2017年10月31日火曜日

今週の今昔館(83) 大阪市パノラマ地図の隠れた見どころ 20171031

〇今昔館の近代展示室を愉しむ(17) 大阪市パノラマ地図の隠れた見どころ

 前回に引き続き「大阪市パノラマ地図」の見どころをご紹介します。今回は隠れた見所です。ややマニアックですが、知っていると愉しみが増えること間違いなしです。

 まずは、地図の左下、大阪港のあたりの欄外を見てみましょう。一番上には、印刷日と発行日が書かれています。大正12年12月28日印刷、大正13年1月5日発行とあります。


 その下には、「著作者 美濃部政次郎」とあり、住所は西区三軒家上之町322番地とあります。美濃部政次郎氏は銅板作家であったこと以外、あまりよくわかっていません。


 次に、「印刷兼発行者 日下伊兵衛」とあり、住所は西区新町通3丁目159番地とあります。この2枚に「雲」が描かれていますが、煙突の煙ではありません。絵巻物によく使われる手法と同じです。


 一番下には、「発行所 日下わらじ屋」とあり、こちらの住所は西区新町通3丁目角となっています。わらじ屋は、平成14(2002)年に無くなってしまいましたが、地図出版で有名な出版社でした。
 「雲」で途中を省略することによって画面に「大桟橋」を収めるようにしたのだと思いますが、それでも枠からはみ出しています。はみ出ていることで注目され、かえって、迫力が出ているのかもしれません。


 今度は地図の右上、タイトルの下をほうを見てみます。パノラマ地図の説明文が書かれています。
 「本図は大阪市街の原型を模写せし者にして実地踏写に成り普通地図と全然其の趣を異にし・・・」で始まる効能書きですが、面白いのは、「新式重要図」「大なる誇りとせざるを得ず」と自慢しながらも、最後の方で「是れ止むを得ざる次第にして・・・」と言い訳をしているところです。「雲」で省略している築港方面のこともちゃんと例示しています。
 パノラマ地図は、90年以上前の制作としては、十分自慢に足りる力作だと思います。


 地図の一番下の中央辺りには、「記号」の欄があります。凡例ですね。何が記号になっているか見てみると、停車場、停留所、名所、郵便局に始まり、簡易食堂、公設市場、私設市場、劇場、演舞場、寄席、湯屋と、時代を感じさせます。大阪でよく使う「風呂屋・銭湯」とせずに「湯屋」となっているところが、ちょっと意外な感じがします。


 では、記号にもある「停留所」を実際に見てみましょう。市電の東西線(本町通)と南北線(堺筋)がクロスする本町2丁目付近、堺筋本町です。
 本町通に、本町一、本町二、本町三と3つの停留所が描かれていますが、停留所名の近くには必ず市電の車両の絵があります。プラットホームの位置を示しているのです。したがって市電がクロスする「本町二」のような交差点には4台の車両が描かれています。行先別のプラットホームの位置が分かるようになっているのです。きめ細かな配慮ですね。
 この地図で、湯屋(風呂屋・銭湯)も確認できます。小さい煙突の下に「ゆ」の変態仮名(「む」のようにも見えますが「ゆ」です)のマークのあるところが湯屋です。


 次に、記号にはありませんが、市電に関連して、「跨線橋」がどのように描かれているかを見てみましょう。パノラマ地図の左上のほうにある天神橋5丁目~6丁目付近です。
 現在のJR大阪環状線は、当時はまだ環状になっておらず、城東線と呼ばれていて、地上を走っていました。この地図の右のほうにある天満駅を見ると、線路をまたぐ跨線橋のある駅が描かれています。田舎に行くとよくある形の駅ですね。
 駅から線路を左の方にたどると、天神橋筋との交差点では、道路と市電が線路をまたいでいます。
 さらに左の方を見ると、地図の左下角で、道路とクロスしています。こちらは道路は平面で、市電だけが鉄橋で高架になって線路をまたいでいます。今もこのあたりの道幅が広くなっているのは、高架橋の名残です。

 このように、細かいところまできっちりと書き分けているところは、たいしたものです。
 この地図で、天満駅の北側には大きな煙突が沢山描かれています。こちらは工場の煙突で、銭湯の煙突とちゃんと書き分けられています。


 次に、川の上を見てみましょう。安治川には、大きな船が何隻も描かれています。当時はこのあたりまで大きな船が上がってくるということで、安治川には橋を架けることができず、渡し船が何か所もあります。昭和19年には海底トンネルが建設されます。現在では、自転車と歩行者の専用トンネルになっています。


 大阪市パノラマ地図の中で、1か所だけ、エリア外の施設が、コラムのように挿絵になっています。住吉神社(大社)です。地図の右下の方に描かれています。
 住吉大社には、本殿が第一から第四まで4つありますが、その並び方も含めて正確に描かれています。有名な太鼓橋も描かれています。挿絵の下にある方位コンパスもかわいいデザインです。


 最後に、著作者の「お遊び」をご紹介します。西区三軒家(現在は大正区)を見ると、三軒家電停の北側に赤いラベルの名所の記号で「美濃部」とあります。しっかり自己主張しているところが面白いと思います。


 西区新町を見ると、同じく名所の記号で「わらぢや」とあります。ちゃんと「新町通3丁目角」に書かれています。発行者への配慮も忘れていません。


 今回は大阪市パノラマ地図の隠れた見どころをご紹介しました。大阪市パノラマ地図は、スマホのアプリ「こちずぶらり」にも搭載されています。

 今昔館8階には、パノラマ地図を拡大した光床がありますから、じっくり観察すると、まだまだ他にも面白いことが発見できると思います。

大阪くらしの今昔館近代のフロアの「大阪市パノラマ地図」



〇特別イベント  民家をたのしむ!民家をつたえる!

