2020年9月30日水曜日

今週の今昔館(234) 枚方渡口 20200930

〇淀川両岸一覧にみる江戸時代の大坂(14)

 船旅の案内書「淀川両岸一覧」は、大坂から京都までの淀川沿いの名所旧跡を挿絵を添えて紹介しています。このシリーズでは、淀川両岸一覧(上り船之部)に沿って、約160年前の江戸時代の大坂から京都までの淀川南岸(左岸:川の流れから見て左側です)沿いの風景を訪ねていきます。今回は「枚方渡口」をご紹介します。

■枚方渡口
「其三」の絵は枚方宿の三矢あたりを眺めた風景を描いています。絵の右側中央、小高い場所に見える伽藍は願正寺で、左側中央に見える伽藍は浄念寺。本文の解説には「両六条の御坊」があり、「詣人常に間断」がなかったとあります。人々の崇敬を集めていたことがわかります。願正寺が東本願寺(大谷派)、浄念寺が西本願寺(本願寺派)の系統です。

 絵を見ると、左に帆を張った荷船、右に上りの三十石船がみえます。この三十石船は枚方の岸をはなれたところです。
枚方宿には船番所があり、淀川を往来するすべての船がここで検閲を受けていました。三十石船も検閲を受けた後で、苫が取り払われた状態に描かれています。本文には次のように記されています。

 監船所
 枚方の駅にあり。
 淀川の船を監す。
 京師角倉氏、累世これを司る。

 これを見ると、船番所が角倉家により支配されていたことがわかります。角倉家は、大堰川や高瀬川などの開削や大和川の水運にもかかわりのある一族で、京坂を行き来する船の監視も任されていました。

 挿絵の中央部の三十石船をよく見ると、脇に小さな舟が寄せられているのがわかります。これが枚方宿の名物、「くらわんか舟」。淀川を上下する三十石船に漕ぎ寄せ、乗客相手に酒食を商う枚方名物の小舟です。この船はたいそう行儀の悪い商売をしたらしく、上り下りの通船めがけて漕ぎ寄せ、鍵のようなものを引っ掛けて舟を付け、いきなり苫をめくって「餅くらわんか。」という調子で船客に怒鳴りかけることからこの名がついたようです。

 「飯食わんかい、酒飲まんかい、サアサア、みな起きくされ、よう臥さる奴らじゃな」と声高に舟を漕ぎ寄せ商いをする。十返舎一九の「東海道中膝栗毛」にも描かれたシーンです。
 弥次さん、喜多さんの乗った船は下り船で、しかも夜船ですから、うとうとしているところを無遠慮にも大声で起こされ、煮売りの図々しい口ぶりに、江戸っ子の弥次郎兵衛はカッとなります。乗り合わせた船客は「コレコレお前腹立てさんすな。アリャ、ここの商い舟は、あないに物を、ぞんざいに云うのが、名物じゃわいの」となだめます。下品とも思われる口上は「当川条の一奇」としての演出でもあったのです。

淀川両岸一覧上船之巻「其三」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)


 本文の解説は次のとおりです。やや荒っぽい販売スタイルとして描写されていますが、往来する船が水難に遭った際には、救助する役目を担っていた」ことがわかります。

 貨食船(にうりぶね)は当所の名物にして、夜となく昼となくさゝやかなる船に飯、酒、汁、餅などを貯へ、上り下りの通船を目がけて、鎰やうの物を其船に打かけ、荒らかに苫引きあげ、眠(ねぶり)がちなる船客を起して、声かまびすしく酒食を商ふ。俗にこれを喰(くら)わんか船と号す。往来の船にもし風波の難ある時は、此舟々漕つれ出て、夫を助る役ありと聞ゆ。

