2017年8月29日火曜日

今週の今昔館(74) 古市中団地 20170829

〇今昔館の近代展示室を愉しむ(8) 古市中団地 -計画的団地の開発-

 今回は、「住まいの大阪六景」のひとつ、「古市中団地 -計画的団地の開発-」の模型をご紹介します。
古市中団地(住まいの大阪六景)

 戦災復興とこれに続く高度経済成長に伴う都市への人口集中に対応するため、数多くの公共住宅団地が建設されました。
 なかでも、昭和28年(1953)度から城東区古市の一角にある軍用地跡で建設が始まった市営古市中団地は、戦後の計画的団地開発のモデルとして全国的に大きな反響を呼びました。住戸・住棟計画・配置計画のみならず外構や色彩にも新しい試みが行われ、さらに学校や道路・公園なども含めた街全体を計画の対象とした計画の総合性が注目されました。


 設計者の久米権九郎氏がドイツ留学のおり、各地で街の美しさに大いに感銘を受け、古市中団地の設計にあたって変化に富んだ美しい街をつくることに主眼をおいたといわれます。土地区画整理事業に基づく格子道路や都市計画公園に大胆な変更を加え、通過交通の無い有機的な曲線を用いた道路パターンと街区構成が採用されました。住棟の階数は2階から5階まで変化を持たせ、アクセスも北入りと南入りを組み合わせています。給水塔も団地のシンボルとして造形上の配慮を行い、ジャングルジムなどの子どもの遊具にも意匠を凝らしています。立面図のパネルには給水塔も描かれています。水洗トイレやバルコニーなど近代的設備を備えた各住戸では新しいライフスタイルの暮らしが始まり、周囲からはあこがれの住宅として見られたといわれています。

 近代都市住宅年表の下の段には各時代の代表的な住宅の立面図が同じスケールで描かれています。古市中団地もあります。
 3階建ての住棟のバックには、年表に食い込むように給水塔も描かれています。給水塔のスケール感がよくわかります。


 給水塔の後ろに描かれている建物は、日本住宅公団の西長堀アパートです。
 西長堀アパートは、初期の公団住宅で特に注目されるもので、東京の晴海アパートと対をなす都心部高層住宅の試みの一つです。昭和33年に完成した地上11階地下1階、単身者向け住宅50戸を含む263戸の店舗併存住宅で、約300坪の貸店舗と約150坪の貸倉庫が1階および地階に配置されていました。その巨大な姿から「マンモスアパート」の愛称で呼ばれていました。入居者には郊外団地とは異なる都市型の生活様式の持ち主が多かったと考えられ、作家の司馬遼太郎さんやデザイナーの鴨居羊子さん、森光子さんや野村克也さんなどの著名人も暮らしておられました。2016年2月に、建物のリフレッシュ工事とともに新しい企画の住戸プランも登場し、58年目の再デビューをしています。


古市中団地(背景に給水塔と西長堀アパート)

 次の写真は、1948年(昭和23年)に米軍によって撮影された航空写真です。中央の城北川の東にあるドーム状の建物は1937年(昭和12年)3月に完成した大阪大国技館(大阪関目国技館)で、当時の両国国技館よりも大きい施設でした。しかし、オープン間もない1941年(昭和16年)には戦局の悪化から相撲興行が中断。結果的に4年で7回の準本場所を開催しただけで、戦時中は建物は倉庫に転用されました。戦後米軍に接収された後、その跡地は日本住宅公団(現UR都市機構)の住宅になっています。その東側の一帯が古市中団地の敷地で、軍用地の跡となっています。格子状に区画整理された道路となっていたことがわかります。
米軍撮影の航空写真(昭和23年・国土地理院)
 最後に、古市周辺の市街地の変遷を今昔マップ3で見てみましょう。左上は明治41年。一面が農地になっていて、水路が描かれています。右上は昭和22年。城北運河(城北川)が建設され、川沿いには丸い建物が描かれ、「旧国技館」の文字があります。左下は平成7年。古市二丁目の文字のところが古市中団地で、そのほか、UR都市機構の団地や、城北川沿いの工場跡に建設されたマンション群も描かれています。右下は、最近の航空写真で、建て替え後の古市中団地が写っています。
明治41年・昭和22年・平成7年の地形図、最近の航空写真の古市付近(今昔マップ3)


 今回は、「住まいの大阪六景」のひとつ、「古市中団地 -計画的団地の開発-」の模型をご紹介しました。解説は、「まちに住まう-大阪都市住宅史」を参考にしました。


〇企画展示「夏休みだよ!家電採集 昭和レトロ家電 ―マスダコレクション展―」~残りわずかとなりました~

 平成29年7月29日(土)~8月31日(木)
 開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)

 大阪くらしの今昔館ではおなじみとなった昭和レトロ家電の展覧会が、今年は夏の開催となりました。本展では、増田健一氏が20年以上にわたり収集してきた昭和レトロ家電コレクションから、昭和30年代の懐かしい家電やアイデアあふれる珍しい家電をよりすぐり、約150点を公開します。また今回は家電のほかに、ハミガキ、洗剤など当時の生活雑貨やそのポスター等も展示します。夏の一日、昭和レトロ家電の世界をどうぞお楽しみください。
詳しくはこちらからどうぞ。
http://konjyakukan.com/kikakutenji.html