★Part1 シンポジウム「英国くらしの博物館 VS 大阪くらしの今昔館」
◇日  時:平成29年11月26日(日)10:00~12:30 (受付開始:9:40~)
◇「大阪くらしの今昔館の町家建築物語」谷 直樹(大阪くらしの今昔館館長)
 「体験することはわかること―Weald and Downland Living Museumの民家建築と伝統的なくらしの学びを生き生きとしたものにするために―」通訳あり
  Martin Purslow CEO of the Weald and Downland Living Museum
◇場  所:大阪市立住まい情報センター 3階 ホール
◇定  員:150名(事前申込、先着順)
      定員になり次第、締め切ります。
◇参 加 費:無料

 Weald and Downland Living Museum(ウィ-ルド・アンド・ダウンランドくらしの博物館)は、1972年に開園した英国イングランド南部にある民家博物館です。広大な敷地に、600年の時代を通じた52棟の民家が学術的な修復を受けて移築され、当時のくらしを再現しています。
 同館では、民家の建築的保全とくらしの技術の保存の両面から学習プログラムを提供しています。現代に暮らす人たちに民家の保全への意識を持ってもらうこと、また伝統的な生活の技やものづくりに関心を持ってもらうことが目的です。おとなのための学習プログラムやヨ-ク大学大学院と連携した民家の保存技術の専門的プログラムにも力を入れています。
 シンポジウムでは、英国くらしの博物館と江戸時代の町家を再現した大阪くらしの今昔館の事例から、民家を楽しみ、伝統的な建築技術を伝える方法を考えます。

●司会:碓田智子(博物館住まい学習研究会代表、大阪教育大学教授)
●通訳:和田美貴((一財)日本国際協力センター)


★Part2イベント 「大工体験! 匠の技」
①江戸時代の町並みで実演 手道具を使った大工の匠の技
 棟梁による、手道具を使った大工の伝統の技をご覧いただきます。
◇日  時:平成29年11月26日(日)14:00~16:00
      (予約不要、自由見学)
◇場  所:大阪くらしの今昔館 9階常設展示室
◇参 加 費:無料(ただし常設展示室への入館料が必要)

②町家の二階の特別見学-町家の構造を見よう-
 通常は非公開の町家(薬屋)の2階に上がって、町家建築の構造をご覧いただきます。
◇日  時:平成29年11月26日(日)14:00~16:00
      (要予約 シンポジウム申込者を優先)
◇参 加 費:無料(ただし常設展示室への入館料が必要)

☆匠の技を体験しよう!
 「ミニ削ろう会in今昔館」の大工さんから大工の技を教えてもらいます。
 鉋削りの体験や削り花でつくる「かんなフラワー」も楽しめます。お子さんも体験できます。
◇日  時:平成29年11月26日(日)14:00~16:30
◇場  所:大阪市立住まい情報センター 3階 ホール
◇参 加 費:無料

民家をたのしむ!民家をつたえる!
Let’s Learn from Historic Houses in the Museum
主 催:博物館住まい学習研究会、大阪くらしの今昔館
協 力:「ミニ削ろう会in今昔館」の大工棟梁のみなさん



申込はこちらからどうぞ。

https://www.sumai-machi-net.com/event/portal/event/32955


〇今週のイベント・ワークショップ

11月1日(水)、2日(木)、4日(土)、6日(月)、8日(水)~11日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
時 間:11:30、14:30

11月3日(祝)、5日(日)、12日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00

11月3日(金・祝)
イベント 乙女文楽

上方の地で生まれ親しんだ芸能。磨かれた芸の技をご覧ください
出演:乙女文楽座
14時~15時

11月5日(日)
町家衆イベント 町の解説

江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00~16:00

11月11日(土)
イベント 町家寄席-落語

江戸時代にタイムスリップ!大坂の町で、落語をきいてみませんか
出演:桂出丸 他
14時~15時

ワークショップ 『ふくろうストラップを作ろう』
各回先着10名、1人300円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します
①13時30分 ②14時30分

11月12日(日)
町家衆イベント おじゃみ(有料)

古布を四角く切って縫い合わせて作るおじゃみ(お手玉)。
作り方をていねいにお教えします。
開催日:第2日曜
時 間:14:00~16:00

11月18日(土)19日(日)
関西文化の日(11/18・19)は今昔館の入館料(常設展)が無料です!


町家衆イベント 楽市町家
13時~16時

ぜんざい
11時~
100円/杯(なくなり次第終了)

11月19日(日)
町家衆イベント 連鶴(有料)

折鶴がいくつもつながった連鶴。
一枚の紙から折るところに特色があります。
作り方を詳しくお教えします。
開催日:奇数月の第3日曜
時 間:14:00~15:30


そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。


大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/howtouse



2017年10月24日火曜日

今週の今昔館(82) 大阪市パノラマ地図の見どころ 20171024

〇今昔館の近代展示室を愉しむ(16) 大阪市パノラマ地図の見どころ

 前回に引き続き「大阪市パノラマ地図」の見どころをご紹介します。

 下の地図は大阪市パノラマ地図のちょうど真ん中に描かれている「四ツ橋」です。江戸時代にはどんなところだったでしょうか?また、現在はどうなっているでしょうか?


