2017年12月26日火曜日

今週の今昔館(91) 「くらしの道具の変遷、近代展示室連載のまとめ」 20171226

〇今昔館の近代展示室を愉しむ(25) 「くらしの道具の変遷と近代展示室連載のまとめ」

 今回は、大阪くらしの今昔館の8階近代展示室に入って右手の年表の前に展示している「くらしの道具の変遷」をご紹介します。

 アイロンといっても、炭アイロン、ガスアイロン、電気アイロンがあったり、電気冷蔵庫ができる前の「氷冷蔵庫(アイスボックス)」があったり、ガスストーブやコンロ、掃除機や扇風機、炊飯器、蓄音機、ステレオなどが並んでいます。どうぞ昔を懐かしんでください。


 年表の前の右端には、展示ケースが2つ並んでいます。ここは、ミニコーナーになっていて、随時展示内容が変わります。現在は、「東京オリンピックが開催されたころ」のテーマで、当時発行された雑誌などが展示されています。

 今回は「くらしの道具の変遷」をご紹介しました。

 7月から半年間、25回にわたって「今昔館の近代展示室を愉しむ」シリーズを連載してきましたが、今回が最終回となります。
 最後に、まとめとして、近代展示室見学のお勧め順路をご紹介します。
 近代展示室は、どこからどんな順番で見ても、楽しめるようになっていますが、ガイドをするとしたらどんな順路がわかりやすいか、楽しんでいただけるかを考えてみたものです。

 9階の江戸時代の展示室から降りてきて、まず初めに、展示室に入って左手の「からくり錦絵」の、造幣寮心斎橋梅田ステンショを見ます。明治時代に入って文明開化で大阪がどう変化したか、近代へのエントランスゾーンになっています。

 続いて、6つの模型「住まいの大阪六景」を、川口居留地北船場大大阪新開地空堀通城北バス住宅古市中団地の順に見ます。明治以降、大阪の住まいがどのように変化してきたかが概観できます。

 そして、6つの模型の間の床面にある「大阪市パノラマ地図」を見ます。これまで見てきた¥錦絵や模型が地図の中ではどこにあるか探してみるのも面白いと思います。大阪出身の方なら、自宅や母校を探してみてもいいでしょう。

 続いて、展示室の外周部、壁面に展示している「天神祭」「心斎橋筋商店街」「通天閣とルナパーク」を見ます。まちや暮らしの変遷をたどることができます。

 そして、最後に「都市住宅年表」とその前に並んでいる「くらしの道具」を見ます。


 以上で、ひととおり廻ったことになりますが、忘れてはならないのが「住まい劇場」です。近代展示室を30分以上ゆっくりと見学しておられたら、どこかで、展示室正面のスクリーンに映像が映り、八千草薫さんの声で解説が始まることと思います。これが始まったら、まずはこちらをご覧ください。1時間に2回しかありませんから、見逃すと次回は30分後ということになります。

 「住まい劇場」は、毎時0分と30分から始まりますから、この時間に9階から降りてきて、最初にこれを見てから、「からくり錦絵」に進むのも、いいかもしれません。


 現在企画展示室では、企画展「道具のむかしばなし展―ものから学ぶ昔のくらし―」を開催中です。常設展示の「くらしの道具」に続けてご覧になると、いっそう興味が深まるものと思います。



〇企画展「道具のむかしばなし展―ものから学ぶ昔のくらし―」開催中です

 わたしたちのくらしは、この数十年で大きな変化をとげました。古くから使われてきた道具にかわり、それまでになかった電化製品が登場し、料理や掃除、洗濯にいたるまで、より便利で快適な生活を実現してきました。

 本展では小学校の学習内容に合わせ、さまざまな生活道具を展示し、くらしのうつりかわりを紹介します。また、昭和期の茶の間を再現した展示や、蚊帳や黒電話など道具に触れる体験コーナーもあります。


 さあ、道具たちのむかしばなしに耳をすませ、楽しく昔のくらしを学んでみましょう。

会期:平成29年12月16日(土)~平成30年2月10日(土)
開館時間:午前10時から午後5時(入館は午後4時30分まで)
会期中の休館日:毎週火曜日、年末年始(12月29日~1月2日)



〈関連イベント〉
① 特別講演会「道具が化ける?絵巻で読む付(つく)喪神(もがみ)」

講師:田中貴子氏(甲南大学文学部 教授)
日時:2018年1月27日(土)14:00~15:30(受付開始13:30)
会場:住まい情報センター 3階ホール
参加費:無料
定員:100名(要事前申込、先着順)
申込み方法:インターネット、又はハガキ・FAXにて。氏名(ふりがな)、年齢、住所、電話番号、参加人数(4名まで、お連れ様の名前も記載)を記入。
インターネットからのお申込みはこちらから
≫ https://www.sumai-machi-net.com/event/portal/event/33011(住まい・まちづくり・ネット)

② ワークショップ「障子に親しもう」

 日本家屋にはおなじみの障子。破れた障子を修理したり、影絵で遊んだりしながら、障子について学ぼう。
日時:2018年1月20日(土)、2月4日(日)14:00~
場所:9階木戸門横スペース
参加費:無料
小中学生以下は入場無料、高校生以上の方は常設展の入場料が必要です。
参加人数:先着10名 *事前申し込み不要。直接会場にお越しください。



〇大阪くらしの今昔館 ボランティア養成講座

 大阪くらしの今昔館において、ボランティア(愛称:町家衆)として活動を希望する方に対し、当館の展示内容など理解していただくために、連続講座を実施します。3回以上受講された方に修了書を発行し、ボランティアに登録します。

【開催日程】
 ①平成30年2月12日(月・祝)3階ホール
 ②平成30年2月25日(日) 5階研修室
 ③平成30年3月 7日(水) 5階研修室 
 ④平成30年3月12日(月) 5階研修室
 ⑤平成30年3月25日(日) 5階研修室

