2021年6月30日水曜日

今週の今昔館(273) 柴島、晒堤 20210630

〇淀川両岸一覧にみる江戸時代の大坂(52)

 琵琶湖から大阪湾へと流れる淀川は、人の流れ、物の流れを担う交通の大動脈として機能してきただけでなく、人々の暮らしと大きく関わり、政治・経済・文化にも大きな影響を与えてきました。

 「淀川両岸一覧」は、江戸時代の大坂から京都までの淀川沿いの名所旧跡を挿絵を添えて紹介しています。このシリーズでは、淀川両岸一覧(下り船之巻)に沿って、京都から大坂までの淀川右岸(川の流れから見て右側)沿いの風景を訪ねていきます。
 今回は「柴島、晒堤」をご紹介します。柴島と書いて「くにじま」と読みます。大阪の難読地名のひとつです。


■柴島、晒堤
 柴島、晒堤の絵は、淀川右岸の柴島を眺めた風景です。ちょうど、現在の柴島浄水場があるあたり。江戸時代、この付近の堤では、名産の「柴島ざらし」をさらしていました。本文の「晒堤」の項には次のようにあります。

≪此地、淀川の辺なるゆゑに流れを汲んで布木綿をさらす。これを柴嶋ざらしといふ。さる程に四時ともに芝生に木綿布をさらして、一円に白妙なすこと、恰も雪のごとしと。其風景、絶勝なり。此辺、船中より崇禅寺の松林みゆる。此馬場にて敵討の事、世に名高し。≫

 「柴島ざらし」をさらす様子は雪と見まがう絶景で、後方に見える崇禅寺の松林とのコントラストが船客の目を楽しませたことでしょう。
 柴島の北側では、淀川の川岸を利用して布木綿を晒していたので、柴島の堤を晒堤と称しました。挿絵にもあるように、河原一面に敷き詰められた晒木綿は、船の中から見るとあたかも雪が積もったように美しく、その風情は格別のものであったに違いありません。

淀川両岸一覧下船之巻「柴島、晒堤」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)

 地名の由緒に定説はありませんが、柴島と書いて「くにじま」と読ませることについては、槲島(くぬぎじま)の転訛と見る説があります。つまり、槲は柴や薪とする木材であり、昔はここに槲を植えて柴を作ったことから、いつしか略して柴島と表記して「くにじま」と呼ぶようになったと考えられています。

 この晒堤の後に見える松林は崇禅寺の境内で、この寺は「敵討崇禅寺馬場」という芝居で有名な敵討ち事件の場所として知られています。
 「ときは正徳、あの松のみえる崇禅寺でな、大和国郡山藩士の兄弟が、弟の敵をとろうと思て、返り討ちにおうたんや」。この一件は、浄瑠璃や落語の題材にもなりました。

 絵の上部の賛には、次のように漢詩、和歌、発句が記されています。

 半篙(はんこう)春碧に滑りて声無く/坐撫して青山遞(たが)ひに送り迎ふ/水路日長く人困(こん)じ易く/雲間に喜びて認む、金城の出づるを  島棕隠

 玉川の卯の花いかにくにじまのさらし堤の布の白雪 鶏成

 下萌やつき下したる船の跡 芦泊

 本文はつぎのとおりです。
■三番
 平太村の下にあり。江口よりこの所まで水上およそ二十五丁と云ふ。
■二重新家
 三番村の下にあり。浜に石工あり、三番よりこの所まで水上およそ三十丁。堤通柴(くに)しまにいたる。この所より堤を下りて北に至る通路あり。甲繩手と云ふ。小松村瑞光寺にいたる。堂前に鯨の橋あり。これより吹田また江口等へ出づる道筋あり。ただし(ママ)
■増島
 新家の下にあり。
■柴島
 増島の下にあり。俗に国島と書けり。柴島と書き、くに島と訓み来たること年久し。その字義詳らかならず。一説に、槲(くぬぎ)じまならんか。槲は普く柴薪となす木なり。さればいにしへこの所に多く槲を植ゑて薪の料とし、遠近へ送りしゆゑ、槲島とよびたりしを、いつしか略して柴島ともいひたりしが、終に柴島と書きたるが弊風となりて、これを改めず。また略語してくにじまといふなるべし。
■晒堤
 柴島の堤をいふ。この地、淀川の辺なるゆゑに、流れを汲んで布木綿をさらす。これを柴嶋ざらしといふ。さる程に四時ともに芝生に木綿布をさらして、一円に白妙なすこと、恰も雪のごとしと。其風景、絶勝なり。此辺、船中より崇禅寺の松林みゆる。此馬場にて敵討の事、世に名高し。


 浪花百景には、「柴島晒堤」があります。

■柴島晒堤(国員画)
 柴島(くにじま)は、淀川と中津川との分岐点の北岸に位置します。麻や木綿の布を白くした晒は、灰什を加え、天日にさらすことを何度も繰り返すという手間のかかる作業が必要とされます。柴島は豊富で澄んだ水と良好な日照、加えて美しい芝生の土手が広がる晒造りに最適な土地柄で、奈良晒に劣らぬ品質を誇った柴島晒の一大名産地として知られました。淀川堤一帯に木綿を並べ敷いて乾し晒す様は、まるで雪が降り積もったかのごとく絶景で、目にもまぶしく、舟行の人々にもその風情を愛でられ、晒堤の異名をとりました。
 大阪市内の人口増加にともない、大阪城内の貯水池では能力不足となったため、明治41年(1908)から大正3年(1914)にかけて6年余りの歳月を費やして建設された柴島浄水場は当時東洋一の規模を誇り、淀川の豊かな水は浄水場を通して市民に給水されています。