 四ツ橋という地名を聞くと、ご年配の方は「プラネタリウムのあったところ」とお答えになると思います。現在の大阪市立科学館の前身の電気科学館が交差点に面して建っていて最上階がプラネタリウムになっていました。若い方は「地下鉄の四つ橋線に駅があったかなぁ」くらいかもしれません。四ツ橋の昔と今を見ていきましょう。

 江戸時代の天保年間1820年ころの地図「浪華名所独案内」の四ツ橋周辺です。上が東になっています。中央部左右の川が西横堀川、上下の川が長堀川です。2つの川がクロスしているところに橋が4つ架かっています。4つまとめて四ツ橋と呼ばれていました。

浪華名所独案内の四ツ橋周辺(上が東)

 見慣れている図になるよう、北を上にして拡大してみました。

浪華名所獨案内の四ツ橋付近(上が北)

 もう一枚、ほぼ同じ時代の、詳細な古地図「天保新改攝州大阪全圖」の四ツ橋付近です。

天保新改攝州大阪全圖の四ツ橋付近(上が北)

 四ツ橋(よつばし)は、「堀川の十字交差部(大阪市内に唯一存在した)」に、架橋されていた4つの橋を一括して称した名称で、その周辺の地域の通称にもなっています。その後、堀川は埋め立てられたため現在は交差点名や駅名として残っています。

 もともとは、長堀川と西横堀川(両方とも埋め立てられた)が交差する地点に「ロ」の字型に架けられていた4つの橋の愛称です。道路、水路、市電にとっての重要な交通の要所でした。
・上繋橋(かみつなぎばし)西横堀川に架かる北の橋。1964年(昭和39年)撤去。
・下繋橋(しもつなぎばし)西横堀川に架かる南の橋。1964年(昭和39年)撤去。
・炭屋橋(すみやばし)長堀川に架かる東の橋。1970年(昭和45年)撤去。島之内西端の旧町名「炭屋町」に由来。
・吉野屋橋(よしのやばし)長堀川に架かる西の橋。1970年(昭和45年)撤去。北堀江東端の旧町名「吉野屋町」に由来。

 四ツ橋は、昔から、建物が建て込んだ都心部の中にあって貴重な開けた場所でしたので、散策コースとして市民に親しまれ、また大阪名所・観光名所として「摂津名所図会」や「浪花百景」にも描かれ、写真が絵はがきにも用いられました。かつては夕涼みの名所だったそうで、江戸時代中期の俳人小西来山の句「涼しさに 四ツ橋を四ツわたりけり」が有名です。

摂津名所図会の四ツ橋
浪花百景の四ツ橋(大阪市立図書館蔵)

 大正13年(1924年)の大阪市パノラマ地図の四ツ橋周辺です。パノラマ地図では四ツ橋は地図全体のちょうど真ん中に描かれています。鳥瞰図ですので道が斜めになっています。こちらも東を上にしてみました。

 長堀の北側の長堀通と西横堀の西側の四ツ橋筋に市電が走っています。位置は少しずれますが2つの通りの交差点も四ツ橋と呼ばれていました。


大阪市パノラマ地図の四ツ橋付近(上が東)

 日本初の国産ダイヤモンドクロッシング(軌道の交差点)が設置されたのもこの交差点です。大阪市電の東西線と南北線という2つの重要路線がクロスしていましたが、昭和36(1961)年に東西線、昭和38(1963)年に南北線が廃止されたことにより撤去されました。

四ツ橋電車交叉点(大阪府写真帖)

 昭和12年(1937年)の大大阪観光地図です。心斎橋、大丸、そごう、文楽座、新町演舞場など名所と並んで、電気科学館の文字が赤字で大きく表示されています。電気科学館は四ツ橋交差点の北東角に建っていました。昭和12年(1937年)、日本で初の電気科学館(サイエンスセンター)としてオープンした施設で、東洋初のプラネタリウムを置いていました。パノラマ地図は大正13年発行ですので電気科学館は描かれていません。


大大阪観光地図の四ツ橋付近(国際日本文化研究センター蔵)
開館当時の電気科学館 (大阪市立科学館HPより)

 昭和29年(1954年)の最新大阪市街地図です。
昭和29年の四ツ橋付近(国際日本文化研究センター蔵)


 四つ橋筋には市電が走っていて南北線と呼ばれていました。大阪駅前と難波、恵美須町を結ぶ主要幹線でした。四ツ橋周辺の市電は昭和38年(1963年)に廃止されました。昭和40年(1965年)に地下鉄四つ橋線西梅田大国町間が開通しました。地下鉄四つ橋線は2015年に50周年を迎えました。

 名前の表記について、「四ツ橋」と「四つ橋」が使い分けられています。
 地名(橋名・交差点名・駅名)は、「四ツ橋」「四ツ橋駅」とカタカナの「ツ」、線名(道路名・地下鉄路線名)は「四つ橋筋」「四つ橋線」とひらがなの「つ」となっています。
 これは、道路を管理していた市の土木局(当時)と、交通事業(市電に四ツ橋の電停があった)を管理していた電気局(当時)が、監督官庁に別の表記で届け出たことに原因があると言われています。さらに、地下鉄路線名は通過する街路の名前(四つ橋筋)に合わせたのに対して、駅名は地名を採用したという結果、「地下鉄四つ橋線の四ツ橋駅」 のような表記になっています。

