2019年8月27日火曜日

今週の今昔館(178) 梅屋敷 20190827

〇浪華の賑ひに見る江戸時代の大坂(15)

 今回は「浪華の賑ひ」の「梅屋敷」をご紹介します。

■梅屋敷
 この地は上の宮より乾の方にして、生玉馬場先の東にあり。園中に数株の梅を植ゑつらね、樹下に席を設く。さる程に如月の花の頃には清香四方(よも)に薫じて、道行く人も唯に過ぐることを得ず。もとより風流(みやび)の好士等むれ集ひて遊観す。
 また、予ては菊を作りて長月のはじめより花壇をひらきて遊客をなぐさむ。実(げ)に春秋ともに美景なる勝地なり。もと、この梅やしきといふは東都亀戸にありて、世に名高く聞こえたるを、文化初年の頃これを模してかくはなれる所なり。


浪華の賑ひ「梅屋敷」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)

 浪花百景にも「梅やしき」がありますので、見てみましょう。

■梅やしき(芳瀧画)
 現在の近鉄上本町駅周辺、いわゆる上六界隈には梅屋敷という梅見の名所がありました。園内に梅を植えつらね、樹下に席を設けて風流の士に供しました。評判をとった江戸の亀戸にあった梅屋敷に倣って文化初年(19世紀初頭)に作られたといわれます。
 園内の梅林の元では謡や舞い、連歌や俳句、双六など思い思いに宴席が設けられました。江戸時代は花見といえば桜ですが、梅の清香を楽しむ風流な観梅も好まれ、四天王寺に向かう道すがら多くの人が早春の花を楽しみました。
 往時このあたりは市塵を遠ざかっていたといわれますが、現在はビルの谷間となっています。

 手前に花がいっぱいの梅の木、その下を歩く花見の客、遠景には宴席が描かれています。右手前には立って歓談する3人の男たち、瓢箪の中はお酒でしょうか?短冊は無地の赤とブルーが使われ、色紙はブルーで横縞が入っています。タイトルは「浪花百景」、絵師は芳瀧で、彫り師の名前は省略されています。

浪花百景「梅やしき」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)

 また、幕末から明治初年に初代長谷川貞信によって描かれた浪花百景にも「梅屋敷」があります。

 ■梅屋敷
 生玉のひがし、桃畑のうちにありて、
梅林一園の柏戸(りょうりゃ)なり。
 盛りの頃は数株の梅花薫々として四方に散じ、
雑人・墨客ここにつどひて風雅に遊び、
花に諷ふありさま実に春興此に尽すといふべし。
 殊更近年あらたに造作なして、美楼・宴席風流をつくし、
又此辺の土をもつて陶器を作り、是を土産にひさぐなど、
すべて風雅の佳景をまして浪花遊観の勝地となれり。

貞信浪花百景「梅屋敷」(大阪府立図書館蔵)

 天保年間発行の「浪華名所獨案内」には、生玉宮の「馬場先」の東、八丁目寺町通トモ云と書かれた通りに面して「梅ヤシキ」が描かれています。現在の上町筋の東にあったことがわかります。挿絵もついていて、モデルルートにも入っています。

浪華名所獨案内(「津の清」蔵・上が東です)
 天保8年(1837)発行の天保新改攝州大坂全圖を見ると、生玉宮から右手に馬場先がのび、鳥居が描かれ、八丁目寺町通につきあたっています。梅屋敷はこの辺りにあったものと推定されますが、地図には表示されていません
 文化3年(1806)発行の増修改正摂州大阪地図をみても、同様に、梅屋敷の表示はありません。

天保新改攝州大坂全圖(国際日本文化研究センター蔵)
増修改正摂州大阪地図(ラムゼイコレクションより)

 大正13年発行の大阪市パノラマ地図を見ると生魂神社から右上に延びる道が馬場先で、市電の走る上町筋に至っています。市電の「上本町七」の停留所の東側に梅屋敷があったものと思われます。

大阪市パノラマ地図(国際日本文化研究センター蔵)

 昭和12年発行の大大阪観光地図を見ると、「生玉神社」から右に延びる道に赤い文字で「馬場先」と表示があり、市電の「上本町七」停留所に至ります。その右に大きく「大軌電車」「大軌百貨店」の文字と挿絵があります。梅屋敷はこの辺りにありました。

大大阪観光地図(国際日本文化研究センター蔵)

