2023年2月2日木曜日

今週の今昔館(356) 江戸時代のフロアの見どころ(9) 20230202

〇江戸時代のフロアの見どころ(9)

 大阪くらしの今昔館の江戸時代のフロアの見どころをシリーズで紹介しています。今回は、「唐高麗物屋」の東隣(右側)の「呉服屋」をご紹介します。

 呉服屋の表構え。絵画資料によると当時の呉服屋の庇はこけら葺きが多かったようです。また、太陽光による商品の色あせを防ぐため、表に長暖簾を吊り下げていました。

呉服屋の店構え
呉服屋の店構え
呉服屋の店構え(正面)
幕末の松屋呉服店『雲煙過眼』松川半山(大阪歴史博物館蔵)

 呉服屋の屋根看板。江戸の屋根看板は間口と平行に置くものもありましたが、大坂では庇の上に垂直に置くのが一般的でした。

呉服屋の屋根看板

 呉服屋の上店。店内は通り庭(土間)を挟んで上店と下店に分けられ、上店は絹を主体とした反物や、木綿や麻などの太物を商い、下店は、木綿や古手を扱いました。上店の箪笥には高価な反物が収納されています。実際の商品である多くの太物・反物は屋敷の奥にある土蔵におさめられていました。

呉服屋の上店

 服装やしぐさから、来客がどのような柄を求めているかを判断するのも呉服屋のつとめでした。『絵本女雑書』から。


 衣料を大切にした江戸時代には、端切れもまた商品になりました。旧暦10月になると、大坂中の呉服屋ではいっせいに端切れが売り出され、誓文(せいもん)払いと呼ばれました。
 もともとは、旧暦10月20日の戎講 (えびすこう) の日に,京都の商人や遊女が四条京極の官者殿(冠者殿)(かんじゃでん)に参詣し、商売上の駆引きで客を欺いた罪を払い、神罰を免れるように祈った風習でした。のちにこれが転じて、商家が1年間に商売上でついたうその罪滅ぼしに、精進日として品物を格安に売り出すようになり、誓文払い、夷講と呼ばれました。さらにこれが商店の売出し行事となり、関西に限らず各地で行われるようになりました。現代の歳末大売り出し、バーゲンに通じるものです。

誓文払い『浪花の梅』(大阪府立中之島図書館蔵)
浪花行事十二月 時雨月 誓文払
(大阪くらしの今昔館蔵)
誓文払いの再現展示
大阪くらしの今昔館常設展示室内

 呉服屋を営むのは布屋歌右衛門で、店名は「布屋」、店印は「山一」です。宅地も所有しています。六人家族で奉公人は五人おり、相当手広い商いをしています。
 5月から8月の間の「夏祭りの飾り」の展示の際には、上店の間に帯で作られた「宝船」の造り物が飾られます。

 今回は、木戸門を入って通りの奥の方、北側に建つ呉服屋をご紹介しました。



〇企画展「ユニーク家電大行進!! 昭和レトロ家電®-マスダコレクション展-」開催中です

2022年12月24日(土)〜2023年2月19日(日)

昭和30年代のレトロ家電に魅せられ、20年以上にわたって収集した増田健一氏の貴重なコレクションを3年ぶりに大公開します。7回目となる今回はマスダコレクションの中からとっておきのユニーク家電約150点をずらーっと展示。なんでも電化してみようという時代ならではの驚きのアイデア家電や、宇宙ブームなど時代を反映した家電、デザインが特徴的な家電などなど、たっぷりとお楽しみください。



〇今昔館は昨年10月29日から全面開館しています

 天井改修工事にともない閉鎖していた9階常設展室及び10階展望フロアが令和4年10月29日(土)から再開されています。
 今昔館は、毎週火曜日が休館日となっています。
 https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/guide

●入場料変更のお知らせ

令和4年10月29日(土)から通常料金になっています

【一 般】600円(団体500円)
【高校生・大学生】300円(団体200円)

(注)団体は20名以上
(注)高校生・大学生は学生証原本要提示
(注)中学生以下、障がい者手帳等持参者(介護者1名を含む)、大阪市内の在住の65歳以上の方は無料(証明書原本(運転免許証、健康保険証、敬老優待乗車証、障がい者手帳等、またはミライロID)要提示)



〇住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」とは?

 「住まいの歴史と文化」をテーマにした、日本で初めての專門ミュージアムである「大阪くらしの今昔館」は、2001年4月26日に開館しました。2021年に開館20周年を迎えました。
 住まい情報センターのビルの9階「なにわ町家の歳時記」は、江戸時代のフロア。天保初年(1830年代前半)の大坂の町並みを実物大で復元しています。
 8階「モダン大阪パノラマ遊覧」は、明治・大正・昭和のフロアで近代大阪の住まいと暮らしを模型や資料で展示。
 さらに企画展示室では特別展や企画展を開催しています。

 前館長の谷直樹先生と新館長の増井正哉先生がこれまでの道のりを振り返り、これからの課題について語り合う動画が公開されています。
 こちらからどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=kFW0qbelLNo



〇大阪くらしの今昔館の紹介動画
 今昔館の江戸時代のフロアをご紹介する動画はこちらからどうぞ。
 英語の字幕入りの動画を見ることもできます。
https://www.youtube.com/@user-hm7hq2uu4o/videos
 https://www.youtube.com/watch?v=lOgkk5mfaT0
 https://www.youtube.com/watch?v=1ZFcAzP08Ys



 このほかに「天神祭となにわの町」をご紹介する動画があります。
https://www.youtube.com/watch?v=3or8fq4U8zE&feature=youtu.be



 今昔館の近代のフロアをご紹介する動画が2編公開されています。動画を見てから見学すると、見どころがよくわかると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=SbqzmybwKss&feature=youtu.be


https://www.youtube.com/watch?v=EohP-xqrOi4



〇落語家 桂米團治と歩く江戸時代の大坂
 大阪くらしの今昔館の9階常設展示室にある江戸時代(天保年間)の大坂の町並みをご紹介する新しい動画ができました。案内人は上方の落語家、桂米團治師匠です。
〈①表通り編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=n1moBJy5uB4
〈②町家の暮らし編〉
 こちらからどうぞ。
 https://www.youtube.com/watch?v=dDb2VBmyKnw



〇【動画】重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界
 重要文化財 大徳寺玉林院茶室「蓑庵(さあん)」の実物大構造模型(竹中大工道具館所蔵)を京都工芸繊維大学名誉教授 日向進先生が分かりやすく解説してくださいます。
 こちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=tqJEnPZckbc&feature=youtu.be



〇「今昔館のオンライン まなびプログラム」が公開されています
 大阪のまちと住まいや くらしのことを おうちで学んでみませんか?
 こちらからどうぞ。
 ⇒https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/manabi_program/今昔館のオンラインまなびプログラム




 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
https://www.osaka-angenet.jp/konjyakukan/


 「今週の今昔館」の第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪まち物語」に掲載しています。
 「今週の今昔館」の第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html



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