2018年8月28日火曜日

今週の今昔館(126) 野田藤 20180828

〇今週のイベント・ワークショップ

企画展示室では、大阪市中央公会堂開館100周年記念
特別展「大大阪モダニズム ― 片岡安の仕事と都市の文化―」を開催中です。
9月2日(日)まで。残りわずかとなりました。


9月1日(土)
イベント 町家寄席-落語

江戸時代にタイムスリップ!大坂の町家で、落語をきいてみませんか。
出演:桂出丸、桂宗助

9月2日(日)
町家衆イベント 町の解説

江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00-16:00

8月29日(水)~9月1日(土)、12日(水)~15日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。
当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
時 間:①11:30~、②14:30~
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)

9月2日(日)、16日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00

※9月3日(月)~11日(火)は、展示替えのため休館します。

9月15日(土)
イベント 上方の華と粋 座敷舞

上方の地で生まれ育った「上方舞」
山村流の立方が町家の座敷で華やかな舞を披露します
舞い方:山村若女 他
14時~15時

9月16日(日)
イベント 町家でお茶会

町家の座敷で「ほっと一息」一服いかがですか
先着順50名、茶菓代300円
※当日12時より8階インフォメーションでお茶券を販売します
協力:大阪市役所茶道部
13時~15時

町家衆イベント 今昔語り
大阪に残る昔ばなしを、町家の座敷でお聞かせします。
あたたかくなつかしい風情をお楽しみください。
開催日:お茶会と同日
時 間:14:30-15:00

町家衆イベント 連鶴(有料)
折鶴がいくつもつながった連鶴。
一枚の紙から折るところに特色があります。
作り方を詳しくお教えします。
開催日:奇数月の第3日曜
時 間:13:30~初心者向け、14:30~中級者以上向け

町家衆イベント 町の解説
江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00-16:00

そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。



〇浪花百景に見る江戸時代の大坂(32)

 「浪花百景に見る江戸時代の大坂」では、前回まで大阪のウォーターフロントである港区・大正区の名所を見てきました。今回からは福島区に入ります。第32回目は、「野田藤」をご紹介します。

■野田藤(芳瀧画)
 古来、吉野の桜、高尾の紅葉とともに並び称される野田・春日神社の藤。貞治3年(1364)室町幕府の二代将軍足利義詮が住吉詣の帰途、来遊し「いにしえのゆかりを今も紫のふじ浪かかる野田の玉川」と詠じています。太閤秀吉も御伽衆らを伴い藤見物に訪れたといわれます。大坂の花見のうちでも藤之宮として第一の名所でした。
 明治期に植物学者牧野富太郎博士が自生の原種として認め、ノダフジと命名しました。第二次大戦や台風災害のため絶滅の危機に瀕しましたが、地元の努力によって再生を遂げています。

浪花百景「野田藤」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)
現在の春日神社
野田の藤跡の碑


 江戸時代天保年間発行の「浪華名所獨案内」の野田付近を見ると、「野田」と「下福島」の間に「春日社」の地名が見えます。観光ルートにもなっています。このほか、野田付近では「円満寺」の「二十一人討死旧跡」が描かれています。この地図は、東が上に書かれています。北を上にしましたので文字は右を向いています。

浪華名所獨案内(「津の清」蔵)

 次に、天保8年(1837)発行の天保新改攝州大坂全圖を見てみましょう。「野田村」の東に、「玉江春日」「円満寺」「極楽寺」「エビス社」の文字がみえます。堂島川の傍には「下ノ天神」もあります。

天保新改攝州大坂全圖(国際日本文化研究センター蔵)

 大正13年発行の大阪市パノラマ地図では、市電の「玉川町三」と「下福島」の北東に「戎神社」が描かれています。「春日社」の文字は見えませんが、公園の周りにいくつかの寺社の絵があります。位置的には公園の左上の緑が「春日社」と思われます。省線(現在のJR大阪環状線)は地上を走り、それに並行して市電も走っています。「玉川町四」の交差点では、市電が立体交差している様子も描かれています。

大阪市パノラマ地図(大阪くらしの今昔館蔵)

 昭和12年発行の大大阪観光地図を見ると、市電「玉川町三」停留所の北に神社と公園()の記号があります。これは戎神社とその北側の公園と考えられます。それ以外に神社の記号は表示されていません。中央卸売市場が絵入りで大きく描かれています。

大大阪観光地図(国際日本文化研究センター蔵)

