2022年5月25日水曜日

今週の今昔館(320) 浪花風景十二月 皐月 五月雨の茶臼山 20220525

〇今昔館の館蔵品紹介「浪花風景十二月 皐月 五月雨の茶臼山」
 今回は、大坂の風景を12ヶ月の月別に描いた二代長谷川貞信(はせがわさだのぶ)による画帖「浪花風景十二月」から「皐月 五月雨の茶臼山」をご紹介します。

 12ヶ月の月ごとの行事や風俗を主題として描く「月次絵」は、古くから屏風や襖絵、巻子などいろいろな形式で描かれてきました。
 今回紹介する画帖「浪花風景十二月」も、画帳の形式で1枚に1月づつ、江戸時代の大坂を象徴する景色や名所を季節感を織り交ぜながら描いています。
 二代長谷川貞信(にだいはせがわさだのぶ)の肉筆で、二代貞信は江戸時代から昭和初期の変化に富んだ時代の様子を書き残した浮世絵師として知られています。

 今昔館には同じく二代貞信が描き、本画帖と同じ寸法かつ類似の表装で仕立てられた「浪花風俗十二月」も所蔵されており、2つの画帖は「対」もしくは「シリーズ」として製作されたことがうかがえます。

 本作品が描かれたのは貞信の最晩年の昭和14年(1939)ですが、描かれている様子は江戸時代の風景のため、本作は実像を見ながら描いているのではなく回顧して描いている点に留意する必要があります。しかし江戸時代の後期の大坂に生まれ、古くからの行事や風景に親しんで育った二代貞信の描写は、大阪のかつての風景を探る上で一定の信頼性があると考えられます。

■浪花風景十二月 皐月 五月雨の茶臼山
 茶臼山は一心寺の南にあり、荒「陵」と呼ばれ、もともと前方後円の古墳であったと伝承している。大坂冬の陣で家康の本陣となり、夏の陣では真田幸村が布陣した。宝暦 9年(1759)の一心寺出開帳の折には茶臼山も仮設の茶店で賑わったが、神聖な場所のため、その後は立ち入りが禁じられた。江戸の道灌山・京都の嵐山・大坂の茶臼山と並び称され、風流な景勝地でもあった。
(大阪くらしの今昔館研究紀要17号掲載の、学芸員服部麻衣さんの論文『資料紹介 二代長谷川貞信 「浪花風景十二月」』より)


浪花風景十二月 皐月 五月雨の茶臼山
(大阪くらしの今昔館蔵)


〇企画展「漆造形の旗手 栗本夏樹の世界」開催中です

 2022年4月16日(土)〜2022年7月3日(日)

 天然の塗料である漆は、古くから日用品や調度、建築装飾などに多用され、その独特な美観でもって、日本の伝統的な住まいやくらしの中に彩りを添えてきました。大阪出身の造形作家である栗本夏樹は、日本人の生活文化と密接に関わってきた漆という素材を、新たな生命を吹き込む神聖な存在と捉え、現代の生活空間を飾る様々な作品へと昇華してきました。栗本が漆を塗る対象は流木や樹皮、石などの自然物をはじめ、使用されなくなった紙管や自動車のボンネットなどの人工物にも及びます。1994年には大阪南港にあるアジア太平洋トレードセンターで行われたモニュメント制作の指名コンペティションに参加。この時に選出された“アジアの中の私”は、1996年のおおさかパブリックアート賞を受賞し、これを機にその活躍の場は公的な空間に置かれる造形物にまで広がりました。

 本展では立体、平面、器物を中心とした栗本の過去から現在に至るまでの代表的な作品を一堂に集め、栗本が取り入れてきた表現の移り変わりを概観することができます。長い歴史の中で育まれてきた伝統的な美を継承しつつも、新たな発見に満ちた漆造形の世界をご覧ください。

◇ギャラリートーク◇
 4/23(土)・5/28(土)・ 6/25(土)
 /8階企画展示室にて14時から約1時間(申込不要)
 ※入館チケットが必要です
 ※状況により人数制限をする場合があります




〇天井改修工事の実施に伴う一部展示室等の閉鎖のお知らせ

 大阪くらしの今昔館から重要なお知らせです。
 天井改修工事の実施に伴い、令和4年秋頃(予定)までの約1年間、9階常設展示室および10階展望フロアが閉鎖されますので、ご注意ください。