〇今週のイベント・ワークショップ

※9月4日(月)~8日(金)は、展示替えのため休館です。


8月30日(水)~9月2日(土)、9日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
時 間:11:30、14:30

9月3日(日)、10日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00

9月3日(土)
町家衆イベント 町の解説

江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00~16:00

9月9日(土)
ワークショップ 『張り子のお面を作ろう』

①13時30分 ②14時30分
当日先着各回10名、参加費300円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆

9月10日(日)
町家衆イベント おじゃみ(有料)

古布を四角く切って縫い合わせて作るおじゃみ(お手玉)。
作り方をていねいにお教えします。
開催日:第2日曜
時 間:14:00~16:00

イベント 第12回子ども落語大会
開催日時 平成29年9月10日(日) 午後12時~17時(予定)
開催場所 : 大阪くらしの今昔館 9階常設展示場 薬屋座敷


そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。


大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/howtouse



2017年8月22日火曜日

今週の今昔館(73)城北バス住宅 20170822

〇今昔館の近代展示室を愉しむ(7) 城北バス住宅-転用住宅と戦災復興- 

 今回は、「住まいの大阪六景」のひとつ、「城北バス住宅-転用住宅と戦災復興-」の模型をご紹介します。

城北バス住宅-転用住宅と戦災復興-(住まいの大阪六景)

 終戦後、迫り来る冬を前にして、住む家が無い戦災者や引揚者への緊急措置として、仮設住宅が建設されるとともに、旧兵舎や寮・学校、バスなども一時しのぎの住宅に転用されました。バス住宅は、木炭バスの廃車体を焼け跡や空き地に置き並べたもので、狭くて劣悪な点では壕舎住宅やバラックと同様でしたが、バス住宅などの転用住宅は大阪市の経営する市営住宅の一つであり、自然発生的に個人が応急的に作ったバラック類とは、性格を異にするものでした。住まいの大阪六景のひとつとして展示されている「城北バス住宅-転用住宅と戦災復興-」は、史実に基づいて制作された模型です。

城北バス住宅平面図・配置図(まちに住まうー大阪都市住宅史)

 くらしの道具の変遷の展示のバックの壁面には「近代都市住宅年表」があります。明治以降から現代までの大阪の住まいと暮らしの歴史を、「都市住宅の変容」を軸に、市街地や郊外居住の変化などの流れも含めて年表にまとめたものです。
 この年表の下の段には各時代の代表的な住宅の立面図が同じスケールで描かれています。「城北バス住宅」もあります。


城北バス住宅(近代都市住宅年表)

 終戦後、昭和23年に米軍によって撮影された写真です。時計の文字盤のようにバスが並べられている様子が写っています。共同の炊事場・便所の小屋もよくわかります。

昭和23年米軍撮影の航空写真(国土地理院)

 なぜこの場所に応急仮設のバス住宅が建設されたのでしょうか?ヒントはもう一枚の地図です。国土地理院地図に「明治時代の低湿地」と呼ばれる地図があり、明治20年頃の水路や湿地の様子がわかります。

 水色の部分が明治40年の淀川大改修以前の淀川の流れです。バス住宅の位置は以前は川の中にあったことがわかります(地図中の+印)。当時の住所は「旭区豊里町」となっていますが、豊里町は淀川北岸の現在の東淀川区にある地名です。淀川大改修によって、新しい川の南岸に飛び地として残され、旭区に編入されましたが、地名は以前の地名が残されたことがわかります。また、現在埋め立てられて阪神高速道路が通っている江野川は排水のために水路として残されたものです。現在の城北公園内にある池や菖蒲園も、旧淀川の川筋であったことが確認できます。
 さらに、今昔マップ3を使って、明治41年の地形図を見ると、旭区と守口市の境界も旧淀川の川筋によって決まっていることもわかります。昭和22年の地形図を見ると、バス住宅の建っている位置は、当時空地であったこともわかります。
水色が改修前の淀川(地理院地図・明治時代の低湿地)
明治41年・昭和22年・平成7年の地形図、最近の航空写真の城北付近(今昔マップ3)

 今回は、「住まいの大阪六景」のひとつ、「城北バス住宅 -転用住宅と戦災復興-」の模型をご紹介しました。


〇第12回子ども落語大会を開催します
開催日時 平成29年9月10日(日) 午後12時~17時(予定)
開催場所 : 大阪くらしの今昔館 9階常設展示場 薬屋座敷
参 加 費 : 無料(参加者の御家族1名は無料です)
対 象 : 中学生以下
内 容  : 落語・小噺・おもしろい話など、なんでもOK!
持ち時間 : 一人10分以内(時間厳守のこと)
申込方法 : 往復はがきに住所、氏名、年齢(学年)、電話番号、演目、
 ありましたら舞台名、見台の要否、「出場に際してひとこと!」
 を明記の上、下記申込先へ往復はがきでお申し込みください
 申込者が多い場合は抽選となります
申込締切 : 平成29年8月25日(金)まで
申込・問合せ先
     〒530-0041
     大阪市北区天神橋6丁目4-20
     大阪くらしの今昔館「子ども落語大会」係
     TEL 06-6242-1170
備 考  : 本大会の入賞者は、10月8日(日)午前10時から、天満天神繁昌亭の
     舞台に出演していただきます

