今回は、「佐太村天満宮」をご紹介します。守口市の淀川沿いにあります。
■佐太村天満宮(芳雪画)
佐太村天満宮は現在の守口市の北部寝屋川市との境界付近にあり、当時往来の頻繁な京街道の通る淀川左岸に近接して建ち、三十石船や過書船、堤上の街道を行く人からも岸の間近に鳥居が望めました。
佐太村を領地とした菅原道真が太宰府配流の時に立ち寄ったとされる故地で、天暦年間(947~957)、菅公を慕った里人たちが祠を建てたのが創始と伝わります。江戸初期に復興され、山城淀城主であった永井尚政をはじめ大名の崇敬あつく、街道や川からの参拝に都合がよく、往来の人々の参詣が絶えませんでした。
現在は護岸によって遮られていますが、淀川を行く船人も手を休めて遠くに鳥居を望み柏手を打ったといわれます。
浪花百景「佐太村天満宮(芳雪画)」 (大阪市立図書館デジタルアーカイブ) |
まず、地形図で佐太村天満宮周辺の様子をみてみましょう。明治41年陸地測量部地図を見ると、淀川の左岸(南岸)を京街道が通り、図の中央辺りで街道から東へ延びる参道があり、その先に「佐太天神社」があります。南隣に「来迎寺」の文字も見えます。「大庭一番」「大庭二番」「仁和寺」「金田」などの集落以外は水田が拡がっています。
明治42年陸地測量部地図 (今昔マップ3より) |
国土地理院地図に「明治時代の低湿地」という図があり、明治20年ころの河川や池、水田などの様子がわかります。このあたりは淀川の川筋はほとんど変わっていません。図の中央「+印」が佐太天満宮の位置です。鳥飼大橋と仁和寺大橋のほぼ中間にあって、国道1号線沿いではありますが、鉄道からは離れていて、現在では便利とは言えない場所にあります。しかし、江戸時代、鉄道のなかった時代には、淀川の水運と、京街道沿いという恵まれた立地にありました。
国土地理院地図(明治時代の低湿地) |
今昔マップ3を利用して、明治41年以降の佐太村天満宮周辺の変遷を見てみます。
左上の明治41年、右上の昭和4年では、いくつかの集落以外はほとんどが水田でした。昭和4年には何本かの道路が整備されています。ほかには送電線が何本か通っているのが目に付く程度です。
明治41年から最近の地形図 (今昔マップ3より) |
左下の昭和42年を見ると、鳥飼大橋が架橋され、佐田村の南に国道1号線が整備されています。集落以外にも市街地が拡がってきています。
右下は最新の地理院地図ですが、淀川左岸の堤防に沿って国道のバイパスが通り、阪神高速道路守口線とつながっています。仁和寺大橋も架けられています。ほぼ全域が市街地となっています。
江戸時代天保年間発行の「浪華名所獨案内」、文化3年(1806)発行の「増修改正摂州大阪地図」、天保8年(1837)発行の「天保新改攝州大坂全圖」、大正13年(1924)発行の「大阪市パノラマ地図」、昭和12年(1937)発行の「大大阪観光地図」では、佐太村天満宮付近は地図の範囲に入っていません。
現在の佐太村天満宮付近の状況を写真で見てみましょう。淀川の堤防から天満宮への参道は国道によって分断されています。国道脇から拝殿に向かって真っすぐに参道があります。境内には、天満宮の本殿・拝殿のほか、戎神社、稲荷社、愛宕社などの境内者、史跡などが多くあります。
佐太天満宮への参道と二の鳥居 |
拝殿 |
本殿(一間社春日造) |
佐太戎神社 |
筆塚 |
蕪村の句碑 「窓の灯の 佐太は未だ寝ぬ 時雨かな 蕪村」 |
偲び草 「この碑文は蕪村が丹波から故郷毛馬に帰る途次時雨降る淀川の夜舟から見た佐太村の情景で自然を静観し人間的な暖かさを謳う俳聖蕪村翁の文人画家としての面目躍如たるものがある。われら有志は由緒深きここに碑を建て衆とともに永く翁を偲ぶ機縁としたい。」 |
国道脇の天満宮参道への入口 |
佐太天満宮 一丁半 |
後ろを振り返ると鳥居の向こうに淀川の堤防 |
石井筒 |
豪商淀屋寄進の石井筒 |
大阪みどりの百選のひとつ |
佐太天満宮南側の神門 |
佐太天満宮の神門を出ると、右手に来迎寺があります。もとは大念仏宗佐太派の総本山で、本堂は鉄筋コンクリート造に建て替えられていますが、客殿、庫裏などに往時の景観が残っています。
神門を出ると右手に来迎寺 |
来迎寺表門 |
来迎寺の庫裏と客殿 |
来迎寺の松 |
来迎寺と佐太天満宮神門 |
来迎寺(左)と佐太天満宮神門(奥) |
今回は、「浪花百景」の「佐太村天満宮(芳雪画)」をご紹介し、周辺地域の変遷を見てきました。今昔館8階展示室の床面には大きく拡大した「大阪市パノラマ地図」がありますので、大大阪時代に入る頃の大阪の姿をご覧ください。