 今昔マップ3を利用して、周辺地域の変遷を見てみます。
 左上の明治41年では、地図の左端の生國魂神社から右手に延びる道をたどると「石ヶ辻町」の文字があります。その「町」の字の辺りが「梅屋敷」があった場所と思われますが、地図には表示はありません、
 右上の昭和22年を見ると、白くなっている部分が戦災によって焼失した地域で、幹線道路沿いのビル以外は全焼となり大きな被害を受けています。上町筋と千日前通りに市電が走っています。交差点の南東(右下)に「うえほんまち」駅が見えます。

明治41年から最近の地形図(今昔マップ3より)

 左下の昭和42年を見ると全域が市街地化しています。石ヶ辻町の文字の上に、「うえほんまち」のターミナルがあります。市電はまだ健在です。
 右下の最新地理院地図では、近鉄百貨店の南にYUFURAが完成しています。上町筋と千日前通りの市電は廃止され、谷町筋と千日前通りに地下鉄が通っています。


 現在の様子を写真で見てみましょう。

 1枚目の写真は、現在の上本町六丁目の交差点から南を見たものです。上町筋を挟んで左に近鉄百貨店、右に上本町ハイハイタウンがあります。梅屋敷は上町筋の東側にありましたので、左手の近鉄百貨店やその南のYUFURAのあたりにあったものと思われます。

上本町交差点の近鉄百貨店と上本町ハイハイタウン

 上町筋の南から見ると、近鉄百貨店の南に上本町YUFURA(ユフラ)があります。上本町YUFURAは、2010年8月に近鉄大阪上本町駅南側に誕生した、新歌舞伎座とショップ、オフィスからなる複合ビルです。近鉄百貨店とオフィスビルの間に新歌舞伎座があります。

近鉄百貨店と上本町YUFURA
奥に新歌舞伎座

 YUFURAの建物の周囲には、かつてこの辺りに「梅ヤシキ」があったことに因んで梅の並木が植えられています。
YUFURAの周囲には梅の並木
梅の並木


 今回は、「浪華の賑ひ」の「梅屋敷」をご紹介しました。今昔館8階展示室の床面には大きく拡大した「大阪市パノラマ地図」がありますので、昔の地図、現代の地図と見比べながらお楽しみください。



〇企画展「大大阪時代に咲いたレトロモダンな着物たち~北前船(きたまえぶね)船主・大家(おおいえ)家のファッション図鑑~」開催中。
 残りわずかとなりました。9月1日(日)までです。


 江戸時代後期から昭和戦前期まで、北前船の船主として(明治中期以降は汽船会社を経営)繁栄した大家七兵衛家には祖母・母・娘へと3代にわたって引き継がれた大正・昭和期の着物が数多く残されています。この貴重な着物類が、大阪くらしの今昔館に寄贈されたのを機に、展示公開する運びとなりました。

 これらは船主ならではのイベント、進水式で着用された振袖をはじめ、留袖や訪問着などの礼装、小紋のおしゃれ着、銘仙の普段着のほか、お宮詣りや七五三、十三詣りの子供用の晴れ着など多岐にわたっています。華やかで大胆な柄、洗練された幾何学模様、斬新な色使いに、大正ロマン・昭和モダンの時代の雰囲気を感じることができます。



〇今週のイベント・ワークショップ

 今昔館は9月2日(月)から6日(金)まで、展示替えのため休館となります。
 9月7日からは「商家の賑わい」の展示となります。江戸時代の大坂の店先を再現し、当時の賑やかな商家の様子を楽しめます。

8月28日(水)~31日(土)、9月7日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。
当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
時 間:①11:30~、②14:30~
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)

9月1日(日)、8日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00


9月1日(日)
町家衆イベント 町の解説

江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00-16:00

9月8日(日)
町家衆イベント おじゃみ(有料)

古布を四角く切って縫い合わせて作るおじゃみ(お手玉)。
作り方をていねいにお教えします。
開催日:第2日曜
時 間:14:00-16:00


9月11日(水)
イベント 町家寄席-落語

江戸時代にタイムスリップ!大坂の町家で、落語をきいてみませんか
出演:桂出丸 他
14時~15時


そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。

 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
http://konjyakukan.com/index.html


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html


 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。

「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。
http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。
http://www.sumai-machi-net.com/howtouse



2019年8月20日火曜日

今週の今昔館(177) 寳樹寺 20190820

〇浪華の賑ひに見る江戸時代の大坂(14)