 ※①~④は10:30~12:00
  ⑤は10:30~15:00

【開催場所】
 大阪市立住まい情報センター 3階ホール及び5階研修室
 (大阪市北区天神橋6丁目4-20)
  ※大阪くらしの今昔館の入っているビルです。

【内 容】
 「江戸時代大坂の町家を復元する」、「近代の大阪」、「町家を彩るしつらいと美術品」、「まちなみ展示と観覧者をつなぐ町家衆の力」、「展示室での解説体験」などのテーマで、講義を中心に実施予定。

【対 象】特になし

【定 員】50名(先着順。定員になり次第締め切ります。)

【費 用】無料

申込期限
2017年12月28日(木)

申込はこちらからどうぞ
https://www.sumai-machi-net.com/event/portal/event/33013


〇今週のイベント・ワークショップ

12月27日(水)、28日(木)、1月3日(水)~6日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
時 間:11:30、14:30

1月7日(日)、8日(祝)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころを町家衆がわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00

年末年始の12月29日(金)~1月2日(火)は休館日です

1月3日(水)~8日(月)
イベント 今昔館に初もうで

大人も子どもも楽しめる懐かしいお正月遊び
福笑い・双六・百人一首等
書初めもあります(1/4~1/5、13:30~16:00、100円)

【1月3日(水)だけのお楽しみ 】
*甘酒のご接待・・10時~先着200名
*折り紙・・100円
*あてもの・・先着200名(中学生以下)

【1月3日(日)4日(月)のお楽しみ 】
*おみくじ・・無料
*絵馬・・100円

1月8日(月・祝)
町家衆イベント ワークショップ 水引で小物を作ろう

①13時30分②14時30分
当日先着 各回10名 材料費200円
※当日12時より8階受付で参加整理券を販売します


そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。


大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。

「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。
http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。

http://www.sumai-machi-net.com/howtouse


2017年12月19日火曜日

今週の今昔館(90) 「住まい劇場」 20171219

〇今昔館の近代展示室を愉しむ(24) 「住まい劇場」

 今回は、大阪くらしの今昔館の8階近代展示室の隠された展示「住まい劇場ーあの日 あの家 ある家族の住み替え物語-」をご紹介します。

 「住まい劇場」は空堀通で理髪店を営んでいた一家が、戦災と戦後の混乱で住む場所を失い、仮住まいのバス住宅を経て、新しく古市中団地で暮らすようになるまでを、大正13年(1924)生まれの長女悦子が語る「住み替え」物語です。
 家族はそれぞれの住まいで、住宅の規模と設備、地域の環境と家族の成長をうまく合わせながら、住まいの履歴を重ねていきます。

 住まいの大阪六景の4・5・6が、ストーリーに合わせて順に場面展開していきます。
場面転換の前
場面転換の後

(1930年の空堀通)
 空堀商店街で生まれた悦子さんの子ども時代。昭和5年(1930)の出来事。空堀通りにある4軒長屋、その一つが理髪店「浪花軒」です。御堂筋の拡幅、地下鉄工事、大阪城天守閣の再建など、時の話題で盛り上がっています。主人公の悦子は6歳。初恋の人から地蔵盆への誘いがかかりました。


1930年の空堀通
(悦子6歳:住まいの大阪六景の4)

(1948年の城北バス住宅)
 昭和23年(1948)。戦災と戦後の混乱で住む場所を失った一家が、やっと一緒に暮らせるようになった城北のバス住宅でのお話。24歳になった悦子さんに恋人が訪ねてくることになったからさあ大変。大事な客を迎えるために、一家は大騒動です。


1948年の城北バス住宅
(悦子24歳:住まいの大阪六景の5)

(1959年の古市中団地)
 昭和34年(1959)のこと。抽選に当たってやっとのことで入居できた古市中団地。これは結婚した悦子さん一家に初めてテレビが来た日のお話。ちょうどそこに花見帰りの両親と兄の家族が団地見物にやってきました。


1959年の古市中団地
(悦子35歳:住まいの大阪六景の6)

 今回は「住まい劇場 ある家族の住み替え物語」をご紹介しました。
 「住まい劇場」は1時間に2回しか上演されませんので、いわば「隠された展示」となっています。上演時間になると ストーリーの展開に合わせて「空堀通」、「城北バス住宅」、「古市中団地」の模型が順に展示ケースの下に沈みこみ、天井から住まい劇場が降りてきます。この上下に動く模型の意外性が受けて固定ファンも多くおられます。しかし、何しろ1時間に2回しかないので、この展示をまったく知らないまま展示場を後にするお客さんが多いのは残念なことです。
 悦子さんの声は、大阪出身の八千草薫さんが担当しておられ、その上品な大阪言葉も隠れた人気になっています。



〇大阪くらしの今昔館 ボランティア養成講座

 大阪くらしの今昔館において、ボランティア(愛称:町家衆)として活動を希望する方に対し、当館の展示内容など理解していただくために、連続講座を実施します。3回以上受講された方に修了書を発行し、ボランティアに登録します。

【開催日程】
 ①平成30年2月12日(月・祝)3階ホール
 ②平成30年2月25日(日) 5階研修室
 ③平成30年3月 7日(水) 5階研修室 
 ④平成30年3月12日(月) 5階研修室
 ⑤平成30年3月25日(日) 5階研修室

 ※①~④は10:30~12:00
  ⑤は10:30~15:00

【開催場所】
 大阪市立住まい情報センター 3階ホール及び5階研修室
 (大阪市北区天神橋6丁目4-20)
  ※大阪くらしの今昔館の入っているビルです。

【内 容】
 「江戸時代大坂の町家を復元する」、「近代の大阪」、「町家を彩るしつらいと美術品」、「まちなみ展示と観覧者をつなぐ町家衆の力」、「展示室での解説体験」などのテーマで、講義を中心に実施予定。

【対 象】特になし

【定 員】50名(先着順。定員になり次第締め切ります。)

【費 用】無料

申込期限
2017年12月28日(木)

