2024年8月21日水曜日

今週の今昔館(437) 館蔵品のご紹介 浪花天保山風景 20240821

〇今昔館の館蔵品のご紹介

浪花天保山風景


 本絵図は現在の大阪市港区築港にある「天保山」とその周辺の賑わいを描いたもので、1833年(天保4年)頃に描かれた4枚組の錦絵で、4枚並べるとパノラマ図となります。

浪花天保山風景(大阪くらしの今昔館蔵)
浪花天保山風景(大阪くらしの今昔館蔵)

 本絵図に描かれた天保山は、洪水を防ぐために、また、大きな船を大阪に入りやすくするために、1831年(天保2年)から開始された安治川の浚渫工事(しゅんせつこうじ:川底の土砂を浚って取り去る土木工事)によって取り除かれた土砂で築かれた人工の山。高さ18mほどある天保山は、大阪港の目印になっていたことから目印山・目標山(めじるしやま)とも呼ばれていましたが、のちに築かれた元号から「天保山」と呼ばれるようになりました。

 この浚渫工事は「御救大浚」(おすくいおおざらえ)と呼ばれ、幕府が全大阪市民の協力を得て行いました。つらい仕事もどうせやるなら「楽しく」と町ごとにおそろいの衣装をつくって土砂運びをしたり、太鼓やお囃子で盛り上げたりと、工事自体がお祭り騒ぎのようだったと伝えられています。

 天保山の周囲には松や桜の木が植えられ、茶店が設けられるなど、憩いの場としても賑わいを見せ、大阪市民の天保山に対する愛着は非常に大きなものがありました。現在、天保山公園入口には、本絵図を下絵としたタイルが展示されています。

天保山公園入口の案内板

 作者の「歌川貞升」(うたがわさだます)は、江戸時代に大阪で活動した浮世絵師で、初代「歌川国貞」(うたがわくにさだ)の弟子。大阪船場の財産家の家に生まれ、大阪に歌川派風の「役者絵」や「風景画」、「肉筆画」を広めるなどの功績を残した他、晩年は京都の日本画一派「四条派」の門下に入り、写生画風の花鳥人物画等を描きました。

作品名:浪花天保山風景
作家名:歌川貞升
制作年代:江戸時代(19世紀)
形式:4枚綴
法量:縦36.5cm 横25.2cm



〇企画展「レトロ・ロマン・モダン、乙女のくらし」開催中です
 2024年7月13日(土)~2024年10月14日(月)

 明治から昭和にかけて、女性たちの暮らしは家庭内から外へより活動的に変化していきました。服装も着物から洋服へ、髪型は日本髪から束髪を経て断髪へと変容し、「モダンガール」と呼ばれる新しい女性像が展開しました。変化する生活に伴って特に女性用の化粧方法も変化し、多種多様に商品開発されました。パッケージには当時の女性に好まれたデザインを取り入れたため、時代の雰囲気をよく表しています。

 本展では近代の商業デザインの研究家である佐野宏明氏のコレクションを中心に、「レトロ・ロマン・モダン」と呼ばれる大正時代前後の化粧品や薬など生活雑貨のパッケージ、雑誌や商品広告などを展示し、当時の女性の暮らしとその中にある美意識を探ります。

主な展示物
パッケージや女性の身の回りの商品、女性が描かれた広告等を展示。
・化粧品(化粧水・クリーム・香水・パウダー)
・トイレタリ(石鹸・洗い粉・歯磨き)
・生活雑貨(薬、飲料、菓子、マッチ、繊維ラベル、絵葉書、雑誌、団扇)など

※ 企画展示室のガラスが取り換えられて、低反射高透過の見やすいガラスになっています。


【関連講演会】
「レトロ・ロマン・モダンを語る」
日程: 2024年8月31日(土)
時間:13:30~15:00
会場:住まい情報センタービル3階ホール(大阪くらしの今昔館同ビル内3階)
定員:150名
参加費:無料
申込み:7/1(月)より今昔館のホームページでお知らせ・受付を開始します。
(発表内容など詳細は7/1からの申込ページをご参照ください)
https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/exhibition_special/260000934



〇6月1日よりミュージアムショップが再開しました

 今昔館が発行する刊行物(図録)や各種地図はもとより、和小物や大阪のお土産物など取り揃えております。どうぞご利用ください。


〇ワークショップ・イベントのご案内
 和文化体験のワークショップやパフォーマンスです。どうぞお楽しみください。
 *スケジュール表はこちら≫https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/event
 定員がある当日先着イベントは8階受付で12時から参加券を発行しています。


〇入場料のお知らせ
【常設展】一般 600円(団体500円)
     高校生・大学生 300円(団体200円)
【企画展】展覧会ごとに料金が異なります。
     ホームページをご覧ください。
     ※常設展と企画展のお得なセット券も販売しております。

(注)団体は20名以上
(注)高校生・大学生は学生証原本要提示
(注)中学生以下、障がい者手帳等持参者(介護者1名を含む)、大阪市内の在住の65歳以上の方は無料(証明書原本(運転免許証、健康保険証、敬老優待乗車証、障がい者手帳等、またはミライロID)要提示)