 今回は「浪華の賑ひ」の「寳樹寺」をご紹介します。

 「浪華の賑ひ」の本文には「寳樹寺」の説明文はなく、挿絵のみが掲載されています。
 大阪新四十八願所阿弥陀巡礼の公式ホームページによると、第15番「寶樹寺」として、
所在地
・大阪市天王寺区城南寺町7番10号
■寺院・諸堂来歴
・開山の謂われ、年月日などは不詳だが、江戸初期の創建と推測される。古書から少なくとも明暦3年(1659)には現在地に存立していたことがうかがえる。
・安政2年(1855)刊の『浪華の賑ひ』は往時、庭園を含む広大な寺域を有し、人々の憩いの場でもあったことを記している。
・昭和20年(1945)大阪大空襲でほとんどの堂宇を焼失した。
・昭和20年代後半、第二十六世の眞定和尚が復興を遂げる。外観、内外陣ともに奈良仏教の様式を備えた、優美かつ荘厳な姿を今日に残している。
■本尊
・本尊阿弥陀如来座像。作者不明。制作年代は奈良時代と伝う。
■宝物・墓石・行事など
・もとの大坂四十八箇寺阿弥陀巡礼の碑が本堂横に今日も残る。
・三代目竹本大隅太夫之墓等あり。
・年中行事として修正会(しゅしょうえ)・春秋彼岸会・盂蘭盆施餓鬼会などをいとなむ。

とあります。地図で調べると、大阪府立高津高校の西側に位置しています。では、「浪華の賑ひ」の「寳樹寺」を見てみましょう。


■寳樹寺
 当寺は梅やしきの北にして、東高津にあり。本堂の後の方僧房の庭先に楓の大樹数株あり。紅葉の頃は詩歌の雅客競ひ来って遊楽す。なほ、林泉の風景よく、ひとしほの眺望(ながめ)なり。


浪華の賑ひ「寳樹寺」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)


 浪花百景には、この周辺では、「野中観音桃華盛り」の他に「梅やしき」と「産湯味原池」がありますが、「寳樹寺」は描かれていません。

 江戸時代天保年間発行の「浪華名所獨案内」を見てみましょう。
 前回の「野中クワンヲン」の左下(北西)に「法寿寺」の文字があり、脇に「モミヂの名所」と記されています。漢字は異なりますが、「寳樹寺」はここにあったものと推察できます。この地図は、東が上に書かれています。

浪華名所獨案内(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)

 天保8年(1837)発行の天保新改攝州大坂全圖を見ると、地図の中央、「東高津」の南に「宝樹寺」の文字が見えます。
 文化3年(1806)発行の増修改正摂州大阪地図にも、文字はかすれていますが、「宝樹寺」の文字が見えます。

天保新改攝州大坂全圖(国際日本文化研究センター蔵)
増修改正摂州大阪地図(ラムゼイコレクションより)

 大正13年発行の大阪市パノラマ地図を見ると、高津中学校(現在の高津高校)の西側には、びっしりと寺院が並ぶ寺町となっています。寺の名前は入っていませんが、このなかに「寳樹寺」があったものと思われます。

大阪市パノラマ地図(国際日本文化研究センター蔵)

 昭和12年発行の大大阪観光地図を見ると、高津中学の一筋西は「八丁目東寺町」、その西は「八丁目中寺町」、上町筋となっています。「寳樹寺」は「八丁目東寺町」にありました。味原池は埋め立てられて、味原町となっています。「産湯」の赤い文字も見えます。

大大阪観光地図(国際日本文化研究センター蔵)

 今昔マップ3を利用して、周辺地域の変遷を見てみます。
 左上の明治41年では、味原池の北から西にかけて多くの寺が描かれています。
 右上の昭和4年では、味原池が埋め立てられ、「中学校」の文字が見えます。高津中学が開校しています。その西側一帯は寺町になっています。

明治41年から最近の地形図(今昔マップ3より)

 左下の昭和22年を見ると、白くなっている部分が戦災によって焼失した地域で、寺町一帯は全焼となり大きな被害を受けています。
 右下の最新の地理院地図を見ると、高校の西側には「城南寺町」の文字があり、寺院の記号が多く見られます。戦災の後も、寺町として復興している様子が見られます。