浪花百景「柴島晒堤(国員画)」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)


 次に、大阪くらしの今昔館が所蔵する「よと川の図」の柴島付近を見てみましょう。絵の左手が上流、右手が下流になります。絵の手前側が淀川の右岸で、上流側から「国嶋さらし堤」「はし寺」「なかつ川」「なから」の地名が並んでいます。前回も触れましたが、柴島よりも下流にある「はし寺」は、ラベルを張り間違えている可能性が高いと思われます。位置的には「濱村」か「薬師堂村」にあたります。「さらし堤」付近の堤防には、木綿を並べ敷いて乾かしているようすが描かれています。
 対岸の淀川左岸には、上流側から「森小路」「内代村」「一里塚」と続きます。奥には「いまふく」、川沿いには「南嶋村」の文字が見えます。下流側には「御堂」と「桜の宮」のラベルがあり、桜宮神社が詳細に描かれています。川の中央部には御座船が描かれています。


「よと川の図」の柴島付近(大阪くらしの今昔館蔵)

 地形図で柴島、晒堤付近の様子をみてみましょう。まず、最も古い時代の地形図として、明治18年の陸地測量部地図(仮製地図)を見ると、淀川右岸には濱村、薬師堂村、柴島村があり、高槻街道が通っています。街道の東側の河川敷が晒堤として利用されていました。
 村の西側を走る線路は、当時は国営鉄道でしたがその後移設され、現在は阪急京都線になっています。村のまわりは、ほとんどが田畑でした。

明治18年陸地測量部地図
(国際日本文化研究センター蔵)

 明治41年陸地測量部地図を見ると、竣工間近の新淀川の姿が描かれ、淀川の川筋が大きく変わりました。

明治41年陸地測量部地図
(今昔マップ3より)

 今昔マップを利用して明治41年陸地測量部地図(左)、最新の地理院地図に色別標高図を重ねたもの(右)を見比べてみます。
 1枚目は柴島新家から南方にかけての広域を表しています。右上から川沿いに柴島新家・柴島・南新田・濱・南方と集落が並んでいます。対岸には、赤川・毛馬・北長柄などの地名が見えます。
 2枚目は柴島付近を拡大した図です。地図の中央付近が柴島村、「西成」の大きな文字は郡名です。淀川右岸に形成された陸地が西成郡、左岸に形成された陸地が東生郡(東成郡)です。長柄橋北詰に「濱」の文字が見えます。濱村は一部は新淀川の川底となりましたが、右岸に一部が残っています。
 右側の地理院地図では、黄色の線は府道を示しています。


今昔マップより柴島新家から南方付近(広域)
今昔マップより柴島付近

 今昔マップ3を利用して、明治41年以降の柴島周辺の変遷を4分割画面で比較してみます。
 左上の明治41年では、薬師堂村は新しい淀川の川床になり、亀岡街道(高槻街道)は新しい川沿いに付け替えられ、長柄橋で左岸と結ばれています。
 右上の昭和4年では、柴島の西側に大阪市浄水所が建設され、その間を新京阪電車(現在の阪急千里線)が通っています。くにじま駅ができ、柴島町、濱町の文字が見えます。

明治41年から最近の地形図
(今昔マップ3より)

 左下の昭和22年を見ると、浄水場の北側は戦災によって被害を受けています。
 右下は最近の国土地理院地図ですが、新淀川に淀川大堰ができています。淀川河川敷はゴルフ場として利用されています。

 現在の地形図に、明治20年代の川筋を重ねた国土地理院地図(明治期の低湿地)です。1枚目は広域、2枚目は柴島周辺、3枚目はさらに拡大したものです。濃い水色が旧淀川、薄い水色が新淀川です。うすい黄色は当時の水田を、濃い緑色は荒地を示しています。旧中津川の川筋がよくわかります。川筋が大きく変わり、柴島と濱の南側が河川敷となって大きく削られたことがわかります。

国土地理院地図広域(明治期の低湿地)
国土地理院地図(明治期の低湿地)
国土地理院地図(明治期の低湿地)

 次に、国土地理院が公開している治水地形分類図を見てみます。治水地形分類図は、治水対策を進めることを目的に、国が管理する河川の流域のうち主に平野部を対象として、扇状地、自然堤防、旧河道、後背湿地などの詳細な地形分類及び堤防などの河川工作物等を表示している主題図です。
 この治水地形分類図から土地の成り立ちを理解でき、そこから起こりうる水害や地震災害などに対する自然災害リスクを推定することが可能です。青の横縞は旧河道、黄色は自然堤防、黄色に赤の半円が並ぶところは砂洲、黄色に赤の横線は盛土地・埋立地を示しています。柴島浄水場全体が盛土されています。薄い緑色は氾濫平野、濃い緑色は後背湿地です。


