2022年7月20日水曜日

今週の今昔館(328) 浪花風景十二月 文月 新清水寺之小瀑 20220720

〇今昔館の館蔵品紹介「浪花風景十二月 文月 新清水寺之小瀑」
 今回は、大坂の風景を12ヶ月の月別に描いた二代長谷川貞信(はせがわさだのぶ)による画帖「浪花風景十二月」から「文月 新清水寺之小瀑」をご紹介します。

 12ヶ月の月ごとの行事や風俗を主題として描く「月次絵」は、古くから屏風や襖絵、巻子などいろいろな形式で描かれてきました。
 今回紹介する画帖「浪花風景十二月」も、画帳の形式で1枚に1月づつ、江戸時代の大坂を象徴する景色や名所を季節感を織り交ぜながら描いています。
 二代長谷川貞信(にだいはせがわさだのぶ)の肉筆で、二代貞信は江戸時代から昭和初期の変化に富んだ時代の様子を書き残した浮世絵師として知られています。

 今昔館には同じく二代貞信が描き、本画帖と同じ寸法かつ類似の表装で仕立てられた「浪花風俗十二月」も所蔵されており、2つの画帖は「対」もしくは「シリーズ」として製作されたことがうかがえます。

 本作品が描かれたのは貞信の最晩年の昭和14年(1939)ですが、描かれている様子は江戸時代の風景のため、本作は実像を見ながら描いているのではなく回顧して描いている点に留意する必要があります。しかし江戸時代の後期の大坂に生まれ、古くからの行事や風景に親しんで育った二代貞信の描写は、大阪のかつての風景を探る上で一定の信頼性があると考えられます。

■浪花風景十二月 文月 新清水寺之小瀑
 大阪の清水寺は勝鬘院の南にあり、京都の清水寺から聖徳太子作と伝えられる十一面千手観音を移したことから、享保年間(1716~1736)に新清水寺と称するようになりました。清水寺の名のとおり、京都の音羽山清水寺で有名な舞台と滝を備えています。舞台からかつては南西方向の山海を見通すことができました。
 滝は「玉手の滝」と呼ばれる清水が3筋あります。参詣をする子連れの家族や床几に腰をかけて休憩する女性などが描かれ、町人が平素から利用していた寺であったことがうかがえます。着物を脇にかかえた軽装の男性2人連れが滝の方へ向かって歩いていますが、これから滝に当たるところでしょうか。
(大阪くらしの今昔館研究紀要17号掲載の、学芸員服部麻衣さんの論文『資料紹介 二代長谷川貞信 「浪花風景十二月」』より)


浪花風景十二月 文月 新清水寺之小瀑
(大阪くらしの今昔館蔵)



〇特別展「商都大坂の豪商・加島屋 あきない町家くらし」が始まりました

2022年7月15日(金)〜2022年9月26日(月)

江戸時代の大坂は、「天下の台所」とうたわれ、日本経済の中心地でした。この企画展では大坂を代表する豪商であった加島屋・廣岡家の商い・住まい・暮らしを紹介します。加島屋は米仲買や蔵屋敷の管理を行い、堂島米市場の中心的存在でした。同家の本宅は土佐堀川に面した玉水町(現・大阪市西区江戸堀一丁目)にあり、今回、あらたに発見された資料から、その店がまえや華やかな暮らしぶりが明らかになりました。加島屋をルーツとする大同生命保険株式会社では、創立120周年記念事業のひとつとして、加島屋本宅の復元模型を製作し、大阪くらしの今昔館はその監修をおこないました。この展覧会はその調査成果を展示したものです。
https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/exhibition_special/260000359