 くらわんか船の悪態も、馴染みの船客には災い祓いとして喜ばれたとも言われ、それ故に名物として親しまれたのだと思います。

 其三の挿絵の解説(右上)と賛(左上)は次のとおりです。

 前島の辺(ほとり)より枚方までの川内にて名物の煮売舟つきて船客に酒飯をすすむ。これを俗にくらはんか船といふ。当川条の一奇なり。

 酒くらへ餅をくらへの口に似ず あしをいただくひらかたの船 鬼拉亭力丸

 宿場町である枚方は、淀川右岸にある大塚への渡し場でもありました。三矢の渡し、大塚の渡しなどと呼ばれていたことが、本文の解説にあります。「其四 枚方渡口」の絵の左下に見える舟が、渡し舟です。

 其四の挿絵の解説と賛は以下のとおりです。

 西岸大塚へ渡す

 美濃あふみ 外にふしみの 夜舟には
  寝もの語も おほきのり合  江戸、有大甚

 百里の河堤、西また東/蓬窓(ほうそう)の夢破る蘆荻(ろてき)の風/囂々(ごうごう)と客を嘲り羹餅を鬻(ひさ)ぐ/似ずや、滄浪(そうろう)鼓枻(こえい)の翁に 田勢

 絵の賛からも、枚方の名物はくらわんか舟であったことが伝わってきます。

淀川両岸一覧上船之巻「其四 枚方渡口」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)


 「其三」と「其四 枚方渡口」は、並べるとパノラマになっています。

淀川両岸一覧上船之巻「其三」「其四」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)


 さらに、「其二」もつながります。超ワイドなパノラマになります。枚方宿全体の様子がよくわかります。
淀川両岸一覧上船之巻「其二」「其三」「其四」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)



 本文は次のとおりです。一部重複になりますが、全文を掲載しておきます。

■枚方駅
 伊加賀村につづく。守口の駅より当駅まで陸路行程二里。松が鼻よりこの所まで水上およそ三十町といふ。
 此駅(うまつぎ)は京師、浪花の通路のうへ、西国の諸侯関東参勤の官道なるがゆゑに、旅舎(はたごや)、本陣(ほんぢん)、茶店(さてん)、貨食家(にうりや)多く、将飯盛(はためしもり)の女などありて、昼夜ともぬ賑はしく、駅中、泥町、三矢、岡、新町等の小名ありて、町続き頗る長く、至ての繁花なり。
 また、両六条の御坊もありて、東は願生坊といひ、西を浄念寺といふ。詣人常に間断なし。貨食船(にうりぶね)は当所の名物にして、夜となく昼となくさゝやかなる船に飯、酒、汁、餅などを貯へ、上り下りの通船を目がけて、鎰やうの物を其船に打ちかけ、荒らかに苫引きあげ、眠(ねぶり)がちなる船客を起こして、声かまびすしく酒食を商ふ。俗にこれを喰(くら)わんか船と号す。往来の船にもし風波の難ある時は、此舟々漕ぎつれ出て、夫を助くる役ありと聞こゆ。

狂歌
 喰らふ蚊と くらはんかとにも 起こされて
  ぬる間も夏の 淀の川舟  作者不知
 酒うりに 夢やぶられて おぼろ月     梅圃
 ひらかたに 箸のみらるる 蛍かな     沾徳
 ひらかたの 碪(きぬた)も遠し 上りふね 燈外

■御茶屋
 枚方の中にあり。天正の頃豊太閤この地に旅館を建てさせたまふ所なり。字を観音山といふ。
■牛頭天王祠
 同三矢地下町(じげちょう)にあり。枚方の生土神(うぶすな)とす。例祭六月朔日・九月九日・傍に稲荷祠あり。
■長松山万年寺
 右天王の社頭にあり。真言宗
■枚方渡口
 この地より摂州島上郡大塚村に渡す舟わたしなり。三矢のわたしとも云ふ。渡の長およそ二百八十間といふ。
■監船所
 枚方の駅にあり。淀川の船を監す。京師角倉氏累世これを司る
■天川(あまのがわ)
 枚方の駅中泥町・三矢・岡・新町等を過ぎて人家の端にあり。交野郡に属す。水源和州南田原星の森より出づる。枚方入口よりこれまで水上およそ十二町。
 『続後撰』
 天川 遠きわたりに なりにけり 交野のみのの 五月雨の頃
 天河 秋のひと夜の 契りだに かたのに鹿の 音をや鳴くらむ