・9階、10階の閉鎖期間中は8階企画展示室に町家座敷を実物大で再現し展示します。
・8階の吹抜け部分に大型映像コーナーを新設し、江戸時代の大坂の町なみと天保年間の人々の暮らしを描いた動画をご覧いただけます。


・天井改修工事期間中の入館料
8階常設展と企画展をご覧いただけます。
 一般   400円  団体(20名以上)300円
 高・大生 300円  団体(20名以上)200円 *要学生証提示

【年間パスポート】
現在年間パスポートは販売を休止しております。

【年間パスポートをお持ちの方へ】
天井改修工事期間を含む年間パスポートをお持ちの方は有効期限を延長いたします。インフォメーションにて手続きをいたしますので、次回ご来館の際にご提示ください。



 今昔館の近代のフロアをご紹介する動画が2編公開されています。動画を見てから見学すると、見どころがよくわかると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=SbqzmybwKss&feature=youtu.be


https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4



〇住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」とは?

 住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」は2001年4月26日に開館しました。昨年、開館20周年を迎えました。
 前館長の谷直樹先生と新館長の増井正哉先生がこれまでの道のりを振り返り、これからの課題について語り合う動画が公開されています。
 こちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=kFW0qbelLNo

 ここは「住まいの歴史と文化」をテーマにした、日本で初めての專門ミュージアムです。
 住まい情報センターのビルの9階「なにわ町家の歳時記」は、江戸時代のフロア。天保初年(1830年代前半)の大坂の町並みを実物大で復元しています。
 8階「モダン大阪パノラマ遊覧」は、明治・大正・昭和のフロアで近代大阪の住まいと暮らしを模型や資料で展示。
 さらに企画展示室では特別展や企画展を開催しています。


〇大阪くらしの今昔館は開館していますが、イベント・ワークショップ等の開催は中止しています。

 イベント・ワークショップおよびボランティアによる展示解説(町家衆による町家ツアー)等は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の為、当面の間 開催を中止いたします。

 開催を楽しみにしてくださった皆様にはご迷惑をおかけしますが、ご理解をいただきますようお願いいたします。


〇大阪くらしの今昔館の紹介動画
 今昔館の江戸時代のフロアをご紹介する動画(全4編)の目次はこちらからどうぞ。
 こちらから、見たい部分だけを見ることができます。英語の字幕入りの動画を見ることもできます。
http://konjyakukan.com/link_pdf/what's%20this%20.pdf



 このほかに「天神祭となにわの町」をご紹介する動画があります。
https://www.youtube.com/watch?v=3or8fq4U8zE&feature=youtu.be




〇落語家 桂米團治と歩く江戸時代の大坂
 大阪くらしの今昔館の9階常設展示室にある江戸時代(天保年間)の大坂の町並みをご紹介する新しい動画ができました。案内人は上方の落語家、桂米團治師匠です。
〈①表通り編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=n1moBJy5uB4
〈②町家の暮らし編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=dDb2VBmyKnw



〇【動画】重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界
 重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵(さあん)」の実物大構造模型(竹中大工道具館所蔵)を京都工芸繊維大学名誉教授 日向進先生が分かりやすく解説してくださいます。
 こちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=tqJEnPZckbc&feature=youtu.be



〇「今昔館のオンライン まなびプログラム」が公開されています
 大阪のまちと住まいや くらしのことを おうちで学んでみませんか?
 こちらからどうぞ。
 ⇒https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/manabi_program/今昔館のオンラインまなびプログラム




 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html



2022年5月18日水曜日

今週の今昔館(319) 住まいの大阪六景「古市中団地」 20220518

〇今昔館の近代展示室の見どころ(27) 住まいの大阪六景「古市中団地」

 大阪くらしの今昔館は、天井改修工事の実施に伴い、令和4年秋頃(予定)まで、9階常設展示室(江戸時代のフロア)および10階展望フロアが閉鎖されています。今回は、「住まいの大阪六景」の最後のひとつとして、「古市中団地 -計画的団地の開発-」をご紹介します。

古市中団地(住まいの大阪六景)

