2022年1月26日水曜日

今週の今昔館(303)企画展「浪花 なりわいづくし」20220126

〇企画展「浪花 なりわいづくし」が始まりました

 2022年1月21日(金)〜2022年4月10日(日)

前期 1月21日(金)~2月27日(日)
後期 3月3日(木)~4月10日(日)

*2月28日(月)~3月2日(水)は展示替えのため休館となります

 江戸時代、米をはじめとして全国の農産物・海産物・名産品など様々な物資の集積地であった大坂は商業をはじめ、物流、金融の中心地となり経済都市として繁栄しました。一方で、摂津名所図会や浪花名所独案内に紹介されているように、市中には有名な社寺、料理屋、豪商の大店、桜や紅葉のみどころなど、諸国から人々が訪れる観光名所が生まれました。また、夜店で有名な順慶町や、道頓堀・曽根崎新地の芝居街などの盛場も形成され、市民や旅行者の娯楽の場として大変な賑わいをみせました。

 経済都市として、また観光都市、遊興都市として繁栄した大坂には、華やかな都市文化を支える多種多様な生業(なりわい)が成立しました。本展では絵画資料に描かれた「働く人々」の姿から、江戸時代の大坂で営まれた多種多様な生業を紹介します。生き生きと働く人々の姿を通して、大坂の活気と賑わいをお伝えします。

*前期と後期で展示の一部を入替えます。

 企画展示室内には、江戸時代における商家の座敷の再現や、重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵」の構造模型(公益財団法人 竹中大工道具館蔵)など実物大の模型を設置し、2種の建築から住まいと暮らしの様相をお見せします。

*茶室「蓑庵」の実物大構造模型は前期のみの展示となります。

職人尽屏風 右隻部分(個人蔵)前期展示
職人尽屏風 左隻部分(個人蔵)後期展示
堂島穀あきない(部分)摂津名所図会
祭礼提灯引き札
虫売り(小西秀麿)
茶室「蓑庵」実物大模型
(公財)竹中大工道具館蔵



〇天井改修工事の実施に伴う一部展示室等の閉鎖のお知らせ

 大阪くらしの今昔館から重要なお知らせです。
 天井改修工事の実施に伴い、令和4年秋頃(予定)までの約1年間、9階常設展示室および10階展望フロアが閉鎖されますので、ご注意ください。


・9階、10階の閉鎖期間中は8階企画展示室に町家座敷を実物大で再現し、茶室の実物大構造模型とともに展示します。
・8階の吹抜け部分に大型映像コーナーを新設し、江戸時代の大坂の町なみと天保年間の人々の暮らしを描いた動画をご覧いただけます。


・天井改修工事期間中の入館料
8階常設展と企画展をご覧いただけます。
 一般   400円  団体(20名以上)300円
 高・大生 300円  団体(20名以上)200円 *要学生証提示

【年間パスポート】
現在年間パスポートは販売を休止しております。

【年間パスポートをお持ちの方へ】
天井改修工事期間を含む年間パスポートをお持ちの方は有効期限を延長いたします。インフォメーションにて手続きをいたしますので、次回ご来館の際にご提示ください。



 今昔館の近代のフロアをご紹介する動画が2編公開されています。動画を見てから見学すると、見どころがよくわかると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=SbqzmybwKss&feature=youtu.be


https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4




〇住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」とは?

 住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」は2001年4月26日に開館しました。昨年、開館20周年を迎えました。
 前館長の谷直樹先生と新館長の増井正哉先生がこれまでの道のりを振り返り、これからの課題について語り合う動画が公開されています。
 こちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=kFW0qbelLNo

 ここは「住まいの歴史と文化」をテーマにした、日本で初めての專門ミュージアムです。
 住まい情報センターのビルの9階「なにわ町家の歳時記」は、江戸時代のフロア。天保初年(1830年代前半)の大坂の町並みを実物大で復元しています。
 8階「モダン大阪パノラマ遊覧」は、明治・大正・昭和のフロアで近代大阪の住まいと暮らしを模型や資料で展示。
 さらに企画展示室では特別展や企画展を開催しています。


〇大阪くらしの今昔館は開館していますが、イベント・ワークショップ等の開催は中止しています。

 イベント・ワークショップおよびボランティアによる展示解説(町家衆による町家ツアー)等は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の為、当面の間 開催を中止いたします。