 地下鉄四つ橋線の名前の由来は、地名の四ツ橋→橋の近くを通る南北の道の名前が四つ橋筋→そこに地下鉄が建設されたので四つ橋線です。四ツ橋駅の構内は心斎橋駅とつながっていますが、線名になっているので四つ橋線の駅だけは四ツ橋駅を名乗っています。ちなみに、四つ橋線の信濃橋駅は中央線ができて本町駅とつながり、駅名も本町に変更になりました。なんば元町駅もなんば駅に統一されました。地元ゆかりの地名は残してもよかったように思います。

地下鉄四ツ橋駅の壁面デザイン
東側の橋の名前は?
地下鉄四ツ橋駅の壁面デザイン
西側の橋の名前は?
地下鉄四ツ橋駅の壁面デザイン
北側の橋の名前は?
地下鉄四ツ橋駅の壁面デザイン
南側の橋の名前は?

 現在では、大川、土佐堀川、堂島川、木津川、道頓堀、東横堀(いわゆるロの字の水路)を残して、ほとんどの堀が埋立てられています。西横堀川は埋め立てられて上が高速道路になっています。長堀川は埋め立てられて地下に地下街と駐車場が造られました。その上が現在の広い長堀通りになっていて、中央部が広い分離帯になっています。もと長堀の南部分は一部民有地になっているところもあります。


 現在「四ツ橋」は長堀通と四つ橋筋の交差点名となっています。本来の四ツ橋は、長堀川と西横堀川の交差部、つまり、長堀通と阪神高速1号環状線北行きの交差部なので、四ツ橋交差点は本来の四ツ橋の位置より少し西側にずれている事になります。なお、四ツ橋交差点の位置で長堀川に架けられている橋は「西長堀橋」です。

 四ツ橋交差点の東側、長堀通の中央分離帯にはミニ四ツ橋のモニュメントと案内板があります。案内板は高速道路(旧西横堀川)の西側の交差点の脇にあります。こちらは、わかりやすいと思います。


 阪神高速道路の東側には、江戸時代中期の俳人小西来山と上島鬼貫が詠んだ句碑が建っています。少しわかりにくいですが、かつて角屋橋が架かっていたところにあたります。

 上島鬼貫の句は「後の月 入て貌よし 星の空」で、小西来山の句は「涼しさに 四ツ橋を四ツわたりけり」となっています。



 吉野屋橋の北西角、四ツ橋交差点の北東角には、四ツ橋のシンボルとなっていた大阪市立電気科学館がありましたが、老朽化を理由に平成元年(1989年)5月に閉館。同年に北区中之島に大阪市立科学館がオープンしました。

 電気科学館は取り壊されて、現在はヴィアイン心斎橋長堀通を主テナントとする大阪市交通局所有の複合ビル「ホワイトドームプラザ」となっています。ビルの外観は、屋上部分がドーム状に造られるなど、電気科学館を模したデザインとなっています。
四ツ橋交差点のホワイトドームプラザ


 昔の地図を見ながらのまち歩き、古地図を片手に、スマホをお持ちの方はスマホに古地図を取り込んで、いろんな所へちょっと出かけてみませんか?

 スマートフォン(iPhone、アンドロイド)をご利用の方は、「こちずぶらり」というアプリを利用すると、GPS機能によって地図上に現在位置を表示させることができます。まち歩きの際などにその場所に昔は何があったかを現地で確認することができて便利です。
 大阪市パノラマ地図は、「こちずぶらり」に搭載されていますし、浪華名所独案内もこちらからダウンロードできます。

 今回は、「大阪市パノラマ地図」から、「四ツ橋」を取り上げました。古地図を見ながらのまち歩き、ブラタモリの気分で楽しんでみてはいかがでしょうか。


〇特別イベント  民家をたのしむ!民家をつたえる!

★Part1 シンポジウム「英国くらしの博物館 VS 大阪くらしの今昔館」
◇日  時:平成29年11月26日(日)10:00~12:30 (受付開始:9:40~)
◇「大阪くらしの今昔館の町家建築物語」谷 直樹(大阪くらしの今昔館館長)
 「体験することはわかること―Weald and Downland Living Museumの民家建築と伝統的なくらしの学びを生き生きとしたものにするために―」通訳あり
  Martin Purslow CEO of the Weald and Downland Living Museum
◇場  所:大阪市立住まい情報センター 3階 ホール
◇定  員:150名(事前申込、先着順)
      定員になり次第、締め切ります。
◇参 加 費:無料

 Weald and Downland Living Museum(ウィ-ルド・アンド・ダウンランドくらしの博物館)は、1972年に開園した英国イングランド南部にある民家博物館です。広大な敷地に、600年の時代を通じた52棟の民家が学術的な修復を受けて移築され、当時のくらしを再現しています。
 同館では、民家の建築的保全とくらしの技術の保存の両面から学習プログラムを提供しています。現代に暮らす人たちに民家の保全への意識を持ってもらうこと、また伝統的な生活の技やものづくりに関心を持ってもらうことが目的です。おとなのための学習プログラムやヨ-ク大学大学院と連携した民家の保存技術の専門的プログラムにも力を入れています。
 シンポジウムでは、英国くらしの博物館と江戸時代の町家を再現した大阪くらしの今昔館の事例から、民家を楽しみ、伝統的な建築技術を伝える方法を考えます。