 大阪くらしの今昔館が所蔵する「よと川の図」の枚方駅から天の川にかけての枚方宿付近を見てみましょう。
 図の右手は前回ご紹介した枚方駅泥町です。宿場の「御本陣」から左手に進むと、「おか町」、「新まち村(岡新町)」を経て「天の川」に至ります。「御殿山」が淀川に迫っている様子も描かれています。

「よと川の図」の枚方宿付近(大阪くらしの今昔館蔵)


 枚方宿付近の現状を写真で見てみましょう。
 前回ご紹介した船宿鍵屋からさらに東へ進むと、突き当りに浄念寺があります。問屋場跡、本陣跡、常夜灯、宗左の辻、枚方橋跡を経て、東見附、天の川に至ります。

浄念寺
問屋場跡
宿場に残る町家
本陣跡(三矢公園)
明治天皇御晝餐所の碑
枚方宿本陣跡の碑と説明板
枚方宿本陣跡の説明板
東海道枚方宿本陣跡の碑
宿場に残る町家
常夜灯
宿場に残る町家
ビオルネ前の案内図「歴史街道 枚方宿」
ビオルネの向かいの岡本町公園
宗左の辻
宿場に残る屋敷
枚方橋跡、橋を渡ると岡新町
小野邸(宿場の東端近くの問屋役人)
天の川の手前にあった東見附
かつてはここに鵲橋が架かっていました


 今回は、「淀川両岸一覧」の「枚方渡口」をご紹介しました。


〇企画展「大阪くらしの今昔館所蔵品展『歳時記と祝い事』」の会期は、10月4日まで延長になりましたが、残りわずかとなりました。

 大阪くらしの今昔館ではこれまで、住宅や建築に関する歴史資料、祭礼や年中行事に関する絵画資料など、大阪の伝統的な建築文化および歴史文化を伝える資料の収集に努めてきました。本展ではこれまでに収集した館蔵品の中から「歳時記」と「祝い事」に関連する絵画資料、染織資料、工芸品、節句飾りなどを展示します。

 季節にあわせて飾られた掛軸や屏風、節句飾りや年中行事に用いられた漆器、贈答用の袱紗、通過儀礼の際に身に纏った宮参りや婚礼の衣装など「ハレの日」を彩った100点余りを選びました。 五節句や年中行事、人の一生の節目にあたる儀礼など、大阪の人々が大切に守ってきた生活文化に触れていただきます。

住吉をどり 菅楯彦
浪花行事十二月 七夕月
二代長谷川貞信
花嫁衣裳 扇面四季花鳥模様振袖
花嫁衣裳 揚羽蝶円紋金襴菱木打掛
雛飾り台所道具


〇大阪くらしの今昔館は6月3日(水)から再開しています

 再開にあたっては、十分な予防対策に努めてまいります。これに伴い、ご来館のみなさまにも、体温検査やマスクの着用などの入館並びに観覧時にご協力いただくことがございます。たいへんご不便をおかけしますが、ご理解・ご協力のほど、お願い申し上げます。なお、詳しくは、こちらをご確認ください。

 今昔館では、当面の間、以下の催し物の開催を中止しています。
・町家ツアー(ボランティア等による展示解説)
・着物体験
・上方芸能・文化体験(町家寄席、お茶会など)
・町家衆による各種ワークショップ
・ギャラリートーク、講演会


〇「商家の賑わい」の展示

 大阪くらしの今昔館は大規模な展示替えが行われ、9月12日(土)からは「商家の賑わい」の展示になりました。
 江戸時代の大坂の店先を再現し、当時の賑やかな商家の様子を楽しめます。



〇【動画】重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界
 重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵(さあん)」の実物大構造模型(竹中大工道具館所蔵)を京都工芸繊維大学名誉教授 日向進先生が分かりやすく解説してくださいます。
 こちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=tqJEnPZckbc&feature=youtu.be