 開催を楽しみにしてくださった皆様にはご迷惑をおかけしますが、ご理解をいただきますようお願いいたします。


〇大阪くらしの今昔館の紹介動画
 今昔館の江戸時代のフロアをご紹介する動画(全4編)の目次はこちらからどうぞ。
 こちらから、見たい部分だけを見ることができます。英語の字幕入りの動画を見ることもできます。
http://konjyakukan.com/link_pdf/what's%20this%20.pdf



 このほかに「天神祭となにわの町」をご紹介する動画があります。
https://www.youtube.com/watch?v=3or8fq4U8zE&feature=youtu.be




〇落語家 桂米團治と歩く江戸時代の大坂
 大阪くらしの今昔館の9階常設展示室にある江戸時代(天保年間)の大坂の町並みをご紹介する新しい動画ができました。案内人は上方の落語家、桂米團治師匠です。
〈①表通り編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=n1moBJy5uB4
〈②町家の暮らし編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=dDb2VBmyKnw



〇【動画】重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界
 重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵(さあん)」の実物大構造模型(竹中大工道具館所蔵)を京都工芸繊維大学名誉教授 日向進先生が分かりやすく解説してくださいます。
 こちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=tqJEnPZckbc&feature=youtu.be



〇「今昔館のオンライン まなびプログラム」が公開されています
 大阪のまちと住まいや くらしのことを おうちで学んでみませんか?
 こちらからどうぞ。
 ⇒konjyakukan.com/link_pdf/今昔館のオンラインまなびプログラム.pdf





 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html



2022年1月19日水曜日

今週の今昔館(302) 企画展「浪花 なりわいづくし」 20220119

〇企画展「大工頭中井家伝来 茶室起こし絵図展」は終了しました

 今昔館は、1月17日(月)から20日(木)までは、展示替えのため臨時休館となります。


〇次回の企画展「浪花 なりわいづくし」は21日(金)から

2022年1月21日(金)〜2022年4月10日(日)

前期 1月21日(金)~2月27日(日)
後期 3月3日(木)~4月10日(日)

*2月28日(月)~3月2日(水)は展示替えのため休館となります

 江戸時代、米をはじめとして全国の農産物・海産物・名産品など様々な物資の集積地であった大坂は商業をはじめ、物流、金融の中心地となり経済都市として繁栄しました。一方で、摂津名所図会や浪花名所独案内に紹介されているように、市中には有名な社寺、料理屋、豪商の大店、桜や紅葉のみどころなど、諸国から人々が訪れる観光名所が生まれました。また、夜店で有名な順慶町や、道頓堀・曽根崎新地の芝居街などの盛場も形成され、市民や旅行者の娯楽の場として大変な賑わいをみせました。

 経済都市として、また観光都市、遊興都市として繁栄した大坂には、華やかな都市文化を支える多種多様な生業(なりわい)が成立しました。本展では絵画資料に描かれた「働く人々」の姿から、江戸時代の大坂で営まれた多種多様な生業を紹介します。生き生きと働く人々の姿を通して、大坂の活気と賑わいをお伝えします。

*前期と後期で展示の一部を入替えます。

 企画展示室内には、江戸時代における商家の座敷の再現や、重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵」の構造模型(公益財団法人 竹中大工道具館蔵)など実物大の模型を設置し、2種の建築から住まいと暮らしの様相をお見せします。

*茶室「蓑庵」の実物大構造模型は前期のみの展示となります。

職人尽屏風 右隻部分(個人蔵)前期展示
職人尽屏風 左隻部分(個人蔵)後期展示
堂島穀あきない(部分)摂津名所図会
祭礼提灯引き札
虫売り(小西秀麿)
茶室「蓑庵」実物大模型
(公財)竹中大工道具館蔵



〇天井改修工事の実施に伴う一部展示室等の閉鎖のお知らせ

 大阪くらしの今昔館から重要なお知らせです。
 天井改修工事の実施に伴い、令和4年秋頃(予定)までの約1年間、9階常設展示室および10階展望フロアが閉鎖されますので、ご注意ください。


・9階、10階の閉鎖期間中は8階企画展示室に町家座敷を実物大で再現し、茶室の実物大構造模型とともに展示します。
・8階の吹抜け部分に大型映像コーナーを新設し、江戸時代の大坂の町なみと天保年間の人々の暮らしを描いた動画をご覧いただけます。