 現在の様子を写真で見てみましょう。

 1枚目の写真は、大阪府立高津高校。2枚目は高校前の通りから一筋西の通りで、城南寺町の寺町、その中に寳樹寺があります。

大阪府立高津高校
城南寺町の寺町
寳樹寺
寳樹寺
寳樹寺
阿弥陀四十八願所巡礼の碑


 今回は、「浪華の賑ひ」の「寳樹寺」をご紹介しました。今昔館8階展示室の床面には大きく拡大した「大阪市パノラマ地図」がありますので、昔の地図、現代の地図と見比べながらお楽しみください。



〇企画展「大大阪時代に咲いたレトロモダンな着物たち~北前船(きたまえぶね)船主・大家(おおいえ)家のファッション図鑑~」開催中。9月1日(日)までです。

 江戸時代後期から昭和戦前期まで、北前船の船主として(明治中期以降は汽船会社を経営)繁栄した大家七兵衛家には祖母・母・娘へと3代にわたって引き継がれた大正・昭和期の着物が数多く残されています。この貴重な着物類が、大阪くらしの今昔館に寄贈されたのを機に、展示公開する運びとなりました。

 これらは船主ならではのイベント、進水式で着用された振袖をはじめ、留袖や訪問着などの礼装、小紋のおしゃれ着、銘仙の普段着のほか、お宮詣りや七五三、十三詣りの子供用の晴れ着など多岐にわたっています。華やかで大胆な柄、洗練された幾何学模様、斬新な色使いに、大正ロマン・昭和モダンの時代の雰囲気を感じることができます。



〇今日は「どっぷり」今昔館!
 8月25日(日)ミュージアムボランティア町家衆が、大阪くらしの今昔館を半日間たっぷりとご案内します。
 集合時間:8月25日(日)12:45(17時解散予定)
 集合場所:大阪くらしの今昔館8階エントランス前
 参加費:無料(今昔館の入館料(600円)が必要)
 詳細と申し込みはこちらからどうぞ
 ⇒https://www.facebook.com/events/1956748447760599/


〇今週のイベント・ワークショップ

8月21日(水)~24日(土)、26日(月)、28日(水)~31日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。
当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
時 間:①11:30~、②14:30~
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)

8月25日(日)、9月1日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00


8月22日(木)
夏休み小学生イベント まちなみ探偵団

江戸時代の大坂の住まいやくらしのヒミツを極秘調査して、
今昔館を訪れている外国の人に見つけたヒミツを伝えてみよう!
10時15分~16時30分
対象:小学4~6年生(安全のため、保護者の送迎をお願いします。)
参加費無料
定員:20名(申し込み多数の場合は抽選)
申込方法:「住まい・まちづくり・ネット」またはハガキ、FAXにてお申し込みください。
ハガキまたはFAXの場合は、参加者・保護者の氏名(フリガナ)、学校名、年齢(学年)、住所、電話番号を記入のうえ、大阪くらしの今昔館「まちなみ探偵団」係まで
申込締切:令和元年8月10日(土)必着(終了しました)
※いただいた個人情報は今回のイベント以外の目的には一切使用いたしません。
※参加者決定後、お申し込み時にご記入いただきましたご住所に、参加証及び詳細をお送りします。
※昼食・飲み物は、各自ご用意ください。

8月23日(金)
町家衆イベント ワークショップ『かんたん万華鏡作り』

13時30分~15時00分
当日先着20名、参加費200円
*当日12時より8階インフォメーションで参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆

8月24日(土)
町家衆イベント ワークショップ『千代紙ろうそくを作ろう』

①13時30分 ②14時30分
当日先着各回10名、参加費200円
*当日12時より8階インフォメーションで参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆


8月25日(日)
イベント 第14回子ども落語大会

開催日時: 令和元年8月25日(日) 午後12時~17時(予定)
開催場所: 大阪くらしの今昔館 9階常設展示室 薬屋座敷
参 加 費: 無料(参加者の御家族1名は無料です)
対  象: 中学生以下
内  容: 落語・小噺・おもしろい話なら、なんでもOK!
持ち時間: 一人10分以内(時間厳守)
申込方法: 往復はがきに住所、氏名、年齢(学年)、電話番号
      演目、ありましたら舞台名、見台の要否、「出場に際してひと言」を明記の上、
      下記申込先へお申し込みください
      応募多数の場合は抽選を行います
申込締切: 令和元年8月12日(月)まで(終了しました)
     <申し込み・問い合わせ先>
     〒530-0041
     大阪市北区天神橋6丁目4-20
     大阪くらしの今昔館「子ども落語大会」係
     TEL 06-6242-1170
備 考  : 本大会の入賞者は、10月6日(日)午前、天満天神繁昌亭の舞台に出演していただきます