 今昔マップ3を利用して、地形図の変遷を見てみます。
 左上の明治42年では、西野田の地名の右上に神社や寺の記号がいくつか見られます。一番上(北)の神社が春日神社と思われます。省線(現在の環状線)の北側はほとんど農地であったことが分かります。
 右上の昭和7年では、省線の北側まで市街地化が進んでいます。「玉川町」の地名の右側に神社や寺の記号がいくつか見えます。
 左下の昭和30年では、白い部分が戦災によって焼失した地域です。西野田、江成町、中江町あたりと江川町の一部は、戦災を免れたことが分かります。
 右下の昭和42年を見ると、市街地の復興が進み、市電の一部は廃止されています。玉川町に寺社の記号はありますが、春日神社は表示されていません。

明治42年から昭和42年の地形図
(今昔マップ3より)

 今回は、「浪花百景」の「野田藤」をご紹介し、周辺地域の変遷を見てきました。
 室町時代の1364年には、足利義詮が住吉詣の途中、野田に立ち寄り、玉川の藤を見て「いにしえの ゆかりを今も 紫の ふし浪かかる 野田の玉川」と詠みました。その後、玉川の藤は「吉野の桜、野田の藤」と並び称せられました。

 福島区の住居表示案内板は、「野田藤」にちなんで藤色が使われています。他の区では、ブルーやグリーンが多い中、地域性を生かしたユニークな取り組みです。

 区のホームページにもトップページで「のだふじ」が紹介され、藤色を基調としたページ作りになっています。シンボルマークにも藤の花がデザインされています。
www.city.osaka.lg.jp/fukushima/
 今昔館8階展示室の床面には大きく拡大した「大阪市パノラマ地図」がありますので、昔の地図、現代の地図と見比べながらお楽しみください。


 錦絵の解説は、関西学院大学博物館「浪花百景ー大坂名所案内ー」、大阪城天守閣「特別展浪花百景ーいま・むかしー」を参考にさせていただきました。


〇企画展示室では、大阪市中央公会堂開館100周年記念
 特別展「大大阪モダニズム ― 片岡安の仕事と都市の文化―」を開催中です。
 9月2日(日)まで。残りわずかとなりました。


 開館時間:10:00-17:00(入館は16:30まで)


 大正14年(1925)、大阪市は市域拡張によって面積・人口ともに東京市を抜き日本第一の都市となり、当時世界第6位の大都市「大大阪」が誕生しました。御堂筋の建設や公営地下鉄の開通、築港整備などが進み、また大阪市中央公会堂、大阪商科大学(現大阪市立大学)、大阪城天守閣、大阪市立美術館などの教育文化施設が誕生しました。次々と都市計画が実現する中、機能性を重視した「モダニズム建築」が現れ、大衆文化にもアールデコ風の新しいデザインが取り入れられます。

 今年は、大阪市中央公会堂が開館して100年の節目の年になります。そこで、大大阪時代の幕明けを告げるこの名建築の実施設計を手掛け、大阪の都市計画を指導した建築家・都市計画家の片岡 安の仕事を通して、大大阪時代の建築群と都市景観を展望します。また大大阪時代の都市美を描いた絵画を紹介し、大大阪モダニズムとも呼べるこの時代の美術・文化を再評価します。

 本展覧会は、片岡安が初代校長を務めた常翔学園(その前身である関西工學専修學校)の常翔歴史館と、大阪の建築文化の専門博物館でもある大阪市立住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館)の主催により開催します。

「大阪市公会堂新築設計図 透視図」
(岡田信一郎案)大阪市蔵
小出楢重《市街風景(街景)》個人蔵
川瀬巴水《大阪道頓堀の朝》
大阪市新美術館準備室蔵
「大阪の三越」個人蔵



 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
http://konjyakukan.com/index.html


 「今週の今昔館」は第1回から第52回までは、大阪市立住まい情報センターの住まい・まちづくり・ネット「スタッフのつぶやき」に掲載されています。
「今週の今昔館」第1回はこちらからご覧ください。
http://sumai-osaka.blogspot.jp/2016/04/blog-post.html


 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。

「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。
http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。
http://www.sumai-machi-net.com/howtouse



2018年8月21日火曜日

今週の今昔館(125) 松の鼻 20180821

〇今週のイベント・ワークショップ

企画展示室では、大阪市中央公会堂開館100周年記念
特別展「大大阪モダニズム ― 片岡安の仕事と都市の文化―」を開催中です。
会期:平成30年7月21日(土)~9月2日(日)


8月25日(土)
町家衆イベント ワークショップ『千代紙ろうそくを作ろう』

①13時30分 ②14時30分
当日先着各回10名、参加費200円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆

8月26日(日)
イベント 第13回子ども落語大会

開催日時 平成30年8月26日(日) 午後12時~17時(予定)
開催場所 : 大阪くらしの今昔館 9階常設展示場 薬屋座敷
参 加 費 : 無料(参加者の御家族1名は無料です)
対 象 : 中学生以下
内 容  : 落語・小噺・おもしろい話など、なんでもOK!
持ち時間 : 一人10分以内(時間厳守のこと)
申込方法 : 往復はがきに住所、氏名、年齢(学年)、電話番号、 演目、ありましたら舞台名、見台の要否、「出場に際してひとこと!」を明記の上、下記申込先へ往復はがきでお申し込みください。申込者が多い場合は抽選となります。
申込締切 : 平成30年8月12日(日)まで

申込・問合せ先
     〒530-0041
     大阪市北区天神橋6丁目4-20
     大阪くらしの今昔館「子ども落語大会」係
     TEL 06-6242-1170
備 考  : 本大会の入賞者は、10月7日(日)午前10時から、天満天神繁昌亭の舞台に出演していただきます

町家衆イベント 絵本で楽しい時間
むかし話などの絵本を表情豊かに読み聞かせます。
じっくりとお聞きください。
開催日: 第4日曜
時 間:14:30-15:00

9月1日(土)
イベント 町家寄席-落語

江戸時代にタイムスリップ!大坂の町家で、落語をきいてみませんか
出演:桂出丸、桂宗助

9月2日(日)
町家衆イベント 町の解説

江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00-16:00

8月22日(水)~25日(土)、27日(月)、29日(水)~9月1日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。
当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
時 間:①11:30~、②14:30~
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)

8月26日(日)、9月2日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00

※毎週火曜日は、休館日です。

そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。



〇浪花百景に見る江戸時代の大坂(31)

「浪花百景に見る江戸時代の大坂」の31回目は、「松の鼻」をご紹介します。

■松のはな(国員画)
 安治川より別れて南下する木津川は、現在の松島公園の北側付近で分流して尻無川となります。この辺り一帯は船大工が多く、造船業の集まるところでした。分流点の岸は、突端には水面に枝を大きく垂らす見事な松の名木があったことから「松の鼻」「松が鼻」と呼ばれていました。
 江戸時代には樹齢300年と称する名松を目当てに舟行の客が繰り出し、松を愛でながら酒宴を催すほどの水辺の景勝地として親しまれました。この二つの川に挟まれた一帯は明治元年(1868)松の鼻に因んで寺島から松嶋と改称、以降遊廓として栄えました。
 松は大正年間(1912~26)に枯れてしまい、尻無川は同じ頃現在の流路(岩崎運河)に付け替えられ、元の流路は戦後に埋め立てられました。

浪花百景「松のはな」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)


 江戸時代天保年間発行の「浪華名所獨案内」の戎島付近を見ると、「エノゴジマ」「九条」「竹林寺」の地名が見えますが、松の鼻は記載されていません。この地図は、東が上になっています。

浪華名所獨案内(「津の清」蔵)


 次に、天保8年(1837)発行の天保新改攝州大坂全圖を見てみましょう。江之子島の南端に「ツキ地」の文字があり、その対岸にある松島の北端に「松ガハナ」の文字があります。木津川と百間堀、立売堀が合流した後、「松ガハナ」で再び2つに分かれます。東に木津川、西に尻無川となって流れます。2つの川に挟まれた島には、「九条村ノ内」の文字がありますが、当時は「寺島」とも呼ばれていました。

天保新改攝州大坂全圖(国際日本文化研究センター蔵)

 大正13年発行の大阪市パノラマ地図では、松島の北端に松の木の絵が描かれています。長堀の北側を西へ走ってきた市電は、木津川を渡ったところ松島町停留所があり、ここで南北に分かれます。北へ進むと港通と交差する所に「本田通一」の停留所があり、南へ進むと桜の木が描かれている天満宮の御旅所の前を通って「九条」停留所に至ります。松島の中央に南北に並ぶ桜並木の両側は松島遊郭です。

大阪市パノラマ地図(大阪くらしの今昔館蔵)

 昭和12年発行の大大阪観光地図を見ると、松島の北端に「松ケ鼻」の文字があります。「常盤橋」電停の傍には「茨住吉」が、江之子島には「工業奨励館」の文字があります。地図の凡例によると、赤い太い線は市電、赤い細い線は市営バス、┼┼┼┼┼ は会社バスの路線を示しています。当時、市営バスは「銀バス」、大阪市内で競合していた民営の大阪乗合自動車は「青バス」の名前で親しまれていました。昭和15年(1940)に、大阪市は大阪乗合自動車(青バス)を統合し、市電・地下鉄を合わせて大阪市内交通を事実上独占する状態(市営モンロー主義)になります。

大大阪観光地図(国際日本文化研究センター蔵)