・天井改修工事期間中の入館料
8階常設展と企画展をご覧いただけます。
 一般   400円  団体(20名以上)300円
 高・大生 300円  団体(20名以上)200円 *要学生証提示

【年間パスポート】
現在年間パスポートは販売を休止しております。

【年間パスポートをお持ちの方へ】
天井改修工事期間を含む年間パスポートをお持ちの方は有効期限を延長いたします。インフォメーションにて手続きをいたしますので、次回ご来館の際にご提示ください。



 今昔館の近代のフロアをご紹介する動画が2編公開されています。動画を見てから見学すると、見どころがよくわかると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=SbqzmybwKss&feature=youtu.be


https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4




〇住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」とは?

 住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」は2001年4月26日に開館しました。今年で開館20周年を迎えました。
 前館長の谷直樹先生と新館長の増井正哉先生がこれまでの道のりを振り返り、これからの課題について語り合う動画が公開されています。
 こちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=kFW0qbelLNo

 ここは「住まいの歴史と文化」をテーマにした、日本で初めての專門ミュージアムです。
 住まい情報センターのビルの9階「なにわ町家の歳時記」は、江戸時代のフロア。天保初年(1830年代前半)の大坂の町並みを実物大で復元しています。
 8階「モダン大阪パノラマ遊覧」は、明治・大正・昭和のフロアで近代大阪の住まいと暮らしを模型や資料で展示。
 さらに企画展示室では特別展や企画展を開催しています。


〇大阪くらしの今昔館は開館していますが、イベント・ワークショップ等の開催は中止しています。

 イベント・ワークショップおよびボランティアによる展示解説(町家衆による町家ツアー)等は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の為、当面の間 開催を中止いたします。

 開催を楽しみにしてくださった皆様にはご迷惑をおかけしますが、ご理解をいただきますようお願いいたします。


〇大阪くらしの今昔館の紹介動画
 今昔館の江戸時代のフロアをご紹介する動画(全4編)の目次はこちらからどうぞ。
 こちらから、見たい部分だけを見ることができます。英語の字幕入りの動画を見ることもできます。
http://konjyakukan.com/link_pdf/what's%20this%20.pdf



 このほかに「天神祭となにわの町」をご紹介する動画があります。
https://www.youtube.com/watch?v=3or8fq4U8zE&feature=youtu.be




〇落語家 桂米團治と歩く江戸時代の大坂
 大阪くらしの今昔館の9階常設展示室にある江戸時代(天保年間)の大坂の町並みをご紹介する新しい動画ができました。案内人は上方の落語家、桂米團治師匠です。
〈①表通り編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=n1moBJy5uB4
〈②町家の暮らし編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=dDb2VBmyKnw



〇【動画】重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界
 重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵(さあん)」の実物大構造模型(竹中大工道具館所蔵)を京都工芸繊維大学名誉教授 日向進先生が分かりやすく解説してくださいます。
 こちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=tqJEnPZckbc&feature=youtu.be



〇「今昔館のオンライン まなびプログラム」が公開されています
 大阪のまちと住まいや くらしのことを おうちで学んでみませんか?
 こちらからどうぞ。
 ⇒konjyakukan.com/link_pdf/今昔館のオンラインまなびプログラム.pdf





 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html



2022年1月12日水曜日

今週の今昔館(301) 浪花風景十二月正月 20220112

〇企画展「大工頭中井家伝来 茶室起こし絵図展」の会期は残りわずかです

 今度の日曜日1月16日(日)までです。今昔館は、1月17日(月)から20日(木)までは、展示替えのため臨時休館となります。

 わびの造形を極限にまでつきつめた草庵風茶室、それを書院にもちこみ洗練させた数寄屋風書院。いずれも現在の和室の原点とされています。本展覧会は、そうした茶室と数寄屋を、江戸時代の大工の手になる紙の建築模型「起こし絵図」によって紹介します。出品作品は、徳川幕府の京都大工頭として活躍した中井家に伝来したもので、国の重要文化財に指定されています(中井正知氏・中井正純氏蔵)。日本を代表する茶室、妙喜庵「待庵」、大徳寺龍光院「密庵」、大徳寺孤篷庵「忘筌」、大徳寺真珠庵「庭玉軒」や、現在は失われてしまった幻の茶室の「起こし絵図」も含まれています。同時に展示する茶室「蓑庵」(大徳寺玉林院・重要文化財)の実物大模型(公益財団法人 竹中大工道具館蔵)と併せて、茶室と数寄屋の魅力をご堪能ください。

