2021年10月13日水曜日

今週の今昔館(288) 近代展示室の見どころ(6) 通天閣 20211013

〇今昔館の近代展示室の見どころ(6)「大阪市パノラマ地図」

 大阪くらしの今昔館は、展示替えのための臨時休館が終わり、9月18日から開館していますが、天井改修工事の実施に伴い、令和4年秋頃(予定)までの約1年間、9階常設展示室および10階展望フロアが閉鎖されています。前回に引き続き近代のフロアの「大阪市パノラマ地図」の見どころをご紹介します。

 下の地図は大正13年発行の大阪市パノラマ地図の通天閣付近を拡大したものです。さて、クイズです。
A 現在、ここはどうなっているでしょうか?
B 江戸時代の天保年間には何があったでしょうか?

C 地図の塔はその後どうなったでしょうか?


 答えは次のとおりです。
A 少し北に二代目通天閣(1956年(昭和31年)に完成)
B 明治36年(1903年)の第5回内国博覧会以前は荒地
C 初代通天閣は1912年(明治45年)に建設されたが、1943年(昭和18年)に、直下にあった映画館の火事のため使用できなくなり、のちに鉄材は戦時中に軍に供出となった。

浪華名所獨案内の天王寺・今宮付近(上が北)
天保新改攝州大阪全圖の天王寺・今宮付近(上が北)

 上の2枚の地図は江戸時代天保年間の天王寺・今宮付近ですが、このあたりは明治36年に第5回内国博覧会が開催される以前は大阪の市街地南部に広がる荒地でした。

 当時の大阪商業会議所会頭・土居通夫は、1903年(明治36年)の第5回内国勧業博覧会誘致において、東京との激しい招致合戦に勝利し、パリに飛びパリ万国博の仕組みを詳細に調査して成功に導きました。

 土居はこの博覧会の終了後、跡地に新世界ルナパーク、パリのエッフェル塔を真似た通天閣の建設を構想しました。周囲の猛反対を押し切って、パリの凱旋門にエッフェル塔の上半分を乗せたような初代通天閣が1912年(明治45年)7月3日にルナパークと共に建設されました。設計は設楽貞雄。建設費用は約9万7000円で、入場料は10銭。300尺(91メートル)という触れ込み(実際は250尺/約75メートル)で、その当時東洋一の高さを誇っていました。「通天閣」とは、「天に通じる高い建物」という意味で、命名したのは明治初期の儒学者、藤沢南岳です。
 通天閣は、ルナパークのホワイトタワーと「ロープ・ウエィ」で結ばれており、人々に親しまれていました。大阪で2番目(非貨物専用としては最初)の昇降機が設置され評判となりました。現在の二代目と同じように塔側面に巨大ネオン広告があった時期があり(1920年(大正9年)に導入)、当時の広告は「ライオン歯磨」でした。
 太平洋戦争中の1943年(昭和18年)1月16日に直下にあった映画館・大橋座の火災で通天閣の脚部が加熱により強度不足となりました。そのため、鉄材を軍需資材として供出するという名目で同年2月13日から塔は解体され、初代通天閣は姿を消しました。

 現在の通天閣は二代目で、1956年(昭和31年)に完成しました。避雷針を含めた高さは103m(塔自体の高さは100m)。設計者は、ほぼ同時期にできた名古屋テレビ塔、東京タワーなどを手がけた内藤多仲。建設を施工したのは奥村組です。
 二代目の通天閣は、入場ゲートや展示スペースなどを設けた低層階(地下1階~2階)と、展望台などのある高層階(3階~5階)で本体を構成。地下1階の入口と2階を往復するエレベーター(低層エレベーター)と、展望台のある4・5階と2階を往復するエレベーター(展望エレベーター)を別々に稼働させています。このような構造のため、入場者が入口から展望台へ向かう場合には、2階で低層エレベーターから展望エレベーターに乗り換える仕組みになっています。5階の屋上には、特別屋外展望台「展望パラダイス」、跳ね出し展望台「TIP THE TSUTENKAKU」があります。

 2014年10月から2015年6月まで免震工法による耐震改修工事(免震化工事)が実施され、2015年7月3日には、エントランスで竣工式が開催されました。耐震化工事では、脚部の基壇部に耐震装置とオイルダンパーを埋め込んでから、基壇部の上部(地上約12m)にある八角形状のエントランス大天井に、初代通天閣のエントランスに掲出されていた地元の化粧品メーカー・中山太陽堂(現在のクラブコスメチックス)のクジャクの天井画の広告を再現した「花園に遊ぶクジャク図」を設置し、竣工式の際に初めて一般に公開されました。



