2019年2月5日火曜日

今週の今昔館(149) 覚満寺の夕景 20190205

〇浪花百景に見る江戸時代の大坂(54)

 今回は、「覚満寺之夕景」をご紹介します。

■覚満寺之夕景(芳雪画)
 鶴満寺は、慈覚大師円仁作と伝えられる木造阿弥陀如来立像(大阪府指定文化財)を本尊とする天台真盛宗の寺院。寺伝によると、もと河内国にあった同寺が荒廃していたのを、猟師瓦林鶴林が長年の殺生を悔いて南方村に再興、その後また荒廃していたのを18世紀半ば大坂の豪商上田氏の発願によって当地に移し、忍鎧上人を中興として招いたとされます。この時、本堂・客殿・観音堂など七堂伽藍を整え、同時に境内に多くの枝垂れ桜を植え育てました。春には桜ノ宮と並ぶ花の名所として評判となり、境内には床几を出し、茶屋も設けられ、文人墨客の訪れる所となりました。
 今日、本堂向かって右側に建つ三層八角塔形の楼閣造りのお堂は、子安聖観音を祀る観音堂で、両脇壇には西国・秩父・坂東のいわゆる観音霊場百カ所巡りの本尊模刻百体が安置され、地下には戒壇巡りも設けられています。

浪花百景「覚満寺之夕景(芳雪画)」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)

 江戸時代天保年間発行の「浪華名所獨案内」を見ると、地図の範囲は「櫻ノ宮」「源八ワタシ」あたりまでで、さらに北に位置する「覚満寺」は含まれていません。この地図は、東が上に書かれており、北を上にしましたので文字は右を向いています。

浪華名所獨案内(「津の清」蔵)

 また、天保8年(1837)発行の天保新改攝州大坂全圖を見ても、中野村、源八渡あたりまでで、覚満寺は地図の範囲に入っていません。

天保新改攝州大坂全圖(国際日本文化研究センター蔵)

 そこで、文化3年(1806)発行の「増修改正摂州大阪地図」を見てみましょう。「国分寺村」の北に「国分寺」があり、その北には「南長柄村」があります。その東側、黒い線で描かれた堤防の傍に、「正徳寺」「鶴満寺」「八幡」が並んで建っています。

増修改正摂州大阪地図(ラムゼイコレクションより)

 大正13年発行の大阪市パノラマ地図を見ると、市電が通る都島通りの「國分寺」までが地図の範囲で、当時大阪市域に含まれていなかった長柄周辺は描かれていません。なお、市電の長柄国分寺停留所の西にある「市民館」の跡地に、現在の住まい情報センター、大阪くらしの今昔館が建っています。

大阪市パノラマ地図(大阪くらしの今昔館蔵)

 昭和12年発行の大大阪観光地図を見ると、天神橋筋六丁目に「新京阪電車」「京阪デパート」の挿絵が描かれ、その右手の市電「淀川」停留所の北側に「隺満寺」の文字が見えます。「鳥」が省略されていますが、「鶴満寺」が描かれています。周辺には「王子製紙」ほか、いくつかの工場の記号が目に付きます。京阪デパートの北には、「関大専門部」「葬儀場」「長柄墓地」があります。関大と墓地の間の道は高槻・亀岡方面に通じる高槻街道です。

大大阪観光地図(国際日本文化研究センター蔵)

 地形図でも確認してみましょう。まずは、明治18年の陸地測量部地図です。1枚目は天満から長柄、毛馬、柴島にかけての広域。天満の市街地から天神橋筋商店街が北へ伸びている様子が分かります。


明治18年陸地測量部地図(国際日本文化研究センター蔵)

 2枚目は、長柄付近の拡大図です。地図の左下に天神橋筋商店街があり、その北端部から北北東方向に高槻街道がつながっています。街道の右手(東側)に國分寺村と南長柄村があります。國分寺村の「國」の字の左手に寺の記号が見えるのが鶴満寺です。

明治18年陸地測量部地図(国際日本文化研究センター蔵)

 今昔マップ3を利用して、その後の長柄周辺地域の変遷を見てみます。
 左上の明治41年では、天神橋筋商店街がさらに北へ伸び、高槻街道沿いにも家屋が並んでいます。街道の右手に見える寺の記号が鶴満寺です。
 右上の昭和4年では、新京阪の「てんじんばし」駅が描かれ、そこから右に進むと、郵便局、寺、神社の記号があり、その先にも寺の記号が見えます。左から順に、長柄国分寺、八幡神社、正徳寺、鶴満寺となります。関西大学、製紙工場の文字も見えます。

明治41年から最近の地形図
(今昔マップ3より)