治水地形分類図広域(国土地理院)
治水地形分類図(国土地理院)

 大阪市内の史跡巡り・まち歩きによく利用している、「浪華名所獨案内」「増修改正摂州大阪地図」「天保新改攝州大坂全圖」「大阪市パノラマ地図」では、当時の大阪市域の外側の柴島は地図の範囲に入っていませんが、各地図の北の端を確認しておきます。

 江戸時代天保年間発行の「浪華名所獨案内」、天保8年(1837)発行の「天保新改攝州大坂全圖」では、淀川と中津川の分岐点よりも北に位置する柴島村は地図の範囲に入っていません。

浪華名所獨案内(「津の清」蔵)
天保新改攝州大坂全圖(国際日本文化研究センター蔵)

 次に、文化3年発行の増修改正摂州大阪地図を見てみると、これまでの地図よりも北の方が範囲に入っています。淀川が中津川(左)と大川(右)に分かれる分岐点の東側(左岸)に毛馬村がありますが、対岸の右岸は、濱村、薬師堂村、池田道の記載はありますが、柴島村までは含まれていません。大川と中津川の分岐点には「三ツ頭」の文字が見えます。

増修改正摂州大阪地図(ラムゼイコレクションより)

 大正13年発行の大阪市パノラマ地図は、当時の大阪市域が地図の範囲となっており、大川は都島橋から南が描かれています。淀川と中津川の分岐点よりも北に位置する柴島は地図の範囲に入っていません。

大阪市パノラマ地図(大阪くらしの今昔館蔵)

 昭和12年発行の大大阪観光地図を見ると、淀川改良工事によって新淀川が完成し、毛馬閘門が建設されて川の流れが大きく変わっています。この大工事によって薬師堂村の全体と濱村の一部は新淀川の河川敷となりました。図中の河川敷に「薬師堂町」の文字が見えます。濱町の「町」も河川敷にあります。

大大阪観光地図(国際日本文化研究センター蔵)

 現在の柴島付近の状況を写真で見てみましょう。柴島というと一番よく知られているのは浄水場でしょうか。1枚目から3枚目は浄水場の南端に位置する水道記念館です。

水道記念館
水道記念館
水道記念館

 柴島の南には長柄橋、淀川大堰があります。

長柄橋、左が本線、右はバイパス
阪急千里線と長柄橋
淀川大堰、左奥に毛馬閘門

 柴島晒堤があった淀川河川敷は現在はゴルフ場になっています。

淀川河川敷のゴルフ場(上流側)
淀川河川敷のゴルフ場(下流側)

 柴島歩道橋を渡って柴島のまちに出ると、柴島神社があり境内に柴島晒ゆかりの地の石碑と案内板があります。

柴島歩道橋
柴島神社
柴島晒ゆかりの地の石碑と案内板
柴島晒ゆかりの地の案内板

 阪急電車の柴島駅北側には淀川キリスト教病院があり、駅周辺では、現在連続立体化工事が進められています。

阪急千里線では連続立体化の工事中


 今回は、「淀川両岸一覧下り船の巻」の「柴島、晒堤」をご紹介しました。


〇住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」とは?

 住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」は2001年4月26日に開館しました。今年で開館20周年を迎えました。
 前館長の谷直樹先生と新館長の増井正哉先生がこれまでの道のりを振り返り、これからの課題について語り合う動画が公開されています。
 こちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=kFW0qbelLNo

 ここは「住まいの歴史と文化」をテーマにした、日本で初めての專門ミュージアムです。
 住まい情報センターのビルの9階「なにわ町家の歳時記」は、江戸時代のフロア。天保初年(1830年代前半)の大坂の町並みを実物大で復元しています。
 8階「モダン大阪パノラマ遊覧」は、明治・大正・昭和のフロアで近代大阪の住まいと暮らしを模型や資料で展示。
 さらに企画展示室では特別展や企画展を開催しています。


〇大阪くらしの今昔館を紹介する動画作成プロジェクトが「2021年度都市住宅学会賞・業績賞」を受賞しました

 受賞対象は「歴史博物館から発信する大阪の町家と住文化の魅力-子ども・若者・外国人に町家と住文化を理解してもらうための動画制作プロジェクト-」です。
 この動画制作プロジェクトは、2018年度に申請者らからなる博物館住まい学習研究会が「建築技術教育普及センター」の助成を受け、大阪くらしの今昔館の9階常設展示「商家の賑わい」で撮影・編集し、2019年3月に完成しました。ドイツ人留学生のザビ-ネさんがナビゲートし、今昔館ボランティア「町家衆」の皆さんが江戸時代の住民に扮して出演しています。その後、2019年7月からYouTubeで配信しました。

 授賞理由・受賞者・動画の詳細は、以下のとおりです。

・審査委員会の講評(授賞理由)
 本事業は、「大阪くらしの今昔館」の江戸時代の町並み展示を活用して、大阪の町家の建築と生活文化を伝える教育動画を制作し、YouTubeで配信するものである。変化した現在の町家でなく、江戸時代当時の建築と生活が学べる点で他の動画にはない独創性を備えている。また、制作された動画は教育効果の高い内容に加えて、外国人留学生がナビゲートする演出など様々な工夫がされており高く評価できる。本動画は、海外旅行者や社会科見学等の団体見学者に対する事前学習の活用が意図されているが、今後のITCを活用した授業の優れた教材の提供、コロナ禍における博物館の情報発信の面でも先駆的な試みであり、日本の伝統的な生活文化を世界に発信するツールとして今後の展開が期待できる。以上より、本事業は、当学会の業績賞に相応しいと認められる。