〇企画展示「夏休みだよ!家電採集 昭和レトロ家電 ―マスダコレクション展―」~今月中の開催です~


 平成29年7月29日(土)~8月31日(木)
 開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)

 大阪くらしの今昔館ではおなじみとなった昭和レトロ家電の展覧会が、今年は夏の開催となりました。本展では、増田健一氏が20年以上にわたり収集してきた昭和レトロ家電コレクションから、昭和30年代の懐かしい家電やアイデアあふれる珍しい家電をよりすぐり、約150点を公開します。また今回は家電のほかに、ハミガキ、洗剤など当時の生活雑貨やそのポスター等も展示します。夏の一日、昭和レトロ家電の世界をどうぞお楽しみください。
詳しくはこちらからどうぞ。
http://konjyakukan.com/kikakutenji.html



〇今週のイベント・ワークショップ

8月23日(水)~26日(土)、28日(月)、30日~9月2日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
時 間:11:30、14:30

8月27日(日)、9月3日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00

8月26日(土)
イベント 町家寄席-落語

江戸時代にタイムスリップ!大坂の町で、落語をきいてみませんか
出演:桂出丸 他
14時~15時

町家衆イベント ワークショップ『ミニすだれを作ろう』
①13時30分 ②14時30分
当日先着各回10名、参加費200円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆

8月27日(日)
町家衆イベント 絵本で楽しい時間

むかし話などの絵本を表情豊かに読み聞かせます。
じっくりとお聞きください。
開催日: 第4日曜
時 間:14:30~15:00

9月3日(土)
町家衆イベント 町の解説

江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00~16:00

9月9日(土)
ワークショップ 『張り子のお面を作ろう』

①13時30分 ②14時30分
当日先着各回10名、参加費300円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆

9月10日(日)
町家衆イベント おじゃみ(有料)

古布を四角く切って縫い合わせて作るおじゃみ(お手玉)。
作り方をていねいにお教えします。
開催日:第2日曜
時 間:14:00~16:00

イベント 第12回子ども落語大会
開催日時 平成29年9月10日(日) 午後12時~17時(予定)
開催場所 : 大阪くらしの今昔館 9階常設展示場 薬屋座敷


そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。


大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
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2017年8月15日火曜日

今週の今昔館(72) 空堀通 20170815

〇今昔館の近代展示室を愉しむ(6) 空堀通 -商店街・路地・長屋-

 今回は、「住まいの大阪六景」のひとつ、「空堀通 -商店街・路地・長屋-」の模型をご紹介します。

「空堀通 -商店街・路地・長屋-」の模型

 大阪市中央区空堀地区は、戦災を免れた地域で古くからの町家や長屋が多く残っています。空堀という地名は、空の堀=水の溜まっていない堀からきているといわれ、豊臣大坂城の南総構堀があったところと言われています。上町台地の上に位置しており、大坂城の一番の弱点と言われる南面に防御のための堀が掘られましたが、水を溜めることはできませんでした。水のない堀=空堀です。
 また、江戸時代にはこのあたりは瓦を造る土を採っていたところで、掘り下げられた跡地に長屋が建てられていますので、思いがけない高低差にびっくりさせられる地域です。大河ドラマ「真田丸」が放映された影響もあって、現在注目されているエリアのひとつです。


昭和23年 米軍の撮影による航空写真の空堀地域
(国土地理院HPより)

 上の写真左側の川は東横堀で、その東(右)側の大通りが松屋町筋です。松屋町筋の東側、上町筋との間の黒っぽい屋根がびっしりと写っているところが戦災を免れたエリアです。長堀通の北にある榎大明神のえんじゅの大樹が、炎を食い止めたことによって、奇跡的に延焼を免れたとも言われています。

 「近代都市住宅年表」の下の段には各時代の代表的な住宅の立面図が同じスケールで描かれており、空堀の表長屋もあります。模型制作に使われた立面図で、長堀通りに面して角地に建っている表長屋です。


空堀の表長屋(「近代都市住宅年表」)

南から見る。中央がパネルの表長屋。

南西から見る。パネルの表長屋は角地に建ち隅切りがある。

空堀通から見たパネルに描かれている表長屋

空堀通に面して町家や表長屋が並ぶ

看板は変わりましたが、現在も残る「ぜにや」ふとん店。

坂道の突当りは寄席の澤井亭

表通から見ると2階建ですが

 それでは、江戸時代の空堀周辺の町の様子を、幕末に刊行された「浪華名所獨案内」(「津の清」蔵、今昔館9階にパネル展示しています。)で見てみましょう。

 安堂寺橋から東に向かう道に「ナライセ道」とあり、玉造町家の南に「二ケン茶ヤ(二軒茶屋)」とあります。暗峠奈良街道にあたります。東横堀と長堀が交差するところに「銅吹屋」があり、その東側一帯が空堀にあたります。「ノバク」「髙ハラ」「コノ辺桃谷ト云」の文字があります。