申込はこちらからどうぞ
https://www.sumai-machi-net.com/event/portal/event/33013


〇企画展「道具のむかしばなし展―ものから学ぶ昔のくらし―」開催中です
 わたしたちのくらしは、この数十年で大きな変化をとげました。古くから使われてきた道具にかわり、それまでになかった電化製品が登場し、料理や掃除、洗濯にいたるまで、より便利で快適な生活を実現してきました。
 本展では小学校の学習内容に合わせ、さまざまな生活道具を展示し、くらしのうつりかわりを紹介します。また、昭和期の茶の間を再現した展示や、蚊帳や黒電話など道具に触れる体験コーナーもあります。
 さあ、道具たちのむかしばなしに耳をすませ、楽しく昔のくらしを学んでみましょう。

会期:平成29年12月16日(土)~平成30年2月10日(土)
開館時間:午前10時から午後5時(入館は午後4時30分まで)
会期中の休館日:毎週火曜日、年末年始(12月29日~1月2日)



〈関連イベント〉
① 特別講演会「道具が化ける?絵巻で読む付(つく)喪神(もがみ)」

講師:田中貴子氏(甲南大学文学部 教授)
日時:2018年1月27日(土)14:00~15:30(受付開始13:30)
会場:住まい情報センター 3階ホール
参加費:無料
定員:100名(要事前申込、先着順)
申込み方法:インターネット、又はハガキ・FAXにて。氏名(ふりがな)、年齢、住所、電話番号、参加人数(4名まで、お連れ様の名前も記載)を記入。
インターネットからのお申込みはこちらから
≫ https://www.sumai-machi-net.com/event/portal/event/33011(住まい・まちづくり・ネット)

② ワークショップ「障子に親しもう」

 日本家屋にはおなじみの障子。破れた障子を修理したり、影絵で遊んだりしながら、障子について学ぼう。
日時:2018年1月20日(土)、2月4日(日)14:00~
場所:9階木戸門横スペース
参加費:無料
小中学生以下は入場無料、高校生以上の方は常設展の入場料が必要です。
参加人数:先着10名 *事前申し込み不要。直接会場にお越しください。



〇大阪くらしの今昔館の「谷 直樹」館長が、第52回 大阪市市民表彰を受賞されました!
 谷直樹館長が、第52回 大阪市市民表彰(文化功労)を受賞されました。
 この大阪市市民表彰は、公益の増進、産業の振興、学術、文化の向上などに貢献し、顕著な功績のあった方、又は市民の模範となるすぐれた善行のあった方を広く市民に顕彰することを目的に実施されています。
 谷館長は、多年にわたり、町家を中心とする建築史研究の第一人者として、大阪都市住宅史に関する優れた著書を記すとともに、大阪くらしの今昔館館長として、これからの都市空間のありようを発信するなど、学術文化の振興と発展に貢献した実績により、文化功労部門において表彰されました。


〇今週のイベント・ワークショップ

12月20日(水)~22日(金)、25日(月)、27日(水)、28日(木)
町家ツアー


 住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
時 間:11:30、14:30

12月23日(祝)、24日(日)
町家衆イベント 町家ツアー


 江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00

12月23日(土)
イベント 町家のもちつき

当日先着各回20名:※中学生以下対象、参加費無料
①13時45分~ ②14時30分~

12月24日(日)
イベント ヘルマンハープ コンサート

バリアフリー楽器ヘルマンハープと共に・・・
演奏と歌と、ワークショップで演奏体験を!
14時~15時
出演:シュトラーセ

12月25日(月)
町家衆イベント ワークショップ『正月祝箸袋』

①13時30分~ ②14時30分~
当日先着各回10名、1人200円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します

年末年始の12月29日(金)~1月2日(火)は休館日です

1月3日(水)~8日(月)
イベント 今昔館に初もうで

大人も子どもも楽しめる懐かしいお正月遊び
福笑い・双六・百人一首等
書初めもあります(1/4~1/5、13:30~16:00、100円)

【1月3日(水)だけのお楽しみ 】
*甘酒のご接待・・10時~ 先着200名
*折り紙・・100円
*あてもの・・先着200名(中学生以下)

【1月3日(日)4日(月)のお楽しみ 】
*おみくじ・・無料
*絵馬・・100円


そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。


大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。

「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/howtouse



2017年12月12日火曜日

今週の今昔館(89) 「通天閣とルナパーク」 20171212

〇今昔館の近代展示室を愉しむ(23) 「通天閣とルナパーク」

 今回は、大阪くらしの今昔館の8階近代展示室の右奥、出口近くの「通天閣とルナパーク」をご紹介します。

 明治45年(1912)に開業した一大娯楽地「新世界」。シンボルタワーである通天閣と遊園地ルナパークを模型で再現しています。凱旋門にエッフェル塔を載せたデザインの初代通天閣に出会えます。


 商工業都市として大阪が発展をみた明治後半から昭和初期、土地会社に代表される民間のディベロッパーは、住宅経営地に加えて新たな娯楽地の開発を進めます。その典型が大阪土地株式会社が経営した「新世界」および「ルナパーク」です。

 第五回内国勧業博覧会の跡地利用に際して大阪市は、東半分を天王寺公園として自ら整備し、西半分を民間に委ねて、一帯を従来にない健全娯楽地とする方針を定めます。この構想を受けた大阪土地株式会社は明治45年、パリとアメリカを連想させる一大娯楽地「新世界」を開業します。

 中核となったのが展望塔「通天閣」とコニーアイランド風の遊園地「ルナパーク」です。通天閣は高さ250尺(約75メートル)。鉄塔の下部を門型の建物とする構成は、凱旋門とエッフェル塔というパリの象徴を重ね合わせたものとされます。

 ルナパーク内には、アメリカ渡来の流行神である「ビリケンさん」を祀るホワイトタワー、奏楽堂、遊技機械サークリングウェーブ、スケート場、猿や水禽の檻、不思議館をはじめとする劇場などが配置されました。