・受賞者
 大阪くらしの今昔館 前館長 谷直樹氏
 大阪教育大学教授  碓田智子氏
 大阪くらしの今昔館 特別研究員 岩間香氏
 大阪市住宅供給公社 渡邊望氏

 大阪くらしの今昔館を紹介する学習ビデオは、「なにわの町並み」、「町家の商い」、「町家のくらしとおもてなし」、「裏長屋のくらし」の4編(それぞれ日本語字幕版と英語字幕版)で構成されています。

 日本語字幕版と英語字幕版の動画はこちらをご覧ください↓↓↓
大阪くらしの今昔館 「商家の賑わい」学習ビデオ【日本語・English】



〇大阪くらしの今昔館は、6月21日から再開しています。

【イベント、ワークショップ、およびボランティアによる展示解説(町家衆による町家ツアー)中止のお知らせ】
イベント・ワークショップ等は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の為、当面の間 開催を中止いたします。

開催を楽しみにしてくださった皆様にはご迷惑をおかけしますが、ご理解をいただきますようお願いいたします。

※スタッフによる展示解説(町家ツアー)は1日3回実施いたしております。お気軽にご参加ください。

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。

スタッフによるまちの解説(町家ツアー)スケジュール
①11:00~(約30分)
②13:00~(約30分)
③14:00~(約30分)



〇企画展「重岡良子 花鳥画展 刻を紡ぐ 写生から装飾 そして琳派を生きる」は終了しました


〇これからの企画展示

2021年度 建築設計展
第62回全国大学・高専卒業設計展示会

 令和3年7月1日(木)~7月4日(日)

開館時間:10時~17時(入館は午後4時30分まで)
最終日は15時まで
会 場:大阪くらしの今昔館8階 企画展示室
内 容:全国の大学及び高等専門学校の卒業設計優秀作を展示します。
入場料:無料
主 催:日本建築学会、同近畿支部
    大阪市立住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館)

掌(てのひら)の建築展 ― 橋爪紳也+遠藤秀平 建築ミニチュアコレクション ―
 令和3年7月10日(土)~8月29日(日)

 誰しもがどこかで手に取り、1つや2つは部屋に飾っている建築ミニチュア。私たちが住まう都市を形作る建築への愛着の結晶が建築ミニチュアではないでしょうか。「掌(てのひら)の建築展」では、世界中の建築ミニチュアを一堂に会して展示し、建築ミニチュアを通して都市や建築・住まいが持つ魅力に触れていただきます。
 建築ミニチュアを展示する企画は、2015年に開催された「ENDO SHUHEIワールド・ミニチュア・ワールド」展を始めとし、「みんなの建築ミニチュア展」としてこれまでに東京、大阪、京都、滋賀、岡山など日本各地で開催されてきました。
 今回の展覧会では、世界中の建築ミニチュアを展示し、観覧される皆様に世界旅行の気分を楽しんでいただける内容となっています。
また、写真家川村憲太氏と橋爪紳也氏のコラボレーションによる写真展「ミニチュア・ワンダーランド」を併催し、掌サイズの建築ミニチュアと巨大な都市空間や自然の景色とを組合せた作品をお楽しみいただきます。
※本展は生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪2021の連携プログラムです。

開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)
休館日 :火曜日(ただし祝日を除く)
会 場 :大阪市立住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館) 企画展示室
      〒530-0041 大阪市北区天神橋6丁目4-20 住まい情報センタービル8階
入館料 :企画展のみ300円
     常設展+企画展 一般800円(団体700円)
           高・大生500円(団体400円)(要学生証原本提示)
*団体は20名以上。
*周遊パス・年間パスポートでも入場可。
*中学生以下、障がい者手帳等持参者(介護者1名含む)、大阪市内在住の65歳以上の方は無料(要証明書原本提示)。
交 通 :地下鉄堺筋線・谷町線、阪急電鉄「天神橋筋六丁目」駅3番出口から直結
     JR大阪環状線「天満」駅から北へ650m
主 催 :大阪市立住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館)
協 賛 :鹿島建設株式会社、淀鋼商事株式会社
協 力 :鹿島出版会、一般社団法人日本建築設計学会、神戸大学光嶋研究室、
     生きた建築ミュージアム大阪フェスティバル実行委員会、海洋堂、
     大阪府立大学観光産業戦略研究所、
     株式会社橋爪総合研究所、遠藤秀平建築研究所
監 修 :橋爪紳也 遠藤秀平

<トークイベント>
「掌の建築たち イッツ・ア・スモール・ワールド」橋爪紳也×遠藤秀平
(「掌の建築展」関連イベント)

 世界の建築は面白い、そして「建築ミニチュア」の世界も奥深い。その歴史、素材の多様性、収集時のエピソードなど、それぞれの「建築ミニチュア道」について楽しくトークを展開します。あわせて、パリで進めている「アジール・フロッタン復活プロジェクト」についても紹介します。