「浪華名所獨案内」の空堀付近(「津の清」蔵)

 天保8年(1637)刊行の「天保新改攝州大坂全圖」(国際日本文化研究センター蔵)を見ると、道路の様子も詳しく描かれ、御城代屋敷や御太鼓坊、御蔵があります。「清水谷屋敷ト云」という文字や、真田山、真田山イナリもあります。その西側、東横堀に架かる安堂寺橋、末吉橋、九ノ介橋との間が現在の空堀にあたります。このあたりには、同心の屋敷のほか、「■印十一ケ所 字瓦土取場」があります。
 大坂城南総構堀の跡地周辺が、瓦土の取場となり、土を取った後に長屋が建てられていることがわかります。

「天保新改攝州大坂全圖」の空堀付近 (天保8年、日文研蔵)

 つぎに、8階フロアの中央にある「大阪市パノラマ地図」で、当時の様子を見てみましょう。鳥瞰図ですので左上が北になります。
 東西の通り(現在の長堀通と千日前通)には市電が通っています。南北の通りは谷町筋を北から六丁目まで、上町筋を上本町2丁目から南へ市電が通っています。空堀のあたりは、谷町筋の拡幅前で市電は上町筋に迂回し、住宅と寺院がびっしりと建っています。南側には、高津神社、生魂神社も描かれています。

「大阪市パノラマ地図」の空堀付近
(大正13年、大阪くらしの今昔館蔵)

 最後に、今昔マップ3を使って、空堀付近の変遷を見てみましょう。
 左上は明治41年、江戸時代の町割がほぼそのまま残っています。右上は昭和4年、長堀通と谷町筋、上町筋に市電が通り、道路が拡幅されています。長堀通よりも南の谷町筋は未拡幅です。左下は昭和22年、空堀から安堂寺町周辺のみが戦災を免れた様子がよくわかります。右下は、現在の国土地理院地図です。谷町筋が拡幅されました。地下鉄谷町線と長堀鶴見緑地線が通っています。


明治41年・昭和4年・昭和22年の地形図、最近の国土地理院地図の
空堀付近(今昔マップ3)

 都心部にありながら奇跡的に戦災を免れ、今なお戦前の佇まいを残すまち空堀。長屋や町家、坂道や石畳の路地など、表情は豊かで人と人とのつながりが残っています。地元の空堀まちなみ井戸端会の皆さんは、平成16年度からHOPEゾーン事業を活用し、「お地蔵さんが見守るつながりを生かすまちなみ」をテーマに、地域資源の掘り起こしや情報発信、建物の修復整備など、空堀の特性を活かしたまちなみづくりに取り組んでおられます。


〇第12回子ども落語大会を開催します
開催日時 平成29年9月10日(日) 午後12時~17時(予定)
開催場所 : 大阪くらしの今昔館 9階常設展示場 薬屋座敷
参 加 費 : 無料(参加者の御家族1名は無料です)
対 象 : 中学生以下
内 容  : 落語・小噺・おもしろい話など、なんでもOK!
持ち時間 : 一人10分以内(時間厳守のこと)
申込方法 : 往復はがきに住所、氏名、年齢(学年)、電話番号、演目、
 ありましたら舞台名、見台の要否、「出場に際してひとこと!」
 を明記の上、下記申込先へ往復はがきでお申し込みください
 申込者が多い場合は抽選となります
申込締切 : 平成29年8月25日(金)まで
申込・問合せ先
     〒530-0041
     大阪市北区天神橋6丁目4-20
     大阪くらしの今昔館「子ども落語大会」係
     TEL 06-6242-1170
備 考  : 本大会の入賞者は、10月8日(日)午前10時から、天満天神繁昌亭の
     舞台に出演していただきます

〇企画展示「夏休みだよ!家電採集 昭和レトロ家電 ―マスダコレクション展―」~今月中の開催です~


 平成29年7月29日(土)~8月31日(木)
 開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)

 大阪くらしの今昔館ではおなじみとなった昭和レトロ家電の展覧会が、今年は夏の開催となりました。本展では、増田健一氏が20年以上にわたり収集してきた昭和レトロ家電コレクションから、昭和30年代の懐かしい家電やアイデアあふれる珍しい家電をよりすぐり、約150点を公開します。また今回は家電のほかに、ハミガキ、洗剤など当時の生活雑貨やそのポスター等も展示します。夏の一日、昭和レトロ家電の世界をどうぞお楽しみください。
詳しくはこちらからどうぞ。
http://konjyakukan.com/kikakutenji.html



〇今週のイベント・ワークショップ

8月16日(水)~19日(土)、21日(月)、23日(水)~26日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
時 間:11:30、14:30