〇大阪くらしの今昔館の紹介動画
 今昔館の江戸時代のフロアをご紹介する動画は4編あります。全4編の目次はこちらからどうぞ。
 こちらから、見たい部分だけを見ることができます。英語の字幕入りの動画を見ることもできます。
http://konjyakukan.com/link_pdf/what's%20this%20.pdf


 このほかに「天神祭となにわの町」をご紹介する動画があります。
https://www.youtube.com/watch?v=3or8fq4U8zE&feature=youtu.be


 また、今昔館の近代のフロアをご紹介する動画が2編あります。
https://www.youtube.com/watch?v=SbqzmybwKss&feature=youtu.be

https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4


〇「今昔館のオンライン まなびプログラム」が公開されています
 大阪のまちと住まいや くらしのことを おうちで学んでみませんか?
 こちらからどうぞ。
 ⇒konjyakukan.com/link_pdf/今昔館のオンラインまなびプログラム.pdf



 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
http://konjyakukan.com/index.html


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html


 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。

「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。
http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。
http://www.sumai-machi-net.com/howtouse


2020年9月22日火曜日

今週の今昔館(233) 枚方駅泥町 20200922

〇大阪くらしの今昔館は、火曜日が休館日ですが、本日9月22日(祝)は開館しています。次回の休館日は、9月29日(火)です。28日までは、休まずに開館しています。


〇淀川両岸一覧にみる江戸時代の大坂(13)

 船旅の案内書「淀川両岸一覧」は、大坂から京都までの淀川沿いの名所旧跡を挿絵を添えて紹介しています。このシリーズでは、淀川両岸一覧(上り船之部)に沿って、約160年前の江戸時代の大坂から京都までの淀川南岸(左岸:川の流れから見て左側です)沿いの風景を訪ねていきます。今回は「枚方駅泥町」をご紹介します。枚方駅は京街道の枚方宿のことです。泥町は宿場の西部の町名です。

■枚方駅泥町
 伊加賀の挿絵に、「其二 枚方駅泥町」が続き、川沿いに多くの家屋が軒を連ねていたようすがわかります。
 両方の挿絵を見ると、三十石船に十石船、貨食船、御座船など、各種の船が川面に浮かんでいるのが見えます。御座船や貨食船などは、「其二 枚方駅泥町」の挿絵のように、茶店や船宿の脇に設けられた階段を利用し、船着きに降りていました。街道のみならず、水運の要衝として繁栄したのが、ここ枚方宿だったのです。

 枚方は京街道筋の代表的な宿駅であった他に、過書船の船番所があったので、隣村の伊加賀から約2㎞を5度目の曳き船をした上り船は、しばらくここで碇泊し、休憩を取りました。泥町は駅中の南西端にあり、ここには餅で有名な船宿鍵屋があり、浜もその名にちなみ鍵屋浦と呼ばれていました。
 三十石船唄に、
 鍵屋浦には碇(いかり)が要らぬ 三味や太鼓で船止める
 と唄われ、その繁栄が偲ばれます。

 挿絵に描かれているのがちょうど鍵屋浦の辺りでしょうか。川辺に付けられた船を降り石段を上ると、旅篭や茶屋が約1㎞半にわたって軒を連ねる街道筋に出ます。江戸時代ここを通ったオランダ人ケンペルやドイツ人シーボルトの記録によると、各店の戸口には旅客を呼び込む若い女性が立ち、目を引いていたようです。

淀川両岸一覧上船之巻「枚方駅泥町」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)
淀川両岸一覧上船之巻「枚方駅泥町」と「伊加賀」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)

 枚方宿について、本文は次のように記しています。

 此駅(うまつぎ)は京師、浪花の通路のうへ、西国の諸侯関東参勤の官道なるがゆへに、旅舎(はたごや)、本陣(ほんぢん)、茶店(さてん)、貨食家(にうりや)多く、将飯盛(はためしもり)の女などありて、昼夜ともに賑しく、駅中、泥町、三矢、岡、新町等の小名ありて、町続き頗る長く、至ての繁花なり。