 今昔マップ3を利用して、地形図の変遷を見てみます。
 左の明治42年では、松の鼻で2つに分かれた木津川と尻無川に囲まれたところが松嶋となっており、まさに「嶋」となっていました。
 右の最新の地理院地図を見ると、市電はすべて廃止され、港通の西側に中央大通りができて、地下鉄中央線が走っています。尻無川が埋め立てられた跡を取り込む形で公園ができています。尻無川の埋め立てによって「松の鼻」そのものがなくなってしまいました。
 町名からは松嶋が消えて、千代崎という住居表示に変わっています。尻無川が埋め立てられた上に京セラ大阪ドームが建設されています。地下鉄長堀鶴見緑地線「ドーム前千代崎駅」と阪神なんば線「ドーム前駅」の文字が見えています。

明治42年地形図と最新の地理院地図
(今昔マップ3より)

 今回は、「浪花百景」の「松のはな」をご紹介し、周辺地域の変遷を見てきました。今昔館8階展示室の床面には大きく拡大した「大阪市パノラマ地図」がありますので、昔の地図、現代の地図と見比べながらお楽しみください。

 錦絵の解説は、関西学院大学博物館「浪花百景ー大坂名所案内ー」、大阪城天守閣「特別展浪花百景ーいま・むかしー」を参考にさせていただきました。


〇企画展示室では、大阪市中央公会堂開館100周年記念
 特別展「大大阪モダニズム ― 片岡安の仕事と都市の文化―」を開催中です。


会期:平成30年7月21日(土)~9月2日(日)
開館時間:10:00-17:00(入館は16:30まで)

会期中の休館日:毎週火曜日

 大正14年(1925)、大阪市は市域拡張によって面積・人口ともに東京市を抜き日本第一の都市となり、当時世界第6位の大都市「大大阪」が誕生しました。御堂筋の建設や公営地下鉄の開通、築港整備などが進み、また大阪市中央公会堂、大阪商科大学(現大阪市立大学)、大阪城天守閣、大阪市立美術館などの教育文化施設が誕生しました。次々と都市計画が実現する中、機能性を重視した「モダニズム建築」が現れ、大衆文化にもアールデコ風の新しいデザインが取り入れられます。

 今年は、大阪市中央公会堂が開館して100年の節目の年になります。そこで、大大阪時代の幕明けを告げるこの名建築の実施設計を手掛け、大阪の都市計画を指導した建築家・都市計画家の片岡 安の仕事を通して、大大阪時代の建築群と都市景観を展望します。また大大阪時代の都市美を描いた絵画を紹介し、大大阪モダニズムとも呼べるこの時代の美術・文化を再評価します。

 本展覧会は、片岡安が初代校長を務めた常翔学園(その前身である関西工學専修學校)の常翔歴史館と、大阪の建築文化の専門博物館でもある大阪市立住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館)の主催により開催します。

「大阪市公会堂新築設計図 透視図」
(岡田信一郎案)大阪市蔵
小出楢重《市街風景(街景)》個人蔵
川瀬巴水《大阪道頓堀の朝》
大阪市新美術館準備室蔵
「大阪の三越」個人蔵



 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
http://konjyakukan.com/index.html


 「今週の今昔館」は第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪のまちづくり」に掲載しています。
「今週の今昔館」第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html


 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。

「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。
http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。
http://www.sumai-machi-net.com/howtouse



2018年8月14日火曜日

今週の今昔館(124) 茨住吉 20180814

〇今週のイベント・ワークショップ

8月16日(木)
イベント 夏休み まちなみ探偵団

江戸時代の大坂の住まいやくらしのヒミツを極秘調査して、
今昔館を訪れている外国の人に見つけたヒミツを伝えてみよう!
10時30分~16時30分(受付10時15分より)
対象:小学4・5・6年生(安全のため、保護者の送迎をお願いします。)
※当初5,6年生を対象としていましたが、4年生まで対象を広げました。
定員:20名(申し込み多数の場合は抽選)
お申し込みについては「住まい・まちづくり・ネット」をご覧ください。申込期限は8月2日(木)です。
https://www.sumai-machi-net.com/event/portal/event/33201
※いただいた個人情報は今回のイベント以外の目的には一切使用いたしません。
※参加者決定後、お申し込み時にご記入いただきましたご住所に、参加証及び詳細をお送りします。
※昼食・飲み物は、各自ご用意ください。

8月18日(土)
町家衆イベント 折り紙(有料)

季節に合わせてさまざまな折り紙をお教えします。
作品は持ち帰っていただきます。
開催日:偶数月の第3土曜
時 間:13:30-15:00

8月19日(日)
イベント 町家でお茶会

町家の座敷で「ほっと一息」一服いかがですか,br> 先着順50名、茶菓代300円
※当日12時より受付でお茶券を販売します
協力:大阪市役所茶道部
13時~15時