町家衆イベント 絵本で楽しい時間
むかし話などの絵本を表情豊かに読み聞かせます。
じっくりとお聞きください。
開催日: 第4日曜
時 間:14:30-15:00


9月1日(日)
町家衆イベント 町の解説

江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00-16:00

9月8日(日)
町家衆イベント おじゃみ(有料)

古布を四角く切って縫い合わせて作るおじゃみ(お手玉)。
作り方をていねいにお教えします。
開催日:第2日曜
時 間:14:00-16:00




そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。

 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
http://konjyakukan.com/index.html


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html


 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。

「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。
http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。
http://www.sumai-machi-net.com/howtouse



2019年8月13日火曜日

今週の今昔館(176) 野中観音 20190813

〇浪華の賑ひに見る江戸時代の大坂(13)

 今回は「浪華の賑ひ」の「野中観音」をご紹介します。

 耳慣れない地名が続きます。今回も江戸時代天保年間発行の「浪華名所獨案内」から始めることとします。
 前回の「二ケン茶屋」から右手(南)を見ると、「サナダ山」「アヂワラ池」「玉の井清水」「イナリ社」「ウブ湯」「小橋」があり、「クツワヤ」の右に「野中クワンヲン」の文字と挿絵があります。近くには「法壽寺」「梅ヤシキ」があり、「大師巡道」、「此辺桃畑多シ」の文字も見えます。上町台地の台地上に観光名所が並んでいた様子が分かります。この地図は、東が上に書かれています。

浪華名所獨案内(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)


 それでは、「浪華の賑ひ」の「野中観音」を見てみましょう。

■野中観音
 玉造小橋の辺より天王寺までの間すべて一円の桃畑なれば、この野中といへる地はまつたく桃の最中(ただなか)にて、紅ゐ匂ふ花の盛りには天も酔へる光景なり。されば、物いはぬ花の下を、人は口を休むることなくおもひおもひに諷ひつれつつ樽や瓢(ひさご)や花の枝うちかたげたる楽しみは、彼の桃源の仙境はいざしらず、その一時の栄花にて千歳も延ぶる心地なるべし。


浪華の賑ひ「野中観音」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)

浪華の賑ひの本文には、
野中観音
産湯の清水の西、野中にあり
寺を遍明院といふ。本尊十一面観世音は和州長谷寺の霊像と同木にして、悪七兵衛景清の守り本尊なるよし。俗に当寺を難波寺といふ説、詳らかならず。
とあります。


 「野中観音」は、浪花百景の百図の内百番目の「野中観音桃華盛り」に描かれています。

■野中観音桃華盛り(ももはなさかり)(芳瀧画)

 もと上本町にあった難波寺(遍明院とも呼ばれる)は、源平の合戦で奮闘した平景清の念持仏と伝える十一面観音を本尊とし、東高津の野原の中にあるため、「野中の観音」と呼ばれ親しまれました。大阪電気軌道(現在の近畿日本鉄道)敷設の際に現在地に移転しました。

 安永年間(1772~1780)以降、当地付近で桃の植林が始まり、次第に上町台地の東斜面は一面に桃の里となりました。春には山も川も谷も紅霞で覆われた見事な美観を見ることができましたが、明治以降、市街地開発が進み、現在では桃山・桃谷など地名・駅名に名残を留めるのみです。

 大きく描かれた桃の花と鳥が印象的な構図で、遠景にも桃の里が広がっています。短冊と色紙に描かれている図柄は、鳥の姿をデザインしたものでしょうか?色調も鳥と桃の花に合わせていますね。

浪花百景「野中観音桃華盛り」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)


 天保8年(1837)発行の天保新改攝州大坂全圖を見ると、地図の左手北に道頓堀があり、その右手に高津宮、南に生玉宮があります。その右側には多くの寺の名前があり、寺町となっています。地図の右寄り、農地に飛び出す位置に「野中ノ観音」の文字が見えます。地図の右上には「小橋墓」があり、池が描かれています。
 文化3年(1806)発行の増修改正摂州大阪地図を見ると、「野中観音、難波寺」の文字が見えます。味原池、小橋墓地の文字もあります。

天保新改攝州大坂全圖(国際日本文化研究センター蔵)
増修改正摂州大阪地図(ラムゼイコレクションより)