 参勤交代の西国大名たちも往還した官道沿いの宿場とあって、本陣や脇本陣を中心に、旅篭、茶店などが多く営業し、通行する旅人で賑わっていたといいます。
 三矢にあった本陣・脇本陣は1870(明治3)年の本陣廃止により、取り壊されました。その後、跡地に北河内郡役所が置かれ、現在では淀川左岸水防組合事務所が建っています。また、船宿として知られる鍵屋は、「市立枚方宿鍵屋資料館」として、枚方宿の歴史を今に伝える拠点となっています。

 「其二 枚方駅泥町」の賛は、島棕隠の漢詩と江戸の平秩東作の狂歌です。

 土人食を売り瓜皮を盪(あら)ふ/嘲り罵りて銭を募るに何ぞ欺かれんや/觕悪(そあく)なるを嫌はず蠟を嚼(は)む如し/恰(あたか)も供(とも)膝を支え眠りに倦く時 島棕隠

 はなし出す 人の尻馬 口車 いづれ調子に のり合の舟 江戸、平秩東作

 漢詩にある「食を売り瓜皮を盪ふ」とは、いわゆる「くらわんか舟」のことをさしています。


 大阪くらしの今昔館が所蔵する「よと川の図」の枚方宿を見てみましょう。
 図の右手の「枚方駅」の貼り紙のある辺りが泥町で、川に面して鍵屋がありました。現在も鍵屋の東側、「浄念寺」の前で道路がクランク状に折れ曲がっていますので、絵が正確に描かれていることがわかります。その左手に「からさき村」の張り紙がありますが、貼り間違いのようです。左端は「御本陣」です。

「よと川の図」の枚方宿(大阪くらしの今昔館蔵)

 枚方宿付近の地域の変遷を地形図で確認してみましょう。
 明治41年陸地測量部地図に地理院の「明治期の低湿地」を重ねたものです。明治20年ごろの水面や水田、湿地、荒地などを示しています。地図の左下から右上に通る道路が京街道、家屋が連なり黒い帯のようになっている所が守口宿です。その周辺の黄色の部分は水田、黄緑色は荒地です。
 京街道に沿って京阪電車が走っています。守口宿の西側、現在の「枚方公園駅」は、当時は「枚方駅」でした。東側には「枚方東口駅」があります。現在の「枚方市駅」です。

明治41年陸地測量部地図に明治期の低湿地を重ねた地図(今昔マップ3より)

 2枚目は色別標高図を重ねたものです。枚方宿付近では淀川に丘陵が迫り、山裾に沿って京街道・京阪電車が通っています。
明治41年陸地測量部地図に色別標高図を重ねた地図(今昔マップ3より)

 最新の国土地理院地図に、明治期の低湿地を重ねた図です。
 図の水色は水面、黄色は水田、緑色は荒地を表しています。枚方宿の部分は、白地になっています。
 赤い道路は国道、黄色は府道です。左下から右上に続く府道は、旧国道1号線で、京街道に沿ってバイパスとして通っています。
 京阪電車は枚方市駅で交野線が分岐しており、駅の東側に市役所、市民会館があります。京街道と淀川の間には関西医科大学・病院があります。2枚目は色別標高図を重ねた図です。

最新の国土地理院地図に明治期の低湿地を重ねた図
最新の国土地理院地図に色別標高図を重ねた図

 国土地理院の空中写真を見てみましょう。
 図の左端を南北に通っている道路は国道170号線で、淀川に枚方大橋が架かっています。河川敷は運動公園やゴルフ場として整備されています。
 京阪電車は山裾をカーブして走り、枚方市駅で交野線が分岐します。駅の北側を流れる川は天の川です。丘陵地は宅地開発され、住宅地・団地になっています。

