートルの長さの反物を2個のクリップと帯紐だけで、あたかも着物を着たかのように着装します。まるで手品のようです。
場 所:9階呉服屋
日 時:不定期(イベントスケジュールをご覧ください)
※町家衆のパフォーマンスをご覧ください。着装の体験はできません。
〇住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」とは?
「住まいの歴史と文化」をテーマにした、日本で初めての專門ミュージアムである「大阪くらしの今昔館」は、2001年4月26日に開館しました。2023年4月26日に開館22周年を迎えました。これからも、大阪くらしの今昔館をどうぞよろしくお願いいたします。
住まい情報センターのビルの9階「なにわ町家の歳時記」は、江戸時代のフロア。天保初年(1830年代前半)の大坂の町並みを実物大で復元しています。
8階「モダン大阪パノラマ遊覧」は、明治・大正・昭和のフロアで近代大阪の住まいと暮らしを模型や資料で展示。
さらに企画展示室では特別展や企画展を開催しています。
前館長の谷直樹先生と新館長の増井正哉先生がこれまでの道のりを振り返り、これからの課題について語り合う動画が公開されています。
こちらからどうぞ。
⇒ https://www.youtube.com/watch?v=kFW0qbelLNo
〇「今昔館 まなびプログラム」が公開されています
大阪のまちと住まいや くらしのことを おうちで学んでみませんか?
こちらからどうぞ。
⇒https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/manabi_program/今昔館 まなびプログラム
〇おうちにいながらミュージアムを楽しもう!
今昔館の展示関連の動画を集めました。
⇒https://www.youtube.com/@user-zy5nw1vs2o
英語の字幕入りの動画を見ることもできます。
⇒https://www.youtube.com/watch?v=lOgkk5mfaT0
https://www.youtube.com/watch?v=1ZFcAzP08Ys
今昔館の近代のフロアをご紹介する動画が2編公開されています。動画を見てから見学すると、見どころがよくわかると思います。
⇒https://www.youtube.com/watch?v=SbqzmybwKss&feature=youtu.be
⇒https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4
〇落語家 桂米團治と歩く江戸時代の大坂
大阪くらしの今昔館の9階常設展示室にある江戸時代(天保年間)の大坂の町並みをご紹介する新しい動画ができました。案内人は上方の落語家、桂米團治師匠です。
〈①表通り編〉
こちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=n1moBJy5uB4
〈②町家の暮らし編〉
こちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=dDb2VBmyKnw
〇【動画】重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界
重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵(さあん)」の実物大構造模型(竹中大工道具館所蔵)を京都工芸繊維大学名誉教授 日向進先生が分かりやすく解説してくださいます。
こちらからご覧ください。
⇒https://www.youtube.com/watch?v=tqJEnPZckbc&feature=youtu.be
〇天満天神繁昌亭コラボレーション企画【チケ得】が始まりました
「天満天神繁昌亭」×「大阪くらしの今昔館」
コラボレーション企画【チケ得】が始まりました!
窓口でチケット半券を提示していただくとお得に入場、入館していただけます。
詳細は以下に記載しておりますのでご利用の前にご確認ください。
(実施期間2023年8月1日(火)~2024年3月31日(日))
■天満天神繁昌亭にお得に入場■
「大阪くらしの今昔館」のチケット半券を提示すると
「天満天神繁昌亭」の入館料が300円OFF!!
※対象チケットは公演日より30日間有効
※窓口でお買い求めの際にのみ適用されます
※昼席一般当日入場料から300円引きいたします(例)当日料金2,800円が2,500円に!!
※半券1枚につき1名様1回限り利用可
※満席の場合はご利用いただけません
※その他割引との併用はできません
※ご利用いただけない日程がございます。詳しくは天満天神繁昌亭にお問い合わせください
■大阪くらしの今昔館にお得に入館■
「天満天神繁昌亭」のチケット半券を提示すると
「大阪くらしの今昔館」の入館料が100円OFF!!
※対象チケットは公演日より30日間有効
※窓口でお買い求めの際にのみ適用されます
※入館料から100円引きいたします(例)常設展大人600円が500円に!!
※半券1枚につき1名様1回限り利用可
※企画展のみの場合は割引できません
※その他割引との併用はできません
※ お支払い方法は現金のみとなります
大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
≫ https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/
「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
≫ http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html
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