 下の写真は、開業当時のルナパークと通天閣で、ルナパーク内のホワイトタワーから北側を見晴らしたものです。復元模型では、このカットを再現しています。


 ルナパークの北、通天閣の南側の町並み。手前から大正館、一号館が見えています。万国旗が賑わいを演出しています。


 通天閣とホワイトタワーを結んでロープウェイが運行しました。手前に奏楽堂が見えます。手摺りに旧「大阪市歌」の譜面を描き、屋上にトランペット型の飾りを置いています。


 ルナパーク内のサークリングウェーブは、上下に波動しつつ回転する遊戯機械でした。今で言う「絶叫マシン」ですね。

サークリングウェーブ

 新世界は3ゾーンに分かれます。北の区画はパリ風の放射線状街路を特色とする専門店街。中央区画はニューヨーク風の興行街。南の区画にはドイツ風ラジウム温泉の噴泉浴場、料亭電気旅館が建設されました。図は北が下になっています。


 天保年間発行の「浪華名所獨案内」で新世界付近を見たものです。一心寺から合ホウガ辻、エンマ堂から今宮村に至る道と、今宮村から鳶田を経て住吉に至る道(紀州街道)が描かれていますが、それ以外は田畑であったようです。

浪華名所獨案内の新世界付近
(「ちずぶらり」より:上が東)

 天保8年(1837)発行の「天保新改攝州大阪全圖」で新世界付近を見たものです。難波御蔵、新御蔵の東に長町(日本橋筋)が描かれ、南に今宮村があります。今宮村の東には天王寺村がありその南に茶臼山と池(河底池)が描かれています。それ以外は空地となっています。

天保8年(1837)発行の「天保新改攝州大阪全圖」(日文研蔵:上が北)

 明治36年3月1日から7月31日まで、第五回内国勧業博覧会が開催されました。新聞に掲載された博覧会の平面図です。敷地は前回の二倍余、会期も最長の153日間で、最後にして最大の内国勧業博覧会となりました。来場者は435万人にのぼりました。

 第一会場が天王寺公園で、会場には、農業館、林業館、水産館、工業館、機械館、教育館、美術館、通運館、動物館のほか、台湾館、参考館が建設されました。建物はこれまでの仮設ではなく漆喰塗りで、美術館は大阪市民博物館としてその後も使われました。第二会場として、堺に水族館も建てられました。

 湊町から奈良を経て名古屋までを結んでいた関西鉄道(現在の関西本線)が臨時駅を設置して会場への足となりました。


第五回内国博覧会案内図(「関西鉄道史」より)

 大正13年発行の「大阪市パノラマ地図」で新世界付近を見たものです。東半分が天王寺公園、西半分が通天閣とルナパーク、国技館と天王寺車庫(市電の車庫)となっています。ルナパークのホワイトタワーと通天閣の間にはロープウェイが描かれています。

大阪市パノラマ地図の新世界付近
(大阪くらしの今昔館蔵)

 最後に「今昔マップ3」を使って、新世界付近の地形図により、地域の変遷を見てみましょう。
 左上は明治41年。第五回内国勧業博覧会の跡地には、「M」のマークがあり、陸軍の軍用地として利用されていました。右上は昭和7年。西半分には新世界が整備され、東半分は天王寺公園となっています。左下は昭和22年。白い部分は戦災により焼失した地域です。茶臼山の南の住友本邸があった土地には美術館があります。右下は、最新の国土地理院地図です。

明治41年、昭和7年、昭和22年の新世界付近
(今昔マップ3)

 下の古写真は、美術館側から見た通天閣の遠景で、昭和初期の撮影と推定しています。模型の再現に当たっては、この写真から通天閣のプロポーションを確認しています。

 通天閣は、昭和18年1月17日に近くの映画館の失火によって類焼し、使用できなくなりました。その後、戦時中に鉄材は供出となりました。現在の通天閣は昭和31年(1956)に再建された二代目通天閣です。

美術館前から見た通天閣(昭和初期)
美術館前から見た二代目通天閣の現在


 今回は、大阪くらしの今昔館8階の「通天閣とルナパーク」をご紹介しました。通天閣とルナパークは「大阪市パノラマ地図」にも描かれていますので、8階中央の光床となっているパノラマ地図で見比べてみてください。



〇次回の企画展「道具のむかしばなし展―ものから学ぶ昔のくらし―」は、いよいよ16日からです


わたしたちのくらしは、この数十年で大きな変化をとげました。古くから使われてきた道具にかわり、それまでになかった電化製品が登場し、料理や掃除、洗濯にいたるまで、より便利で快適な生活を実現してきました。
本展では小学校の学習内容に合わせ、さまざまな生活道具を展示し、くらしのうつりかわりを紹介します。また、昭和期の茶の間を再現した展示や、蚊帳や黒電話など道具に触れる体験コーナーもあります。
さあ、道具たちのむかしばなしに耳をすませ、楽しく昔のくらしを学んでみましょう。

会期:平成29年12月16日(土)~平成30年2月10日(土)
開館時間:午前10時から午後5時(入館は午後4時30分まで)
会期中の休館日:毎週火曜日、年末年始(12月29日~1月2日)




〈関連イベント〉
① 特別講演会「道具が化ける?絵巻で読む付(つく)喪神(もがみ)」

講師:田中貴子氏(甲南大学文学部 教授)
日時:2018年1月27日(土)14:00~15:30(受付開始13:30)
会場:住まい情報センター 3階ホール
参加費:無料
定員:100名(要事前申込、先着順)
申込み方法:インターネット、又はハガキ・FAXにて。氏名(ふりがな)、年齢、住所、電話番号、参加人数(4名まで、お連れ様の名前も記載)を記入。
インターネットからのお申込みはこちらから
≫ https://www.sumai-machi-net.com/event/portal/event/33011(住まい・まちづくり・ネット)

② ワークショップ「障子に親しもう」
日本家屋にはおなじみの障子。破れた障子を修理したり、影絵で遊んだりしながら、障子について学ぼう。
日時:2018年1月20日(土)、2月4日(日)14:00~
場所:9階木戸門横スペース
参加費:無料
小中学生以下は入場無料、高校生以上の方は常設展の入場料が必要です。
参加人数:先着10名 *事前申し込み不要。直接会場にお越しください。