入館料 :(8階常設展示室の入場料を含む)
     一般400円(団体300円)
     高校生・大学生300円(団体200円)(要学生証提示)
     (注)団体は20名以上
     大阪周遊パスでもご入場いただけます。
     中学生以下、障がい者手帳等持参者(介護者1名を含む)、大阪市内在住の65歳以上の方は無料です。(要証明書提示)

大徳寺真珠庵茶室「庭玉軒」(起こし絵図)
重要文化財/中井正知氏・中井正純氏蔵
茶室「蓑庵」実物大模型
(公財)竹中大工道具館蔵
小堀遠州自筆書状(中井大和守宛)
重要文化財/中井正知氏・中井正純氏蔵
千利休画像(土佐光芳筆)
大阪城天守閣蔵

【特別展関連講演会のご案内】
講演会①(終了しました)
開催日:令和3年11月23日(火・祝)
◆中井家本「茶室起こし絵図」の建築史的価値(谷直樹氏/大阪くらしの今昔館前館長・大阪市立大学名誉教授)
◆「茶室起こし絵図」の保存修理(坂田さとこ氏/㊑坂田墨珠堂代表取締役)
詳しくはこちら
https://www.osaka-angenet.jp/event/145

講演会②(終了しました)
開催日: 令和3年12月25日(土)
◆数寄大名小堀遠州と大工頭中井大和守(谷直樹氏/前出)
◆大徳寺塔頭玉林院の茶室「蓑庵」と牌堂「南明庵」の建築にみる大工の技ー数寄屋大工と堂宮大工の協働ー(日向進氏/京都工芸繊維大学名誉教授)
詳しくはこちら
https://www.osaka-angenet.jp/event/146



〇天井改修工事の実施に伴う一部展示室等の閉鎖のお知らせ

 大阪くらしの今昔館から重要なお知らせです。
 天井改修工事の実施に伴い、令和4年秋頃(予定)までの約1年間、9階常設展示室および10階展望フロアが閉鎖されますので、ご注意ください。


・9階、10階の閉鎖期間中は8階企画展示室に町家座敷を実物大で再現し、茶室の実物大構造模型とともに展示します。
・8階の吹抜け部分に大型映像コーナーを新設し、江戸時代の大坂の町なみと天保年間の人々の暮らしを描いた動画をご覧いただけます。


・天井改修工事期間中の入館料
8階常設展と企画展をご覧いただけます。
 一般   400円  団体(20名以上)300円
 高・大生 300円  団体(20名以上)200円 *要学生証提示

【年間パスポート】
現在年間パスポートは販売を休止しております。

【年間パスポートをお持ちの方へ】
天井改修工事期間を含む年間パスポートをお持ちの方は有効期限を延長いたします。インフォメーションにて手続きをいたしますので、次回ご来館の際にご提示ください。



 今昔館の近代のフロアをご紹介する動画が2編公開されています。動画を見てから見学すると、見どころがよくわかると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=SbqzmybwKss&feature=youtu.be


https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4




〇今昔館の館蔵品紹介「浪花風景十二月 正月 道頓堀初芝居」
 今回は、大坂の風景を12ヶ月の月別に描いた二代長谷川貞信(はせがわさだのぶ)による画帖「浪花風景十二月」から「正月 道頓堀初芝居」をご紹介します。

 12ヶ月の月ごとの行事や風俗を主題として描く「月次絵」は、古くから屏風や襖絵、巻子などいろいろな形式で描かれてきました。
 今回紹介する画帖「浪花風景十二月」も、画帳の形式で1枚に1月づつ、江戸時代の大坂を象徴する景色や名所を季節感を織り交ぜながら描いています。
 二代長谷川貞信(にだいはせがわさだのぶ)の肉筆で、二代貞信は江戸時代から昭和初期の変化に富んだ時代の様子を書き残した浮世絵師として知られています。