〇「明治後期~昭和初期にかけてのレトロな”パッケージデザイン”ミニ展示」を開催!(~7月末迄)
明治後期から大正、昭和初期にかけて、国内で販売されていた化粧品や石鹸類、お菓子などパッケージのミニ展示を開催します。これらパッケージデザインは、アール・ヌーヴォーやアール・デコなど、当時の西洋様式の影響を受けたものが多く、舶来品の模倣に近いものや、西洋様式をベースにうまく日本風にアレンジした和洋折衷の優美な意匠が多く残されています。この期間限りの展示ですので、この機会にどうぞご覧ください。
●とき:令和4年6月15日(水)~7月末迄 10時~17時(入館は16時30分まで)
●ところ:8階常設展示室内
●展示:佐野宏明氏所蔵品展示
https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/topic/260000416


〇天井改修工事の実施に伴う一部展示室等の閉鎖のお知らせ

 大阪くらしの今昔館から重要なお知らせです。
 天井改修工事の実施に伴い、令和4年秋頃(予定)までの約1年間、9階常設展示室および10階展望フロアが閉鎖されますので、ご注意ください。


・9階、10階の閉鎖期間中は8階企画展示室に町家座敷を実物大で再現し展示します。
・8階の吹抜け部分に大型映像コーナーを新設し、江戸時代の大坂の町なみと天保年間の人々の暮らしを描いた動画をご覧いただけます。


・天井改修工事期間中の入館料
8階常設展と企画展をご覧いただけます。
 一般   400円  団体(20名以上)300円
 高・大生 300円  団体(20名以上)200円 *要学生証提示

【年間パスポート】
現在年間パスポートは販売を休止しております。

【年間パスポートをお持ちの方へ】
天井改修工事期間を含む年間パスポートをお持ちの方は有効期限を延長いたします。インフォメーションにて手続きをいたしますので、次回ご来館の際にご提示ください。



 今昔館の近代のフロアをご紹介する動画が2編公開されています。動画を見てから見学すると、見どころがよくわかると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=SbqzmybwKss&feature=youtu.be


https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4



〇住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」とは?

 住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」は2001年4月26日に開館しました。昨年、開館20周年を迎えました。
 前館長の谷直樹先生と新館長の増井正哉先生がこれまでの道のりを振り返り、これからの課題について語り合う動画が公開されています。
 こちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=kFW0qbelLNo

 ここは「住まいの歴史と文化」をテーマにした、日本で初めての專門ミュージアムです。
 住まい情報センターのビルの9階「なにわ町家の歳時記」は、江戸時代のフロア。天保初年(1830年代前半)の大坂の町並みを実物大で復元しています。
 8階「モダン大阪パノラマ遊覧」は、明治・大正・昭和のフロアで近代大阪の住まいと暮らしを模型や資料で展示。
 さらに企画展示室では特別展や企画展を開催しています。


〇大阪くらしの今昔館の紹介動画
 今昔館の江戸時代のフロアをご紹介する動画(全4編)の目次はこちらからどうぞ。
 こちらから、見たい部分だけを見ることができます。英語の字幕入りの動画を見ることもできます。
http://konjyakukan.com/link_pdf/what's%20this%20.pdf



 このほかに「天神祭となにわの町」をご紹介する動画があります。
https://www.youtube.com/watch?v=3or8fq4U8zE&feature=youtu.be




〇落語家 桂米團治と歩く江戸時代の大坂
 大阪くらしの今昔館の9階常設展示室にある江戸時代(天保年間)の大坂の町並みをご紹介する新しい動画ができました。案内人は上方の落語家、桂米團治師匠です。
〈①表通り編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=n1moBJy5uB4
〈②町家の暮らし編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=dDb2VBmyKnw



〇【動画】重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界
 重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵(さあん)」の実物大構造模型(竹中大工道具館所蔵)を京都工芸繊維大学名誉教授 日向進先生が分かりやすく解説してくださいます。
 こちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=tqJEnPZckbc&feature=youtu.be



〇「今昔館のオンライン まなびプログラム」が公開されています
 大阪のまちと住まいや くらしのことを おうちで学んでみませんか?
 こちらからどうぞ。
 ⇒https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/manabi_program/今昔館のオンラインまなびプログラム




 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html



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