●日 時: 2021年7月25日(日) 14:00~15:30(受付13:30開始)
●登壇者: 橋爪紳也氏 遠藤秀平氏
●会 場: 大阪市立住まい情報センター 3階ホール
●定 員: 120名(応募者多数の場合抽選)

申込受付期間 2021年6月2日(水)12:00 ~ 7月10日(土)
申込フォーム(受付期間中ご覧いただけます)
https://www.osaka-angenet.jp/event/129
※新型コロナウイルス感染症拡大の状況によっては開催を中止とする場合もあります。

フィレンツェ大聖堂
サンマルコ広場
タワーシリーズ1
タワーシリーズ2
ミラノのドゥオーモ
(写真 川村憲太)


〇落語家 桂米團治と歩く江戸時代の大坂
 大阪くらしの今昔館の9階常設展示室にある江戸時代(天保年間)の大坂の町並みをご紹介する新しい動画ができました。案内人は上方の落語家、桂米團治師匠です。
〈①表通り編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=n1moBJy5uB4
〈②町家の暮らし編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=dDb2VBmyKnw



〇「今昔館のオンライン まなびプログラム」が公開されています
 大阪のまちと住まいや くらしのことを おうちで学んでみませんか?
 こちらからどうぞ。
 ⇒konjyakukan.com/link_pdf/今昔館のオンラインまなびプログラム.pdf




〇大阪くらしの今昔館の紹介動画
 今昔館の江戸時代のフロアをご紹介する動画は4編あります。全4編の目次はこちらからどうぞ。
 こちらから、見たい部分だけを見ることができます。英語の字幕入りの動画を見ることもできます。
http://konjyakukan.com/link_pdf/what's%20this%20.pdf



 このほかに「天神祭となにわの町」をご紹介する動画があります。
https://www.youtube.com/watch?v=3or8fq4U8zE&feature=youtu.be



 また、今昔館の近代のフロアをご紹介する動画が2編あります。
https://www.youtube.com/watch?v=SbqzmybwKss&feature=youtu.be


https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4




〇【動画】重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界
 重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵(さあん)」の実物大構造模型(竹中大工道具館所蔵)を京都工芸繊維大学名誉教授 日向進先生が分かりやすく解説してくださいます。
 こちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=tqJEnPZckbc&feature=youtu.be



 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
http://konjyakukan.com/index.html


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html


 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。

「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。
http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。
http://www.sumai-machi-net.com/howtouse


2021年6月22日火曜日

今週の今昔館(272) 逆巻 20210622

〇淀川両岸一覧にみる江戸時代の大坂(51)

 琵琶湖から大阪湾へと流れる淀川は、人の流れ、物の流れを担う交通の大動脈として機能してきただけでなく、人々の暮らしと大きく関わり、政治・経済・文化にも大きな影響を与えてきました。

 「淀川両岸一覧」は、江戸時代の大坂から京都までの淀川沿いの名所旧跡を挿絵を添えて紹介しています。このシリーズでは、淀川両岸一覧(下り船之巻)に沿って、京都から大坂までの淀川右岸(川の流れから見て右側)沿いの風景を訪ねていきます。
 今回は「逆巻」をご紹介します。逆巻という地名は、淀川を上る船がここで帆を「逆」に「巻」きつけたことに因むと言われ、大道村に属しており、現在の豊里大橋北詰あたりにありました。


■逆巻、橋寺、新川
 逆巻は江口の南にある大道村に属し、ここから川筋は東へ湾曲しS字型を描きながら橋寺へ下り、その後西へ向かいます。
 挿絵は淀川右岸、現在の豊里大橋北詰東あたりの風景を描いています。絵の左上部にある解説は次のとおりです。

 ≪逆巻より平田(へいだ)までの間、淀川の内に流作ありて、川条(かはすじ)二流にわかる。これを新川といふ。この所常に河堀の人夫出でて、瀬をさらへ水尾串(みをぐし)を立てて通船を助く。鳥飼・柱本に同じ。北のはしに新らしき石の地蔵尊あり。これは近年水死の供養に建つる所なり。≫

 逆巻・橋寺という地名は、現在は淀川右岸の東淀川区では見ることができません。明治時代の淀川大改修の際、川筋がまっすぐになるように大きく付け替えられた結果、かつての両村は淀川の水底となりました。橋寺の一部は対岸である左岸に残ることとなり、旭区・守口市の地名として残されました。


淀川両岸一覧下船之巻「逆巻、橋寺、新川」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)

 ところで、逆巻という地名は、淀川を上る船がここで帆を「逆」に「巻」きつけたことに因むと言われています。この付近は川の流れが激しく、水難に見舞われる船も少なくなかったようです。その犠牲者の供養と水運祈願のため、地蔵尊が安置されたのが、弘化三年(1846)のこと。絵の中央にみえる大きな石像がそれです。
 川面に浮かぶ三十石船の真ん中、苫の間から男性ふたりの姿が見えます。おそらく、月明かりに照らされた地蔵尊に旅の無事を願っているのでしょう。
 淀川堤の北端に立てられ、かつて淀川を往来する旅人たちを見守ったこのお地蔵さんは、現在は場所を変えて、大桐中学校の北辺りに安置されています。淀川下流域の水難は、事故もありましたが、洪水による堤防の決壊も多く被害も甚大でした。