 戦災復興とこれに続く高度経済成長に伴う都市への人口集中に対応するため、数多くの公共住宅団地が建設されました。
 なかでも、昭和28(1953)年度から城東区古市の一角にある軍用地跡で建設が始まった市営古市中団地は、戦後の計画的団地開発のモデルとして全国的に大きな反響を呼びました。住戸・住棟計画・配置計画のみならず外構や色彩にも新しい試みが行われ、さらに学校や道路・公園なども含めた街全体を計画の対象とした計画の総合性が注目されました。


 設計者の久米権九郎氏がドイツ留学のおり、各地で街の美しさに大いに感銘を受け、古市中団地の設計にあたって変化に富んだ美しい街をつくることに主眼をおいたといわれます。土地区画整理事業に基づく格子道路や都市計画公園に大胆な変更を加え、通過交通の無い有機的な曲線を用いた道路パターンと街区構成が採用されました。住棟の階数は2階から5階まで変化を持たせ、アクセスも北入りと南入りを組み合わせています。給水塔も団地のシンボルとして造形上の配慮を行い、ジャングルジムなどの子どもの遊具にも意匠を凝らしています。水洗トイレやバルコニーなど近代的設備を備えた各住戸では新しいライフスタイルの暮らしが始まり、周囲からはあこがれの住宅として見られたといわれています。

 近代都市住宅年表の下の段には各時代の代表的な住宅の立面図が同じスケールで描かれています。古市中団地もあります。
 3階建ての住棟のバックには、年表に食い込むように給水塔も描かれています。後ろに描かれている日本住宅公団の西長堀アパートよりも高く、給水塔のスケール感がよくわかります。


 西長堀アパートは、初期の公団住宅で特に注目されるもので、東京の晴海アパートと対をなす都心部高層住宅の試みの一つです。昭和33年に完成した地上11階地下1階、単身者向け住宅50戸を含む263戸の店舗併存住宅で、約300坪の貸店舗と約150坪の貸倉庫が1階および地階に配置されていました。その巨大な姿から「マンモスアパート」の愛称で呼ばれていました。入居者には郊外団地とは異なる都市型の生活様式の持ち主が多かったと考えられ、作家の司馬遼太郎さんやデザイナーの鴨居羊子さん、森光子さんや野村克也さんなどの著名人も暮らしておられました。平成28年(2016)2月に、建物のリフレッシュ工事とともに新しい企画の住戸プランも登場し、58年目の再デビューをしています。

古市中団地(背景に給水塔と西長堀アパート)

 次の写真は、1948年(昭和23年)に米軍によって撮影された航空写真です。中央の城北川の東にあるドーム状の建物は1937年(昭和12年)3月に完成した大阪大国技館(大阪関目国技館)で、当時の両国国技館よりも大きい施設でした。現在その復元模型が城東区役所内に展示されています。
 しかし、オープン間もない1941年(昭和16年)には戦局の悪化から相撲興行が中断。結果的に4年で7回の準本場所を開催しただけで、戦時中は建物は倉庫に転用されました。戦後米軍に接収された後、その跡地は日本住宅公団(現UR都市機構)の団地になっています。その東側の一帯が古市中団地の敷地で、軍用地の跡となっています。格子状に区画整理された道路となっていたことがわかります。


米軍撮影の航空写真(昭和23年・国土地理院)
大阪大国技館の復元模型
(城東区役所内に展示)

 最後に、古市周辺の市街地の変遷を今昔マップ3で見てみましょう。左上は明治41年。一面が農地になっていて、水路が描かれています。右上は昭和22年。城北運河(城北川:昭和15年(1940)建設)が描かれ、川沿いには丸い建物があり、「旧国技館」の文字が見えます。農地だったところが区画整理によって街区ができてきています。左下は平成7年。古市二丁目の文字のところが古市中団地で、そのほか、UR都市機構の団地や、城北川沿いの工場跡に建設されたマンション群も描かれています。右下は、最近の航空写真で、建て替え後の古市中団地が写っています。

明治41年・昭和22年・平成7年の地形図、
最近の航空写真の古市付近(今昔マップ3)

 今回は、「住まいの大阪六景」のひとつ、「古市中団地 -計画的団地の開発-」の模型をご紹介しました。解説は、「まちに住まう-大阪都市住宅史」を参考にしました。


〇企画展「漆造形の旗手 栗本夏樹の世界」開催中です

 2022年4月16日(土)〜2022年7月3日(日)