 大阪市パノラマ地図を見ながら、「昔は何があったのかな?」「今はどうなっているのかな?」と昔と今を比較して考えを廻らしてみるのも興味深いと思います。


 今昔館の近代のフロアをご紹介する動画が2編公開されています。動画を見てから見学すると、見どころがよくわかると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=SbqzmybwKss&feature=youtu.be


https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4




〇【住まいのミュージアム20周年記念事業】
 「大阪くらしの今昔館」のバトンを繋ぐ


 「大阪市立住まいのミュージアム」は、大阪の住まいや暮らしの歴史を再現・発信する体験型ミュージアムとして2001年4月に開館し、本年4月に20周年を迎え、これまで延べ540万人を超える方々にご来館いただきました。
 このたびの20周年を記念し、開館から本年3月まで館長を務めた谷直樹先生と、本年4月に館長に就任した増井正哉館長による新旧館長の講演と対談が開催されます。

■日 時:令和3年10月23日(土)13:00~15:20(開場12:30~)
■場 所:大阪市立住まい情報センター3階ホール
■定 員:150名(定員を超えた場合は抽選)
 ※今後の新型コロナウィルス感染症の状況により定員の変更やシンポジウムを中止する場合があります。
■参加費:無料
■主 催:大阪市/大阪市立住まい情報センター

詳しくは、こちらから。
https://www.osaka-angenet.jp/event/117

申し込みは、こちらから。
https://www.osaka-angenet.jp/event/117/entry




〇企画展「商都慕情Ⅱ‐水のまち大阪を巡る -」開催中です

 令和3年9月18日(土)~11月14日(日)

 江戸時代、淀川は京都と大坂をつなぐ動脈として、人や物資が往来し、絵画にもよく描かれました。とくに、円山応挙が京都伏見から大坂天満橋までの両岸の光景を描いた絵巻がよく知られています※。この絵巻から昭和初期に大阪の絵師が6つの場面を模写していました。それが庭山耕園とその門人らによる「淀川両岸帖」です。当館はこの作品を2020年に新収蔵しました。収蔵後、本展が初公開となります。
 大坂の市中には堀川が網目のように張り巡らされ、八百八橋と称されました。橋上や舟の上は町民にとって夕涼みや花火見物を楽しむ憩いの場でした。天神祭の船渡御の舞台も大川です。その熱気は江戸の浮世絵師歌川貞秀の錦絵にも描かれています。また、道頓堀の芝居をかける際に、役者が船に乗って市中を巡る「船乗込」も川筋で華やかに行われました。商いの流通や暮らし、そして文化が水とともにあった大坂。本展では大阪くらしの今昔館所蔵の絵画や錦絵を用いて、水都とよばれた大坂の情景を想起します。
※「淀川両岸図巻」公益財団法人アルカンシエール美術財団蔵(本展の出品はございません)

開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)
閉館日 :火曜日

会  場:大阪市立住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館)企画展示室
入館料 :(8階常設展示室の入場料を含む)
     一般400円(団体300円)
     高校生・大学生300円(団体200円)(要学生証提示)
     (注)団体は20名以上
     大阪周遊パスでもご入場いただけます。
     中学生以下、障がい者手帳等持参者(介護者1名を含む)、大阪市内在住の65歳以上の方は無料です。(要証明書提示)

【町家と茶室の展示】
 企画展示室内には、江戸時代における大坂の商家座敷の再現や、重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵」の構造模型(公益財団法人 竹中大工道具館蔵)など実物大の模型を設置し、2種の建築から住まいと暮らしの様相をお見せします。

淀川両岸帖(部分)庭山耕園他
よど川のすずみ船 菅 楯彦
浪速天満祭 歌川貞秀
『滑稽浪花名所』のうち ざこば魚市 芳豊


〇天井改修工事の実施に伴う一部展示室等の閉鎖のお知らせ

 大阪くらしの今昔館から重要なお知らせです。
 天井改修工事の実施に伴い、9月18日より令和4年秋頃(予定)までの約1年間、9階常設展示室および10階展望フロアが閉鎖されますので、ご注意ください。