 大正13年発行の大阪市パノラマ地図を見ると、上町筋と千日前通りに市電が走り、交差点に「上本町六」の停留所があります。交差点の南東に大阪電気軌道(大軌・現在の近鉄)の駅が見えます。地図の右上で、大軌と省線(現在のJR大阪環状線)が交差していますが、まだここに鶴橋の駅はありません。その左下には「桃山病院」が描かれています。大軌のターミナルの建設に伴い野中観音は1925年(大正14年)に生野区巽北に移転しました。

大阪市パノラマ地図(大阪くらしの今昔館蔵)

 昭和12年発行の大大阪観光地図を見ると、「上本町六」交差点の右下(南東)角に丸囲みの赤文字で「大軌電車」「大軌百貨店」の文字があり建物の挿絵が描かれています。その右手には、赤十字病院の文字も見えます。

大大阪観光地図(国際日本文化研究センター蔵)

 当時の絵葉書より(大阪名所)大軌ビルデング。

(大阪名所)大軌ビルデング
大阪市立図書館デジタルアーカイブ


 今昔マップ3を利用して、周辺地域の変遷を見てみます。
 左上の明治41年では、東区の文字の右側に一部空地がありますがその他は市街地となっています。多くの寺がみられ、果樹の記号も見えます。
 右上の昭和4年では、上町筋と千日前通りが拡幅され、市電が通っています。交差点の南東(右下)に大阪軌道の「うえほんまち」駅が見えます。

明治41年から昭和42年の地形図(今昔マップ3より)

 左下の昭和22年を見ると、白くなっている部分が戦災によって焼失した地域で、幹線道路沿いのビル以外は全焼となり大きな被害を受けています。上町筋と千日前通りに市電が走っています。
 右下の昭和42年では、全域が市街地化しています。石ヶ辻町の文字の上に、「うえほんまち」のターミナルがあります。市電はまだ健在です。


 現在の様子を写真で見てみましょう。

 1枚目の写真は、現在の上本町六丁目の交差点から南東を見たものです。右に近鉄百貨店、左にシェラトン都ホテル大阪があります。

上本町交差点の近鉄百貨店

 上町筋の南から見ると、近鉄百貨店の南に上本町YUFURA(ユフラ)があります。上本町YUFURAは、2010年8月に近鉄大阪上本町駅南側に誕生した、新歌舞伎座とショップ、オフィスからなる複合ビルです。近鉄百貨店とオフィスビルの間に新歌舞伎座があります。

近鉄百貨店と上本町YUFURA
奥に新歌舞伎座

 新歌舞伎座の東側から近鉄のターミナルを見たところです。ターミナルの南には近鉄本社ビルがあります。野中観音はこのあたりにありました。

近鉄ターミナルを南西から見る

ターミナルの南には近鉄本社ビル
近鉄ターミナルと警察病院

 YUFURAの建物の周囲には、かつて近隣に「梅ヤシキ」があったことに因んで梅の並木が植えられています。
YUFURAの周囲には梅の並木
梅の並木


 今回は、「浪華の賑ひ」の「野中観音」をご紹介しました。今昔館8階展示室の床面には大きく拡大した「大阪市パノラマ地図」がありますので、昔の地図、現代の地図と見比べながらお楽しみください。



〇企画展「大大阪時代に咲いたレトロモダンな着物たち~北前船(きたまえぶね)船主・大家(おおいえ)家のファッション図鑑~」開催中。9月1日(日)までです。

 江戸時代後期から昭和戦前期まで、北前船の船主として(明治中期以降は汽船会社を経営)繁栄した大家七兵衛家には祖母・母・娘へと3代にわたって引き継がれた大正・昭和期の着物が数多く残されています。この貴重な着物類が、大阪くらしの今昔館に寄贈されたのを機に、展示公開する運びとなりました。

 これらは船主ならではのイベント、進水式で着用された振袖をはじめ、留袖や訪問着などの礼装、小紋のおしゃれ着、銘仙の普段着のほか、お宮詣りや七五三、十三詣りの子供用の晴れ着など多岐にわたっています。華やかで大胆な柄、洗練された幾何学模様、斬新な色使いに、大正ロマン・昭和モダンの時代の雰囲気を感じることができます。