町家衆イベント 今昔語り
大阪に残る昔ばなしを、町家の座敷でお聞かせします。
あたたかくなつかしい風情をお楽しみください。
開催日:お茶会と同日
時 間:14:30-15:00

町家衆イベント 町の解説
江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00-16:00

8月25日(土)
町家衆イベント ワークショップ『千代紙ろうそくを作ろう』

①13時30分 ②14時30分
当日先着各回10名、参加費200円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆

8月26日(日)
イベント 第13回子ども落語大会

開催日時 平成30年8月26日(日) 午後12時~17時(予定)
開催場所 : 大阪くらしの今昔館 9階常設展示場 薬屋座敷
参 加 費 : 無料(参加者の御家族1名は無料です)
対 象 : 中学生以下
内 容  : 落語・小噺・おもしろい話など、なんでもOK!
持ち時間 : 一人10分以内(時間厳守のこと)
申込方法 : 往復はがきに住所、氏名、年齢(学年)、電話番号、 演目、ありましたら舞台名、見台の要否、「出場に際してひとこと!」を明記の上、下記申込先へ往復はがきでお申し込みください。 申込者が多い場合は抽選となります
申込締切 : 平成30年8月12日(日)まで

申込・問合せ先
     〒530-0041
     大阪市北区天神橋6丁目4-20
     大阪くらしの今昔館「子ども落語大会」係
     TEL 06-6242-1170
備 考  : 本大会の入賞者は、10月7日(日)午前10時から、天満天神繁昌亭の舞台に出演していただきます

町家衆イベント 絵本で楽しい時間
むかし話などの絵本を表情豊かに読み聞かせます。
じっくりとお聞きください。
開催日: 第4日曜
時 間:14:30-15:00

15日(水)~18日(土)、20日(月)、22日(水)~25日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。
当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
時 間:①11:30~、②14:30~
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)

8月19日(日)、26日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00

※毎週火曜日は、休館日です。

そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。



〇浪花百景に見る江戸時代の大坂(30)

 「浪花百景に見る江戸時代の大坂」の30回目は、「茨住吉」をご紹介します。

■茨住吉(芳瀧画)
 茨住吉のあった九条村は、寛永元年(1624)に江戸幕府の旗本である香西皙雲が土豪池山新兵衛を起用して開発したとされる新田村です。この時香西がこの土地の守護として、また、航行安全を祈って底筒男(そこつつのお)ほか三神を勧請したとされるのがこの神社です。以降、摂津国西成郡九条村の産土神社となります。なお、同じく晢雲が九条島開発の際に建立した竹林寺も近隣に所在します。
 社名に「茨」がつくのは、荊棘を駆除して社殿を建設したことから茨の字を冠したとも、摂津国菟原郡住吉村(現在の神戸市東灘区)の本住吉神社を分祀したので菟原が茨と転訛したとも云われます。広大な社域には巨樹が茂り、八橋を設けた池辺では住吉の浅澤から移植したという杜若が楽しめるなど、時節には参詣者が多かったといわれます。
 かつての神殿は戦災で焼失しましたが、現在は見事に復興されています。


浪花百景「茨住吉」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)
現在の茨住吉神社鳥居
現在の茨住吉神社拝殿

 江戸時代天保年間発行の「浪華名所獨案内」の茨住吉付近を見ると、「九条」「竹林寺」「波除山」と並んで「茨住吉」の地名が見えます。「西」の字の上あたりです。この地図は、東が上になっています。

浪華名所獨案内(「津の清」蔵)

 次に、天保8年(1837)発行の天保新改攝州大坂全圖を見てみましょう。九絛島田地の北西の角、尻無川の傍に「茨住吉」の文字が見えます。横には「九条ノ内宮東」の文字もあります。

天保新改攝州大坂全圖(国際日本文化研究センター蔵)

 大正13年発行の大阪市パノラマ地図では、市電の常盤橋停留所の西に「茨住吉神社」が描かれています。市電は「花園橋」から「築港」が最初の路線で、北に延伸されて本町通や中之島、大阪駅と結ばれていました。茨住吉神社は松島遊郭にも近いことに加えて、市電の開通によって大変交通の便のいい立地になったと言えます。

大阪市パノラマ地図(大阪くらしの今昔館蔵)

 昭和12年発行の大大阪観光地図を見ると、市電の「常盤橋」と「花園橋」の間に赤枠付きの大きな文字で「茨住吉」があります。松島遊郭にも近く、周辺には寄席や芝居も多くありましたので、賑わっていたことが想像されます。

大大阪観光地図(国際日本文化研究センター蔵)