8月20日(日)、27日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00

8月17日(木)
イベント 夏休み まちなみ探偵団

江戸時代の大坂の住まいやくらしのヒミツを極秘調査して、
今昔館を訪れている外国の人に見つけたヒミツを伝えてみよう!
10時~16時30分
対象:小学5・6年生(安全のため、保護者の送迎をお願いします。)
定員:20名(申し込み多数の場合は抽選)
お申し込みについては「住まい・まちづくり・ネット」をご覧ください。
※いただいた個人情報は今回のイベント以外の目的には一切使用いたしません。
※参加者決定後、お申し込み時にご記入いただきましたご住所に、参加証及び詳細をお送りします。
※昼食・飲み物は、各自ご用意ください。

8月19日(土)
町家衆イベント ワークショップ 折り紙(有料)
季節に合わせてさまざまな折り紙をお教えします。
作品は持ち帰っていただきます。
開催日:偶数月の第3土曜
時 間:13:30~15:00

8月20日(日)
町家衆イベント 今昔語り

大阪に残る昔ばなしを、町家の座敷でお聞かせします。
あたたかくなつかしい風情をお楽しみください。
開催日:お茶会と同日
時 間:14:30~15:00

町の解説
江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00~16:00

イベント 町家でお茶会
町家の座敷で「ほっと一息」一服いかがですか
先着順50名、茶菓代300円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します
      協力:大阪市役所茶道部
13時~15時

ワークショップ 『かわり屏風を作ろう』
①13時~ ②14時~
当日先着各回10名、参加費400円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆

8月26日(土)
イベント 町家寄席-落語

江戸時代にタイムスリップ!大坂の町で、落語をきいてみませんか
出演:桂出丸 他
14時~15時

町家衆イベント ワークショップ『ミニすだれを作ろう』
①13時30分 ②14時30分
当日先着各回10名、参加費200円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆

8月27日(日)
町家衆イベント 絵本で楽しい時間

むかし話などの絵本を表情豊かに読み聞かせます。
じっくりとお聞きください。
開催日: 第4日曜
時 間:14:30~15:00


そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。


大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
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2017年8月8日火曜日

今週の今昔館(71) 大大阪新開地 20170808

〇今昔館の近代展示室を愉しむ(5) 大大阪新開地-市街地の拡大と近代長屋-

 シリーズ5回目は、「住まいの大阪六景」のひとつ、「大大阪新開地 -市街地の拡大と近代長屋-」を取り上げます。
 大正14(1925)年の「大大阪」誕生とともに新しく市域に編入された新市街地は「大大阪新開地」と呼ばれました。新市域では、組合施行による土地区画整理事業によって土地会社が宅地を開発し、その上に長屋建ての貸家を建設して大家に売却し、大家が賃貸住宅経営を行っていました。長屋の一部に大家が居住する場合もありました。
 この模型は、昭和10(1935)年頃の大大阪新開地=長屋住宅地の風景です。現在の阿倍野区、住吉区、住之江区辺りにある長屋を一つのまちに再編成したものです。伝統的な和風長屋に加えて、邸宅風の長屋や、洋風のモダンな長屋の町並みが50分の1で再現されています。大大阪新開地は既成市街地の外周部に新たに開発された住宅地で、当時のニュータウンにあたります。


大大阪新開地(住まいの大阪六景)

大大阪新開地(住まいの大阪六景)

 その中に、間口2間半でバルコニー付きの洋風長屋があります。
 3枚目の写真は洋風長屋の外観です。左端は2戸1の長屋。隣は4戸で1棟の長屋です。2戸ペアでデザインされていて、小さいものを大きく見せる効果もあって、おしゃれです。現在の大阪市住之江区西住之江に現存している長屋です。


大大阪新開地の洋風長屋外観

 「近代都市住宅年表」の下段には、各時代の代表的な住宅の立面図が同じスケールで描かれています。年表の中ほど折れ曲がりの辺りには、住之江の洋風長屋が描かれています。この模型の制作のベースとなった4戸で1棟の洋風長屋の立面図です。

「住之江の洋風長屋」立面図(「近代都市住宅年表」)


 次の写真は、間取り(平面図)です。右側2戸は1階、左側2戸は2階を表わしています。先の写真の4戸長屋の間取りになります。

 1階に台所、茶の間、玄関の間、6畳の間(床の間付)、縁側、風呂、便所があり、茶の間と6畳の間の間には廊下がとられています。2階には8畳の間と6畳の間、3畳の書斎があり、バルコニーがついています。前庭、裏庭付きで、よく考えられた間取りです。しかも、この間取りがピタリとはまるように計画的に道路区画がなされ、背割には汲み取り通路が確保されています。当時は便所は水洗ではありませんでしたから、部屋の中を通らずに裏から汲み取りができるように工夫がされています。

 間口が2間半あることによって、8畳の間や床の間付きの6畳の間(もちろん奥行き半間の押し入れ付き)が確保できます。また1間幅の玄関と4畳半の茶の間を並べることができます。間口2間と比べて平面プランのバリエーションが増えて、お屋敷に近い雰囲気も出せたのではないでしょうか。おまけに戦前の畳は関西間(京間)で、メートル間に近い大きさですから、ゆとりがあります。
 2戸ペアになっているのは玄関側だけで、奥は反転させずに風呂と便所が1戸分ずつ裏庭に突き出すようになっています。自然換気を重視して両面開放にしたのでしょうか?


