2021年10月27日水曜日

今週の今昔館(290) 近代展示室の見どころ(8) 四ツ橋 20211027

〇今昔館の近代展示室の見どころ(8)「大阪市パノラマ地図」

 大阪くらしの今昔館は、天井改修工事の実施に伴い、令和4年秋頃(予定)までの約1年間、9階常設展示室および10階展望フロアが閉鎖されています。前回に引き続き近代のフロアの「大阪市パノラマ地図」の見どころをご紹介します。

 今回は、大阪市パノラマ地図のちょうど真ん中に描かれている「四ツ橋」をご紹介します。鳥瞰図ですので左上が北になっています。

大阪市パノラマ地図の四ツ橋付近

 四ツ橋という地名を聞くと、ご年配の方は、「プラネタリウムのあったところ」とお答えになると思います。現在の大阪市立科学館の前身の電気科学館が四ツ橋交差点に面して建っていて最上階がプラネタリウムになっていました。若い方は、「地下鉄の四つ橋線に駅があったかなぁ」くらいかもしれません。四ツ橋の昔と今を見ていきましょう。

 江戸時代、2つの川が十字にクロスする四ツ橋は、建物が建て込んだ大坂のまちの中で貴重な開けた場所でしたので、散策コースとして町民に親しまれました。夕涼みの名所としても知られ、江戸時代中期の俳人小西来山の句「涼しさに 四ツ橋を四ツわたりけり」が有名です。江戸時代には、多くの著作に挿絵が描かれ、明治期以降には大阪名所・観光名所として写真が絵はがきにも用いられました。

 江戸時代に描かれた四ツ橋の中でも「摂津名所図会」の挿絵は、4つの橋が井桁の形に架かっていた様子が最もわかりやすく描かれています。

摂津名所図会の四ツ橋

 浪花百景にも、「四ツ橋」があります。


浪花百景の四ツ橋(芳瀧画)
 現在の四ツ橋交差点のすぐ東、阪神高速道路をくぐるあたりは、かつて東西に延びる長堀川と南北に延びる西横堀川とが十字に交差していた場所で、北に上繋橋、南に下繋橋、西に吉野屋橋、東に炭屋橋と、まさに十文字の横断歩道のように橋が4つ架かっていたことから四ツ橋と総称されました。
 交差点のように4つの橋を通行する人、足元を行く船は十字に行き交うという珍しい光景に、納涼や観月などを楽しむ人も訪れ、江戸時代から市街の景勝地として親しまれました。「涼しさに 四ツ橋を四つ 渡りけり」(小西来山)。
 橋のたもとには淡路島に渡る船着き場もありました。画は南西から北の船場方面を見ており、両御堂の屋根が望めます。昭和40年代に堀が次々に埋め立てられて消滅し、かつて橋のたもとにあった文人の句碑が残っています。
 錦絵は四ツ橋を南西から見たもので、奥に見えている大きな屋根は、手前が南御堂、向こうが北御堂です。

浪花百景「四ツ橋」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)

 「浪華の賑ひ」の四ツ橋は、北から南へ向かう舟から見た視線で描かれ、詳細な説明がついています。
 
「浪華の賑ひ」の四ツ橋
 新町橋の下の橋を上繋(かみつなぎ)ばしと云ふ。その次を下つなぎばしと云ふ。また、この間に長堀よこたはりて十字の流れをなす。川上の橋を炭屋橋といひ、下を吉野屋橋といふ。合わせて四ツばしといふ。
 されば、十字の流れに棹さす船々四つの橋上をゆきかふ貴賤たえ間なくして、眺望斜ならず。また、烟管(きせる)をもってこの所の名物とすること世に普(あまね)し。播磨屋源蔵の店をはじめ、類店のきを列ぶ。炭やばしの南詰より道頓堀まで近来新築地出来てより小見世(こみせ)ものの小屋立ちつらなり、興行怠慢なくして常に賑はし。

浪華の賑ひ「四ツ橋」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)

 古地図で四ツ橋を見てみましょう。江戸時代の天保年間1820年ころの地図「浪華名所独案内」の四ツ橋付近です。東が上になっています。中央部左右の川が西横堀川、上下の川が長堀川です。2つの川がクロスしているところに橋が4つ架かっています。4つまとめて四ツ橋と呼ばれていました。