 今昔マップ3を利用して、地形図の変遷を見てみます。
 左上の明治42年では、松嶋の西側、市電の傍に神社らしき敷地はありますが、名称は書かれていません。市電は本田から大阪港への路線(港通)のほかに、長堀の北を西に向かってきた路線が松嶋に渡り、南へと走っています。
 右上の昭和7年では、「茨住吉社」の文字が見られます。長堀通からの市電が北へも分岐して、本田で港通の路線とクロスしています。
 左下の昭和22年では、白い部分が戦災で焼失した地域です。松島から九条一帯は大きな被害がありました。
 右下の昭和42年を見ると、市街地の復興が進み、尻無川が埋め立てられて、松島が島ではなくなっています。長堀の北の市電は廃止されています。港通の西側に新たに中央大通が通り、地下鉄4号線の文字も見えます。松島の文字は消えて、千代崎町となっています。尻無川が埋め立てられた跡もふくめて、公園が整備されています。

明治42年~昭和42年の地形図(今昔マップ3より)

 今回は、「浪花百景」の「茨住吉」をご紹介し、周辺地域の変遷を見てきました。今昔館8階展示室の床面には大きく拡大した「大阪市パノラマ地図」がありますので、昔の地図、現代の地図と見比べながらお楽しみください。

 錦絵の解説は、関西学院大学博物館「浪花百景ー大坂名所案内ー」、大阪城天守閣「特別展浪花百景ーいま・むかしー」を参考にさせていただきました。


〇企画展示室では、大阪市中央公会堂開館100周年記念
 特別展「大大阪モダニズム ― 片岡安の仕事と都市の文化―」を開催中です。


会期:平成30年7月21日(土)~9月2日(日)
開館時間:10:00-17:00(入館は16:30まで)

会期中の休館日:毎週火曜日

 大正14年(1925)、大阪市は市域拡張によって面積・人口ともに東京市を抜き日本第一の都市となり、当時世界第6位の大都市「大大阪」が誕生しました。御堂筋の建設や公営地下鉄の開通、築港整備などが進み、また大阪市中央公会堂、大阪商科大学(現大阪市立大学)、大阪城天守閣、大阪市立美術館などの教育文化施設が誕生しました。次々と都市計画が実現する中、機能性を重視した「モダニズム建築」が現れ、大衆文化にもアールデコ風の新しいデザインが取り入れられます。

 今年は、大阪市中央公会堂が開館して100年の節目の年になります。そこで、大大阪時代の幕明けを告げるこの名建築の実施設計を手掛け、大阪の都市計画を指導した建築家・都市計画家の片岡 安の仕事を通して、大大阪時代の建築群と都市景観を展望します。また大大阪時代の都市美を描いた絵画を紹介し、大大阪モダニズムとも呼べるこの時代の美術・文化を再評価します。

 本展覧会は、片岡安が初代校長を務めた常翔学園(その前身である関西工學専修學校)の常翔歴史館と、大阪の建築文化の専門博物館でもある大阪市立住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館)の主催により開催します。

「大阪市公会堂新築設計図 透視図」
(岡田信一郎案)大阪市蔵
小出楢重《市街風景(街景)》個人蔵
川瀬巴水《大阪道頓堀の朝》
大阪市新美術館準備室蔵
「大阪の三越」個人蔵




大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「今週の今昔館」は第1回から第52回までは、大阪市立住まい情報センターの住まい・まちづくり・ネット「スタッフのつぶやき」に掲載されています。
「今週の今昔館」第1回はこちらからご覧いただけます。
http://sumai-osaka.blogspot.jp/2016/04/blog-post.html


 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。

「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。
http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。
http://www.sumai-machi-net.com/howtouse



2018年8月7日火曜日

今週の今昔館(123) 天下茶屋ぜさい 20180807

〇浪花百景に見る江戸時代の大坂(29)

 「浪花百景に見る江戸時代の大坂」の29回目は、「天下茶屋ぜさい」をご紹介します。

■天下茶やぜさい(芳瀧画)
 天下茶屋は豊臣秀吉が住吉詣の際に休憩し、茶の湯を楽しんだ茶屋があったことから名づけられた地名と伝えられます。
 紀州街道に面してその茶屋の隣に、「是斎(ぜさい)」という薬屋がありました。津田宗本という人が寛永年中(1624~44)に開いた店で、シーボルトなどを通じて西洋にも紹介された銘薬で、胃痛・頭痛などに効能がある漢方の「和中散(わちゅうさん)」で評判でした。その次男是斎が近江の国梅木(うめのき)に開いた店の方が繁盛し、是斎と言えば和中散をさすほど有名になったため、本家の天下茶屋店も是斎の看板を掲げるようになったのだといわれます。