洋風長屋の平面図(右の2戸は1階、左の2戸は2階)


 それでは、大阪市パノラマ地図ではどのように描かれているか見てみましょう。といきたいところですが、「大大阪新開地」はパノラマ地図には描かれていません。

大阪市パノラマ地図の右下部分(大阪くらしの今昔館蔵)

当時の大阪市域を描いているため、現在の阿倍野区、住吉区等は描かれていない。
住吉神社のみが挿絵として描かれている。

 パノラマ地図は大正13年1月の発行で、当時の大阪市は東西南北の4区の時代です。現在の阿倍野区、住吉区、住之江区などは、翌年の大正14年(1925)に、第二次市域拡張によって大阪市域に含まれることとなります。


大阪市の第2次市域拡張
(大阪市史編纂所『新修大阪市史第7巻』)


 そこで、米軍が昭和23年(1948)に撮影した航空写真を、国土地理院が公開していますので、こちらで見てみることにします。

 1枚目は阿倍野区阪南町付近で、組合施行区画整理の第1号である阪南土地区画整理事業によって街区が整備され、長屋が整然と建てられている様子がわかります。このあたりは戦災を免れましたので、昭和戦前に建てられた住宅が、そのまま残っています。

米軍の撮影による航空写真の阪南町付近(昭和23年)
(国土地理院HPより)

 2枚目は、住之江区西住之江付近です。写真中央を南北に南海本線が走っています。その西側に長屋住宅地が形成されています。区画整理された街区の上に長屋が整然と建てられている様子がわかります。模型にある洋風長屋はこのあたりに建っています。現在もお住まいの住宅もあります。南海本線と並行して東側には紀州街道が通っていますが、街道沿いの住宅と西側の新市街地とで住宅の大きさが違っていることもよくわかります。
米軍の撮影による航空写真の西住之江付近(昭和23年)
(国土地理院HPより)

 最後に、今昔マップ3を使って、阿倍野区阪南町付近の変遷を見てみましょう。
 左上は明治41年、股ケ池(桃ケ池)の西側一帯には田畑が拡がっています。右上は昭和7年、組合施行の阪南土地区画整理事業によって街区が形成され、一部では長屋の建設が始まっています。左下は昭和22年、戦災を免れた長屋住宅地が拡がっています。右下は、現在の国土地理院地図です。
明治41年・昭和7年・昭和22年の地形図、最近の国土地理院地図の
阪南町付近(今昔マップ3)

 今回は、「住まいの大阪六景」のひとつ、「大大阪新開地-市街地の拡大と近代長屋-」についてご紹介しました。


〇第12回子ども落語大会を開催します
開催日時 平成29年9月10日(日) 午後12時~17時(予定)
開催場所 : 大阪くらしの今昔館 9階常設展示場 薬屋座敷
参 加 費 : 無料(参加者の御家族1名は無料です)
対 象 : 中学生以下
内 容  : 落語・小噺・おもしろい話など、なんでもOK!
持ち時間 : 一人10分以内(時間厳守のこと)
申込方法 : 往復はがきに住所、氏名、年齢(学年)、電話番号
      演目、ありましたら舞台名、見台の要否、「出場に際してひとこと!」を明記の上、
     下記申込先へ往復はがきでお申し込みください
      申込者が多い場合は抽選となります
申込締切 : 平成29年8月25日(金)まで
< 申込・問合せ先 >
     〒530-0041
     大阪市北区天神橋6丁目4-20
     大阪くらしの今昔館「子ども落語大会」係
     TEL 06-6242-1170
備 考  : 本大会の入賞者は、10月8日(日)午前10時から、天満天神繁昌亭の
     舞台に出演していただきます

〇企画展示「夏休みだよ!家電採集 昭和レトロ家電 ―マスダコレクション展―」~開催中です~


 平成29年7月29日(土)~8月31日(木)
 開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)

 大阪くらしの今昔館ではおなじみとなった昭和レトロ家電の展覧会が、今年は夏の開催となりました。本展では、増田健一氏が20年以上にわたり収集してきた昭和レトロ家電コレクションから、昭和30年代の懐かしい家電やアイデアあふれる珍しい家電をよりすぐり、約150点を公開します。また今回は家電のほかに、ハミガキ、洗剤など当時の生活雑貨やそのポスター等も展示します。夏の一日、昭和レトロ家電の世界をどうぞお楽しみください。
詳しくはこちらからどうぞ。
http://konjyakukan.com/kikakutenji.html



〇今週のイベント・ワークショップ

8月9日(水)、10日(木)、12日(土)、14日(月)、16日(水)~19日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
時 間:11:30、14:30

8月11日(祝)、13日(日)、20日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00

8月11日(金・祝)
ワークショップ 『うちわを作ろう』

①13時30分 ②14時30分
当日先着10名、参加費300円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆

8月12日(土)、13日(日)
イベント 今昔館で夏祭り ― 楽市町家 ―

町家の店先に町家衆手作りのかわいい商品が並びます
13時~16時

8月13日(日)
町家衆イベント おじゃみ(有料)

古布を四角く切って縫い合わせて作るおじゃみ(お手玉)。
作り方をていねいにお教えします。
開催日:第2日曜
時 間:14:00~16:00

8月17日(木)
イベント 夏休み まちなみ探偵団

江戸時代の大坂の住まいやくらしのヒミツを極秘調査して、
            今昔館を訪れている外国の人に見つけたヒミツを伝えてみよう!
10時~16時30分
対象:小学5・6年生(安全のため、保護者の送迎をお願いします。)
定員:20名(申し込み多数の場合は抽選)
お申し込みについては「住まい・まちづくり・ネット」をご覧ください。
※いただいた個人情報は今回のイベント以外の目的には一切使用いたしません。
※参加者決定後、お申し込み時にご記入いただきましたご住所に、参加証及び詳細をお送りします。
※昼食・飲み物は、各自ご用意ください。

8月19日(土)
町家衆イベント ワークショップ 折り紙(有料)
季節に合わせてさまざまな折り紙をお教えします。
作品は持ち帰っていただきます。
開催日:偶数月の第3土曜
時 間:13:30~15:00

8月20日(日)
町家衆イベント 今昔語り

大阪に残る昔ばなしを、町家の座敷でお聞かせします。
あたたかくなつかしい風情をお楽しみください。
開催日:お茶会と同日
時 間:14:30~15:00

町の解説
江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00~16:00

イベント 町家でお茶会
町家の座敷で「ほっと一息」一服いかがですか
先着順50名、茶菓代300円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します
      協力:大阪市役所茶道部
13時~15時

ワークショップ 『かわり屏風を作ろう』
①13時~ ②14時~
当日先着各回10名、参加費400円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆


そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。


大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/howtouse



2017年8月1日火曜日

今週の今昔館(70) 北船場 20170801

〇今昔館の近代展示室を愉しむ(4) 北船場 -旧大坂三郷の近代化-

 今回は「住まいの大阪六景」のひとつ「北船場 -旧大坂三郷の近代化-」を取り上げます。
 船場(せんば)は、大阪市中央区の地域名で、大阪市の中心業務地区にあたり、大坂の町人文化の中心となったところです。
 船場は河川と人工の堀川に囲まれた(囲まれていた)四角形の地域であり、
東端 - 東横堀川 (阪神高速1号環状線南行き)
西端 - 西横堀川 (阪神高速1号環状線北行き。1962年埋立)
南端 - 長堀川 (長堀通。1964年埋立)
北端 - 土佐堀川
の東西1km、南北2kmのエリアです。江戸時代の町組の名残で、本町通の北を北船場(きたせんば)、本町通の南を南船場(みなみせんば)と呼び分けることもあります。東は上町、南は島之内、西は下船場、北は中之島に接しています。

 船場の街区は基本的に40間四方の正方形で、街路は碁盤目状に直交しています。大坂城の西に位置することから東西方向が竪(たて)となり、東西方向の街路を通(とおり)と称しています。計23本あり、当初の幅員は4.3間(約8m)に設定されていました。一方、南北方向は横(よこ)となり、南北方向の街路を筋(すじ)と称しています。計13本。当初は補助的な街路とされたために幅員は3.3間(約6m)と通に対して狭く設定されていました。
 東西の通りを挟んで北と南で1つの町を形成しています。両側町と呼ばれる形態で、町の名前は通の名前と一致していました。

 伝統的な町家が建ち並んでいた明治時代の旧大坂三郷は、東西の通、南北の筋で構成される江戸時代以来の狭隘な道路が、近代化を進めるうえで大きな障害になっていました。
 そこで「軒切り」と呼ばれる都市改造が実施されました。もともとは町家の正面の一部を切り取って本来の道路の幅員を回復するものですが、市電の敷設工事や都市計画に基づく道路拡幅も軒切りと総称され、明治の終わりから昭和にかけて行われました。
 堺筋などは市電の敷設に合わせて大きく拡幅されました。東西の通も軒切りによって拡幅されました。
 模型は、堺筋を挟んだ道修町と平野町の一角の昭和7年(1932)の様子で、市電の敷設に合わせて拡幅された堺筋と、平野町通の拡幅前後を表わしています。
北船場-旧大坂三郷の近代化-(住まいの大阪六景)

 豊臣時代から江戸時代にかけて形成された船場の様子とその後の変遷を、古地図で見てみましょう。

浪華名所獨案内(天保年間)の北船場(「津の清」蔵)
天保新改攝州大阪全圖の北船場(国際日本文化研究センター(日文研)蔵)
大阪市内詳細図(大正3年)の道修町・平野町付近(日文研蔵)
大阪市パノラマ地図(大正13年)の道修町・平野町付近
(大阪くらしの今昔館蔵)
 實地踏測大阪市街圖(大正14年)の北船場(日文研蔵)
最新大大阪市街地図(昭和10年)の北船場(日文研蔵)
明治41年・昭和4年・昭和42年の地形図、地理院地図の北船場
(今昔マップ3)