〇大阪くらしの今昔館 ボランティア養成講座

大阪くらしの今昔館において、ボランティア(愛称:町家衆)として活動を希望する方に対し、当館の展示内容など理解していただくために、連続講座を実施します。3回以上受講された方に修了書を発行し、ボランティアに登録します。

【開催日程】
 ①平成30年2月12日(月・祝)3階ホール
 ②平成30年2月25日(日) 5階研修室
 ③平成30年3月 7日(水) 5階研修室 
 ④平成30年3月12日(月) 5階研修室
 ⑤平成30年3月25日(日) 5階研修室

 ※①~④は10:30~12:00
  ⑤は10:30~15:00

【開催場所】
 大阪市立住まい情報センター 3階ホール及び5階研修室
 (大阪市北区天神橋6丁目4-20)
  ※大阪くらしの今昔館の入っているビルです。

【内 容】
 「江戸時代大坂の町家を復元する」、「近代の大阪」、「町家を彩るしつらいと美術品」、「まちなみ展示と観覧者をつなぐ町家衆の力」、「展示室での解説体験」などのテーマで、講義を中心に実施予定。

【対 象】特になし

【定 員】50名(先着順。定員になり次第締め切ります。)

【費 用】無料

申込期限
2017年12月28日(木)

申込はこちらからどうぞ
https://www.sumai-machi-net.com/event/portal/event/33013


〇大阪くらしの今昔館の「谷 直樹」館長が、第52回 大阪市市民表彰を受賞されました!

 谷直樹館長が、第52回 大阪市市民表彰(文化功労)を受賞されました。
 この大阪市市民表彰は、公益の増進、産業の振興、学術、文化の向上などに貢献し、顕著な功績のあった方、又は市民の模範となるすぐれた善行のあった方を広く市民に顕彰することを目的に実施されています。
 谷館長は、多年にわたり、町家を中心とする建築史研究の第一人者として、大阪都市住宅史に関する優れた著書を記すとともに、大阪くらしの今昔館館長として、これからの都市空間のありようを発信するなど、学術文化の振興と発展に貢献した実績により、文化功労部門において表彰されました。



〇今週のイベント・ワークショップ


12月13日(水)~16日(土)、18日(月)、20日(水)~22日(金)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
時 間:11:30、14:30

12月17日(日)、23日(祝)、24日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00

12月16日(土)
イベント 町家寄席-落語

江戸時代にタイムスリップ!大坂の町で、落語をきいてみませんか
出演:桂出丸 他
14時~15時

町家衆イベント 折り紙(有料)
季節に合わせてさまざまな折り紙をお教えします。
作品は持ち帰っていただきます。
開催日:偶数月の第3土曜
時 間:13:30~15:00

12月17日(日)
町家衆イベント 町の解説

江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00~16:00

12月23日(土)
イベント 町家のもちつき

当日先着各回20名:※中学生以下対象、参加費無料
①13時45分~ ②14時30分~

12月24日(日)
イベント ヘルマンハープ コンサート

バリアフリー楽器ヘルマンハープと共に・・・
演奏と歌と、ワークショップで演奏体験を!
14時~15時
出演:シュトラーセ

12月25日(月)
町家衆イベント ワークショップ『正月祝箸袋』

①13時30分~ ②14時30分~
当日先着各回10名、1人200円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します


そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。


大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/howtouse


2017年12月5日火曜日

今週の今昔館(88) 「心斎橋筋商店街」 20171205

〇今昔館の近代展示室を愉しむ(22) 「心斎橋筋商店街」

 今回は、大阪くらしの今昔館の8階近代展示室に入って正面のスクリーンの裏側にある「心斎橋筋商店街」をご紹介します。


 心斎橋筋は近世から続く商いのまちです。近代にはショーウィンドーをしつらえ、とりどりの看板を掲げた華やかな店構えの商店が軒を並べ、消費文化・情報発信の中心地として賑わいました。心斎橋筋をウィンドーショッピングしながら歩く「心ぶら」は、都市生活の楽しみの一つとなっていました。


 「心斎橋筋案内」は昭和2年(1927)に描かれた町並みのイラストで、各店舗の店構えが表情豊かに描かれています。模型では、心斎橋筋の東側、周防町から三津寺筋、宗右衛門町に至る町の賑わいを「心斎橋筋案内」をもとに再現しています。
 模型は、通りに沿って並ぶ街並みと、通りを歩く人々が動く仕組みになっています。「廻る寿司」と同じ仕掛けを利用しています。

「心斎橋筋案内」(大阪くらしの今昔館蔵)
昭和4年の心斎橋(「大大阪の時代を歩く」より)

 現在でも、心斎橋の周辺は、心斎橋筋商店街を中心に、百貨店、専門店、高級ブランド店などが集積する大阪市を代表する日本有数の繁華街です。

 心斎橋筋の名前は、船場と島之内を分ける長堀川(現在は埋立。長堀通)に架かっていた心斎橋(橋梁)に由来し、単に船場と島之内を繋ぐにとどまらず、道頓堀川にも戎橋が架けられ、なおかつ、西横堀川(現在は埋立。阪神高速1号環状線北行き)寄りの道であったことから、道頓堀の芝居小屋と下船場の新町遊廓を結ぶ道として賑わいを見せるようになり、今日に至っています。


 このように心斎橋筋は土佐堀川から道頓堀川まで南北に伸びる道ですが、船場においては心斎橋という認識は薄いです。これは、明治5年(1872)に心斎橋筋(1・2丁目)の町名が島之内においてのみ実施されたことに拠ります。


