2024年8月14日水曜日

今週の今昔館(436) 企画展の見どころ④ 20240814

〇レトロ・ロマン・モダン、乙女のくらしの見どころ

 前回に引き続き、近代の商業デザインの研究家で、本企画展の監修者・出展者である佐野宏明(さのひろあき)氏が書かれた展覧会のみどころをご紹介します。(あんじゅ99号(2024年夏号)に掲載されています)

④「おしゃれさん? それとも、やんちゃ娘?」 モダンガールの登場

 大正時代の後半から、髪型を斬髪ボブにし、釣鐘型の帽子をかぶり、ハイカラな洋服をまとった女性が街中を闊歩しはじめました。強い意志を持ち、旧来の慣習や考え方にとらわれず、奔放に人生を謳歌しようとする人たちで、「モダンガール」と呼ばれました。その姿は写真やイラストで、広告や雑誌の表紙などに頻繁に登場します。時代の先端を生きる女性を、広告のモチーフに使うことは訴求効果も大きかったのでしょう。

図7 モダンガールによる化粧品広告

 「モダンガール」と言う概念は現代でも興味を持つ人が多く、それをテーマにした書籍や、企画展などが旺盛で人気があります。古き良き時代への憧れでしょうか。(図7、8)

図8 PR誌『だいまる』

宝塚少女歌劇脚本集(表裏表紙)昭和9年



〇企画展「レトロ・ロマン・モダン、乙女のくらし」開催中です
 2024年7月13日(土)~2024年10月14日(月)

 明治から昭和にかけて、女性たちの暮らしは家庭内から外へより活動的に変化していきました。服装も着物から洋服へ、髪型は日本髪から束髪を経て断髪へと変容し、「モダンガール」と呼ばれる新しい女性像が展開しました。変化する生活に伴って特に女性用の化粧方法も変化し、多種多様に商品開発されました。パッケージには当時の女性に好まれたデザインを取り入れたため、時代の雰囲気をよく表しています。

 本展では近代の商業デザインの研究家である佐野宏明氏のコレクションを中心に、「レトロ・ロマン・モダン」と呼ばれる大正時代前後の化粧品や薬など生活雑貨のパッケージ、雑誌や商品広告などを展示し、当時の女性の暮らしとその中にある美意識を探ります。

主な展示物
パッケージや女性の身の回りの商品、女性が描かれた広告等を展示。
・化粧品(化粧水・クリーム・香水・パウダー)
・トイレタリ(石鹸・洗い粉・歯磨き)
・生活雑貨(薬、飲料、菓子、マッチ、繊維ラベル、絵葉書、雑誌、団扇)など

※ 企画展示室のガラスが取り換えられて、低反射高透過の見やすいガラスになっています。


【関連講演会】
「レトロ・ロマン・モダンを語る」
日程: 2024年8月31日(土)
時間:13:30~15:00
会場:住まい情報センタービル3階ホール(大阪くらしの今昔館同ビル内3階)
定員:150名
参加費:無料
申込み:7/1(月)より今昔館のホームページでお知らせ・受付を開始します。
(発表内容など詳細は7/1からの申込ページをご参照ください)
https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/exhibition_special/260000934



〇6月1日よりミュージアムショップが再開しました

 今昔館が発行する刊行物(図録)や各種地図はもとより、和小物や大阪のお土産物など取り揃えております。どうぞご利用ください。


〇ワークショップ・イベントのご案内
 和文化体験のワークショップやパフォーマンスです。どうぞお楽しみください。
 *スケジュール表はこちら≫https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/event
 定員がある当日先着イベントは8階受付で12時から参加券を発行しています。


〇入場料のお知らせ
【常設展】一般 600円(団体500円)
     高校生・大学生 300円(団体200円)
【企画展】展覧会ごとに料金が異なります。
     ホームページをご覧ください。
     ※常設展と企画展のお得なセット券も販売しております。

(注)団体は20名以上
(注)高校生・大学生は学生証原本要提示
(注)中学生以下、障がい者手帳等持参者(介護者1名を含む)、大阪市内の在住の65歳以上の方は無料(証明書原本(運転免許証、健康保険証、敬老優待乗車証、障がい者手帳等、またはミライロID)要提示)