 店頭を広く取り、往来する人々に薬湯をふるまって大いに流行ったといわれます。旅人には丁度いい休憩所になったのでしょう。店の脇には人力で回す木製歯車があり、連動する石臼で薬種を挽いていました。
 店の様子を詳しく見せるため、錦絵の上部に店頭を大きく描く構図を採っているため、浪花百景では通常上部にあるタイトルが、左下にレイアウトされています。柱の後ろに「和中散」の文字が隠れています。

浪花百景「天下茶やぜさい」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)

 天下茶屋ぜさいは、大変有名であったため、いろいろな絵が描かれています。俳諧師・秋里籬島(あきさと りとう)が編集を担当し、絵師・竹原春朝斎(たけはら しゅんちょうさい)が絵を担当した摂津国の通俗地誌であり観光案内書でもあった「摂津名所図会」にも「天下茶屋村是斎薬店」があります。本文には「薬店は数十間を闢(ひら)きて、床椅(しょうぎ)数脚をならべ、往来の人を憩はし、薬を湯に立て施す事、四時間断なし」と解説があります。 

摂津名所図会(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)

 摂津名所図会とそっくりな図柄が、東海道中膝栗毛の挿絵にもあります。十返舎一九の大ヒット作で、主人公、弥次郎兵衛と喜多八をガイド役に、江戸時代の伊勢参りと京・大坂見物を再現したものです。

 二人は、四天王寺を見物後、阿倍野街道を経て住吉街道に出ます。本文の流れとこの挿絵の薬屋は直接関係しませんが、ト書きには、「やがて天下ちや屋むらなる、わちうさん是斎の見せさきにいたりけるに」とあり、「麗な天下茶屋から四方に名の羽をのす鳶のわちう散みせ」の一首が載っています。

 「麗(うららか)な天」(晴天)に「天下茶屋」を、晴天に鳶が輪を描いて飛ぶその「輪」に「和中散見世」をかけた趣向です。「天下茶屋和中散の見世の名は、羽を伸ばして舞う鳶のごとくに、四方にひろがっている」の意です。

東海道中膝栗毛より

 「浪速勝景帖」にも、冬の「ぜさい」の風景が描かれています。店の右奥には木製の歯車が見えています。

浪速勝景帖(大阪くらしの今昔館蔵)


 江戸時代天保年間発行の「浪華名所獨案内」を見ると、「今宮村」と「住吉」の間に「天下茶ヤ」があります。「スミヨシカイドウ」の文字もあります。茶色の線が引かれ、観光名所となっていたことがわかります。この地図は、東が上になっています。

浪華名所獨案内(「津の清」蔵)

 次に、天保8年(1837)発行の天保新改攝州大坂全圖を見てみましょう。今宮村と茶臼山は描かれていますが、天下茶屋は、地図の範囲に入っていません。

天保新改攝州大坂全圖(国際日本文化研究センター蔵)

 大正13年発行の大阪市パノラマ地図では、今宮の南に「萩茶屋」の文字が見えますが、その南には住吉神社の挿絵があって、天下茶屋はその下に隠れています。

大阪市パノラマ地図(大阪くらしの今昔館蔵)

 昭和12年発行の大大阪観光地図を見ると、南海本線に「天下茶屋」駅があり、「天下茶屋駅筋」の文字も見えます。傍に南海車庫もありました。阪堺線には「北天下茶屋」駅があり、駅の北西は「天下茶屋一丁目」南西は「天下茶屋二丁目」の地名があります。聖天坂の南西は「天下茶屋三丁目」になっています。二丁目には「天下茶屋」という大きな赤文字もあり、付近に商店街もあって賑わっていた様子が分かります。

大大阪観光地図(国際日本文化研究センター蔵)

 今昔マップ3を利用して、地形図の変遷を見てみます。
 左上の明治42年では、紀州街道に沿って町並みがあり、宿場町となっていたことがわかりますが、西側の高野登山線の周りには農地が拡がっています。東側の聖天山周辺も空地が目立ちます。
 右上の昭和7年では、阪堺電車も通り、市街地化が進んでいます。
 左下の昭和22年では、白い部分が戦災で焼失した地域です。天下茶屋から南、岸の里にかけては戦災の被害が大きかったことが分かります。
 右下の昭和42年を見ると、市街地の復興が進み、全域が市街地となっています。戦災の被害があったところに東西の幹線道路が通っています。現在の松虫通の一部になります。

明治42年~昭和42年の地形図(今昔マップ3より)

 今回は、「浪花百景」の「天下茶やぜさい」をご紹介し、周辺地域の変遷を見てきました。今昔館8階展示室の床面には大きく拡大した「大阪市パノラマ地図」がありますので、昔の地図、現代の地図と見比べながらお楽しみください。