・9階、10階の閉鎖期間中は8階企画展示室に町家座敷を実物大で再現し、茶室の実物大構造模型とともに展示します。
・8階の吹抜け部分に大型映像コーナーを新設し、江戸時代の大坂の町なみと天保年間の人々の暮らしを描いた動画をご覧いただけます。


・天井改修工事期間中の入館料
8階常設展と企画展をご覧いただけます。
 一般   400円  団体(20名以上)300円
 高・大生 300円  団体(20名以上)200円 *要学生証提示

【年間パスポート】
現在年間パスポートは販売を休止しております。

【年間パスポートをお持ちの方へ】
天井改修工事期間を含む年間パスポートをお持ちの方は有効期限を延長いたします。インフォメーションにて手続きをいたしますので、次回ご来館の際にご提示ください。



〇住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」とは?

 住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」は2001年4月26日に開館しました。今年で開館20周年を迎えました。
 前館長の谷直樹先生と新館長の増井正哉先生がこれまでの道のりを振り返り、これからの課題について語り合う動画が公開されています。
 こちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=kFW0qbelLNo

 ここは「住まいの歴史と文化」をテーマにした、日本で初めての專門ミュージアムです。
 住まい情報センターのビルの9階「なにわ町家の歳時記」は、江戸時代のフロア。天保初年(1830年代前半)の大坂の町並みを実物大で復元しています。
 8階「モダン大阪パノラマ遊覧」は、明治・大正・昭和のフロアで近代大阪の住まいと暮らしを模型や資料で展示。
 さらに企画展示室では特別展や企画展を開催しています。


〇大阪くらしの今昔館は開館していますが、イベント・ワークショップ等の開催は中止しています。

 イベント・ワークショップおよびボランティアによる展示解説(町家衆による町家ツアー)等は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の為、当面の間 開催を中止いたします。

 開催を楽しみにしてくださった皆様にはご迷惑をおかけしますが、ご理解をいただきますようお願いいたします。


〇大阪くらしの今昔館を紹介する動画作成プロジェクトが「2021年度都市住宅学会賞・業績賞」を受賞しました

 受賞対象は「歴史博物館から発信する大阪の町家と住文化の魅力-子ども・若者・外国人に町家と住文化を理解してもらうための動画制作プロジェクト-」です。
 この動画制作プロジェクトは、2018年度に申請者らからなる博物館住まい学習研究会が「建築技術教育普及センター」の助成を受け、大阪くらしの今昔館の9階常設展示「商家の賑わい」で撮影・編集し、2019年3月に完成しました。ドイツ人留学生のザビ-ネさんがナビゲートし、今昔館ボランティア「町家衆」の皆さんが江戸時代の住民に扮して出演しています。その後、2019年7月からYouTubeで配信しました。

 大阪くらしの今昔館を紹介する学習ビデオは、「なにわの町並み」、「町家の商い」、「町家のくらしとおもてなし」、「裏長屋のくらし」の4編(それぞれ日本語字幕版と英語字幕版)で構成されています。


〇大阪くらしの今昔館の紹介動画
 今昔館の江戸時代のフロアをご紹介する動画(全4編)の目次はこちらからどうぞ。
 こちらから、見たい部分だけを見ることができます。英語の字幕入りの動画を見ることもできます。
http://konjyakukan.com/link_pdf/what's%20this%20.pdf



 このほかに「天神祭となにわの町」をご紹介する動画があります。
https://www.youtube.com/watch?v=3or8fq4U8zE&feature=youtu.be




〇落語家 桂米團治と歩く江戸時代の大坂
 大阪くらしの今昔館の9階常設展示室にある江戸時代(天保年間)の大坂の町並みをご紹介する新しい動画ができました。案内人は上方の落語家、桂米團治師匠です。
〈①表通り編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=n1moBJy5uB4
〈②町家の暮らし編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=dDb2VBmyKnw



〇【動画】重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界
 重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵(さあん)」の実物大構造模型(竹中大工道具館所蔵)を京都工芸繊維大学名誉教授 日向進先生が分かりやすく解説してくださいます。
 こちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=tqJEnPZckbc&feature=youtu.be



〇「今昔館のオンライン まなびプログラム」が公開されています
 大阪のまちと住まいや くらしのことを おうちで学んでみませんか?
 こちらからどうぞ。
 ⇒konjyakukan.com/link_pdf/今昔館のオンラインまなびプログラム.pdf





 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
http://konjyakukan.com/index.html


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html



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