 今昔館には同じく二代貞信が描き、本画帖と同じ寸法かつ類似の表装で仕立てられた「浪花風俗十二月」も所蔵されており、2つの画帖は「対」もしくは「シリーズ」として製作されたことがうかがえます。

 本作品が描かれたのは貞信の最晩年の昭和14年(1939)ですが、描かれている様子は江戸時代の風景のため、本作は実像を見ながら描いているのではなく回顧して描いている点に留意する必要があります。しかし江戸時代の後期の大坂に生まれ、古くからの行事や風景に親しんで育った二代貞信の描写は、大阪のかつての風景を探る上で一定の信頼性があると考えられます。

■浪花風景十二月 正月 道頓堀初芝居

 芝居小屋が建ち並ぶ道頓堀の浜側を描いています。浜側には「いろは茶屋」と呼ばれる芝居茶屋が建ち並び、芝居前や幕間に食事を提供するほか、切符の手配も行っっていました。夕暮れ時の茶屋に小舟で客が到着し、二階建ての茶屋の障子には飲食を楽しむ客の影が映っています。茶屋の表側は芝居小屋が立ち並ぶメインストリートですが、川からは屋根と官許の印である幕をかけた櫓、左右に立てた梵天がのぞいてみえるのみです。
(大阪くらしの今昔館研究紀要17号掲載の、学芸員服部麻衣さんの論文『資料紹介 二代長谷川貞信 「浪花風景十二月」』より)


浪花風景十二月 正月 道頓堀初芝居
(大阪くらしの今昔館蔵)


〇住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」とは?

 住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」は2001年4月26日に開館しました。昨年、開館20周年を迎えました。
 前館長の谷直樹先生と新館長の増井正哉先生がこれまでの道のりを振り返り、これからの課題について語り合う動画が公開されています。
 こちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=kFW0qbelLNo

 ここは「住まいの歴史と文化」をテーマにした、日本で初めての專門ミュージアムです。
 住まい情報センターのビルの9階「なにわ町家の歳時記」は、江戸時代のフロア。天保初年(1830年代前半)の大坂の町並みを実物大で復元しています。
 8階「モダン大阪パノラマ遊覧」は、明治・大正・昭和のフロアで近代大阪の住まいと暮らしを模型や資料で展示。
 さらに企画展示室では特別展や企画展を開催しています。


〇大阪くらしの今昔館は開館していますが、イベント・ワークショップ等の開催は中止しています。

 イベント・ワークショップおよびボランティアによる展示解説(町家衆による町家ツアー)等は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の為、当面の間 開催を中止いたします。

 開催を楽しみにしてくださった皆様にはご迷惑をおかけしますが、ご理解をいただきますようお願いいたします。


〇大阪くらしの今昔館を紹介する動画作成プロジェクトが「2021年度都市住宅学会賞・業績賞」を受賞しました

 受賞対象は「歴史博物館から発信する大阪の町家と住文化の魅力-子ども・若者・外国人に町家と住文化を理解してもらうための動画制作プロジェクト-」です。
 この動画制作プロジェクトは、2018年度に申請者らからなる博物館住まい学習研究会が「建築技術教育普及センター」の助成を受け、大阪くらしの今昔館の9階常設展示「商家の賑わい」で撮影・編集し、2019年3月に完成しました。ドイツ人留学生のザビ-ネさんがナビゲートし、今昔館ボランティア「町家衆」の皆さんが江戸時代の住民に扮して出演しています。その後、2019年7月からYouTubeで配信しました。

 大阪くらしの今昔館を紹介する学習ビデオは、「なにわの町並み」、「町家の商い」、「町家のくらしとおもてなし」、「裏長屋のくらし」の4編(それぞれ日本語字幕版と英語字幕版)で構成されています。


〇大阪くらしの今昔館の紹介動画
 今昔館の江戸時代のフロアをご紹介する動画(全4編)の目次はこちらからどうぞ。
 こちらから、見たい部分だけを見ることができます。英語の字幕入りの動画を見ることもできます。
http://konjyakukan.com/link_pdf/what's%20this%20.pdf



 このほかに「天神祭となにわの町」をご紹介する動画があります。
https://www.youtube.com/watch?v=3or8fq4U8zE&feature=youtu.be