●司会:碓田智子(博物館住まい学習研究会代表、大阪教育大学教授)
●通訳:和田美貴((一財)日本国際協力センター)


★Part2イベント 「大工体験! 匠の技」
①江戸時代の町並みで実演 手道具を使った大工の匠の技
 棟梁による、手道具を使った大工の伝統の技をご覧いただきます。
◇日  時:平成29年11月26日(日)14:00~16:00
      (予約不要、自由見学)
◇場  所:大阪くらしの今昔館 9階常設展示室
◇参 加 費:無料(ただし常設展示室への入館料が必要)

②町家の二階の特別見学-町家の構造を見よう-
 通常は非公開の町家(薬屋)の2階に上がって、町家建築の構造をご覧いただきます。
◇日  時:平成29年11月26日(日)14:00~16:00
      (要予約 シンポジウム申込者を優先)
◇参 加 費:無料(ただし常設展示室への入館料が必要)

☆匠の技を体験しよう!
 「ミニ削ろう会in今昔館」の大工さんから大工の技を教えてもらいます。
 鉋削りの体験や削り花でつくる「かんなフラワー」も楽しめます。お子さんも体験できます。
◇日  時:平成29年11月26日(日)14:00~16:30
◇場  所:大阪市立住まい情報センター 3階 ホール
◇参 加 費:無料

民家をたのしむ!民家をつたえる!
Let’s Learn from Historic Houses in the Museum
主 催:博物館住まい学習研究会、大阪くらしの今昔館
協 力:「ミニ削ろう会in今昔館」の大工棟梁のみなさん




申込はこちらからどうぞ。

https://www.sumai-machi-net.com/event/portal/event/32955


〇今週のイベント・ワークショップ

10月25日(水)~28日(土)30日(月)、11月1日(水)、2日(木)、4日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
時 間:11:30、14:30

10月29日(日)、11月3日(祝)、5日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00

10月28日(土)
ワークショップ 『バランスとんぼを作ろう』

⓵13時30分 ⓶14時30分
各回先着10名、参加費:200円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します

11月3日(金・祝)
イベント 乙女文楽

上方の地で生まれ親しんだ芸能。磨かれた芸の技をご覧ください
出演:乙女文楽座
14時~15時

11月5日(日)
町家衆イベント 町の解説

江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00~16:00


そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。


大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/howtouse



2017年10月17日火曜日

今週の今昔館(81) 大阪市パノラマ地図の見どころ 20171017

〇今昔館の近代展示室を愉しむ(15) 大阪市パノラマ地図の見どころ

 前回に引き続き「大阪市パノラマ地図」の見どころをご紹介します。

 さて、質問です。
 下の地図は大阪市パノラマ地図のある部分を拡大したものです。
A 地図の中心の赤丸印の場所はどこでしょうか?当時何があったでしょうか?
B 現在はどうなっているでしょうか?
C 江戸時代の天保年間には何があったでしょうか?
D 昭和30年には何があったでしょうか?
E 手前の川は現在どうなっているでしょうか?



答えは、
A 南海電車なんば駅の南側。煙草専売局工場 

B なんばパークス
C 難波御蔵(江戸幕府直轄の米蔵)
D 大阪スタヂアム(大阪球場)。昭和25(1950)年に完成し、プロ野球の南海ホークスが本拠地としていました。
E 手前(西側)の川は難波入堀川(難波新川)で、昭和33(1958)年に埋め立てられました。現在は上部を阪神高速道路が高架で走っています。
 また、東側を走っている鉄道は南海鉄道(現在の南海電気鉄道)です。


浪華名所獨案内の難波付近(上が東)
天保8年発行天保新改攝州大阪全圖の難波 付近(上が北) 

 上の図は天保年間発行の浪華名所獨案内と、天保8年発行の天保新改攝州大阪全圖の難波付近です。
 江戸時代の大坂は江戸と異なり大半が町人地で武家地は少なかったです。大坂は幕府の直轄地であり、武家地は奉行所、城代屋敷、蔵、与力・同心の住まいなどに限られていました。

 そのうち、難波御蔵は、享保の大飢饉を機に享保17(1732)年に新たに設置され、翌年に道頓堀川と難波御蔵を結ぶ難波入堀川が開削されました。入堀で汚濁が激しく不衛生だったため、明治に入って鼬川(いたちがわ)まで延長開削されましたが、昭和33(1958)年に埋め立てられました。

 難波御蔵の跡地は、明治37(1904)年にたばこ製造が専売となり、煙草専売局工場が建設されました。戦災により壊滅した後に昭和25(1950)年からは大阪球場として利用されました。福岡ダイエーホークスとなった1988年以降は住宅展示場などとして利用され、1998年に解体されました。現在は、再開発されてなんばパークスとして利用されています。

 まとまった大きな敷地の少ない大阪の町で、江戸時代の武家地が、様々に用途転用され利用されてきた典型例と言えます。

 第3回大阪検定(2011年度)の1級第21問に以下の問題が出題されました。
1950年(昭和25年)、大阪市内で初め ての本格的なプロ野球場である大阪球場がミナミに誕生しました。大阪球場が建設された場所は、戦争中、空襲により焼失するまで、何が あったでしょう?
 ①軍需工場 ②鉄道工場 ③たばこ工場 ④ビール工場