浪華名所独案内の四ツ橋付近

 見慣れている地図になるよう、北を上にして拡大してみました。四ツ橋の右上は船場、右下は島之内、左下は堀江、左上は新町になり、新町には廓がありました。

浪華名所獨案内の四ツ橋付近(上が北)

 もう一枚、ほぼ同じ時代の、詳細な古地図「天保新改攝州大阪全圖」の四ツ橋付近です。通りの名や町名が詳しく書かれています。

天保新改攝州大阪全圖の四ツ橋付近(上が北)

 四ツ橋(よつばし)は、「堀川の十字交差部(大阪市内に唯一存在した)」に、架橋されていた4つの橋を一括して称した名称で、その周辺の地域の通称にもなっています。その後、堀川は埋め立てられたため現在は交差点名や駅名として残っています。
 もともとは、長堀川と西横堀川(両方とも埋め立てられた)が交差する地点に「ロ」の字型に架けられていた4つの橋の愛称です。道路、水路、市電にとっての重要な交通の要所でした。
・上繋橋(かみつなぎばし)西横堀川に架かる北の橋。1964年(昭和39年)撤去。
・下繋橋(しもつなぎばし)西横堀川に架かる南の橋。1964年(昭和39年)撤去。
・炭屋橋(すみやばし)長堀川に架かる東の橋。1970年(昭和45年)撤去。島之内西端の旧町名「炭屋町」に由来。
・吉野屋橋(よしのやばし)長堀川に架かる西の橋。1970年(昭和45年)撤去。北堀江東端の旧町名「吉野屋町」に由来。


 大正13年発行の「大阪市パノラマ地図」を東を上にしてみました。鳥瞰図ですので道が斜めになっています。長堀の北側の長堀通(当時は末吉橋通と呼ばれていました)と西横堀の西側の四ツ橋筋に市電が走っています。位置は少しずれますが2つの通りの交差点も四ツ橋と呼ばれていました。

大阪市パノラマ地図の四ツ橋付近(上が東)

 大阪市電の東西線と南北線という2つの路線がクロスし、日本初の国産ダイヤモンドクロッシング(鉄軌道の交差点)が設置されたのもこの交差点です。
 長堀の北側の末吉橋通を走る東西線は、川口と玉造を結ぶ主要幹線、四つ橋筋を走る南北線は、大阪駅前と難波・恵美須町を結ぶ主要幹線でした。昭和36(1961)年に東西線、昭和38(1963)年に南北線が廃止されたことにより、ダイヤモンドクロッシングは撤去されました。昭和40年(1965年)には地下鉄四つ橋線西梅田~大国町間が開通しました。地下鉄四つ橋線は2015年に50周年を迎えました。


四ツ橋電車交叉点(大阪府写真帖)

 昭和12年(1937年)の大大阪観光地図です。心斎橋、大丸、そごう、文楽座、新町演舞場など名所と並んで、電気科学館の文字が赤字で大きく表示されています。電気科学館は四ツ橋交差点の北東角に建っていました。昭和12年(1937年)、日本で初の電気科学館(サイエンスセンター)としてオープンした施設で、東洋初のプラネタリウムを置いていました。パノラマ地図は大正13年発行ですので電気科学館は描かれていません。

大大阪観光地図の四ツ橋付近
(国際日本文化研究センター蔵)

開館当時の電気科学館 (大阪市立科学館HPより)

 昭和29年(1954年)の最新大阪市街地図です。電気科学館と文楽座が観光地として表記されています。

昭和29年の四ツ橋付近(国際日本文化研究センター蔵)

 名前の表記については、「四ツ橋」と「四つ橋」が使い分けられています。地名(橋名・交差点名・駅名)は、「四ツ橋」「四ツ橋駅」とカタカナの「ツ」、線名(道路名・地下鉄路線名)は「四つ橋筋」「四つ橋線」とひらがなの「つ」となっています。これは、道路を管理していた市の土木局(当時)と、交通事業(市電に四ツ橋の電停があった)を管理していた電気局(当時)が、監督官庁に別の表記で届け出たことに原因があると言われています。さらに、地下鉄路線名は通過する街路の名前(四つ橋筋)に合わせたのに対して、駅名は地名を採用したという結果、「地下鉄四つ橋線の四ツ橋駅」のような表記になっています。

