2022年11月9日水曜日

今週の今昔館(344)江戸時代のフロアの見どころ(2) 20221109

〇江戸時代のフロアの見どころ(2)

 10月29日から全面開館している「大阪市立住まいのミュージアム(愛称:大阪くらしの今昔館、以下「今昔館」という)」の江戸時代のフロアの見どころ紹介の第二回目、今回は、大坂町三丁目の木戸門を入るとまっすぐに通っている町の表通り(町通り)をご紹介します。ブラタモリの大阪編でも紹介されていたように大阪の船場・上町では東西の通りを挟んで両側で一つの町を形成しています。これを「両側町」と呼びます。

大坂町三丁目の町通り

 木戸門を入って右手(南側)には、手前から、風呂屋、人形屋、本屋、町会所、薬屋が並びます。町会所と薬屋の間には路地(ろうじ)があり、路地の奥には祠と裏長屋があります。一方、左手(北側)には、手前から、建具屋、小間物屋、唐物屋、呉服屋が並び、一番奥には、店を閉めた「仕舞屋(しもたや)」があります。左手の建物は展示場の敷地の広さの関係で、店の間だけが再現されていますが、実際には右側の町家や長屋と同様に、通り庭の奥にも部屋があります。

大坂町三丁目マップ

 大坂町三丁目の町空間は2ブロックの両側町として想定されています。町の中を道幅四間の東西の通りと道幅三間の南北の筋が走っており、町の中央で十文字に交差しています。1つのブロックは東西方向の間口の総延長が約40間、南北方向は通りの片側の奥行きがそれぞれ約20間ずつになっています。これが2ブロック続きますから、町全体では東西約83間、南北約44間、3600坪程度の面積になります。展示場は350坪程度の面積しかないので、大坂町三丁目の一部、西側の木戸門から東側におよそ17間、北側の町並みは奥行き一間半分、南側は奥行き約10間分を切り取った形で再現されています。

大坂町三丁目全体と展示場での再現部分

 同じような町が東西南北の方向に連なっていきますから、町境ができます。町の南と北には、背割り下水(太閤下水)とよばれる幅5尺程度の溝があり、町境となっています。東西の通りと南北の筋の端には木戸門が建てられて町境となっています。大坂城に近い東側から西に向かって、一丁目、二丁目、三丁目・・・となります。

船場・上町の両側町の構成

 一般には表通りに面しては町家(一戸建て住宅)、裏の路地に面しては長屋(裏長屋とよばれる)が建っているように思われていますが、江戸時代当時の大坂では8割以上が借家であったとされます。このことから、裏長屋だけでなく、表通りに面した長屋建ての借家、表長屋が相当の比率を占めていたことが想定されます。大坂町三丁目では、「人形屋と本屋」、「建具屋と小間物屋」は、それぞれ長屋建ての表借家となっています。

 次回からは、店ごとに見どころをご紹介していくこととします。



〇10月29日から全面開館しています

 天井改修工事にともない閉鎖していた9階常設展室及び10階展望フロアが令和4年10月29日(土)から再開されています。

●入場料変更のお知らせ

令和4年10月29日(土)から通常料金になります

【一 般】600円(団体500円)
【高校生・大学生】300円(団体200円)

(注)団体は20名以上
(注)高校生・大学生は学生証原本要提示
(注)中学生以下、障がい者手帳等持参者(介護者1名を含む)、大阪市内の在住の65歳以上の方は無料(証明書原本(運転免許証、健康保険証、敬老優待乗車証、障がい者手帳等、またはミライロID)要提示)


〇企画展「なにわを語る 明治・大正・昭和の絵葉書」開催中です

 2022年10月29日(土)〜2022年12月18日(日)

 日本の郵便制度は明治4年(1871)に始まり、明治6年(1873)には国内初となる官製葉書が発行されました。その後、明治33年(1900)に私製絵葉書の使用が認められると、風景や美人を題材にした絵葉書が人気を博し、各地で絵葉書専門店が登場するなど、人々の間に新たな大衆文化の1つとして浸透してゆきました。

 国内における絵葉書文化が花開くのと時を同じくして、大阪では明治36年(1903)の第五回内国勧業博覧会をはじめ、都市の近代化や大大阪時代の到来を象徴する絵葉書が次々に発行されたほか、作家たちによる「なにわ」の風俗を扱った芸術性の高い絵葉書なども登場し、大流行しました。

 本展では明治から大正、昭和にかけて発行された大阪ゆかりの絵葉書にスポットをあて、時代とともに移り変わる街の風景や建築、人々の暮らしや文化の醸成、趣味人たちの交流などを幅広く紹介します。絵葉書ならではの多様なジャンル、ユニークなデザイン、巧みな技法によって表現された魅力あふれる大阪の姿をお楽しみください。

 なお、本展は今年で創立20周年を迎える日本絵葉書会との共同開催展です。





〇住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」とは?

 「住まいの歴史と文化」をテーマにした、日本で初めての專門ミュージアムである「大阪くらしの今昔館」は、2001年4月26日に開館しました。昨年、開館20周年を迎えました。
 住まい情報センターのビルの9階「なにわ町家の歳時記」は、江戸時代のフロア。天保初年(1830年代前半)の大坂の町並みを実物大で復元しています。
 8階「モダン大阪パノラマ遊覧」は、明治・大正・昭和のフロアで近代大阪の住まいと暮らしを模型や資料で展示。
 さらに企画展示室では特別展や企画展を開催しています。

 前館長の谷直樹先生と新館長の増井正哉先生がこれまでの道のりを振り返り、これからの課題について語り合う動画が公開されています。
 こちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=kFW0qbelLNo



〇大阪くらしの今昔館の紹介動画
 今昔館の江戸時代のフロアをご紹介する動画(全4編)の目次はこちらからどうぞ。
 こちらから、見たい部分だけを見ることができます。英語の字幕入りの動画を見ることもできます。
http://konjyakukan.com/link_pdf/what's%20this%20.pdf



 このほかに「天神祭となにわの町」をご紹介する動画があります。
https://www.youtube.com/watch?v=3or8fq4U8zE&feature=youtu.be



 今昔館の近代のフロアをご紹介する動画が2編公開されています。動画を見てから見学すると、見どころがよくわかると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=SbqzmybwKss&feature=youtu.be


https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4



〇落語家 桂米團治と歩く江戸時代の大坂
 大阪くらしの今昔館の9階常設展示室にある江戸時代(天保年間)の大坂の町並みをご紹介する新しい動画ができました。案内人は上方の落語家、桂米團治師匠です。
〈①表通り編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=n1moBJy5uB4
〈②町家の暮らし編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=dDb2VBmyKnw



〇【動画】重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界
 重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵(さあん)」の実物大構造模型(竹中大工道具館所蔵)を京都工芸繊維大学名誉教授 日向進先生が分かりやすく解説してくださいます。
 こちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=tqJEnPZckbc&feature=youtu.be



〇「今昔館のオンライン まなびプログラム」が公開されています
 大阪のまちと住まいや くらしのことを おうちで学んでみませんか?
 こちらからどうぞ。
 ⇒https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/manabi_program/今昔館のオンラインまなびプログラム




 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html



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