国土地理院の空中写真

 枚方宿泥町付近の現状を写真で見てみましょう。
 泥町は京阪電鉄枚方公園駅から西北方向、淀川の堤防沿いにあります。宿場の西部にあり、「くらわんか舟」でも有名な船宿鍵屋がありました。かつては、鍵屋のすぐ前が淀川で、鍵屋浦と呼ばれていました。ここ三ツ矢から対岸の大塚への渡し(郵便屋の渡し)がありました。

郵便屋の渡し跡
枚方宿西見附の案内板
枚方宿泥町の町並み
市立枚方宿鍵屋資料館
鍵屋付近の町並み

 今回は、「淀川両岸一覧」の「枚方駅泥町」をご紹介しました。


〇企画展「大阪くらしの今昔館所蔵品展『歳時記と祝い事』」の会期は、10月4日まで延長になりました。

 大阪くらしの今昔館ではこれまで、住宅や建築に関する歴史資料、祭礼や年中行事に関する絵画資料など、大阪の伝統的な建築文化および歴史文化を伝える資料の収集に努めてきました。本展ではこれまでに収集した館蔵品の中から「歳時記」と「祝い事」に関連する絵画資料、染織資料、工芸品、節句飾りなどを展示します。

 季節にあわせて飾られた掛軸や屏風、節句飾りや年中行事に用いられた漆器、贈答用の袱紗、通過儀礼の際に身に纏った宮参りや婚礼の衣装など「ハレの日」を彩った100点余りを選びました。 五節句や年中行事、人の一生の節目にあたる儀礼など、大阪の人々が大切に守ってきた生活文化に触れていただきます。

住吉をどり 菅楯彦
浪花行事十二月 七夕月
二代長谷川貞信
花嫁衣裳 扇面四季花鳥模様振袖
花嫁衣裳 揚羽蝶円紋金襴菱木打掛
雛飾り台所道具


〇大阪くらしの今昔館は6月3日(水)から再開しています

 再開にあたっては、十分な予防対策に努めてまいります。これに伴い、ご来館のみなさまにも、体温検査やマスクの着用などの入館並びに観覧時にご協力いただくことがございます。たいへんご不便をおかけしますが、ご理解・ご協力のほど、お願い申し上げます。なお、詳しくは、こちらをご確認ください。

 今昔館では、当面の間、以下の催し物の開催を中止しています。
・町家ツアー(ボランティア等による展示解説)
・着物体験
・上方芸能・文化体験(町家寄席、お茶会など)
・町家衆による各種ワークショップ
・ギャラリートーク、講演会


〇「商家の賑わい」の展示

 大阪くらしの今昔館は大規模な展示替えが行われ、9月12日(土)からは「商家の賑わい」の展示になりました。
 江戸時代の大坂の店先を再現し、当時の賑やかな商家の様子を楽しめます。



〇【動画】重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界
 重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵(さあん)」の実物大構造模型(竹中大工道具館所蔵)を京都工芸繊維大学名誉教授 日向進先生が分かりやすく解説してくださいます。
 こちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=tqJEnPZckbc&feature=youtu.be



〇大阪くらしの今昔館の紹介動画
 今昔館の江戸時代のフロアをご紹介する動画は4編あります。全4編の目次はこちらからどうぞ。
 こちらから、見たい部分だけを見ることができます。英語の字幕入りの動画を見ることもできます。
http://konjyakukan.com/link_pdf/what's%20this%20.pdf


 このほかに「天神祭となにわの町」をご紹介する動画があります。
https://www.youtube.com/watch?v=3or8fq4U8zE&feature=youtu.be


 また、今昔館の近代のフロアをご紹介する動画が2編あります。
https://www.youtube.com/watch?v=SbqzmybwKss&feature=youtu.be

https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4


〇「今昔館のオンライン まなびプログラム」が公開されています
 大阪のまちと住まいや くらしのことを おうちで学んでみませんか?
 こちらからどうぞ。
 ⇒konjyakukan.com/link_pdf/今昔館のオンラインまなびプログラム.pdf



 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
http://konjyakukan.com/index.html


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
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 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。

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