 地下鉄四つ橋線の名前の由来は、地名の四ツ橋→橋の近くを通る南北の道の名前が四つ橋筋→そこに地下鉄が建設されたので四つ橋線です。四ツ橋駅の構内は心斎橋駅とつながっていますが、線名になっているので四つ橋線の駅だけは四ツ橋駅を名乗っています。四ツ橋駅の壁面には4つの橋の名前がデザインされています。
 ちなみに、四つ橋線の信濃橋駅は中央線ができて本町駅とつながり、駅名も本町に変更になりました。なんば元町駅もなんば駅に統一されました。地元ゆかりの地名は残してもよかったように思います。

地下鉄四ツ橋駅の壁面デザイン
東側の橋の名前は?
地下鉄四ツ橋駅の壁面デザイン
西側の橋の名前は?
地下鉄四ツ橋駅の壁面デザイン
北側の橋の名前は?
地下鉄四ツ橋駅の壁面デザイン
南側の橋の名前は?

 現在では、大川、土佐堀川、堂島川、木津川、道頓堀、東横堀(いわゆるロの字の水路)を残して、ほとんどの堀が埋立てられています。西横堀川は埋め立てられて上が高速道路になっています。長堀川は埋め立てられて地下に地下街(クリスタ長堀)と駐車場が造られました。その上が現在の広い長堀通りになっていて、中央部が広い分離帯になっています。もと長堀の南部分は一部民有地になっているところもあります。

 現在「四ツ橋」は長堀通と四つ橋筋の交差点名となっています。本来の四ツ橋は、長堀川と西横堀川の交差部、つまり、長堀通と阪神高速1号環状線北行きの交差部なので、四ツ橋交差点は本来の四ツ橋の位置より少し西側にずれている事になります。なお、四ツ橋交差点の位置で長堀川に架けられていた橋は「西長堀橋」です。

 四ツ橋交差点の東側、長堀通の中央分離帯にはミニ四ツ橋のモニュメントと案内板があります。こちらは、高速道路(旧西横堀川)の西側の交差点の脇にありますので、わかりやすいと思います。







 阪神高速道路の東側には、江戸時代中期の俳人小西来山と上島鬼貫が詠んだ句碑が建っています。少しわかりにくいですが、かつて炭屋橋が架かっていたところにあたります。

上島鬼貫と小西来山の句碑

 上島鬼貫の句は「後の月 入て貌よし 星の空」で、小西来山の句は「涼しさに 四ツ橋を四ツわたりけり」となっています。



 吉野屋橋の北西角、四ツ橋交差点の北東角には、四ツ橋のシンボルとなっていた大阪市立電気科学館がありましたが、老朽化を理由に平成元年(1989年)5月に閉館。同年に北区中之島に大阪市立科学館がオープンしました。

 電気科学館は取り壊されて、現在はヴィアイン心斎橋長堀通を主テナントとする大阪メトロ所有の複合ビル「ホワイトドームプラザ」となっています。ビルの外観は、屋上部分がドーム状に造られるなど、電気科学館を模したデザインとなっています。

四ツ橋交差点のホワイトドームプラザ

 昔の地図を見ながらのまち歩き、古地図を片手に、スマホをお持ちの方はスマホに古地図を取り込んで、いろんな所へちょっと出かけてみませんか?

 スマートフォン(iPhone、アンドロイド)をご利用の方は、「こちずぶらり」というアプリを利用すると、GPS機能によって地図上に現在位置を表示させることができます。まち歩きの際などにその場所に昔は何があったかを現地で確認することができて便利です。
 大阪くらしの今昔館8階の近代のフロアの中央に、大阪市パノラマ地図を拡大して床面に展示しています。ちょうど真ん中に四ツ橋がありますので、じっくりとご確認ください。パノラマ地図を見ながら、「昔は何があったのかな?」「今はどうなっているのかな?」と昔と今を比較して考えを廻らしてみるのも興味深いと思います。
 大阪市パノラマ地図については、こちらに詳しい解説があります。
http://konkon2001.blogspot.jp/2017/10/blog-post_10.html
http://sumai-osaka.blogspot.jp/2015/08/blog-post_29.html



