2019年10月30日水曜日

今週の今昔館(187) 日本橋 20191030

〇浪華の賑ひに見る江戸時代の大坂(21)

 今回は「浪華の賑ひ」の「日本橋」をご紹介します。

■日本橋
 道頓堀川十橋の内、川上より第二の大橋なり。両岸には端麗(きらやか)なる旅舎(はたごや)多く、または三十石の船宿・金毘羅参詣の出舟所、または橋詰の出し店、鮮魚の立売、朝には足もとせはしき芝居行、夕には漂ひもどる住吉詣、あるいは土産買ふ老人・鮓(すし)の立喰する鉢巻男(であひ)・滞留の旅客・出船まつ上京(きょうのぼり)など皆この所の賑ひなり。この橋の南を長町といふは、実は那呉町(なごまち)にして、往古(いにしへ)、那古の浦の遺名なりとぞ。


浪華の賑ひ「日本橋」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)

 浪華の賑ひの本文には、日本橋について次のような説明があります。

■日本橋
 道頓堀川、堺すぢに架す
 この通りは北詰より北を堺筋といひ、南詰より南九町を長町といふ。紀州・泉州よりの喉口(ここう)にして往来常に繁く、両詰には旅舎(はたごや)軒をならべ、橋下には船かまびすし。その上、この南二、三丁の間は大道の左右に鮮魚の立売ありて、朝の程より巳の刻過ぐる時分(ころほひ)までは群衆に道塞りて、往来も煩はしきばかりの賑はひなり。
 長町九町の間にも旅舎(やどや)多く、なかんづく瓢箪河内屋・分銅河内屋などいへる大家ありて、数百人を宿す。この町すぢに傘(からかさ)を製する家多くありて、浪花の名物とす。



 浪花百景に描かれている道頓堀は、前々回ご紹介した2枚ですが、日本橋から南へ進んだ長町から難波御蔵を描いた「長町裏 遠見難波蔵」があります。

■長町裏 遠見難波蔵(芳瀧画)
 日本橋から南へ、日本橋3~5丁目の堺筋沿いに文字通り細長く伸びる町並みの長町。町に沿って堺へ向かう紀州街道が通るため往来激しく、街道左右には有名な旅籠屋や木賃宿が並びます。またここは傘職人が多く住む町で、天気の良い日には地面に埋めた竹筒に傘を差し込んで乾燥させるのが常でした。現在は電気機器の専門店街となっていますが、高島屋東別館北側に傘専門店が数件残り、わずかに往時の面影をとどめています。
 難波蔵は享保17(1732)~18年の飢饉に際し設けられた幕府直轄の米蔵で、遠方に臨む広大な難波蔵は八棟が並び建つという規模の大きさから名所の一つでもありました。この辺りは樹木が生い茂り、寂寞として閑静な土地でした。明治以降煙草専売局の工場となり、終戦後には大阪球場が作られた場所です。現在は再開発されて「なんばパークス」となっています。

浪花百景「長町裏 遠見難波蔵」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)


 日本橋(にっぽんばし)は、1619年(元和5年)に江戸幕府によって架けられた、長さ約40m、幅約7mの木造橋で、江戸の日本橋(にほんばし)と同じく幕府が直接建設・管理する公儀橋でした。
 当時大坂にあった約200の橋の大半は町人が建設・管理する町橋で、公儀橋はわずか12橋しかなく、その大半が大坂城周辺の大川や東横堀に架かっていました。日本橋は、道頓堀川では唯一の公儀橋で、長堀川の長堀橋とともに、堺を経て、御三家のひとつ紀伊徳川家の和歌山に通じる紀州街道に架かっていました。
 現在の橋は1969年(昭和44年)架橋で、長さ28.8m、幅28m。橋の西側は道頓堀川の遊歩道「とんぼりリバーウォーク」と接続しています。

 現在の様子を写真で見てみましょう。
 日本橋周辺には、観光名所や旧跡が多くあり、多くのインバウンドの外国人で賑わっています。

とんぼりリバーウォークから見た日本橋
日本橋の親柱(左側はひらかな)
日本橋の親柱(右側は漢字)
日本橋の顕彰板
日本橋より西側を望む
とんぼりリバーウォークと日本橋
とんぼりリバーウォーク
道頓堀通り
安井道頓・道卜の顕彰碑
皇紀二千六百年の碑
道頓関


 今回は、「浪華の賑ひ」の「日本橋」をご紹介しました。今昔館8階展示室の床面には大きく拡大した「大阪市パノラマ地図」がありますので、昔の地図、現代の地図と見比べながらお楽しみください。


〇今週のイベント・ワークショップ

〇今昔館は毎週火曜日が休館日です。カレンダーは、こちらです。
http://konjyakukan.com/kaikanjikan.php?nextm=201911



10月30日(水)~11月2日(土)、6日(水)~9日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。
当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
時 間:①11:30~、②14:30~
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)

11月3日(日)、4日(月・振替休日)、10日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00



11月3日(日・祝)
町家衆イベント 今昔語り

 大阪に残る昔ばなしを、町家の座敷でお聞かせします。
あたたかくなつかしい風情をお楽しみください。
開催日:お茶会と同日
時 間:14:30-15:00



町家衆イベント 町の解説
江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00-16:00




イベント 町家でお茶会
町家の座敷で「ほっと一息」一服いかがですか
先着順50名、茶菓代300円
※当日12時より8階インフォメーションでお茶券を販売します
協力:大阪市役所茶道部
13時~15時



11月9日(土)
ワークショップ『ふくろうのストラップを作ろう』

各回先着10名、1人300円
*当日12時より8階インフォメーションで参加券を販売します
①13時30分 ②14時30分

11月10日(日)
町家衆イベント おじゃみ(有料)

古布を四角く切って縫い合わせて作るおじゃみ(お手玉)。
作り方をていねいにお教えします。
開催日:第2日曜
時 間:14:00-16:00




〇貸しギャラリーについて
 大阪くらしの今昔館の企画展示室は、当館主催の企画展を開催するほか、住まいと暮らしに関わる展覧会の貸会場(ギャラリー)として、広く一般の方々のご使用を受け付けています。今年は9月14日から12月8日まで、書道展・絵画展など様々な作品展が開催されます。
 催し物のご案内はこちらからどうぞ。



そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。

 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
http://konjyakukan.com/index.html


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html


 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。

「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。
http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。
http://www.sumai-machi-net.com/howtouse



0 件のコメント:

コメントを投稿