 天然の塗料である漆は、古くから日用品や調度、建築装飾などに多用され、その独特な美観でもって、日本の伝統的な住まいやくらしの中に彩りを添えてきました。大阪出身の造形作家である栗本夏樹は、日本人の生活文化と密接に関わってきた漆という素材を、新たな生命を吹き込む神聖な存在と捉え、現代の生活空間を飾る様々な作品へと昇華してきました。栗本が漆を塗る対象は流木や樹皮、石などの自然物をはじめ、使用されなくなった紙管や自動車のボンネットなどの人工物にも及びます。1994年には大阪南港にあるアジア太平洋トレードセンターで行われたモニュメント制作の指名コンペティションに参加。この時に選出された“アジアの中の私”は、1996年のおおさかパブリックアート賞を受賞し、これを機にその活躍の場は公的な空間に置かれる造形物にまで広がりました。

 本展では立体、平面、器物を中心とした栗本の過去から現在に至るまでの代表的な作品を一堂に集め、栗本が取り入れてきた表現の移り変わりを概観することができます。長い歴史の中で育まれてきた伝統的な美を継承しつつも、新たな発見に満ちた漆造形の世界をご覧ください。

◇ギャラリートーク◇
 4/23(土)・5/28(土)・ 6/25(土)
 /8階企画展示室にて14時から約1時間(申込不要)
 ※入館チケットが必要です
 ※状況により人数制限をする場合があります




〇天井改修工事の実施に伴う一部展示室等の閉鎖のお知らせ

 大阪くらしの今昔館から重要なお知らせです。
 天井改修工事の実施に伴い、令和4年秋頃(予定)までの約1年間、9階常設展示室および10階展望フロアが閉鎖されますので、ご注意ください。


・9階、10階の閉鎖期間中は8階企画展示室に町家座敷を実物大で再現し展示します。
・8階の吹抜け部分に大型映像コーナーを新設し、江戸時代の大坂の町なみと天保年間の人々の暮らしを描いた動画をご覧いただけます。


・天井改修工事期間中の入館料
8階常設展と企画展をご覧いただけます。
 一般   400円  団体(20名以上)300円
 高・大生 300円  団体(20名以上)200円 *要学生証提示

【年間パスポート】
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【年間パスポートをお持ちの方へ】
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 今昔館の近代のフロアをご紹介する動画が2編公開されています。動画を見てから見学すると、見どころがよくわかると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=SbqzmybwKss&feature=youtu.be


https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4



〇住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」とは?

 住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」は2001年4月26日に開館しました。昨年、開館20周年を迎えました。
 前館長の谷直樹先生と新館長の増井正哉先生がこれまでの道のりを振り返り、これからの課題について語り合う動画が公開されています。
 こちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=kFW0qbelLNo

 ここは「住まいの歴史と文化」をテーマにした、日本で初めての專門ミュージアムです。
 住まい情報センターのビルの9階「なにわ町家の歳時記」は、江戸時代のフロア。天保初年(1830年代前半)の大坂の町並みを実物大で復元しています。
 8階「モダン大阪パノラマ遊覧」は、明治・大正・昭和のフロアで近代大阪の住まいと暮らしを模型や資料で展示。
 さらに企画展示室では特別展や企画展を開催しています。


〇大阪くらしの今昔館は開館していますが、イベント・ワークショップ等の開催は中止しています。

 イベント・ワークショップおよびボランティアによる展示解説(町家衆による町家ツアー)等は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の為、当面の間 開催を中止いたします。

 開催を楽しみにしてくださった皆様にはご迷惑をおかけしますが、ご理解をいただきますようお願いいたします。


〇大阪くらしの今昔館の紹介動画
 今昔館の江戸時代のフロアをご紹介する動画(全4編)の目次はこちらからどうぞ。
 こちらから、見たい部分だけを見ることができます。英語の字幕入りの動画を見ることもできます。
http://konjyakukan.com/link_pdf/what's%20this%20.pdf



 このほかに「天神祭となにわの町」をご紹介する動画があります。
https://www.youtube.com/watch?v=3or8fq4U8zE&feature=youtu.be




〇落語家 桂米團治と歩く江戸時代の大坂
 大阪くらしの今昔館の9階常設展示室にある江戸時代(天保年間)の大坂の町並みをご紹介する新しい動画ができました。案内人は上方の落語家、桂米團治師匠です。
〈①表通り編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=n1moBJy5uB4
〈②町家の暮らし編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=dDb2VBmyKnw