 今昔館の近代のフロアをご紹介する動画が2編公開されています。動画を見てから見学すると、見どころがよくわかると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=SbqzmybwKss&feature=youtu.be


https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4




〇企画展「商都慕情Ⅱ‐水のまち大阪を巡る -」開催中です

 令和3年9月18日(土)~11月14日(日)

 江戸時代、淀川は京都と大坂をつなぐ動脈として、人や物資が往来し、絵画にもよく描かれました。とくに、円山応挙が京都伏見から大坂天満橋までの両岸の光景を描いた絵巻がよく知られています※。この絵巻から昭和初期に大阪の絵師が6つの場面を模写していました。それが庭山耕園とその門人らによる「淀川両岸帖」です。当館はこの作品を2020年に新収蔵しました。収蔵後、本展が初公開となります。
 大坂の市中には堀川が網目のように張り巡らされ、八百八橋と称されました。橋上や舟の上は町民にとって夕涼みや花火見物を楽しむ憩いの場でした。天神祭の船渡御の舞台も大川です。その熱気は江戸の浮世絵師歌川貞秀の錦絵にも描かれています。また、道頓堀の芝居をかける際に、役者が船に乗って市中を巡る「船乗込」も川筋で華やかに行われました。商いの流通や暮らし、そして文化が水とともにあった大坂。本展では大阪くらしの今昔館所蔵の絵画や錦絵を用いて、水都とよばれた大坂の情景を想起します。
※「淀川両岸図巻」公益財団法人アルカンシエール美術財団蔵(本展の出品はございません)

開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)
閉館日 :火曜日

会  場:大阪市立住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館)企画展示室
入館料 :(8階常設展示室の入場料を含む)
     一般400円(団体300円)
     高校生・大学生300円(団体200円)(要学生証提示)
     (注)団体は20名以上
     大阪周遊パスでもご入場いただけます。
     中学生以下、障がい者手帳等持参者(介護者1名を含む)、大阪市内在住の65歳以上の方は無料です。(要証明書提示)

【町家と茶室の展示】
 企画展示室内には、江戸時代における大坂の商家座敷の再現や、重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵」の構造模型(公益財団法人 竹中大工道具館蔵)など実物大の模型を設置し、2種の建築から住まいと暮らしの様相をお見せします。

淀川両岸帖(部分)庭山耕園他
よど川のすずみ船 菅 楯彦
浪速天満祭 歌川貞秀
『滑稽浪花名所』のうち ざこば魚市 芳豊


〇天井改修工事の実施に伴う一部展示室等の閉鎖のお知らせ

 大阪くらしの今昔館から重要なお知らせです。
 天井改修工事の実施に伴い、9月18日より令和4年秋頃(予定)までの約1年間、9階常設展示室および10階展望フロアが閉鎖されますので、ご注意ください。


・9階、10階の閉鎖期間中は8階企画展示室に町家座敷を実物大で再現し、茶室の実物大構造模型とともに展示します。
・8階の吹抜け部分に大型映像コーナーを新設し、江戸時代の大坂の町なみと天保年間の人々の暮らしを描いた動画をご覧いただけます。


・天井改修工事期間中の入館料
8階常設展と企画展をご覧いただけます。
 一般   400円  団体(20名以上)300円
 高・大生 300円  団体(20名以上)200円 *要学生証提示

【年間パスポート】
現在年間パスポートは販売を休止しております。

【年間パスポートをお持ちの方へ】
天井改修工事期間を含む年間パスポートをお持ちの方は有効期限を延長いたします。インフォメーションにて手続きをいたしますので、次回ご来館の際にご提示ください。



〇住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」とは?

 住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」は2001年4月26日に開館しました。今年で開館20周年を迎えました。
 前館長の谷直樹先生と新館長の増井正哉先生がこれまでの道のりを振り返り、これからの課題について語り合う動画が公開されています。
 こちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=kFW0qbelLNo

 ここは「住まいの歴史と文化」をテーマにした、日本で初めての專門ミュージアムです。
 住まい情報センターのビルの9階「なにわ町家の歳時記」は、江戸時代のフロア。天保初年(1830年代前半)の大坂の町並みを実物大で復元しています。
 8階「モダン大阪パノラマ遊覧」は、明治・大正・昭和のフロアで近代大阪の住まいと暮らしを模型や資料で展示。
 さらに企画展示室では特別展や企画展を開催しています。