【現在開催中の企画展】
企画展のみ 500円
常設展+企画展
一般 1000円(団体900円)
高校生・大学生 700円(団体600円)
※要学生証原本提示
※中学生以下、障がい者手帳・ミライロID等持参者(介護者1名含む)、大阪市内在住65歳以上は無料(要学生証原本提示)

今昔館は、毎週火曜日が休館日となっています。
 https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/guide


〇天神祭1921―疫病退散を祈る都市祭礼

 今回は、あんじゅ83号(2020夏号)に掲載されている、大阪くらしの今昔館前館長の谷直樹先生が執筆された「天神祭1921――疫病退散を祈る都市祭礼」を紹介します。

 天神祭は疫病退散(えきびょうたいさん)を願う祭礼で、7月24日に宵宮、25日に本宮を迎える。本宮では、菅原道真をお祀りした御鳳輦(ごほうれん)を中心とした渡御の行列が氏地を巡り(陸渡御(りくとぎょ))、若松町で船に乗り込んで大川を遡り、毛馬辺りで反転して川を下り(船渡御(ふなとぎょ))、若松町で再び陸路を取って天満宮に還御(かんぎょ)する。現在のように大川を遡る船渡御は昭和28年(1953)以降の姿で、それ以前は堂島川を川口の御旅所まで下り、そこで神事を執り行った後、再び堂島川を遡って天満宮に還御するコースであった。

大阪くらしの今昔館の近代展示室「天神祭1921ー水都の祝祭」
御迎人形船(鎮西八郎・手前)と獅子舞講(天神講・奥)

 この天神祭のジオラマ展示は、大正10年(1921)に描かれた絵巻物「夏祭陸渡列図」と「夏祭舩渡御図」(大阪天満宮蔵)をもとに、当時の陸渡御・船渡御の様子を再現したものである。当時の船渡御は堂島川を下り、川口の御旅所に向かうコースである。先頭のどんどこ船に続いて、蒸気船に曳航された催太鼓(もよおしたいこ)(太鼓中(たいこなか))、御神酒講(おみきこう)、獅子舞講(ししまいこう)(天神講)などが続いている。周辺を並走している御迎人形船は、幕末以来途絶えていて、大正8年に復活したばかりである。祭りに参加した人々の多くは伝統的な祭礼装束であるが、和装にカンカン帽、洋装にシルクハットという服装もある。

 模型の背後には、堂島川右岸(北岸)の様子を立版古で表現している。そこには、氏地の町を進む陸渡御の列がある。御鳳輦、御錦蓋(おきんがい)、御菅蓋(おかんがい)、鳳神輿(おおとりみこし)、玉神輿(たまみこし)などの渡御列である。背後には、伝統的な町家が軒を連ねる中に、大正5年竣工の大阪控訴院が姿を表している。大正10年の天神祭船渡御は、大阪が近代都市に脱皮するさなかに執行された。この模型では、伝統の中にも近代化が着実に進んでいる祭りの風俗や都市景観にご注目いただきたい。

大阪くらしの今昔館の近代展示室「天神祭1921ー水都の祝祭」

 ところで、絵巻が描かれた大正10年は、三年前から猛威を振るっていた「1918年パンデミック」(スペイン風邪)がようやく終息した年である。それから100年、新型コロナウイルス禍中の今年(2020年)の天神祭は、大阪天満宮で神職のみによる神事が行われ、陸渡御・船渡御などの諸行事は感染拡大防止のため中止になった。疫病退散を願った先人たちの心に思いを巡らせながら、今昔館の展示をご覧いただければ幸いである。

              大阪くらしの今昔館館長(2020年当時) 谷 直樹


〇風呂屋シアターもリフレッシュ
「桂米朝・米團治と行く 大坂むかしまち巡り」と題して、商家の賑わいを紹介しています。


〇着物体験サービス

感染症対策のため中止しておりました、着物体験サービスを再開しています。

着物(夏季は浴衣)に着替えて江戸時代の町並みを散策することができます。洋服の上からはおる簡単な着付けなので気軽にご利用いただけます。

●受付時間 10:00〜
●受付場所:9階着物コーナー(人形屋)
●料金:お1人につき1回1000円
●体験時間:30分(着替え時間を含まない)
●定員:先着100名様/日

※身長制限 110cm以上
※国内外に関わらず、小学校・中学校団体様の着物体験利用の受付は行っておりません。

【ご提供するサービスの内容】
・着物・草履のレンタル
・着付け ※服の上から着物を着ていただきます。
・上着、厚手の衣類(セーター、トレーナー等)は脱いでください。



〇反物着装パフォーマンス
約13メートルの長さの反物を2個のクリップと帯紐だけで、あたかも着物を着たかのように着装します。まるで手品のようです。
場 所:9階呉服屋
日 時:不定期(イベントスケジュールをご覧ください)
※町家衆のパフォーマンスをご覧ください。着装の体験はできません。



〇住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」とは?