〇【動画】重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界
 重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵(さあん)」の実物大構造模型(竹中大工道具館所蔵)を京都工芸繊維大学名誉教授 日向進先生が分かりやすく解説してくださいます。
 こちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=tqJEnPZckbc&feature=youtu.be



〇「今昔館のオンライン まなびプログラム」が公開されています
 大阪のまちと住まいや くらしのことを おうちで学んでみませんか?
 こちらからどうぞ。
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 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
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 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
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2022年5月11日水曜日

今週の今昔館(318) 住まいの大阪六景「城北バス住宅」 20220511

〇今昔館の近代展示室の見どころ(26) 住まいの大阪六景「城北バス住宅」

 大阪くらしの今昔館は、天井改修工事の実施に伴い、令和4年秋頃(予定)まで、9階常設展示室(江戸時代のフロア)および10階展望フロアが閉鎖されています。今回は、「住まいの大阪六景」のひとつ、「城北バス住宅-転用住宅と戦災復興-」をご紹介します。

城北バス住宅-転用住宅と戦災復興-
(住まいの大阪六景)

 終戦後、迫り来る冬を前にして、住む家が無い戦災者や引揚者への緊急措置として、仮設住宅が建設されるとともに、旧兵舎や寮・学校、バスなども一時しのぎの住宅に転用されました。バス住宅は、木炭バスの廃車体を焼け跡や空き地に置き並べたもので、狭くて劣悪な点では壕舎住宅やバラックと同様でしたが、バス住宅などの転用住宅は大阪市の経営する市営住宅の一つであり、自然発生的に個人が応急的に作ったバラック類とは、性格を異にするものでした。住まいの大阪六景のひとつとして展示されている「城北バス住宅-転用住宅と戦災復興-」は、史実に基づいて制作された模型です。

城北バス住宅平面図・配置図
(まちに住まうー大阪都市住宅史)

 くらしの道具の変遷の展示のバックの壁面には「近代都市住宅年表」があります。明治以降から現代までの大阪の住まいと暮らしの歴史を、「都市住宅の変容」を軸に、市街地や郊外居住の変化などの流れも含めて年表にまとめたものです。
 この年表の下の段には各時代の代表的な住宅の立面図が同じスケールで描かれています。その中に「城北バス住宅」もあります。


城北バス住宅(近代都市住宅年表)

 終戦後、昭和23年に米軍によって撮影された写真です。時計の文字盤のようにバスが並べられている様子が写っています。円盤の中央に建つ共同の炊事場・便所の小屋もよくわかります。

昭和23年米軍撮影の航空写真(国土地理院)

 なぜこの場所に応急仮設のバス住宅が建設されたのでしょうか?ヒントはもう一枚の地図です。国土地理院地図に「明治時代の低湿地」と呼ばれる地図があり、明治20年頃の水路や湿地の様子がわかります。水色は水面、黄色は水田を示しています。

 水色の部分が明治43年に完成した淀川大改修工事以前の淀川の流れです。現在の城北公園内にある池や菖蒲園も、旧淀川の川筋であったことが確認できます。
 地図中の+印がバス住宅で、その位置は以前は川の中にあったことがわかります。バス住宅のあたりの住所は、大正14年(1925)に大阪市に編入された以降、旭区に編入される以前は、「東淀川区豊里町」でした。豊里は淀川北岸に現在も残る地名ですが、その一部が淀川大改修によって、新しい川の南岸に飛び地として残されましたが、地名は以前の地名が残されていたことがわかります。昭和18年(1943)の区域再編で旭区に編入された以降も、昭和46年(1971)に住居表示の変更により「豊里町」と「橋寺町」が「太子橋1~3丁目」となるまでの間は、豊里の地名が残っていました。
 また、現在埋め立てられて阪神高速道路が通っている江野川は、水田に水を届けるための農業用水路として、洪水の際に淀川の堤防が決壊することを防ぐために淀川の上流・枚方付近から水を引き、淀川に沿って下流まで水を運ぶ「樋管統一水路」として建設されたものです。


水色が改修前の淀川
(地理院地図・明治時代の低湿地)

 さらに、今昔マップ3を使って、明治41年の地形図を見ると、現在の旭区と守口市の境界は、付け替え前の旧淀川の川筋によって決まっていることがわかります。この境界線は、かつては河内の国と摂津の国の国境でした。
 また、昭和22年の地形図を見ると、バス住宅の建っている位置は、当時空地であったこともわかります。