 もともと心斎橋筋は、新町遊廓へ至る順慶町通と交差する船場側が栄えていました。順慶町通は夜市で知られ、煌々と照らされる街路は江戸から来た人々も驚くほどでした。しかし、松島遊廓の誕生や大火によって新町遊廓は衰退・焼失してしまい、南海難波駅や湊町駅(現・JR難波駅)の開業(道頓堀以南は「戎橋筋」と名称を変えますが難波駅前まで通じている)、大丸や十合(そごう)といった呉服店による百貨店経営の開始などにより、明治以降は島之内側が栄えるようになりました。なお、現在も船場側には、順慶町通を境に、せんば心斎橋筋商店街と心斎橋筋北商店街があります。


 平成元年(1989)に島之内のうち堺筋~畳屋町筋間が東心斎橋、御堂筋以西が西心斎橋という町名になりました。しかし、現在も鰻谷(中之町・西之町)、大宝寺町(中之丁・西之丁)、東清水町、西清水町、千年町、玉屋町、笠屋町、畳屋町、周防町、八幡町、三津寺町、久左衛門町といった旧町名およびそれに基く筋や通の名称は健在で、御堂筋の交差点名にも使用されています。

 東心斎橋(とりわけ周防町筋以南)および南接する宗右衛門町は、歓楽街として「ミナミ」と呼ばれることが多いですが、このエリアでは店舗や居場所の特定に旧町名が頻繁に用いられています。また、西心斎橋の周防町筋周辺はアメリカ村と通称されています。


 心斎橋筋2丁目、三津寺筋付近を「大阪市パノラマ地図」で見たものです。「三ツ寺」が描かれ、心斎橋筋の一つ東の筋には、「タタミヤ丁」の文字があり、南北に町が形成されていることが分かります。

大阪市パノラマ地図の心斎橋筋(大阪くらしの今昔館蔵)

 範囲を広げて見ました。島之内の北半分は東西の通りに「鰻谷」「大宝寺町」などの名前が入っていますが、南半分は南北の筋に沿って「笠屋町」「畳屋町」など、町の名前が入っています。御堂筋が拡幅される前ですから、大丸、十合(そごう)も心斎橋筋に顔を向けています。

大阪市パノラマ地図の心斎橋筋付近
(大阪くらしの今昔館蔵)

 江戸時代天保年間発行の「浪華名所獨案内」の心斎橋筋付近です。心斎橋と戎橋の間に「大丸呉服店」「ヲグラヤ」があり、「三津寺」も描かれています。

浪華名所獨案内の心斎橋筋
(「ちずぶらり」より:上が東)

 範囲を広げて見てみると、大丸の前から心斎橋筋を南へ進み、戎橋を渡ると千日前に至り、道頓堀五座(芝居小屋)があります。逆に、北へ進み心斎橋を渡り、順慶町通を西に曲がると新町廓に至ります。お勧めのモデル観光ルートにもなっていて、当時から栄えていたことが分かります。

浪華名所獨案内の心斎橋筋
(「ちずぶらり」より:上が東)

 天保8年(1837)発行の「天保新改攝州大阪全圖」を見ると、通りと筋が細かく描かれていて、町の名前も書かれています。島之内の北半分では通りに沿って町が形成され、南半分では南北の筋に沿って町が形成されています。現在でも東西の道が「八幡筋」「三津寺筋」と呼ばれているのは、このためです。

天保8年(1837)発行の「天保新改攝州大阪全圖」(日文研蔵)
1920年代の心斎橋(「大大阪の時代を歩く」より)

 今回は、大阪くらしの今昔館8階の「心斎橋筋商店街」をご紹介しました。近代展示室に入って正面のスクリーンの裏側にありますので、見落とさないようにしてください。


〇大阪くらしの今昔館の「谷 直樹」館長が、第52回 大阪市市民表彰を受賞されました!
谷直樹館長が、第52回 大阪市市民表彰(文化功労)を受賞されました。
 この大阪市市民表彰は、公益の増進、産業の振興、学術、文化の向上などに貢献し、顕著な功績のあった方、又は市民の模範となるすぐれた善行のあった方を広く市民に顕彰することを目的に実施されています。

 谷館長は、多年にわたり、町家を中心とする建築史研究の第一人者として、大阪都市住宅史に関する優れた著書を記すとともに、大阪くらしの今昔館館長として、これからの都市空間のありようを発信するなど、学術文化の振興と発展に貢献した実績により、文化功労部門において表彰されました。


〇次回の企画展「道具のむかしばなし展―ものから学ぶ昔のくらし―」
 わたしたちのくらしは、この数十年で大きな変化をとげました。古くから使われてきた道具にかわり、それまでになかった電化製品が登場し、料理や掃除、洗濯にいたるまで、より便利で快適な生活を実現してきました。
本展では小学校の学習内容に合わせ、さまざまな生活道具を展示し、くらしのうつりかわりを紹介します。また、昭和期の茶の間を再現した展示や、蚊帳や黒電話など道具に触れる体験コーナーもあります。
さあ、道具たちのむかしばなしに耳をすませ、楽しく昔のくらしを学んでみましょう。

会期:平成29年12月16日(土)~平成30年2月10日(土)
開館時間:午前10時から午後5時(入館は午後4時30分まで)
会期中の休館日:毎週火曜日、年末年始(12月29日~1月2日)



〈関連イベント〉
① 特別講演会「道具が化ける?絵巻で読む付(つく)喪神(もがみ)」

講師:田中貴子氏(甲南大学文学部 教授)
日時:2018年1月27日(土)14:00~15:30(受付開始13:30)
会場:住まい情報センター 3階ホール
参加費:無料
定員:100名(要事前申込、先着順)
申込み方法:インターネット、又はハガキ・FAXにて。氏名(ふりがな)、年齢、住所、電話番号、参加人数(4名まで、お連れ様の名前も記載)を記入。
インターネットからのお申込みはこちらから
≫ https://www.sumai-machi-net.com/event/portal/event/33011(住まい・まちづくり・ネット)

② ワークショップ「障子に親しもう」
日本家屋にはおなじみの障子。破れた障子を修理したり、影絵で遊んだりしながら、障子について学ぼう。
日時:2018年1月20日(土)、2月4日(日)14:00~
場所:9階木戸門横スペース
参加費:無料
小中学生以下は入場無料、高校生以上の方は常設展の入場料が必要です。
参加人数:先着10名 *事前申し込み不要。直接会場にお越しください。