 豊里大橋は日本万国博覧会の開催に合わせて昭和45年(1970)に架橋されました。それまでは、豊里大橋の北詰西付近と対岸とを渡す平田の渡しがあり、人々の足として利用されました。この渡しについて、本文は次のように記しています。

≪摂州西成郡平太村より東生郡今市村へ淀川をわたす舟渡しなり。今市のわたしとも云ふ。平太より大坂へ行程およそ二里。≫

 平田の渡しは延宝四年(1876)から明治40年(1907)まではいわば個人経営の形で有料だったのが、その後、公営にかわり無料となったといいます。

 この逆巻から平田までの淀川には、かつて新川と呼ばれる支流があったと絵の解説に見えます。この辺りの川筋は、中洲によって二分され、右岸側を新川と称し、人夫が出て川瀬の土砂を浚うのが常でした。これは、柱本およびその下手の鳥飼と同様です。この川浚えをした場所の目安に立てた水尾串が挿絵にも見えます。

 絵の左のほうをよく見ると、水主たちが堤に上がり舟を曳いているのがわかります。船は画面の左になるので描かれていません。その手前には中洲が見え、船はその向こう側を通っているのです。これが新川です。上り船は川筋の右岸沿いを引き綱を引いて航行し、下り船は絵の右に見えるように、中央寄りの本流を航行していました。カーブの外側の本流は流れが速いため、上り船は内側の新川を曳き上っているわけです。新川は土砂が溜まりやすいため、川浚えが必要だったということです。

 絵の右上の賛は、次の発句です。

 行く水にたえず流るる柳かな 山川

 なお、平田の渡しの解説に「摂州西成郡平太村より東生郡今市村へ淀川をわたす舟渡し」とありますが、淀川は、山城国を出ると(すなわち現在の京都府から大阪府に入ると)、摂津国と河内国の国境となります。当時の都である大和から見て川の内側なので河内です。
 さらに下流に進み、現在の大阪市域に入ると、淀川は摂津国西成郡と東生郡(東成郡とも書く)の境となります。それぞれ淀川の右岸(西側)と左岸(東側)に生まれた土地という意味です。したがって、現在の東淀川区は西成郡、旭区は東生郡に属していました。

 本文の解説は次のとおりです。
■辻堂
 江口村の下にあり。
■辻堂渡口
 西成郡辻堂村より河州茨田郡下島村に淀川をわたす舟わたしなり。下島の渡ともいふ。
■南大道
 辻堂村の下にあり。
■淀川監船所
 南大道村の下にあり。世俗に平田の番所といふ。
■逆巻
 南大道村の下にあり。北大道の属邑なり。
■橋寺
 逆巻村の下にあり。
■平太
 橋寺の下にあり。
■平太渡口
 摂州西成郡平太村より同東生郡今市村へ淀川をわたす舟渡しなり。今市のわたしとも云ふ。平太より大坂へ行程およそ二里。


 次に、大阪くらしの今昔館が所蔵する「よと川の図」の逆巻付近を見てみましょう。絵の左手が上流、右手が下流になります。絵の手前側が淀川の右岸で、上流側から「一つや」「江口」「平田」「国嶋さらし堤」「はし寺」の地名が並んでいます。本文の解説にあったように、当時の村は上流から下流に向かって、江口、辻堂、南大道、逆巻、橋寺、平田の順に並んでいましたから、柴島よりも下流にある「はし寺」は、ラベルを張り間違えている可能性が高いと思われます。正しくは、橋寺は「江口」と「平田」のあいだに位置していました。
 対岸の淀川左岸には、上流側から「一里つか」「守口」「土居」「いま市」、そこからは京街道は内陸に入り「森小路」「内代村」「一里塚」と続きます。奥には「いまふく」、川沿いには「南嶋村」の文字が見えます。この絵では、新川や中洲は正確には描かれていません。川の中央部には三十石船、右端には御座船が描かれています。


「よと川の図」の逆巻付近(大阪くらしの今昔館蔵)

 地形図で逆巻付近の様子をみてみましょう。まず、今昔マップを利用して明治41年陸地測量部地図(左)、最新の地理院地図に色別標高図を重ねたもの(右)を見比べてみます。
 1枚目は江口から豊里にかけての広域を表しています。右上から川沿いに江口・辻堂・南大道・竹間・野村・豊里村と集落が並んでいます。対岸には、八雲、守口、土居、今市などの地名が見えます。
 2枚目は南大道・橋寺付近を拡大した図です。堤防に挟まれた幅の広い川が改修工事によって築造され、竣工間近の新淀川です。そこから南へS字型を描いて守口町の傍を流れている川が旧淀川です。新旧淀川の中洲のような位置に「橋寺」の文字が見えます。旧淀川では右岸であった橋寺が、川の新設によって大半は川底となり、一部が左岸に残されました。
 文禄堤の上に築かれた守口宿のすぐ西側を見ると、川の中に中洲が2つ見えます。2つの中洲の間が旧淀川の本流で、西側の中洲と橋寺の間の水路が新川の痕跡と思われます。土砂の堆積によって本流・新川ともに幅が狭まっているようです。
 右側の地理院地図では、赤色の線は国道を、黄色の線は府道、緑色は高速道路を示しています。国道1号線と豊里大橋が架かる国道479号線の交差点が京阪本通です。旧淀川はこの交差点のすぐ北側、高速道路との間を流れていたことになります。