 錦絵の解説は、関西学院大学博物館「浪花百景ー大坂名所案内ー」、大阪城天守閣「特別展浪花百景ーいま・むかしー」を参考にさせていただきました。「東海道中膝栗毛」の挿絵と解説は、新編日本古典文学全集「東海道中膝栗毛」(小学館)を参考にさせていただきました。


〇企画展示室では、大阪市中央公会堂開館100周年記念
 特別展「大大阪モダニズム ― 片岡安の仕事と都市の文化―」を開催中です。


会期:平成30年7月21日(土)~9月2日(日)
開館時間:10:00-17:00(入館は16:30まで)

会期中の休館日:毎週火曜日

 大正14年(1925)、大阪市は市域拡張によって面積・人口ともに東京市を抜き日本第一の都市となり、当時世界第6位の大都市「大大阪」が誕生しました。御堂筋の建設や公営地下鉄の開通、築港整備などが進み、また大阪市中央公会堂、大阪商科大学(現大阪市立大学)、大阪城天守閣、大阪市立美術館などの教育文化施設が誕生しました。次々と都市計画が実現する中、機能性を重視した「モダニズム建築」が現れ、大衆文化にもアールデコ風の新しいデザインが取り入れられます。

 今年は、大阪市中央公会堂が開館して100年の節目の年になります。そこで、大大阪時代の幕明けを告げるこの名建築の実施設計を手掛け、大阪の都市計画を指導した建築家・都市計画家の片岡 安の仕事を通して、大大阪時代の建築群と都市景観を展望します。また大大阪時代の都市美を描いた絵画を紹介し、大大阪モダニズムとも呼べるこの時代の美術・文化を再評価します。

 本展覧会は、片岡安が初代校長を務めた常翔学園(その前身である関西工學専修學校)の常翔歴史館と、大阪の建築文化の専門博物館でもある大阪市立住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館)の主催により開催します。

「大阪市公会堂新築設計図 透視図」
(岡田信一郎案)大阪市蔵
小出楢重《市街風景(街景)》個人蔵
川瀬巴水《大阪道頓堀の朝》
大阪市新美術館準備室蔵
「大阪の三越」個人蔵




〇今週のイベント・ワークショップ
 ※本日7日火曜日は、休館日です。


8日(水)~10日(金)、13日(月)、15日(水)~18日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
時 間:①11:30~、②14:30~
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)

8月11日(土・祝)、12日(日)、19日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00

8月11日(土・祝)、12日(日)
イベント 今昔館で夏祭り ― 楽市町家 ―

町家の店先に町家衆手作りのかわいい商品が並びます
13時~16時

8月12日(日)
町家衆イベント おじゃみ(有料)

古布を四角く切って縫い合わせて作るおじゃみ(お手玉)。
作り方をていねいにお教えします。
開催日:第2日曜
時 間:14:00-16:00

8月16日(木)
イベント 夏休み まちなみ探偵団

江戸時代の大坂の住まいやくらしのヒミツを極秘調査して、
今昔館を訪れている外国の人に見つけたヒミツを伝えてみよう!
10時30分~16時30分(受付10時15分より)
対象:小学4・5・6年生(安全のため、保護者の送迎をお願いします。)
※当初5,6年生を対象としていましたが、4年生まで対象を広げました。
定員:20名(申し込み多数の場合は抽選)
お申し込みについては「住まい・まちづくり・ネット」をご覧ください。申込期限は8月2日(木)です。
https://www.sumai-machi-net.com/event/portal/event/33201
※いただいた個人情報は今回のイベント以外の目的には一切使用いたしません。
※参加者決定後、お申し込み時にご記入いただきましたご住所に、参加証及び詳細をお送りします。
※昼食・飲み物は、各自ご用意ください。

8月18日(土)
町家衆イベント 折り紙(有料)

季節に合わせてさまざまな折り紙をお教えします。
作品は持ち帰っていただきます。
開催日:偶数月の第3土曜
時 間:13:30-15:00

8月19日(日)
イベント 町家でお茶会

町家の座敷で「ほっと一息」一服いかがですか,br> 先着順50名、茶菓代300円
※当日12時より受付でお茶券を販売します
協力:大阪市役所茶道部
13時~15時

町家衆イベント 今昔語り
大阪に残る昔ばなしを、町家の座敷でお聞かせします。
あたたかくなつかしい風情をお楽しみください。
開催日:お茶会と同日
時 間:14:30-15:00

町家衆イベント 町の解説
江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00-16:00

そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。

大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「今週の今昔館」は第1回から第52回までは、大阪市立住まい情報センターの住まい・まちづくり・ネット「スタッフのつぶやき」に掲載されていました。
「今週の今昔館」第1回はこちらからご覧いただけます。
http://sumai-osaka.blogspot.jp/2016/04/blog-post.html


 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。

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初めての方はこちらからどうぞ。
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