〇今週のイベント・ワークショップ

12月6日(水)~9日(土)、11日(月)、13日(水)~16日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
時 間:11:30、14:30

12月10日(日)、17日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00

12月09日(土)
町家衆イベント ワークショップ 『はたき作り』

①13時30分~ ②14時30分~
当日各回先着10名、1人300円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します

12月10日(日)
町家衆イベント 町の解説

江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00~16:00

イベント 町家寄席-落語“らくてん会”
江戸時代にタイムスリップ!大坂の町家で、落語をきいてみませんか
14時~15時30分頃
出演:らくてん会

町家衆イベント おじゃみ(有料)
古布を四角く切って縫い合わせて作るおじゃみ(お手玉)。
作り方をていねいにお教えします。
開催日:第2日曜
時 間:14:00~16:00

12月16日(土)
イベント 町家寄席-落語

江戸時代にタイムスリップ!大坂の町で、落語をきいてみませんか
出演:桂出丸 他
14時~15時

町家衆イベント 折り紙(有料)
季節に合わせてさまざまな折り紙をお教えします。
作品は持ち帰っていただきます。
開催日:偶数月の第3土曜
時 間:13:30~15:00

12月17日(日)
町家衆イベント 町の解説

江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00~16:00


そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。


大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/howtouse



2017年11月28日火曜日

今週の今昔館(87) からくり錦絵「梅田ステン所」 20171128

〇今昔館の近代展示室を愉しむ(21) からくり錦絵「梅田ステン所」

 今回は、大阪くらしの今昔館の8階近代展示室に入って、すぐ左手にある「からくり錦絵」の3枚目、右端の「梅田ステン所」をご紹介します。


 梅田ステン所(初代大阪駅)は、明治7年(1874)5月11日に大阪駅~神戸駅間の鉄道開通と同時に開業しました。駅舎はゴシック風の赤煉瓦造り2階建てで現在の大阪駅よりも西の大阪中央郵便局旧局舎付近に当たる場所にあり、周辺は民家がわずかにあるだけで田圃が広がっていました。
駅のある場所は明治22年(1889)の市制施行時における大阪市域にも含まれず、明治30年(1897)まで西成郡曽根崎村に属していました。市街地を避けて建設されたことがわかります。

堂島に当初計画された予定地と初代梅田ステンショ
(「大阪駅の歴史」より)
初代大阪駅(「大阪駅の歴史」より)
 当初の計画では市街地に近い堂島付近に頭端式(阪急梅田駅、南海なんば駅のようなターミナル型の駅)で建設される予定でしたが、設置場所は曽根崎村の梅田に変更されました。堂島から梅田へ変更されたのは、将来東へ線路が延伸された際に京都駅 ~神戸駅間の直通運転に都合が良いよう、頭端式を採らず、通過式の駅構造にするためだと言われています。鉄道黎明期に頭端式ホームを採用した横浜駅がその後の時勢変化で二度移転を強いられたことからしても、折り返しを要さない東西直通運転を可能にしつつ市街地に駅をできるだけ近づけさせる構造にした大阪駅には、先見の明があったといわれることもあります。それは、明治末期に山陽鉄道や九州鉄道といった大私鉄が国有化された後、西日本各地から東京への直通運転の実現が容易となり、利便性を高めたという点でも大いに役立つこととなりました。
大阪駅がターミナル型でないことを惜しむ声もありますが、東京駅、品川駅、上野駅も、すべて通過式の駅に変わってきています。汽車の時代から電車の時代になって、折り返しよりも通り抜けの方が便利で効率的ということでしょうか・・・?


初代大阪駅(「大阪駅物語」より)
初代大阪駅(「大阪駅物語」より)

 開業当初、大阪駅は「梅田駅」「梅田ステーション」「梅田すてん所」などと呼ばれていましたが、阪神・阪急や貨物駅の梅田駅が開業すると、次第に大阪駅のことを「梅田駅」などと呼ぶことはなくなりました。

 次に、古地図で大阪駅周辺の変遷を見ていきましょう。
まず、江戸時代天保年間発行の「浪華名所獨案内」では、市街地の北の端に「曽根崎新地」「北野」の地名があります。天満堀川の傍には「ゴモク山ト云」という文字もあります。


「浪華名所獨案内」の大阪駅あたり(「津の清」蔵)

 天保8年(1837)発行の「天保新改攝州大阪全圖」では、曽根崎村の北側には水路が流れていて、地図中央左寄りに「梅田墓」の文字があります。

天保8年発行の「天保新改攝州大阪全圖」の大阪駅あたり(日文研蔵)

 明治5年(1872)発行の「大阪市中地區甼名改正繪圖」を見ると曽根崎村に「新建屋」「新屋」の文字が何か所かあり、農地の中に家が建ち始めています。「梅田三昧」の字があり、川には「十三渡」の字も見えます。

明治5年発行の「大阪市中地區甼名改正繪圖」(日文研蔵)

 明治15年(1882)発行の「大坂明細全図」には、「梅田ステーション」が描かれ、「神戸行鐡道」、「西京行鐡道」の文字があります。駅の西側には「明治十一年新堀」と書かれた水路が描かれ、「出入橋」の文字も見えます。
駅の東側の「ステーショ道」は桜橋、渡辺橋につながっており、駅が現在よりも西に位置していたことが分かります。

明治15年発行の「大坂明細全図」(日文研蔵)

 大正元年(1912)発行の「實地踏測大阪市街全圖」を見ると、大阪駅の前に市電が通り、西に阪神電車、東に阪急電車の梅田駅ができています。阪急電車は国鉄を高架で跨いでいます。

大正元年発行の「實地踏測大阪市街全圖」(日文研蔵)