今昔マップより江口から豊里付近(広域)
今昔マップより南大道・橋寺付近

 次に、国土地理院が公開している治水地形分類図を見てみます。治水地形分類図は、治水対策を進めることを目的に、国が管理する河川の流域のうち主に平野部を対象として、扇状地、自然堤防、旧河道、後背湿地などの詳細な地形分類及び堤防などの河川工作物等を表示している主題図です。
 この治水地形分類図から土地の成り立ちを理解でき、そこから起こりうる水害や地震災害などに対する自然災害リスクを推定することが可能です。青の横縞は旧河道、黄色は自然堤防、黄色に赤の半円が並ぶところは砂洲、黄色に赤の横線は盛土地・埋立地を示しています。薄い緑色は氾濫平野、濃い緑色は後背湿地です。淀川が運んできた土砂によって陸地化が進行し、右岸に西成、左岸に東成が形成されてきました。多くの旧集落は自然堤防上の水はけのよい土地に立地していることもわかります。

治水地形分類図(国土地理院)

 よく似た地図になりますが、重ねるハザードマップというサイトも便利です。洪水・土砂災害・高潮・津波のリスク情報、道路防災情報、土地の特徴・成り立ちなどの災害リスク情報を地図や写真に自由に重ねて表示できます。菖蒲園で有名な城北公園は、旧淀川の川筋に当たることがわかります。

重ねるハザードマップ(国土地理院)

 大阪市内の史跡巡りによく利用している、江戸時代天保年間発行の「浪華名所獨案内」、文化3年(1806)発行の「増修改正摂州大阪地図」、天保8年(1837)発行の「天保新改攝州大坂全圖」、大正13年(1924)発行の「大阪市パノラマ地図」では、淀川と中津川の分岐点よりも北に位置する江口付近は地図の範囲に入っていません。

 昭和12年発行の大大阪観光地図を見ると、豊里大橋が架かる前で、渡し舟の記号が表示されています。名前の記載はありませんがこれが平田の渡しです。橋寺町の地名が淀川左岸に見えます。黄緑色は境界線ですが、4種類に書き分けられています。1つは摂津と河内の国境、1つは市と河内の国の境、1つは市と郡の境(摂津国の中)、4つ目は区の境(大阪市の中)です。当時は橋寺町は東淀川区に所属しています。もともとは淀川の右岸であったからです。現在の守口市と大阪市の市境は、摂津と河内の国境を引き継いでおり、旧淀川の中心線であったことがわかります。

大大阪観光地図(国際日本文化研究センター蔵)

 現在の逆巻・橋寺付近の状況を写真で見てみましょう。1枚目は現在の逆巻の地蔵尊。2枚目と3枚目は、橋寺廃寺跡の碑と案内板です。4枚目は案内板を拡大したもので、橋寺廃寺推定地です。寺の跡は川底となり、碑は淀川左岸の旭区太子橋3丁目にあります。ベースの地図は明治18年陸地測量部地図と思われます。旧淀川の本流と新川は、この地図の方がわかりやすいと思います。5枚目は、右岸・東淀川区側の「平田の渡し跡碑」、最後は、左岸・旭区側の「平太の渡し跡碑」です。

逆巻の地蔵尊
橋寺廃寺跡の碑
橋寺廃寺跡の案内板
橋寺廃寺推定地
平田の渡し跡碑(右岸・東淀川区側)
平太の渡し跡碑(左岸・旭区側)

 今回は、「淀川両岸一覧下り船の巻」の「逆巻」をご紹介しました。


〇住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」とはどんなところ?

 ここは「住まいの歴史と文化」をテーマにした、日本で初めての專門ミュージアムです。
 住まい情報センターのビルの9階「なにわ町家の歳時記」は、江戸時代のフロア。天保初年(1830年代前半)の大坂の町並みを実物大で復元しています。
 8階「モダン大阪パノラマ遊覧」は、明治・大正・昭和のフロアで近代大阪の住まいと暮らしを模型や資料で展示。
 さらに企画展示室では特別展や企画展を開催しています。

 住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」は2001年4月26日に開館しました。今年で開館20周年を迎えました。
 前館長の谷直樹先生と新館長の増井正哉先生がこれまでの道のりを振り返り、これからの課題について語り合う動画が公開されています。
 こちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=kFW0qbelLNo


〇大阪くらしの今昔館は、6月21日から再開しています

 新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の発令に伴い、4月25日(日)~6月20日まで臨時休館していましたが、6月21日から再開しています。
 休館日は、毎週火曜日と、年末年始(12/29~1/2)です。



〇大阪くらしの今昔館を紹介する動画制作プロジェクトが「2021年度都市住宅学会賞・業績賞」を受賞しました

 受賞対象は「歴史博物館から発信する大阪の町家と住文化の魅力-子ども・若者・外国人に町家と住文化を理解してもらうための動画制作プロジェクト-」です。
 この動画制作プロジェクトは、2018年度に申請者らからなる博物館住まい学習研究会が「建築技術教育普及センター」の助成を受け、大阪くらしの今昔館の9階常設展示「商家の賑わい」で撮影・編集し、2019年3月に完成しました。ドイツ人留学生のザビ-ネさんがナビゲートし、今昔館ボランティア「町家衆」の皆さんが江戸時代の住民に扮して出演しています。その後、2019年7月からYouTubeで配信しました。