〇落語家 桂米團治と歩く江戸時代の大坂
 大阪くらしの今昔館の9階常設展示室にある江戸時代(天保年間)の大坂の町並みをご紹介する新しい動画ができました。案内人は上方の落語家、桂米團治師匠です。
〈①表通り編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=n1moBJy5uB4
〈②町家の暮らし編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=dDb2VBmyKnw



〇【動画】重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界
 重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵(さあん)」の実物大構造模型(竹中大工道具館所蔵)を京都工芸繊維大学名誉教授 日向進先生が分かりやすく解説してくださいます。
 こちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=tqJEnPZckbc&feature=youtu.be



〇「今昔館のオンライン まなびプログラム」が公開されています
 大阪のまちと住まいや くらしのことを おうちで学んでみませんか?
 こちらからどうぞ。
 ⇒konjyakukan.com/link_pdf/今昔館のオンラインまなびプログラム.pdf





 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html



2022年1月5日水曜日

今週の今昔館(300) 企画展「大工頭中井家伝来 茶室起こし絵図展」 20220105

新年あけましておめでとうございます。大阪くらしの今昔館は、新年1月5日から開館しています。本年も今昔館をよろしくお願いいたします。


〇企画展「大工頭中井家伝来 茶室起こし絵図展」会期が残り少なくなりました

 2022年1月16日(日)までです。

 わびの造形を極限にまでつきつめた草庵風茶室、それを書院にもちこみ洗練させた数寄屋風書院。いずれも現在の和室の原点とされています。本展覧会は、そうした茶室と数寄屋を、江戸時代の大工の手になる紙の建築模型「起こし絵図」によって紹介します。出品作品は、徳川幕府の京都大工頭として活躍した中井家に伝来したもので、国の重要文化財に指定されています(中井正知氏・中井正純氏蔵)。日本を代表する茶室、妙喜庵「待庵」、大徳寺龍光院「密庵」、大徳寺孤篷庵「忘筌」、大徳寺真珠庵「庭玉軒」や、現在は失われてしまった幻の茶室の「起こし絵図」も含まれています。同時に展示する茶室「蓑庵」(大徳寺玉林院・重要文化財)の実物大模型(公益財団法人 竹中大工道具館蔵)と併せて、茶室と数寄屋の魅力をご堪能ください。

入館料 :(8階常設展示室の入場料を含む)
     一般400円(団体300円)
     高校生・大学生300円(団体200円)(要学生証提示)
     (注)団体は20名以上
     大阪周遊パスでもご入場いただけます。
     中学生以下、障がい者手帳等持参者(介護者1名を含む)、大阪市内在住の65歳以上の方は無料です。(要証明書提示)

大徳寺真珠庵茶室「庭玉軒」(起こし絵図)
重要文化財/中井正知氏・中井正純氏蔵
茶室「蓑庵」実物大模型
(公財)竹中大工道具館蔵
小堀遠州自筆書状(中井大和守宛)
重要文化財/中井正知氏・中井正純氏蔵
千利休画像(土佐光芳筆)
大阪城天守閣蔵

【特別展関連講演会のご案内】
講演会①(終了しました)
開催日:令和3年11月23日(火・祝)
◆中井家本「茶室起こし絵図」の建築史的価値(谷直樹氏/大阪くらしの今昔館前館長・大阪市立大学名誉教授)
◆「茶室起こし絵図」の保存修理(坂田さとこ氏/㊑坂田墨珠堂代表取締役)
詳しくはこちら
https://www.osaka-angenet.jp/event/145

講演会②(終了しました)
開催日: 令和3年12月25日(土)
◆数寄大名小堀遠州と大工頭中井大和守(谷直樹氏/前出)
◆大徳寺塔頭玉林院の茶室「蓑庵」と牌堂「南明庵」の建築にみる大工の技ー数寄屋大工と堂宮大工の協働ー(日向進氏/京都工芸繊維大学名誉教授)
詳しくはこちら
https://www.osaka-angenet.jp/event/146



〇天井改修工事の実施に伴う一部展示室等の閉鎖のお知らせ

 大阪くらしの今昔館から重要なお知らせです。
 天井改修工事の実施に伴い、9月18日より令和4年秋頃(予定)までの約1年間、9階常設展示室および10階展望フロアが閉鎖されますので、ご注意ください。