〇大阪くらしの今昔館は開館していますが、イベント・ワークショップ等の開催は中止しています。

 イベント・ワークショップおよびボランティアによる展示解説(町家衆による町家ツアー)等は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の為、当面の間 開催を中止いたします。

 開催を楽しみにしてくださった皆様にはご迷惑をおかけしますが、ご理解をいただきますようお願いいたします。


〇大阪くらしの今昔館を紹介する動画作成プロジェクトが「2021年度都市住宅学会賞・業績賞」を受賞しました

 受賞対象は「歴史博物館から発信する大阪の町家と住文化の魅力-子ども・若者・外国人に町家と住文化を理解してもらうための動画制作プロジェクト-」です。
 この動画制作プロジェクトは、2018年度に申請者らからなる博物館住まい学習研究会が「建築技術教育普及センター」の助成を受け、大阪くらしの今昔館の9階常設展示「商家の賑わい」で撮影・編集し、2019年3月に完成しました。ドイツ人留学生のザビ-ネさんがナビゲートし、今昔館ボランティア「町家衆」の皆さんが江戸時代の住民に扮して出演しています。その後、2019年7月からYouTubeで配信しました。

 大阪くらしの今昔館を紹介する学習ビデオは、「なにわの町並み」、「町家の商い」、「町家のくらしとおもてなし」、「裏長屋のくらし」の4編(それぞれ日本語字幕版と英語字幕版)で構成されています。


〇大阪くらしの今昔館の紹介動画
 今昔館の江戸時代のフロアをご紹介する動画(全4編)の目次はこちらからどうぞ。
 こちらから、見たい部分だけを見ることができます。英語の字幕入りの動画を見ることもできます。
http://konjyakukan.com/link_pdf/what's%20this%20.pdf



 このほかに「天神祭となにわの町」をご紹介する動画があります。
https://www.youtube.com/watch?v=3or8fq4U8zE&feature=youtu.be




〇落語家 桂米團治と歩く江戸時代の大坂
 大阪くらしの今昔館の9階常設展示室にある江戸時代(天保年間)の大坂の町並みをご紹介する新しい動画ができました。案内人は上方の落語家、桂米團治師匠です。
〈①表通り編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=n1moBJy5uB4
〈②町家の暮らし編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=dDb2VBmyKnw



〇【動画】重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界
 重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵(さあん)」の実物大構造模型(竹中大工道具館所蔵)を京都工芸繊維大学名誉教授 日向進先生が分かりやすく解説してくださいます。
 こちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=tqJEnPZckbc&feature=youtu.be



〇「今昔館のオンライン まなびプログラム」が公開されています
 大阪のまちと住まいや くらしのことを おうちで学んでみませんか?
 こちらからどうぞ。
 ⇒konjyakukan.com/link_pdf/今昔館のオンラインまなびプログラム.pdf





 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html



2021年10月20日水曜日

今週の今昔館(289) 近代展示室の見どころ(7) 本町橋 20211020

〇今昔館の近代展示室の見どころ(7)「大阪市パノラマ地図」

 大阪くらしの今昔館は、展示替えのための臨時休館が終わり、9月18日から開館していますが、天井改修工事の実施に伴い、令和4年秋頃(予定)までの約1年間、9階常設展示室および10階展望フロアが閉鎖されています。前回に引き続き近代のフロアの「大阪市パノラマ地図」の見どころをご紹介します。

 下の地図は大阪市パノラマ地図の本町橋付近を拡大したものです。本町橋の北東に「商品陳列所」が描かれています。
A この地は現在はどうなっているでしょうか?
B 江戸時代の天保年間には、ここに何があったでしょうか?
C 東横堀川が本町橋の南で曲がっているのはなぜでしょうか?