錦絵の解説は、関西学院大学博物館「浪花百景ー大坂名所案内ー」、大阪城天守閣「特別展浪花百景ーいま・むかしー」を参考にさせていただきました。
〇企画展「おかげさまで第6回 吉例 昭和レトロ家電 ―マスダコレクション展―」が始まっています
2019年4月20日(土)~5月26日(日)
大阪くらしの今昔館で好評を博してきました昭和レトロ家電の展覧会が、今年も開催となりました。
本展では、家電コレクターである増田健一氏が20年以上にわたって収集したコレクションの中から、魅力あふれるレトロ家電を選りすぐり、販売当時の懐かしいポスターやチラシ等と共に展示します。どうぞお楽しみに。
(松下)大阪万博記念トランジスタラジオ 「パナペット70」 昭和45年 |
(三洋)アート・ドア冷蔵庫「金馬車」 昭和44年 |
〇4月13日(土)からは、9階江戸時代のフロアの常設展示は「夏祭りの飾り」の展示となりました。
展示替えによって、
幔幕(まんまく)と高張り提灯
造り物
お迎え人形
天神丸
などが加わりました。
光と音の演出にも、祭囃子や花火が入り、にぎやかさが演出されます。
〇今週のイベント・ワークショップ
4月24日(水)~27日(土)
町家ツアー
住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。
当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
時 間:①11:30~、②14:30~
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
4月28日(日)~5月6日(月・祝)
町家衆イベント 町家ツアー
江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00
4月27日(土)
イベント 座敷舞
山村流の立ち方が華やかな舞を披露します
出演:山村若女 御一門
14時~15時
町家衆イベント ワークショップ『綿くり体験』
13時30分~15時
定員なし、参加費無料
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆
4月28日(日)
町家衆イベント 絵本で楽しい時間
むかし話などの絵本を表情豊かに読み聞かせます。
じっくりとお聞きください。
開催日: 第4日曜
時 間:14:30-15:00
4月29日(月・祝)
イベント ヘルマンハープ コンサート
バリアフリー楽器ヘルマンハープと共に・・・
14時~15時
出演:シュトラーセ
5月2日(木・休)
イベント 和楽器の調べ
和楽器の響きをお楽しみください
14時~15時
出演:菊聖公一、他
5月3日(金・祝)
イベント 町家寄席-講談
江戸時代にタイムスリップ!
大坂の町家で、講談をきいてみませんか
出演:旭堂南左衛門、他
14時~15時
5月4日(土・祝)
イベント 町家寄席-落語“らくてん会”
大坂の町家で開催される、アマチュア落語の会です
14時~15時30分頃
出演:らくてん会
5月5日(日・祝)
イベント 町家寄席-落語
江戸時代にタイムスリップ!
大坂の町家で、落語をきいてみませんか
出演:笑福亭学光
14時~15時
町家衆イベント ワークショップ『兜を作ろう』
①13時30分 ②14時30分
当日先着各回10名(中学生以下対象)、参加費100円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆
町家衆イベント 町の解説
江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00-16:00
そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。
大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
≫ http://konjyakukan.com/index.html
「今週の今昔館」は第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
「今週の今昔館」第1回はこちらからご覧ください。
≫ http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html
「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
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