・9階、10階の閉鎖期間中は8階企画展示室に町家座敷を実物大で再現し、茶室の実物大構造模型とともに展示します。
・8階の吹抜け部分に大型映像コーナーを新設し、江戸時代の大坂の町なみと天保年間の人々の暮らしを描いた動画をご覧いただけます。


・天井改修工事期間中の入館料
8階常設展と企画展をご覧いただけます。
 一般   400円  団体(20名以上)300円
 高・大生 300円  団体(20名以上)200円 *要学生証提示

【年間パスポート】
現在年間パスポートは販売を休止しております。

【年間パスポートをお持ちの方へ】
天井改修工事期間を含む年間パスポートをお持ちの方は有効期限を延長いたします。インフォメーションにて手続きをいたしますので、次回ご来館の際にご提示ください。



 今昔館の近代のフロアをご紹介する動画が2編公開されています。動画を見てから見学すると、見どころがよくわかると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=SbqzmybwKss&feature=youtu.be


https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4




〇今昔館の館蔵品紹介「浪花行事十二月 睦月 今宮十日恵比寿」
 今回は、大坂の行事を12か月の月別に描いた二代長谷川貞信(はせがわさだのぶ)による画帖「浪花行事十二月」から「睦月 今宮十日恵比寿」をご紹介します。

 江戸時代の大坂には諸国の物産が集積し、商業によって富み栄えた商人たちは文化的にも豊かな生活を送るようになりました。年中行事や季節に応じた行楽、寺社への参拝と祭礼などを盛んに行いました。このような都市生活の様子は、名所絵や浮世絵として様々な画家によって残されています。ここでは今昔館が所蔵する資料の中から、大坂の行事を12か月の月別に描いた、二代長谷川貞信(にだいはせがわさだのぶ)による画帖「浪花行事十二月」を紹介します。

 作者の二代長谷川貞信は、嘉永元年(1848)に初代長谷川貞信の長男徳太郎として大坂に生まれました。慶応元年(1865)頃から小信の号で描き、明治8年 (1875)に父から貞信の名を譲り受け、二代長谷川貞信と称しました。
 父の初代貞信は役者絵や「浪花百景」などの風景版画の分野を得意として、幕末から明治初年にかけて上方浮世絵界で活躍しました。二代貞信もその伝統を受け継いで役者絵を主に描いています。その他に神戸名所、浪花名所、浪花十二景などの風景画、玩具絵、武者絵、美人画、『日々新聞』の挿絵や銅版画を手がけています。
 小信を名乗っている頃には、「播州神戸海岸繁栄之図」を初めとして神戸・大阪(川口)の居留地などを舞台に、鉄道、鉄橋、西洋館など明治初年の文明開化の風俗をよく描きました。また貞信を継いだ後は、錦絵新聞や西南戦争に題材を求めた錦絵を多く手がけました。銅版画や石版画が普及し、浮世絵の需要が衰えた明治10年(1877)以降には、商店の引き札や輸出茶の商標、芝居絵の番付なども描いています。昭和15年(1940)没。享年93。墓所は初代と同じ天鷲寺。法名は明徳院貞信遍照居士。

 「浪花行事十二月」は帙(ちつ)入りの折本 (1帖)、絹本着色、法量は本紙縦14.5 x 横20.5cm(総寸 20.8 x 26.9cm ) 、目次を含めて13面の図で構成されています。目次には小信の落款が、各月の場面 には「九十二翁 貞信」の落款があります。本作品が描かれたのは貞信の最晩年である昭和14年 (1939)ですが、江戸時代の後期に生まれ、江戸時代の風景と風俗の面影を残す町で育った貞信は、江戸時代の大阪の様子を回顧するように描いています。

■浪花行事十二月 睦月 今宮十日恵比寿
 今宮戎神社で行われる十日戎は商売繁盛を祈る祭として、現在も大いに賑わう祭です。毎年正月10日、今宮戎には福を祈るために詣でる人々で賑わいました。社頭では米俵や白銀包など縁起物の品々を売り、詣でた人々は購入した品を笹の枝に結び付けて持ち帰るのを習わしとしました。
 嘉永2年(1849)の『浪花十二月画譜』の「十日戎」の項に「大坂の南今宮村、天満堀川の同社参りに人のくんじゅ(群衆)する事、大波のよするか如く、三都の繁華を是によせたるがごとく、就中戯れ男の酒の酔ひ、遊女・絃婦の駕籠にての参り下向の花やかさ、一きわ目立、浪速のにぎわひ目ざましく、値千金一日の栄華なるべし」とあります。本図にも籠に乗った芸者衆を担ぐ「宝恵駕籠(ほえかご)」の一団とその様子を見物する参詣者たちの様子が描かれています。(大阪くらしの今昔館研究紀要16号掲載の、学芸員服部麻衣さんの論文『資料紹介 二代長谷川貞信 「浪花行事十二月」』より)