 答えは次のとおりです。
A マイドームおおさか、大阪商工会議所、シティプラザ大阪

B 大坂西町奉行所
 1724年(享保9年)の妙知焼けにより京橋口にあった東西両奉行所が焼失し、そのうち西町奉行所のみが当地に移転した。

C 東横堀川は本町橋~農人橋間でS字にカーブを描き、一区画分(約40間)東へ折れ曲がっている。これは開削時にあった浄国寺という寺院を避けたためと言われている。
 カーブで水流が急になるために水難事故が絶えなかったことから、付近の住民らで水難よけの曲り淵地蔵尊を祀った。現在でも小さな祠が残っている 。また、この「本町の曲り」は上方落語「饅頭こわい」にも登場する。


浪華名所獨案内の内本町付近(上が北)
天保新改攝州大阪全圖の内本町付近(上が北)

 商品陳列所のあったこの場所(本町橋の東詰)は、大阪にとって由緒のある土地です。
 豊臣秀吉の時代には東横堀川が大坂城の外堀であり、この地は惣構(そうがまえ)の一画でした。江戸時代に入ると、このあたりは幕府の米蔵屋敷のひとつとなり、「浜の御蔵」と呼ばれました。大坂城に運ばれる米の一部は東横堀川を遡って、ここへ運ばれたといいます。江戸時代中期には、米蔵から塩や味噌を貯蔵する「御塩噌蔵」となりましたが、1724年(享保9年)の大火(妙知焼け)で焼失してしまいます。
 西町奉行所は、現大手前合同庁舎の位置に東町奉行所と並んで1619年(元和5年)に設置されていましたが、妙知焼けにより焼失したため、西町奉行所のみがこの地に移転しました。敷地面積は、9,600平方メートルにも及びました。以降、1868年(明治元年)に廃止されるまでの約140年にわたり、西町奉行所がこの地にありました。



 1868年(明治元年)の明治維新により、奉行所は廃止され、大阪裁判所となりました。その後、同年5月、初代大阪府庁が置かれました。庁舎は、西町奉行所の建物がそのまま使用されました。



 1874年(明治7年)に大阪府庁が江之子島へ移転した跡地に、「大阪博物場」が1875年(明治8年)設立されました。
 その後の1878年(明治11年)には、府立教育博物館を併合し、産業見本市、図書館、博物館、美術館、動物園、植物園、舞台、公園がミックスした総合産業文化施設となりました。

府立大阪博物場案内図

 大阪府立商品陳列所は、1890年(明治23年)に北区堂島に創立されましたが、1909年(明治42年)の北区の大火災「北の大火」により、陳列所が類焼してしまいます。商品陳列所を再建するにあたり、1917年(大正6年)3月15日に堂島から本町橋東詰のこの地へ移転しました。大阪市パノラマ地図には、このときの商品陳列所が描かれています。

大阪府立大阪商品陳列所 外観

 1930年(昭和5年)1月1日 大阪府の産業行政機関整備・強化のため、「大阪府立商品陳列所」は名称を「大阪府立貿易館」と改められました。
 その後の1943年(昭和18年)3月には、戦時体制の下、大阪府立貿易館・大阪市貿易課・大阪商工会議所貿易課が行ってきたすべての貿易関係業務を集約し、南方資源調査などに当たることとなり、「大阪南方院」と改称されます。
 戦後の1945年(昭和20年)12月31日、大阪南方院は解散され、翌1946年(昭和21年)1月1日、大阪府立貿易館が復活しました。商品陳列所以来97年の歴史を持つ大阪府立貿易館は、1987年(昭和62年)11月、廃止されました。
 また、1948年(昭和23年)から1985年(昭和60年)にかけては、貿易館に附設された大阪高等貿易講習所、改称されて大阪府立貿易専門学校としても利用されました。



 現在、商品陳列所のあった地には、大阪商工会議所、マイドームおおさか、シティプラザ大阪が立地しています。

左から、大阪商工会議所、マイドームおおさか
シティプラザ大阪

 また、2021年8月、本町橋の北側、シティプラザ大阪の西側に「β(ベータ)本町橋」がオープンしました。これからの「パブリック」を耕しそだてる水辺の実験基地で、水辺とまちと人をつなぐキオスクがあり、気軽に船や水上アクティビティが楽しめます。βには、実験中、未完成のという意味があり、進化し続ける場でありたいとの想いを込めて「β本町橋」と名付けられたそうです。

本町橋東詰から見たβ本町橋
β本町橋
「ウエ(まちフロア)」と「シタ(かわフロア)」
船上レストラン
船着き場、後方に本町橋
「本町橋界隈 まちの遺伝子」の案内板

