令和の時代に入って1週間。10連休も終了しました。今回から新しいシリーズ「浪華の賑ひに見る江戸時代の大坂」が始まります。
「浪華の賑ひ」は暁鐘成が著した大坂名所案内記です。安政2年(1855)4月の刊で、序は、嘉永4年(1851)1月に山川正宣によって識されています。編輯は鶏鳴舎暁晴(暁鐘成)、画図は松川半山によるものです。
序
昔こそ、浪速田舎といわれけめ。今は京師(みやこ)に勝るとも劣るべからぬ繁昌の形状(ありさま)を、絵にうつしつつ其所以(ゆえ)を、知るも知らぬも大阪の名だたる際(かぎり)、忘れ草摘む墨吉(すみのえ)や、亀井みなぎる天王寺、春の朝(あした)の桜の宮、秋の夕べのめじるし山(天保山)まで、遺(のこ)るかたなき道標(みちしるべ)は、やみの夜の灯よりなお。あかつき(暁)の翁が筆ずさびを、つくし(筑紫)の終、吾嬬(あずま)の奥も、おしなべてこれに過ぎたる家づとあらじと、彼此(おちこち)人の観やはとどめぬ。
嘉永四年むつき
伊居太(いけだ) 山川正宣 識
たかき屋にのぼりて見ればの御製の有りがたきを今もなほ叡慮にもにぎはふ春の庭かまど はせを
浪華の賑ひ「初編・序」 (大阪市立図書館デジタルアーカイブ) |
浪華の賑ひ「初編・序」 (大阪市立図書館デジタルアーカイブ) |
初編の跋には、
此書は遠近の旅客、浪花遊覧の便宜を本とし、且つは故郷への家土産(いえづと)になし賜わん料にとて荒まし名所を著すものなり。
原来(もとより)其行方(ゆくて)の順路をつづりて一巻となしぬれど、行程許多(そこばく)なれば一日には歩行かたし。
されば高麗橋より始め天満・川崎および桜の宮・網島・御城の辺りに至れば一日の遊覧事たるべし。
而して又の日、玉造の辺りよりして真田山・味原池・産湯・梅やしき及び生玉・高津の辺りまでを一日として可なり。
尚(なほ)次の日の順路は第二編に詳らかに著すべし。
とあります。
編輯:鶏鳴舎暁晴翁
画図:松川半山
傭筆(筆耕):鎌田醉翁
書肆(出版者)
京都:吉野家仁兵衛
江戸:山城屋佐兵衛
大阪:河内屋喜兵衛
とあります。
浪華の賑ひ「跋(あとがき)」 (大阪市立図書館デジタルアーカイブ) |
暁鐘成(あかつき・かねなり)は、生年:寛政5年(1793)、没年:万延元年(1861)の江戸時代の読本作者。木村氏。弥四郎と称し、鶏鳴舎、暁晴翁などと号しています。大坂で醤油業を営む名家和泉屋の3代目茂兵衛の第4子。庶子として生まれ、分家である2代目和泉屋平八に預けられました。
土産物雅器店「鹿の家」やサロン的茶店「美可利家」などを営む一方、『以呂波草紙』(1823)、『女熊坂朧夜草紙』(1825)などの読本のほか、啓蒙書や雑書の類、名所図会、考証随筆など、多方面の著述をし、挿絵も描くなど、幕末の大坂出版界では最も人気のある戯作者でした。
暁鐘成は、幕末・大坂の観光ガイドマップ「浪華名所獨案内」も描いています。(同形式の地図で友鳴松旭図のものもあります)
浪華名所獨案内(大阪市立図書館デジタルアーカイブ) |
今回は、「浪華の賑ひ」の「初編・序」と「跋」をご紹介しました。次回からは「跋」にあるように一日目の行程から順にご紹介していきたいと考えています。
〇企画展「おかげさまで第6回 吉例 昭和レトロ家電 ―マスダコレクション展―」開催中
2019年4月20日(土)~5月26日(日)
大阪くらしの今昔館で好評を博してきました昭和レトロ家電の展覧会が、今年も開催となりました。
本展では、家電コレクターである増田健一氏が20年以上にわたって収集したコレクションの中から、魅力あふれるレトロ家電を選りすぐり、販売当時の懐かしいポスターやチラシ等と共に展示します。どうぞお楽しみに。
(松下)大阪万博記念トランジスタラジオ 「パナペット70」 昭和45年 |
(三洋)アート・ドア冷蔵庫「金馬車」 昭和44年 |
〇今週のイベント・ワークショップ
5月8日(水)~5月11日(土)、13日(月)、15日(水)~18日(土)
町家ツアー
住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。
当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
時 間:①11:30~、②14:30~
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
5月12日(日)、19日(日)
町家衆イベント 町家ツアー
江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00
5月11日(土)
町家衆イベント ワークショップ『組みひもストラップを作ろう』
①13時30分 ②14時30分
当日先着各回10名、参加費300円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆
5月12日(日)
町家衆イベント おじゃみ(有料)
古布を四角く切って縫い合わせて作るおじゃみ(お手玉)。
作り方をていねいにお教えします。
開催日:第2日曜
時 間:14:00-16:00
5月19日(日)
町家衆イベント 連鶴(有料)
折鶴がいくつもつながった連鶴。
一枚の紙から折るところに特色があります。
作り方を詳しくお教えします。
開催日:奇数月の第3日曜
時 間:13:30~初心者向け
14:30~中級者以上向け
町家衆イベント 今昔語り
大阪に残る昔ばなしを、町家の座敷でお聞かせします。
あたたかくなつかしい風情をお楽しみください。
開催日:お茶会と同日
時 間:14:30-15:00
町家衆イベント 町の解説
江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00-16:00
イベント 町家でお茶会
町家の座敷で「ほっと一息」一服いかがですか
先着順50名、茶菓代300円
※当日12時より受付にてお茶券を販売します
協力:大阪市役所茶道部
13時~15時
そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。
大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
≫ http://konjyakukan.com/index.html
「今週の今昔館」は第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
「今週の今昔館」第1回はこちらからご覧ください。
≫ http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html
「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。
≫http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。
≫http://www.sumai-machi-net.com/howtouse
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