 「住まいの歴史と文化」をテーマにした、日本で初めての專門ミュージアムである「大阪くらしの今昔館」は、2001年4月26日に開館しました。2023年4月26日に開館22周年を迎えました。これからも、大阪くらしの今昔館をどうぞよろしくお願いいたします。

 住まい情報センターのビルの9階「なにわ町家の歳時記」は、江戸時代のフロア。天保初年(1830年代前半)の大坂の町並みを実物大で復元しています。
 8階「モダン大阪パノラマ遊覧」は、明治・大正・昭和のフロアで近代大阪の住まいと暮らしを模型や資料で展示。
 さらに企画展示室では特別展や企画展を開催しています。

 前館長の谷直樹先生と新館長の増井正哉先生がこれまでの道のりを振り返り、これからの課題について語り合う動画が公開されています。
 こちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=kFW0qbelLNo



〇「今昔館 まなびプログラム」が公開されています
 大阪のまちと住まいや くらしのことを おうちで学んでみませんか?
 こちらからどうぞ。
 ⇒https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/manabi_program/今昔館 まなびプログラム




〇おうちにいながらミュージアムを楽しもう!
 今昔館の展示関連の動画を集めました。
https://www.youtube.com/@user-zy5nw1vs2o


 英語の字幕入りの動画を見ることもできます。
https://www.youtube.com/watch?v=lOgkk5mfaT0
 https://www.youtube.com/watch?v=1ZFcAzP08Ys



 今昔館の近代のフロアをご紹介する動画が2編公開されています。動画を見てから見学すると、見どころがよくわかると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=SbqzmybwKss&feature=youtu.be


https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4



〇落語家 桂米團治と歩く江戸時代の大坂
 大阪くらしの今昔館の9階常設展示室にある江戸時代(天保年間)の大坂の町並みをご紹介する新しい動画ができました。案内人は上方の落語家、桂米團治師匠です。
〈①表通り編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=n1moBJy5uB4
〈②町家の暮らし編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=dDb2VBmyKnw



〇【動画】重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界
 重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵(さあん)」の実物大構造模型(竹中大工道具館所蔵)を京都工芸繊維大学名誉教授 日向進先生が分かりやすく解説してくださいます。
 こちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=tqJEnPZckbc&feature=youtu.be



〇天満天神繁昌亭コラボレーション企画【チケ得】が始まりました

「天満天神繁昌亭」×「大阪くらしの今昔館」

コラボレーション企画【チケ得】が始まりました!
窓口でチケット半券を提示していただくとお得に入場、入館していただけます。
詳細は以下に記載しておりますのでご利用の前にご確認ください。
(実施期間2023年8月1日(火)~2024年3月31日(日))

■天満天神繁昌亭にお得に入場■
「大阪くらしの今昔館」のチケット半券を提示すると
「天満天神繁昌亭」の入館料が300円OFF!!

※対象チケットは公演日より30日間有効
※窓口でお買い求めの際にのみ適用されます
※昼席一般当日入場料から300円引きいたします(例)当日料金2,800円が2,500円に!!
※半券1枚につき1名様1回限り利用可
※満席の場合はご利用いただけません
※その他割引との併用はできません
※ご利用いただけない日程がございます。詳しくは天満天神繁昌亭にお問い合わせください

■大阪くらしの今昔館にお得に入館■
「天満天神繁昌亭」のチケット半券を提示すると
「大阪くらしの今昔館」の入館料が100円OFF!!

※対象チケットは公演日より30日間有効
※窓口でお買い求めの際にのみ適用されます
※入館料から100円引きいたします(例)常設展大人600円が500円に!!
※半券1枚につき1名様1回限り利用可
※企画展のみの場合は割引できません
※その他割引との併用はできません
※ お支払い方法は現金のみとなります



 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html



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