※正答率は63%でした。

 このように、大阪市パノラマ地図を見ながら、「昔は何があったのかな?」「今はどうなっているのかな?」と考えを廻らしてみるのも面白いと思います。


大阪くらしの今昔館近代のフロアの「大阪市パノラマ地図」


〇「大阪ぶら歩き【第6回】大阪の長屋を堪能する」を開催します。

大阪くらしの今昔館で館長から大阪長屋について学び、その後、オープンナガヤ大阪開催中の豊崎長屋を見学します。

●と き:平成29年11月12日(日) 13:30~16:30

●ところ:大阪くらしの今昔館~豊崎長屋
 ※詳細については参加証にてお知らせします
 
●案内人:谷 直樹(大阪くらしの今昔館館長)

●定 員:20名(申込先着順)

●参加費:1,000円(保険代、資料代)
 ※移動にかかる交通費は各自でご負担ください。
 ※別途、大阪くらしの今昔館の常設展入館料がかかります。

●主 催:大阪市立住まい情報センター、大阪くらしの今昔館

●申込方法:こちらからどうぞ。
≫ https://www.sumai-machi-net.com/event/portal/event/32910


〇特別イベント  民家をたのしむ!民家をつたえる!

★Part1 シンポジウム「英国くらしの博物館 VS 大阪くらしの今昔館」
◇日  時:平成29年11月26日(日)10:00~12:30 (受付開始:9:40~)
◇「大阪くらしの今昔館の町家建築物語」谷 直樹(大阪くらしの今昔館館長)
 「体験することはわかること―Weald and Downland Living Museumの民家建築と伝統的なくらしの学びを生き生きとしたものにするために―」通訳あり
  Martin Purslow CEO of the Weald and Downland Living Museum
◇場  所:大阪市立住まい情報センター 3階 ホール
◇定  員:150名(事前申込、先着順)
      定員になり次第、締め切ります。
◇参 加 費:無料

 Weald and Downland Living Museum(ウィ-ルド・アンド・ダウンランドくらしの博物館)は、1972年に開園した英国イングランド南部にある民家博物館です。広大な敷地に、600年の時代を通じた52棟の民家が学術的な修復を受けて移築され、当時のくらしを再現しています。
 同館では、民家の建築的保全とくらしの技術の保存の両面から学習プログラムを提供しています。現代に暮らす人たちに民家の保全への意識を持ってもらうこと、また伝統的な生活の技やものづくりに関心を持ってもらうことが目的です。おとなのための学習プログラムやヨ-ク大学大学院と連携した民家の保存技術の専門的プログラムにも力を入れています。
 シンポジウムでは、英国くらしの博物館と江戸時代の町家を再現した大阪くらしの今昔館の事例から、民家を楽しみ、伝統的な建築技術を伝える方法を考えます。

●司会:碓田智子(博物館住まい学習研究会代表、大阪教育大学教授)
●通訳:和田美貴((一財)日本国際協力センター)


★Part2イベント 「大工体験! 匠の技」
①江戸時代の町並みで実演 手道具を使った大工の匠の技
 棟梁による、手道具を使った大工の伝統の技をご覧いただきます。
◇日  時:平成29年11月26日(日)14:00~16:00
      (予約不要、自由見学)
◇場  所:大阪くらしの今昔館 9階常設展示室
◇参 加 費:無料(ただし常設展示室への入館料が必要)

②町家の二階の特別見学-町家の構造を見よう-
 通常は非公開の町家(薬屋)の2階に上がって、町家建築の構造をご覧いただきます。
◇日  時:平成29年11月26日(日)14:00~16:00
      (要予約 シンポジウム申込者を優先)
◇参 加 費:無料(ただし常設展示室への入館料が必要)

☆匠の技を体験しよう!
 「ミニ削ろう会in今昔館」の大工さんから大工の技を教えてもらいます。
 鉋削りの体験や削り花でつくる「かんなフラワー」も楽しめます。お子さんも体験できます。
◇日  時:平成29年11月26日(日)14:00~16:30
◇場  所:大阪市立住まい情報センター 3階 ホール
◇参 加 費:無料

民家をたのしむ!民家をつたえる!
Let’s Learn from Historic Houses in the Museum
主 催:博物館住まい学習研究会、大阪くらしの今昔館
協 力:「ミニ削ろう会in今昔館」の大工棟梁のみなさん



申込はこちらからどうぞ。

https://www.sumai-machi-net.com/event/portal/event/32955


〇今週のイベント・ワークショップ

10月18日(水)~21日(土)、23日(月)、25日(水)~28日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
時 間:11:30、14:30

10月22日(日)、29日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00

10月21日(土)
イベント 狂言

上方の地で生まれ親しんだ芸能。磨かれた芸の技をご覧ください
14時~14時40分

町家衆イベント 折り紙(有料)
季節に合わせてさまざまな折り紙をお教えします。
作品は持ち帰っていただきます。
開催日:偶数月の第3土曜
時 間:13:30~15:00

10月22日(日)
町家衆イベント 絵本で楽しい時間

むかし話などの絵本を表情豊かに読み聞かせます。
じっくりとお聞きください。
開催日: 第4日曜
時 間:14:30~15:00

10月28日(土)
ワークショップ 『バランスとんぼを作ろう』
⓵13時30分 ⓶14時30分
各回先着10名、参加費:200円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します


そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。


大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/howtouse



2017年10月10日火曜日

今週の今昔館(80) 大阪市パノラマ地図 20171010

〇今昔館の近代展示室を愉しむ(14) 「大阪市パノラマ地図」

 前回までで近代展示室の外周にある「近代都市住宅年表」のご紹介が終了しました。今回は、展示室中央の床面に展示している「大阪市パノラマ地図」をご紹介します。

大阪くらしの今昔館近代のフロアの「大阪市パノラマ地図」

 「大阪市パノラマ地図」は、大正時代終わり頃の大阪市街地を描いた鳥瞰図で、大正13年(1924)1月に発行されました。大阪市の南西、大阪湾の上空から北東方向を眺めた図柄で、図の左上が北になっています。

大阪市パノラマ地図(大正13年(1924)発行)

 地図の中央には、大阪の船場、島之内、天満など、大坂三郷と呼ばれた江戸時代以来の市街地が描かれ、東西南北に規則正しく区画された町割であったことが分かります。とくに、図の左半分には大川(淀川)が蛇行して流れ、市街地には東横堀と西横堀、長堀、道頓堀などの堀川が縦横に流れる姿は、「水の都」にふさわしい風景です。地図の中心には、西横堀と長堀が十字にクロスするところに四ツ橋が描かれています。

地図の中心に描かれている四ツ橋

 図の作者は美濃部政治郎、発行者は日下伊兵衛(大阪、日下わらじ屋)で、大正12年12月に印刷、大正13年1月に発行されました。
詳細にみると、公共施設や寺社はもちろんのこと、市電の停留所や学校、郵便局、交番や風呂屋まで書き込まれていて、図の中に入り込んで楽しめるパノラマ地図となっています。

 図の左上には「大阪梅田停車場(現在のJR大阪駅)」、右上に「大阪城」、右下に「新世界」「天王寺公園」「四天王寺」、左下に「築港」「大桟橋」が、それぞれ描かれています。

大阪梅田停車場
(現在の「うめきた」は当時は大阪駅構築予定地です。)
大阪城
(天守閣はまだありません。昭和6年の再建です。)
新世界・天王寺公園・四天王寺
(初代通天閣と木造の五重塔)
築港・大桟橋
(欄外には発行者などの文字があります。)

 当時の大阪市は東西南北の4区で、市域はほぼこの地図に描かれている範囲でした。翌年の大正14年(1925)4月1日、周辺の町を合併(第二次市域拡張)して、面積181平方キロメートル、人口211万人となり、東京市を上回る日本一の大都市となりました。当時は世界でも6番目に人口の多い都市でした。いわゆる「大大阪」の時代です。

 大阪は、「天下の台所」と称された江戸時代以来の経済地盤を活かして、商業・紡績・鉄鋼などの産業が栄え、近代建築が建ち並び、華やかで活気にあふれた、近代大阪の黄金時代を迎えました。

 「大大阪」の象徴的なできごととしては、大阪城天守閣の再建(1931年)や大阪市営地下鉄1号線(御堂筋線)の建設(1933年に梅田から心斎橋間が開通)、御堂筋の拡幅(1937年)、中央卸売市場の開設などがありますが、この「大阪市パノラマ地図」が制作された大正時代末にはいずれもなく、地図には表現されていません。大正末からの10年間で大阪は大きく変貌しました。この地図には、いわば大大阪前夜の大阪が描かれているといえます。

拡幅前の御堂筋
(市電は大阪駅から梅田新道を経て淀屋橋南詰を東へ左折して北浜2丁目へ。
そこで右折して堺筋を南進して日本橋・天王寺へ向かう。
当時は堺筋がメインストリートでした。)
御堂筋拡幅前の心斎橋付近
(大丸、十合(そごう)は心斎橋筋に顔を向けています。
御堂筋の位置には長堀、道頓堀に橋がありません。)

 この地図は、大阪くらしの今昔館8階の近代のフロアで、じっくりと見ていただくことができます。原本の寸法は、タテ78.5センチ、ヨコ108.6センチとコンパクトなサイズですが、今昔館では、6つの模型(住まいの六景)の間の床面にタテ4.8m、ヨコ6.6mと約6倍に拡大して光床として展示しています。ほのかに光る床面に文字や図がぼやけることなく鮮明に読み取ることができます。90年前の制作としては、相当に精密な出来栄えであったことがわかります。


大阪市パノラマ地図の解説板・QRコード

 原本は90年前の発行ということもあり入手はなかなか困難ですが、大阪市立中央図書館、府立中之島図書館などで閲覧することができます。復刻版は大阪くらしの今昔館のミュージアムショップなどで手に入れることができます。
 パソコンをご利用の方は、国際日本文化研究センターのHPから閲覧することができます。画像はとても鮮明で拡大も自由にできます。
 スマホをご利用の方は、「こちずぶらり」というアプリを利用すると、GPS機能によって地図上に現在位置を表示させることができます。まち歩きの際などに現地で以前に何があったかを確認することができて便利です。
 古地図を見ながらのまち歩き、ブラタモリの気分で楽しんでみませんか。


〇特別イベント  民家をたのしむ!民家をつたえる!