 左下の昭和22年を見ると、「てんじんばし」駅の右手の白い部分は戦災によって焼失した地域です。お寺、神社の記号は同じ位置に残っています。
 右下は最近の国土地理院地図です。「天神橋筋六丁目駅」が2つ並んでいますが、上が谷町線、下が堺筋線および阪急線の駅を示しています。上の方の「駅」の文字の右手にお寺の記号が2つ見えますが、上が鶴満寺、下が正徳寺を示しています。鶴満寺の東から北にかけては、淀川リバーサイド地区再開発によって住宅団地となり、お寺の西側に都市計画道路新庄長柄線が通っています。


 現在の鶴満寺付近を写真で見てみましょう。最初の写真は都市計画道路新庄長柄線の西側から鶴満寺の全景を見たものです。右手から観音堂、本堂、3階建てのビルは特別養護老人ホーム聚楽院です。背景には、淀川リバーサイド地区の住宅群が写っています。

鶴満寺全景
鶴満寺山門
本堂(左)と観音堂(右)
子安聖観音を祀る観音堂
鶴満寺聚楽院(特別養護老人ホーム)
鶴満寺保育所(道路の西向かい)

 今回は、「浪花百景」の「覚満寺之夕景」をご紹介し、周辺地域の変遷を見てきました。今昔館8階展示室の床面には大きく拡大した「大阪市パノラマ地図」がありますので、国分寺の位置を確かめてください。

 錦絵の解説は、関西学院大学博物館「浪花百景ー大坂名所案内ー」、大阪城天守閣「特別展浪花百景ーいま・むかしー」を参考にさせていただきました。


〇企画展「見て、さわって、調べよう。昔のくらし」開催中。
 2月22日(金)まで。毎週火曜日は休館日です。


 現代の家庭では掃除機や炊飯器を使ったり、スイッチひとつで洗たくをすることは一般的になりました。しかし、少し昔にさかのぼってみると、かまどでご飯を炊いたり、タライで洗たくをしたり、ハタキや雑巾がけなど、手間と時間と使って暮らしていました。その中には暮らしの知恵がいくつもありました。

 電気やガスを使うようになり、便利で豊かな生活を送るために多様な道具が次々と作られました。道具の変化は暮らしぶりの変化でもあり、昔の道具を見ることで当時の様子を想像することができます。

 今回の展覧会では昔のくらしを学ぶ児童の学習を想定し、生活道具の種類ごとの変化や、節供の人形や掛軸など季節の行事に関連するものを展示します。
 道具の体験コーナーでは、昨年よりも触れる道具を増やしました。道具の手触りや重さも体感してください。





新板勝手道具之図 重宣画
絞り器付き電気洗濯機
商業中心地区(船場)
「大阪市大観(大正14年)」より


〇今週のイベント・ワークショップ

2月6日(水)~9日(土)、13日(水)~16日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。
当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
時 間:①11:30~、②14:30~
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)

2月10日(日)、11日(祝)、17日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00


2月9日(土)
ワークショップ 『版木はがき』

13時30分~15時
参加費:200円

2月10日(日)
町家衆イベント おじゃみ(有料)

古布を四角く切って縫い合わせて作るおじゃみ(お手玉)。
作り方をていねいにお教えします。
開催日:第2日曜
時 間:14:00-16:00

2月11日(月・祝)
イベント 町家寄席-講談

江戸時代にタイムスリップ!大坂の町家で、講談をきいてみませんか
出 演:旭堂南左衛門、他
時 間:14時~15時

2月16日(土)
ワークショップ 『上方舞体験会』

14時~15時
参加費:2000円
本格的な上方舞の体験会です。
申込方法
・インターネット
「住まい・まちづくり・ネット」よりお申込ください

・はがき又はFAXに以下の必要事項をご記入の上、大阪くらしの今昔館までお申込みください
郵便番号、住所、氏名(ふりがな)、電話番号、年齢
申込期間:1/6~2/6
※いただいた個人情報は目的以外に使用いたしません。

町家衆イベント 折り紙(有料)
季節に合わせてさまざまな折り紙をお教えします。
作品は持ち帰っていただきます。
開催日:偶数月の第3土曜
時 間:13:30-15:00


2月17日(日)
町家衆イベント 今昔語り

大阪に残る昔ばなしを、町家の座敷でお聞かせします。
あたたかくなつかしい風情をお楽しみください。
開催日:お茶会と同日
時 間:14:30-15:00


町家衆イベント 町の解説
江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00-16:00


イベント 町家でお茶会
町家の座敷でお抹茶とお菓子をお召し上がり頂けます。
協力:大阪市役所茶道部
先着順50名、茶菓代300円
※当日12時より受付でお茶券を販売します
13時~15時


そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。




 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
http://konjyakukan.com/index.html


 「今週の今昔館」は第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪のまちづくり」に掲載しています。  「今週の今昔館」第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html


 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。

「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。
http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。
http://www.sumai-machi-net.com/howtouse



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