明治41年・昭和22年・平成7年の地形図、
最近の航空写真の城北付近(今昔マップ3)

 今回は、「住まいの大阪六景」のひとつ、「城北バス住宅 -転用住宅と戦災復興-」の模型をご紹介しました。


〇企画展「漆造形の旗手 栗本夏樹の世界」開催中です

 2022年4月16日(土)〜2022年7月3日(日)

 天然の塗料である漆は、古くから日用品や調度、建築装飾などに多用され、その独特な美観でもって、日本の伝統的な住まいやくらしの中に彩りを添えてきました。大阪出身の造形作家である栗本夏樹は、日本人の生活文化と密接に関わってきた漆という素材を、新たな生命を吹き込む神聖な存在と捉え、現代の生活空間を飾る様々な作品へと昇華してきました。栗本が漆を塗る対象は流木や樹皮、石などの自然物をはじめ、使用されなくなった紙管や自動車のボンネットなどの人工物にも及びます。1994年には大阪南港にあるアジア太平洋トレードセンターで行われたモニュメント制作の指名コンペティションに参加。この時に選出された“アジアの中の私”は、1996年のおおさかパブリックアート賞を受賞し、これを機にその活躍の場は公的な空間に置かれる造形物にまで広がりました。

 本展では立体、平面、器物を中心とした栗本の過去から現在に至るまでの代表的な作品を一堂に集め、栗本が取り入れてきた表現の移り変わりを概観することができます。長い歴史の中で育まれてきた伝統的な美を継承しつつも、新たな発見に満ちた漆造形の世界をご覧ください。

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 4/23(土)・5/28(土)・ 6/25(土)
 /8階企画展示室にて14時から約1時間(申込不要)
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 大阪くらしの今昔館から重要なお知らせです。
 天井改修工事の実施に伴い、令和4年秋頃(予定)までの約1年間、9階常設展示室および10階展望フロアが閉鎖されますので、ご注意ください。


・9階、10階の閉鎖期間中は8階企画展示室に町家座敷を実物大で再現し展示します。
・8階の吹抜け部分に大型映像コーナーを新設し、江戸時代の大坂の町なみと天保年間の人々の暮らしを描いた動画をご覧いただけます。


・天井改修工事期間中の入館料
8階常設展と企画展をご覧いただけます。
 一般   400円  団体(20名以上)300円
 高・大生 300円  団体(20名以上)200円 *要学生証提示

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https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4



〇住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」とは?

 住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」は2001年4月26日に開館しました。昨年、開館20周年を迎えました。
 前館長の谷直樹先生と新館長の増井正哉先生がこれまでの道のりを振り返り、これからの課題について語り合う動画が公開されています。
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 ここは「住まいの歴史と文化」をテーマにした、日本で初めての專門ミュージアムです。
 住まい情報センターのビルの9階「なにわ町家の歳時記」は、江戸時代のフロア。天保初年(1830年代前半)の大坂の町並みを実物大で復元しています。
 8階「モダン大阪パノラマ遊覧」は、明治・大正・昭和のフロアで近代大阪の住まいと暮らしを模型や資料で展示。
 さらに企画展示室では特別展や企画展を開催しています。


〇大阪くらしの今昔館は開館していますが、イベント・ワークショップ等の開催は中止しています。

 イベント・ワークショップおよびボランティアによる展示解説(町家衆による町家ツアー)等は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の為、当面の間 開催を中止いたします。

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https://www.youtube.com/watch?v=3or8fq4U8zE&feature=youtu.be




〇落語家 桂米團治と歩く江戸時代の大坂
 大阪くらしの今昔館の9階常設展示室にある江戸時代(天保年間)の大坂の町並みをご紹介する新しい動画ができました。案内人は上方の落語家、桂米團治師匠です。
〈①表通り編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=n1moBJy5uB4
〈②町家の暮らし編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=dDb2VBmyKnw



〇【動画】重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界
 重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵(さあん)」の実物大構造模型(竹中大工道具館所蔵)を京都工芸繊維大学名誉教授 日向進先生が分かりやすく解説してくださいます。
 こちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=tqJEnPZckbc&feature=youtu.be



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 こちらからどうぞ。
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 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
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