 大正13年(1924)発行の「大阪市パノラマ地図」を見ると、駅の北側に「大阪駅構築予定地」と書かれ、貨物駅の整備が始まろうとしています。阪急電車が国鉄を跨いでいる様子が描かれています。阪神電車の地上駅も描かれています。

大正13年発行の「大阪市パノラマ地図」(大阪くらしの今昔館蔵)


 昭和12年(1937)発行の「大大阪観光地図」では、国鉄線が高架になり、城東線(現在の大阪環状線)は電車化しています。阪急線は地上線になり、国鉄線の下をくぐっています。この工事は、昭和9年5月31日の深夜、一晩で行われました。
 昭和8年には地下鉄の梅田(仮駅)~心斎橋が完成し、大大阪観光地図にも反映されています。駅前には「市電案内所」があります。このあたりは、映画「大大阪観光」と対応しています。


昭和12年発行の「大大阪観光地図」(日文研蔵)

 切替直前の大阪駅と阪急梅田駅の様子です。このあと、一晩で省線は高架に、阪急は地上線に切り替えられます。この写真には、工事中の地下鉄梅田駅も写っています(阪急百貨店の右側)。この時期には大阪駅周辺で大工事が進められていました。詳しくは、改めてご紹介します。

切替直前の大阪駅周辺(「大阪駅の歴史」より)


 最後に、今昔マップ3の地形図によって、大阪駅周辺のまちの変遷を見てみましょう。
 左上は明治42年で、大阪駅の北側には農地が広がっています。その中に、工業学校(現在の大阪市立大学工学部)があります。阪急電車は、梅田駅を出た後、省線(国鉄)を高架で跨いでいます。
 右上は昭和7年、駅の北側で梅田貨物駅の建設が進んでおり、入り堀が国鉄の北側まで伸びています。工業学校は立ち退いています。阪急電車は、淀川の鉄橋まで高架線になっています。高架線に沿って東側には地上を北野線が走っています。
 左下は昭和42年。梅田貨物駅は最盛期を迎え、入り堀が埋め立てられて建屋になっています。阪急電車は昭和9年の切替工事で省線の下をくぐり、阪神電車は、昭和14年に東へ延伸されて地下駅になっています。

 右下は、最近の国土地理院地図。阪急梅田駅は、JR(国鉄)線の北側に移転し、うめきた1期と大阪駅北ビルができています。


明治42年、昭和7年、昭和42年と最近の地形図
(今昔マップ3)

 からくり錦絵は、造幣寮、心斎橋、梅田ステンショの3枚で構成される「からくり仕掛けの錦絵」で語る大阪の文明開化です。

からくり錦絵の解説板

 真ん中の赤いボタンを押すと、ブザーが鳴って演出が始まります。明治時代に入って、文明開化のなかで江戸時代の風景がどのように変わってきたのかを「からくり仕掛け」で見えるようになっています。

赤いボタンを押す前の状態
3枚の演出が終了した状態

 今回は、「からくり錦絵」の3枚目、右端の「梅田ステン所」をご紹介しました。これで、からくり錦絵は完結です。



〇次回の企画展「道具のむかしばなし展―ものから学ぶ昔のくらし―」
 わたしたちのくらしは、この数十年で大きな変化をとげました。古くから使われてきた道具にかわり、それまでになかった電化製品が登場し、料理や掃除、洗濯にいたるまで、より便利で快適な生活を実現してきました。
本展では小学校の学習内容に合わせ、さまざまな生活道具を展示し、くらしのうつりかわりを紹介します。また、昭和期の茶の間を再現した展示や、蚊帳や黒電話など道具に触れる体験コーナーもあります。
さあ、道具たちのむかしばなしに耳をすませ、楽しく昔のくらしを学んでみましょう。

会期:平成29年12月16日(土)~平成30年2月10日(土)
開館時間:午前10時から午後5時(入館は午後4時30分まで)
会期中の休館日:毎週火曜日、年末年始(12月29日~1月2日)

〈関連イベント〉
① 特別講演会「道具が化ける?絵巻で読む付(つく)喪神(もがみ)」

講師:田中貴子氏(甲南大学文学部 教授)
日時:2018年1月27日(土)14:00~15:30(受付開始13:30)
会場:住まい情報センター 3階ホール
参加費:無料
定員:100名(要事前申込、先着順)
申込み方法:インターネット、又はハガキ・FAXにて。氏名(ふりがな)、年齢、住所、電話番号、参加人数(4名まで、お連れ様の名前も記載)を記入。
インターネットからのお申込みはこちらから
https://www.sumai-machi-net.com/event/portal/event/33011(住まい・まちづくり・ネット)

② ワークショップ「障子に親しもう」
日本家屋にはおなじみの障子。破れた障子を修理したり、影絵で遊んだりしながら、障子について学ぼう。
日時:2018年1月20日(土)、2月4日(日)14:00~
場所:9階木戸門横スペース
参加費:無料
小中学生以下は入場無料、高校生以上の方は常設展の入場料が必要です。
参加人数:先着10名 *事前申し込み不要。直接会場にお越しください。


〇今週のイベント・ワークショップ

11月29日(水)~12月2日(土)、4日(月)、6日(水)~9日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
時 間:11:30、14:30

12月3日(日)、10日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00

12月03日(日)
イベント 邦楽演奏会

三味線、地唄、箏、尺八による邦楽の演奏会です
14時~15時
出演:菊聖公一、中萩あす香、ジェシー逅盟

12月09日(土)
町家衆イベント ワークショップ 『はたき作り』

①13時30分~ ②14時30分~
当日各回先着10名、1人300円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します

12月10日(日)
町家衆イベント 町の解説

江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00~16:00

イベント 町家寄席-落語“らくてん会”
江戸時代にタイムスリップ!大坂の町家で、落語をきいてみませんか
14時~15時30分頃
出演:らくてん会

町家衆イベント おじゃみ(有料)
古布を四角く切って縫い合わせて作るおじゃみ(お手玉)。
作り方をていねいにお教えします。
開催日:第2日曜
時 間:14:00~16:00


そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。


大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/howtouse