浪花行事十二月 睦月 今宮十日恵比寿
(大阪くらしの今昔館蔵)


〇住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」とは?

 住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」は2001年4月26日に開館しました。昨年、開館20周年を迎えました。
 前館長の谷直樹先生と新館長の増井正哉先生がこれまでの道のりを振り返り、これからの課題について語り合う動画が公開されています。
 こちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=kFW0qbelLNo

 ここは「住まいの歴史と文化」をテーマにした、日本で初めての專門ミュージアムです。
 住まい情報センターのビルの9階「なにわ町家の歳時記」は、江戸時代のフロア。天保初年(1830年代前半)の大坂の町並みを実物大で復元しています。
 8階「モダン大阪パノラマ遊覧」は、明治・大正・昭和のフロアで近代大阪の住まいと暮らしを模型や資料で展示。
 さらに企画展示室では特別展や企画展を開催しています。


〇大阪くらしの今昔館は開館していますが、イベント・ワークショップ等の開催は中止しています。

 イベント・ワークショップおよびボランティアによる展示解説(町家衆による町家ツアー)等は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の為、当面の間 開催を中止いたします。

 開催を楽しみにしてくださった皆様にはご迷惑をおかけしますが、ご理解をいただきますようお願いいたします。


〇大阪くらしの今昔館を紹介する動画作成プロジェクトが「2021年度都市住宅学会賞・業績賞」を受賞しました

 受賞対象は「歴史博物館から発信する大阪の町家と住文化の魅力-子ども・若者・外国人に町家と住文化を理解してもらうための動画制作プロジェクト-」です。
 この動画制作プロジェクトは、2018年度に申請者らからなる博物館住まい学習研究会が「建築技術教育普及センター」の助成を受け、大阪くらしの今昔館の9階常設展示「商家の賑わい」で撮影・編集し、2019年3月に完成しました。ドイツ人留学生のザビ-ネさんがナビゲートし、今昔館ボランティア「町家衆」の皆さんが江戸時代の住民に扮して出演しています。その後、2019年7月からYouTubeで配信しました。

 大阪くらしの今昔館を紹介する学習ビデオは、「なにわの町並み」、「町家の商い」、「町家のくらしとおもてなし」、「裏長屋のくらし」の4編(それぞれ日本語字幕版と英語字幕版)で構成されています。


〇大阪くらしの今昔館の紹介動画
 今昔館の江戸時代のフロアをご紹介する動画(全4編)の目次はこちらからどうぞ。
 こちらから、見たい部分だけを見ることができます。英語の字幕入りの動画を見ることもできます。
http://konjyakukan.com/link_pdf/what's%20this%20.pdf



 このほかに「天神祭となにわの町」をご紹介する動画があります。
https://www.youtube.com/watch?v=3or8fq4U8zE&feature=youtu.be




〇落語家 桂米團治と歩く江戸時代の大坂
 大阪くらしの今昔館の9階常設展示室にある江戸時代(天保年間)の大坂の町並みをご紹介する新しい動画ができました。案内人は上方の落語家、桂米團治師匠です。
〈①表通り編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=n1moBJy5uB4
〈②町家の暮らし編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=dDb2VBmyKnw



〇【動画】重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界
 重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵(さあん)」の実物大構造模型(竹中大工道具館所蔵)を京都工芸繊維大学名誉教授 日向進先生が分かりやすく解説してくださいます。
 こちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=tqJEnPZckbc&feature=youtu.be



〇「今昔館のオンライン まなびプログラム」が公開されています
 大阪のまちと住まいや くらしのことを おうちで学んでみませんか?
 こちらからどうぞ。
 ⇒konjyakukan.com/link_pdf/今昔館のオンラインまなびプログラム.pdf





 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html