 今回の解説は、マイドームおおさかの管理運営を行っておられる公益財団法人 大阪産業振興機構さんのホームページを参考にさせていただきました。


 大阪市パノラマ地図を見ながら、「昔は何があったのかな?」「今はどうなっているのかな?」と昔と今を比較して考えを廻らしてみるのも興味深いと思います。


 今昔館の近代のフロアをご紹介する動画が2編公開されています。動画を見てから見学すると、見どころがよくわかると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=SbqzmybwKss&feature=youtu.be


https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4




〇【住まいのミュージアム20周年記念事業】
 「大阪くらしの今昔館」のバトンを繋ぐ


 「大阪市立住まいのミュージアム」は、大阪の住まいや暮らしの歴史を再現・発信する体験型ミュージアムとして2001年4月に開館し、本年4月に20周年を迎え、これまで延べ540万人を超える方々にご来館いただきました。
 このたびの20周年を記念し、開館から本年3月まで館長を務めた谷直樹先生と、本年4月に館長に就任した増井正哉館長による新旧館長の講演と対談が開催されます。

■日 時:令和3年10月23日(土)13:00~15:20(開場12:30~)
■場 所:大阪市立住まい情報センター3階ホール
■定 員:150名(定員を超えた場合は抽選)
 ※今後の新型コロナウィルス感染症の状況により定員の変更やシンポジウムを中止する場合があります。
■参加費:無料
■主 催:大阪市/大阪市立住まい情報センター

詳しくは、こちらから。
https://www.osaka-angenet.jp/event/117

申し込みは、こちらから。
https://www.osaka-angenet.jp/event/117/entry




〇企画展「商都慕情Ⅱ‐水のまち大阪を巡る -」開催中です

 令和3年9月18日(土)~11月14日(日)

 江戸時代、淀川は京都と大坂をつなぐ動脈として、人や物資が往来し、絵画にもよく描かれました。とくに、円山応挙が京都伏見から大坂天満橋までの両岸の光景を描いた絵巻がよく知られています※。この絵巻から昭和初期に大阪の絵師が6つの場面を模写していました。それが庭山耕園とその門人らによる「淀川両岸帖」です。当館はこの作品を2020年に新収蔵しました。収蔵後、本展が初公開となります。
 大坂の市中には堀川が網目のように張り巡らされ、八百八橋と称されました。橋上や舟の上は町民にとって夕涼みや花火見物を楽しむ憩いの場でした。天神祭の船渡御の舞台も大川です。その熱気は江戸の浮世絵師歌川貞秀の錦絵にも描かれています。また、道頓堀の芝居をかける際に、役者が船に乗って市中を巡る「船乗込」も川筋で華やかに行われました。商いの流通や暮らし、そして文化が水とともにあった大坂。本展では大阪くらしの今昔館所蔵の絵画や錦絵を用いて、水都とよばれた大坂の情景を想起します。
※「淀川両岸図巻」公益財団法人アルカンシエール美術財団蔵(本展の出品はございません)

開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)
閉館日 :火曜日

会  場:大阪市立住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館)企画展示室
入館料 :(8階常設展示室の入場料を含む)
     一般400円(団体300円)
     高校生・大学生300円(団体200円)(要学生証提示)
     (注)団体は20名以上
     大阪周遊パスでもご入場いただけます。
     中学生以下、障がい者手帳等持参者(介護者1名を含む)、大阪市内在住の65歳以上の方は無料です。(要証明書提示)

【町家と茶室の展示】
 企画展示室内には、江戸時代における大坂の商家座敷の再現や、重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵」の構造模型(公益財団法人 竹中大工道具館蔵)など実物大の模型を設置し、2種の建築から住まいと暮らしの様相をお見せします。

淀川両岸帖(部分)庭山耕園他
よど川のすずみ船 菅 楯彦
浪速天満祭 歌川貞秀
『滑稽浪花名所』のうち ざこば魚市 芳豊


〇天井改修工事の実施に伴う一部展示室等の閉鎖のお知らせ

 大阪くらしの今昔館から重要なお知らせです。
 天井改修工事の実施に伴い、9月18日より令和4年秋頃(予定)までの約1年間、9階常設展示室および10階展望フロアが閉鎖されますので、ご注意ください。