〇今日は「どっぷり」今昔館!
 8月25日(日)ミュージアムボランティア町家衆が、大阪くらしの今昔館を半日間たっぷりとご案内します。
 集合時間:8月25日(日)12:45(17時解散予定)
 集合場所:大阪くらしの今昔館8階エントランス前
 参加費:無料(今昔館の入館料(600円)が必要)
 詳細と申し込みはこちらからどうぞ
 ⇒https://www.facebook.com/events/1956748447760599/


〇今週のイベント・ワークショップ

8月14日(水)~17日(土)、19日(月)、21日(水)~24日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。
当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
時 間:①11:30~、②14:30~
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)

8月18日(日)、25日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00


8月16日(金)
ワークショップ 『つまみ細工で作るアクセサリー』

13時30分~15時00分
当日先着20名、参加費300円
*当日12時より8階インフォメーションで参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆

8月17日(土)
町家衆イベント 折り紙(有料)

季節に合わせてさまざまな折り紙をお教えします。
作品は持ち帰っていただきます。
開催日:偶数月の第3土曜
時 間:13:30-15:00


8月18日(日)
町家衆イベント 紙芝居

昔ながらの紙しばいを町家衆が上演します。
子どもから大人まで楽しんでいただけます。
開催日:日曜適時
11時~12時


町家衆イベント 今昔語り
大阪に残る昔ばなしを、町家の座敷でお聞かせします。
あたたかくなつかしい風情をお楽しみください。
開催日:お茶会と同日
時 間:14:30-15:00


町家衆イベント 町の解説
江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00-16:00


イベント 町家でお茶会
町家の座敷で「ほっと一息」一服いかがですか
先着順50名、茶菓代300円
※当日12時より8階インフォメーションでお茶券を販売します
協力:大阪市役所茶道部
13時~15時


8月22日(木)
夏休み小学生イベント まちなみ探偵団

江戸時代の大坂の住まいやくらしのヒミツを極秘調査して、
今昔館を訪れている外国の人に見つけたヒミツを伝えてみよう!
10時15分~16時30分
対象:小学4~6年生(安全のため、保護者の送迎をお願いします。)
参加費無料
定員:20名(申し込み多数の場合は抽選)
申込方法:「住まい・まちづくり・ネット」またはハガキ、FAXにてお申し込みください。
ハガキまたはFAXの場合は、参加者・保護者の氏名(フリガナ)、学校名、年齢(学年)、住所、電話番号を記入のうえ、大阪くらしの今昔館「まちなみ探偵団」係まで
申込締切:令和元年8月10日(土)必着(終了しました)
※いただいた個人情報は今回のイベント以外の目的には一切使用いたしません。
※参加者決定後、お申し込み時にご記入いただきましたご住所に、参加証及び詳細をお送りします。
※昼食・飲み物は、各自ご用意ください。

8月23日(金)
町家衆イベント ワークショップ『かんたん万華鏡作り』

13時30分~15時00分
当日先着20名、参加費200円
*当日12時より8階インフォメーションで参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆

8月24日(土)
町家衆イベント ワークショップ『千代紙ろうそくを作ろう』

①13時30分 ②14時30分
当日先着各回10名、参加費200円
*当日12時より8階インフォメーションで参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆


8月25日(日)
イベント 第14回子ども落語大会

開催日時: 令和元年8月25日(日) 午後12時~17時(予定)
開催場所: 大阪くらしの今昔館 9階常設展示室 薬屋座敷
参 加 費: 無料(参加者の御家族1名は無料です)
対  象: 中学生以下
内  容: 落語・小噺・おもしろい話なら、なんでもOK!
持ち時間: 一人10分以内(時間厳守)
申込方法: 往復はがきに住所、氏名、年齢(学年)、電話番号
      演目、ありましたら舞台名、見台の要否、「出場に際してひと言」を明記の上、
      下記申込先へお申し込みください
      応募多数の場合は抽選を行います
申込締切: 令和元年8月12日(月)まで(終了しました)
     <申し込み・問い合わせ先>
     〒530-0041
     大阪市北区天神橋6丁目4-20
     大阪くらしの今昔館「子ども落語大会」係
     TEL 06-6242-1170
備 考  : 本大会の入賞者は、10月6日(日)午前、天満天神繁昌亭の舞台に出演していただきます


町家衆イベント 絵本で楽しい時間
むかし話などの絵本を表情豊かに読み聞かせます。
じっくりとお聞きください。
開催日: 第4日曜
時 間:14:30-15:00



そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。

 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
http://konjyakukan.com/index.html


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html


 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。

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