【現在開催中の企画展】
企画展のみ 500円
常設展+企画展
一般 1000円(団体900円)
高校生・大学生 700円(団体600円)
※要学生証原本提示
※中学生以下、障がい者手帳・ミライロID等持参者(介護者1名含む)、大阪市内在住65歳以上は無料(要学生証原本提示)

今昔館は、毎週火曜日が休館日となっています。
 https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/guide


〇風呂屋シアターもリフレッシュ
「桂米朝・米團治と行く 大坂むかしまち巡り」と題して、商家の賑わいを紹介しています。


〇着物体験サービス

感染症対策のため中止しておりました、着物体験サービスを再開しています。

着物(夏季は浴衣)に着替えて江戸時代の町並みを散策することができます。洋服の上からはおる簡単な着付けなので気軽にご利用いただけます。

●受付時間 10:00〜
●受付場所:9階着物コーナー(人形屋)
●料金:お1人につき1回1000円
●体験時間:30分(着替え時間を含まない)
●定員:先着100名様/日

※身長制限 110cm以上
※国内外に関わらず、小学校・中学校団体様の着物体験利用の受付は行っておりません。

【ご提供するサービスの内容】
・着物・草履のレンタル
・着付け ※服の上から着物を着ていただきます。
・上着、厚手の衣類(セーター、トレーナー等)は脱いでください。



〇反物着装パフォーマンス
約13メートルの長さの反物を2個のクリップと帯紐だけで、あたかも着物を着たかのように着装します。まるで手品のようです。
場 所:9階呉服屋
日 時:不定期(イベントスケジュールをご覧ください)
※町家衆のパフォーマンスをご覧ください。着装の体験はできません。



〇住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」とは?

 「住まいの歴史と文化」をテーマにした、日本で初めての專門ミュージアムである「大阪くらしの今昔館」は、2001年4月26日に開館しました。2023年4月26日に開館22周年を迎えました。これからも、大阪くらしの今昔館をどうぞよろしくお願いいたします。

 住まい情報センターのビルの9階「なにわ町家の歳時記」は、江戸時代のフロア。天保初年(1830年代前半)の大坂の町並みを実物大で復元しています。
 8階「モダン大阪パノラマ遊覧」は、明治・大正・昭和のフロアで近代大阪の住まいと暮らしを模型や資料で展示。
 さらに企画展示室では特別展や企画展を開催しています。

 前館長の谷直樹先生と新館長の増井正哉先生がこれまでの道のりを振り返り、これからの課題について語り合う動画が公開されています。
 こちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=kFW0qbelLNo



〇「今昔館 まなびプログラム」が公開されています
 大阪のまちと住まいや くらしのことを おうちで学んでみませんか?
 こちらからどうぞ。
 ⇒https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/manabi_program/今昔館 まなびプログラム




〇おうちにいながらミュージアムを楽しもう!
 今昔館の展示関連の動画を集めました。
https://www.youtube.com/@user-zy5nw1vs2o


 英語の字幕入りの動画を見ることもできます。
https://www.youtube.com/watch?v=lOgkk5mfaT0
 https://www.youtube.com/watch?v=1ZFcAzP08Ys



 今昔館の近代のフロアをご紹介する動画が2編公開されています。動画を見てから見学すると、見どころがよくわかると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=SbqzmybwKss&feature=youtu.be


https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4



〇落語家 桂米團治と歩く江戸時代の大坂
 大阪くらしの今昔館の9階常設展示室にある江戸時代(天保年間)の大坂の町並みをご紹介する新しい動画ができました。案内人は上方の落語家、桂米團治師匠です。
〈①表通り編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=n1moBJy5uB4
〈②町家の暮らし編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=dDb2VBmyKnw



〇【動画】重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界
 重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵(さあん)」の実物大構造模型(竹中大工道具館所蔵)を京都工芸繊維大学名誉教授 日向進先生が分かりやすく解説してくださいます。
 こちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=tqJEnPZckbc&feature=youtu.be



〇天満天神繁昌亭コラボレーション企画【チケ得】が始まりました

「天満天神繁昌亭」×「大阪くらしの今昔館」

コラボレーション企画【チケ得】が始まりました!
窓口でチケット半券を提示していただくとお得に入場、入館していただけます。
詳細は以下に記載しておりますのでご利用の前にご確認ください。
(実施期間2023年8月1日(火)~2024年3月31日(日))

■天満天神繁昌亭にお得に入場■
「大阪くらしの今昔館」のチケット半券を提示すると
「天満天神繁昌亭」の入館料が300円OFF!!

※対象チケットは公演日より30日間有効
※窓口でお買い求めの際にのみ適用されます
※昼席一般当日入場料から300円引きいたします(例)当日料金2,800円が2,500円に!!
※半券1枚につき1名様1回限り利用可
※満席の場合はご利用いただけません
※その他割引との併用はできません
※ご利用いただけない日程がございます。詳しくは天満天神繁昌亭にお問い合わせください

■大阪くらしの今昔館にお得に入館■
「天満天神繁昌亭」のチケット半券を提示すると
「大阪くらしの今昔館」の入館料が100円OFF!!

※対象チケットは公演日より30日間有効
※窓口でお買い求めの際にのみ適用されます
※入館料から100円引きいたします(例)常設展大人600円が500円に!!
※半券1枚につき1名様1回限り利用可
※企画展のみの場合は割引できません
※その他割引との併用はできません
※ お支払い方法は現金のみとなります



 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html



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