 授賞理由・受賞者・動画の詳細は、以下のとおりです。

・審査委員会の講評(授賞理由)
 本事業は、「大阪くらしの今昔館」の江戸時代の町並み展示を活用して、大阪の町家の建築と生活文化を伝える教育動画を制作し、YouTubeで配信するものである。変化した現在の町家でなく、江戸時代当時の建築と生活が学べる点で他の動画にはない独創性を備えている。また、制作された動画は教育効果の高い内容に加えて、外国人留学生がナビゲートする演出など様々な工夫がされており高く評価できる。本動画は、海外旅行者や社会科見学等の団体見学者に対する事前学習の活用が意図されているが、今後のICTを活用した授業の優れた教材の提供、コロナ禍における博物館の情報発信の面でも先駆的な試みであり、日本の伝統的な生活文化を世界に発信するツールとして今後の展開が期待できる。以上より、本事業は、当学会の業績賞に相応しいと認められる。

・受賞者
 大阪くらしの今昔館 前館長 谷直樹氏
 大阪教育大学教授  碓田智子氏
 大阪くらしの今昔館 特別研究員 岩間香氏
 大阪市住宅供給公社 渡邊望氏

 大阪くらしの今昔館を紹介する学習ビデオは、「なにわの町並み」、「町家の商い」、「町家のくらしとおもてなし」、「裏長屋のくらし」の4編(それぞれ日本語字幕版と英語字幕版)で構成されています。

 日本語字幕版と英語字幕版の動画はこちらをご覧ください↓↓↓
大阪くらしの今昔館 「商家の賑わい」学習ビデオ【日本語・English】



〇企画展「重岡良子 花鳥画展 刻を紡ぐ 写生から装飾 そして琳派を生きる」開催中です

 会期、令和3年4月17日(土)~6月27日(日)
(会期延長になりましたが、残り僅かです。)

 大阪くらしの今昔館では現代日本画家の個展「重岡良子 花鳥画展 刻を紡ぐ」を開催します。
 日本の絵画は住まいの中で、座敷における「しつらい」として親しまれてきました。中でも四季の彩りを表す花鳥画は古くから愛好され、現代においても人気のある画題のひとつです。
 重岡良子氏は自然の中に身を置いて花や鳥などの動植物を写生し、その心を50年にわたって描き表してきました。また、京都で培われた「琳派」に着想を得て「IMA琳派」として装飾性を持たせた作品も発表されています。今回は屏風を中心に代表的な作品を披露します。
 春から初夏にかけて草木が青々とするこの時期に、日本画のもつ繊細かつ優美な色彩の織り成す世界をご堪能ください。

【インタビュー動画】重岡良子 花鳥画展 刻を紡ぐ
 こちらからどうぞ
⇒ https://www.youtube.com/watch?v=KJRYeH5yqWk

 企画展「重岡良子 花鳥画展-刻を紡ぐ- 」の動画第2弾として、会場の風景と作品を作者の言葉の抜粋とともに紹介されています。
【作者の言葉から】重岡良子 花鳥画展 -刻を紡ぐ-
https://www.youtube.com/watch?v=rzOhEpV-mys

喜雨滴る
あお麦風々
桜東風
朝露涼夏
ランプシェード


〇落語家 桂米團治と歩く江戸時代の大坂
 大阪くらしの今昔館の9階常設展示室にある江戸時代(天保年間)の大坂の町並みをご紹介する新しい動画ができました。案内人は上方の落語家、桂米團治師匠です。
〈①表通り編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=n1moBJy5uB4
〈②町家の暮らし編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=dDb2VBmyKnw



〇「今昔館のオンライン まなびプログラム」が公開されています
 大阪のまちと住まいや くらしのことを おうちで学んでみませんか?
 こちらからどうぞ。
 ⇒konjyakukan.com/link_pdf/manabiprogram.pdf



〇大阪くらしの今昔館の紹介動画
 今昔館の江戸時代のフロアをご紹介する動画は4編あります。全4編の目次はこちらからどうぞ。
 こちらから、見たい部分だけを見ることができます。英語の字幕入りの動画を見ることもできます。
http://konjyakukan.com/link_pdf/what's%20this%20.pdf



 このほかに「天神祭となにわの町」をご紹介する動画があります。
https://www.youtube.com/watch?v=3or8fq4U8zE&feature=youtu.be



 また、今昔館の近代のフロアをご紹介する動画が2編あります。
https://www.youtube.com/watch?v=SbqzmybwKss&feature=youtu.be


https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4




〇【動画】重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界
 重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵(さあん)」の実物大構造模型(竹中大工道具館所蔵)を京都工芸繊維大学名誉教授 日向進先生が分かりやすく解説してくださいます。
 こちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=tqJEnPZckbc&feature=youtu.be



 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
http://konjyakukan.com/index.html


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html


 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。

「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。
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