2017年9月5日火曜日

今週の今昔館(75) 近代都市住宅年表 適塾 20170905

〇今昔館の近代展示室を愉しむ(9) 近代都市住宅年表 

 前回まで「住まいの大阪六景」の6つの模型を順次ご紹介をしてきました。その中でも、毎回少し触れてきましたが、今回からは、近代展示室の外周にある「近代都市住宅年表」について、ご紹介することとします。
 上の写真は、8階近代のフロア「モダン大阪 パノラマ遊覧」の「近代都市住宅年表」のコーナーです。多分、「そんなものあったかなぁ?」とおっしゃる方が多いのではないでしょうか。
 皆さん、手前に並んでいる冷蔵庫やアイロン、ガスコンロなどのくらしの道具の変遷の方に目がいってしまい、バックの壁面が年表になっていることに気が付かない方が多いようです。
 もちろん、この年表は16年前の開館当時からずっと展示されています。明治以降から現代までの大阪の住まいと暮らしの歴史を、「都市住宅の変容」を軸に、市街地や郊外居住の変化などの流れも含めて年表にまとめたものです。
 この年表の下の段には各時代の代表的な住宅の立面図が統一されたスケールで描かれています。
 今回は、年表の左端、古い時代から見ていくこととしましょう。



 左端の建物は適塾です。適塾の建物は、昭和15(1940)年に「緒方適塾趾」の名称で大阪府の史蹟に指定され、翌年、大阪大学に寄贈されたことから、「緒方洪庵旧宅及塾」の名称で国の史跡指定を受けました。建物は戦災による空襲を免れ、昭和39年に「住宅(緒方洪庵旧宅及塾)」国の重要文化財指定を受け、昭和42年に「旧緒方洪庵住宅」の名称に変更されました。昭和51年から56年にかけての修理、その後、阪神淡路大震災や東日本大震災の被害を踏まえ、平成25年1月からから耐震改修工事の検討に入り、10月から工事を始め、翌年3月に竣工しました。これが現在の適塾です。
 現在の適塾の表構え(正面の意匠)は、大正4(1915)年の軒切り以降の姿です。2階の軒先が高い割に虫籠窓が小さく、1階の軒庇が高い位置に設けられています。適塾の表構えに関する古い部材が残されていないので、洪庵時代の表構えは推測の域を出ませんが、「建屋取調図面」によって明治19年当時、すなわち北浜通の軒切り以前の間取りが判明したので、明治初年の表構えを類推することができます。軒切りの規模については、表の軒先が40センチほど下がることになり、1階の軒先も低くなり、江戸時代の大坂らしい町家の外観になります。
 軒切り以前の表構えを残した船場の町家はないので、歴史資料で考察する以外にありません。そこで「守貞謾稿」「街廼噂」といった文献と古写真や絵画資料を参考にすると、大阪の町家の表構えが再現できます。このような手続きを経て復元された当時の表構えが、「近代都市住宅年表」の中にパネル展示されています。
 真ん中の「平野町の町家」は「北船場」の模型のところでご紹介しました。右端の「丹平商会分店」は心斎橋筋にありました。
 その右隣には、「北船場」の模型のところでご紹介しました「小西儀助商店」と「藤澤商店」があります。さらにその隣には、「西天満の内藤家」「上町の三階建長屋」が並んでいます。「西天満の内藤家」は、平成6年(1994)に放送されたNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「ぴあの」の舞台となった住宅のモデルです。大阪市北区西天満の老松町にありましたが、残念ながら現存していません。

「西天満の内藤家」(近代都市住宅年表)
連続テレビ小説「ぴあの」の一場面
(NHKアーカイブスより)
「上町の三階建長屋」(近代都市住宅年表)

 今回は、「近代都市住宅年表」から「適塾」をはじめ江戸時代から昭和戦前の住宅をご紹介しました。解説は、大阪くらしの今昔館の谷館長の論文「適塾(旧緒方洪庵住宅)の建築史的・文化財的価値」から抜粋させていただきました。


〇企画展示「夏休みだよ!家電採集 昭和レトロ家電
 ―マスダコレクション展―」~終了しました~
 多くの皆様のご来館ありがとうございました。


 次の企画展は何?いつから?と聞かれることがありますが、
企画展示室は、9月9日(土)~12月10日(日)までの間、貸ギャラリーとして広く一般の方々のご使用を受け付けています。

 大阪くらしの今昔館ギャラリーは、当館主催の企画展を開催するほか、住まいと暮らしに関わる展覧会の会場として、広く一般の方々のご使用を受け付けています。平成29年度の貸出期間が決まりました。下記により、お申し込みください。
 平成24年度から使用料金の割引制度を導入しています。使用日数が1週間を超える場合、超えた日の使用料金が1割引きとなります。
 貸出期間:平成29年9月9日(土)~12月10日(日)
 ただし、次にあげる日は休館日となります。
 平成29年9月12日・19日・26日、10月3日・10日・17日・24日・31日、11月7日・14日・21日・28日 、12月5日

 週末はほとんどお申し込みが入っていますが、詳しくはこちらをご覧ください。
http://konjyakukan.com/kashidashi.html


〇展示替えに伴う休館について
 大阪くらしの今昔館は、9月4日(月)から8日(金)まで、展示替えのため休館いたします。
 9月9日(土)からは、「商家の賑わい」の展示となります。
 江戸時代の大坂の店先を再現し、当時の賑やかな商家の様子を楽しめます。



 なお、9月9日以降は通常通り、毎週火曜日が休館日となります。
 9月のカレンダーは、こちらでご確認ください。
http://konjyakukan.com/kaikanjikan.php?nextm=201709



〇今週のイベント・ワークショップ

※9月4日(月)~8日(金)は、展示替えのため休館です。

9月9日(土)、11日(月)、13日(水)~16日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
時 間:11:30、14:30

9月10日(日)、17日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00

9月9日(土)
ワークショップ 『張り子のお面を作ろう』

①13時30分 ②14時30分
当日先着各回10名、参加費300円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆

9月10日(日)
町家衆イベント おじゃみ(有料)

古布を四角く切って縫い合わせて作るおじゃみ(お手玉)。
作り方をていねいにお教えします。
開催日:第2日曜
時 間:14:00~16:00

イベント 第12回子ども落語大会
開催日時 平成29年9月10日(日) 午後12時~17時(予定)
開催場所 : 大阪くらしの今昔館 9階常設展示場 薬屋座敷

9月17日(日)
町家衆イベント 今昔語り

大阪に残る昔ばなしを、町家の座敷でお聞かせします。
あたたかくなつかしい風情をお楽しみください。
開催日:お茶会と同日
時 間:14:30~15:00

連鶴
折鶴がいくつもつながった連鶴。
一枚の紙から折るところに特色があります。
作り方を詳しくお教えします。
開催日:奇数月の第3日曜
時 間:14:00~15:30

町の解説
江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00~16:00

イベント 町家でお茶会
町家の座敷で「ほっと一息」一服いかがですか
先着順50名、茶菓代300円
※当日12時より8階インフォメーションでお茶券を販売します
協力:大阪市役所茶道部
13時~15時


そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。


大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。≫http://www.sumai-machi-net.com/howtouse



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