 明治時代になって梅田、難波、天王寺に鉄道駅ができ、南北の交通量が増えたことから、市電の敷設と合わせて堺筋と四つ橋筋が拡幅され、さらに、昭和時代になって地下鉄の建設と合わせて御堂筋が整備されたことから、現在では南北の筋のほうがメインストリートとなっています。

東西の通(メインストリート)と南北の筋で構成される「両側町」

市電の敷設に合わせて拡幅された堺筋と軒切り前後の平野町通

 軒切りを契機に大阪の都市景観は大きく変貌し、三階建ての町家や、階高が高く箱軒と呼ばれる軒蛇腹を大きくした町家、洋風建築などの新しい形式の建物が現れてきました。また、町家の内部も、店の間を板敷きの事務所とするなど、生活様式や商売の形態の近代化に対応した改造が見られました。

市電敷設に合わせて拡幅された堺筋と軒切り前後の平野町通

 「近代都市住宅年表」には、小西儀助商店と藤澤商店の立面図が描かれています。どちらも、大阪市東区(現:中央区)道修町(どしょうまち)にありました。コニシボンドで有名な小西儀助商店は、立面図では3階建てとなっていますが、関東大震災の後に安全対策のために3階部分が撤去されました。現存しており国の重要文化財に指定されています。また、平野町の町家の立面図もあります。
小西儀助商店(「近代都市住宅年表」)
堺筋に面する小西儀助商店
藤澤商店(「近代都市住宅年表」)
藤澤商店の内部
(店の間が板敷になり事務所として利用されている)
平野町の町家(「近代都市住宅年表」)

 今回は、「北船場-旧大坂三郷の近代化-」の模型と、都市住宅年表に描かれている小西儀助商店と藤澤商店、平野町の町家をご紹介しました。解説は、「住まいのかたち 暮らしのならい-大阪市立住まいのミュージアム図録-」を参考にしました。



〇企画展示「夏休みだよ!家電採集 昭和レトロ家電 ―マスダコレクション展―」~開催中です~
 平成29年7月29日(土)~8月31日(木)
 開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)

 大阪くらしの今昔館ではおなじみとなった昭和レトロ家電の展覧会が、今年は夏の開催となりました。本展では、増田健一氏が20年以上にわたり収集してきた昭和レトロ家電コレクションから、昭和30年代の懐かしい家電やアイデアあふれる珍しい家電をよりすぐり、約150点を公開します。また今回は家電のほかに、ハミガキ、洗剤など当時の生活雑貨やそのポスター等も展示します。夏の一日、昭和レトロ家電の世界をどうぞお楽しみください。
詳しくはこちらからどうぞ。
http://konjyakukan.com/kikakutenji.html



〇今週のイベント・ワークショップ
8月2日(水)~5日(土)、7日(月)、9日(水)、10日(木)、12日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
時 間:11:30、14:30

8月6日(日)、11日(祝)、13日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00

8月11日(金・祝)
ワークショップ 『うちわを作ろう』

①13時30分 ②14時30分
当日先着10名、参加費300円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆

8月12日(土)、13日(日)
イベント 今昔館で夏祭り ― 楽市町家 ―

町家の店先に町家衆手作りのかわいい商品が並びます
13時~16時

8月13日(日)
町家衆イベント おじゃみ(有料)

古布を四角く切って縫い合わせて作るおじゃみ(お手玉)。
作り方をていねいにお教えします。
開催日:第2日曜
時 間:14:00~16:00

8月17日(木)
イベント 夏休み まちなみ探偵団

江戸時代の大坂の住まいやくらしのヒミツを極秘調査して、今昔館を訪れている外国の人に見つけたヒミツを伝えてみよう!
10時~16時30分
対象:小学5・6年生(安全のため、保護者の送迎をお願いします。)
定員:20名(申し込み多数の場合は抽選)
お申し込みについては「住まい・まちづくり・ネット」をご覧ください。
※いただいた個人情報は今回のイベント以外の目的には一切使用いたしません。
※参加者決定後、お申し込み時にご記入いただきましたご住所に、参加証及び詳細をお送りします。
※昼食・飲み物は、各自ご用意ください。

8月19日(土)
町家衆イベント ワークショップ 折り紙(有料)
季節に合わせてさまざまな折り紙をお教えします。
作品は持ち帰っていただきます。
開催日:偶数月の第3土曜
時 間:13:30~15:00

8月20日(日)
町家衆イベント 今昔語り

大阪に残る昔ばなしを、町家の座敷でお聞かせします。
あたたかくなつかしい風情をお楽しみください。
開催日:お茶会と同日
時 間:14:30~15:00

町の解説
江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00~16:00

イベント 町家でお茶会
町家の座敷で「ほっと一息」一服いかがですか
先着順50名、茶菓代300円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します
      協力:大阪市役所茶道部
13時~15時

ワークショップ 『かわり屏風を作ろう』
①13時~ ②14時~
当日先着各回10名、参加費400円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆


そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。


大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/howtouse