★Part1 シンポジウム「英国くらしの博物館 VS 大阪くらしの今昔館」
◇日  時:平成29年11月26日(日)10:00~12:30 (受付開始:9:40~)
◇「大阪くらしの今昔館の町家建築物語」谷 直樹(大阪くらしの今昔館館長)
「体験することはわかること―Weald and Downland Living Museumの民家建築と伝統的なくらしの学びを生き生きとしたものにするために―」通訳あり
Martin Purslow CEO of the Weald and Downland Living Museum
◇場  所:大阪市立住まい情報センター 3階 ホール
◇定  員:150名(事前申込、先着順)
定員になり次第、締め切ります。
◇参 加 費:無料

Weald and Downland Living Museum(ウィ-ルド・アンド・ダウンランドくらしの博物館)は、1972年に開園した英国イングランド南部にある民家博物館です。広大な敷地に、600年の時代を通じた52棟の民家が学術的な修復を受けて移築され、当時のくらしを再現しています。
同館では、民家の建築的保全とくらしの技術の保存の両面から学習プログラムを提供しています。現代に暮らす人たちに民家の保全への意識を持ってもらうこと、また伝統的な生活の技やものづくりに関心を持ってもらうことが目的です。おとなのための学習プログラムやヨ-ク大学大学院と連携した民家の保存技術の専門的プログラムにも力を入れています。
シンポジウムでは、英国くらしの博物館と江戸時代の町家を再現した大阪くらしの今昔館の事例から、民家を楽しみ、伝統的な建築技術を伝える方法を考えます。

●司会:碓田智子(博物館住まい学習研究会代表、大阪教育大学教授)
●通訳:和田美貴((一財)日本国際協力センター)


★Part2 イベント 「大工体験! 匠の技」
①江戸時代の町並みで実演 手道具を使った大工の匠の技
棟梁による、手道具を使った大工の伝統の技をご覧いただきます。
◇日  時:平成29年11月26日(日)14:00~16:00
(予約不要、自由見学)
◇場  所:大阪くらしの今昔館 9階常設展示室
◇参 加 費:無料(ただし常設展示室への入館料が必要)

②町家の二階の特別見学-町家の構造を見よう-
通常は非公開の町家(薬屋)の2階に上がって、町家建築の構造をご覧いただきます。
◇日  時:平成29年11月26日(日)14:00~16:00
(要予約 シンポジウム申込者を優先)
◇参 加 費:無料(ただし常設展示室への入館料が必要)

☆匠の技を体験しよう!
「ミニ削ろう会in今昔館」の大工さんから大工の技を教えてもらいます。
鉋削りの体験や削り花でつくる「かんなフラワー」も楽しめます。お子さんも体験できます。
◇日  時:平成29年11月26日(日)14:00~16:30
◇場  所:大阪市立住まい情報センター 3階 ホール
◇参 加 費:無料

民家をたのしむ!民家をつたえる!
Let’s Learn from Historic Houses in the Museum
主 催:博物館住まい学習研究会、大阪くらしの今昔館
協 力:「ミニ削ろう会in今昔館」の大工棟梁のみなさん



申込はこちらからどうぞ。

https://www.sumai-machi-net.com/event/portal/event/32955


〇「大阪ぶら歩き【第6回】大阪の長屋を堪能する」を開催します。

大阪くらしの今昔館で館長から大阪長屋について学び、その後、オープンナガヤ大阪開催中の豊崎長屋を見学します。

●と き:平成29年11月12日(日) 13:30~16:30

●ところ:大阪くらしの今昔館~豊崎長屋
※詳細については参加証にてお知らせします

●案内人:谷 直樹(大阪くらしの今昔館館長)

●定 員:20名(申込先着順)

●参加費:1,000円(保険代、資料代)
※移動にかかる交通費は各自でご負担ください。
※別途、大阪くらしの今昔館の常設展入館料がかかります。

●主 催:大阪市立住まい情報センター、大阪くらしの今昔館

●申込方法:こちらからどうぞ。
https://www.sumai-machi-net.com/event/portal/event/32910


〇今週のイベント・ワークショップ

10月11日(水)~14日(土)、16日(月)、18日(水)~21日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
時 間:11:30、14:30

10月15日(日)、22日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00

10月14日(土)
ワークショップ 『和風マグネットを作ろう』

⓵13時30分 ⓶14時30分
各回先着10名、参加費:300円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します

10月15日(日)
町家衆イベント 今昔語り

大阪に残る昔ばなしを、町家の座敷でお聞かせします。
あたたかくなつかしい風情をお楽しみください。
開催日:お茶会と同日
時 間:14:30~15:00

町の解説
江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00~16:00

イベント 町家でお茶会
町家の座敷で「ほっと一息」一服いかがですか
先着順50名、茶菓代300円
※当日12時より8階ミュージアムショップでお茶券を販売します
協力:大阪市役所茶道部
13時~15時

10月21日(土)
イベント 狂言

上方の地で生まれ親しんだ芸能。磨かれた芸の技をご覧ください
14時~14時40分

町家衆イベント 折り紙(有料)
季節に合わせてさまざまな折り紙をお教えします。
作品は持ち帰っていただきます。
開催日:偶数月の第3土曜
時 間:13:30~15:00

10月22日(日)
町家衆イベント 絵本で楽しい時間

むかし話などの絵本を表情豊かに読み聞かせます。
じっくりとお聞きください。
開催日: 第4日曜
時 間:14:30~15:00


そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。


大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/howtouse