・9階、10階の閉鎖期間中は8階企画展示室に町家座敷を実物大で再現し、茶室の実物大構造模型とともに展示します。
・8階の吹抜け部分に大型映像コーナーを新設し、江戸時代の大坂の町なみと天保年間の人々の暮らしを描いた動画をご覧いただけます。


・天井改修工事期間中の入館料
8階常設展と企画展をご覧いただけます。
 一般   400円  団体(20名以上)300円
 高・大生 300円  団体(20名以上)200円 *要学生証提示

【年間パスポート】
現在年間パスポートは販売を休止しております。

【年間パスポートをお持ちの方へ】
天井改修工事期間を含む年間パスポートをお持ちの方は有効期限を延長いたします。インフォメーションにて手続きをいたしますので、次回ご来館の際にご提示ください。



〇住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」とは?

 住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」は2001年4月26日に開館しました。今年で開館20周年を迎えました。
 前館長の谷直樹先生と新館長の増井正哉先生がこれまでの道のりを振り返り、これからの課題について語り合う動画が公開されています。
 こちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=kFW0qbelLNo

 ここは「住まいの歴史と文化」をテーマにした、日本で初めての專門ミュージアムです。
 住まい情報センターのビルの9階「なにわ町家の歳時記」は、江戸時代のフロア。天保初年(1830年代前半)の大坂の町並みを実物大で復元しています。
 8階「モダン大阪パノラマ遊覧」は、明治・大正・昭和のフロアで近代大阪の住まいと暮らしを模型や資料で展示。
 さらに企画展示室では特別展や企画展を開催しています。


〇大阪くらしの今昔館は開館していますが、イベント・ワークショップ等の開催は中止しています。

 イベント・ワークショップおよびボランティアによる展示解説(町家衆による町家ツアー)等は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の為、当面の間 開催を中止いたします。

 開催を楽しみにしてくださった皆様にはご迷惑をおかけしますが、ご理解をいただきますようお願いいたします。


〇大阪くらしの今昔館を紹介する動画作成プロジェクトが「2021年度都市住宅学会賞・業績賞」を受賞しました

 受賞対象は「歴史博物館から発信する大阪の町家と住文化の魅力-子ども・若者・外国人に町家と住文化を理解してもらうための動画制作プロジェクト-」です。
 この動画制作プロジェクトは、2018年度に申請者らからなる博物館住まい学習研究会が「建築技術教育普及センター」の助成を受け、大阪くらしの今昔館の9階常設展示「商家の賑わい」で撮影・編集し、2019年3月に完成しました。ドイツ人留学生のザビ-ネさんがナビゲートし、今昔館ボランティア「町家衆」の皆さんが江戸時代の住民に扮して出演しています。その後、2019年7月からYouTubeで配信しました。

 大阪くらしの今昔館を紹介する学習ビデオは、「なにわの町並み」、「町家の商い」、「町家のくらしとおもてなし」、「裏長屋のくらし」の4編(それぞれ日本語字幕版と英語字幕版)で構成されています。


〇大阪くらしの今昔館の紹介動画
 今昔館の江戸時代のフロアをご紹介する動画(全4編)の目次はこちらからどうぞ。
 こちらから、見たい部分だけを見ることができます。英語の字幕入りの動画を見ることもできます。
http://konjyakukan.com/link_pdf/what's%20this%20.pdf



 このほかに「天神祭となにわの町」をご紹介する動画があります。
https://www.youtube.com/watch?v=3or8fq4U8zE&feature=youtu.be




〇落語家 桂米團治と歩く江戸時代の大坂
 大阪くらしの今昔館の9階常設展示室にある江戸時代(天保年間)の大坂の町並みをご紹介する新しい動画ができました。案内人は上方の落語家、桂米團治師匠です。
〈①表通り編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=n1moBJy5uB4
〈②町家の暮らし編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=dDb2VBmyKnw



〇【動画】重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界
 重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵(さあん)」の実物大構造模型(竹中大工道具館所蔵)を京都工芸繊維大学名誉教授 日向進先生が分かりやすく解説してくださいます。
 こちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=tqJEnPZckbc&feature=youtu.be



〇「今昔館のオンライン まなびプログラム」が公開されています
 大阪のまちと住まいや くらしのことを おうちで学んでみませんか?
 こちらからどうぞ。
 ⇒konjyakukan.com/link_pdf/今昔館のオンラインまなびプログラム.pdf





 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html