2017年9月19日火曜日

今週の今昔館(77) 村野藤吾、安藤忠雄の作品 20170919

〇今昔館の近代展示室を愉しむ(11)

 大阪くらしの今昔館に村野藤吾、安藤忠雄の作品が展示されています。

 「え~!そんなんあったかなぁ?}という方が多いと思います。特別展ではありません。常設展示の8階近代のフロア「モダン大阪 パノラマ遊覧」の近代都市住宅年表のコーナーにあるのです。

 明治以降から現代までの大阪の住まいと暮らしの歴史を、「都市住宅の変容」を軸に、市街地や郊外居住の変化などの流れも含めて年表にまとめたもので、この年表の下の段には各時代の代表的な住宅の立面図が同じスケールで描かれています。このパネルをじっくり見ると、村野藤吾氏、安藤忠雄氏の作品が見つかります。


8階近代のフロアの「近代都市住宅年表」のコーナー

 「大阪パンション」は、1932年に、大阪南郊の西成区玉出に存在したアパートメントホテルです。建築家・村野藤吾氏が渡辺節建築事務所から独立して間もない時期に手がけた作品です。

 建物は、4階建てのパンション(ペンション、フランス語で下宿屋の意)部分と2階建てのアパート部分からなり、それらがL字形の敷地に合わせて配置されています。個室はプライバシーと採光への配慮から雁行して接続しています。その結果現れる連続して屈折する白色に近い外壁面とバルコニーがもたらす陰影や、外壁面と同面に納められた水平連続窓の扱いなど、村野作品の中でも造形的にもっとも顕著にインターナショナルスタイルの特色を見せるものの1つといえます。内部にはサロンやバー、ビリヤード室が設けられ、地元の名士が集う社交場にもなったといいます。形態的特徴だけでなく提案された生活様式の点でもきわめて先進的な建築でありました。以上、「村野藤吾 建築案内」(TOTO出版)より引用させていただきました。


大阪パンション(近代都市住宅年表)

 「住吉の長屋(すみよしのながや)」は、建築家・安藤忠雄氏の初期の代表的住宅建築です。

 1976年(昭和51年)2月竣工、大阪市住吉区の三軒長屋の真ん中の1軒を切り取り、中央の三分の一を中庭とした鉄筋コンクリート造りの小住宅。総工費予算は解体費を含め1000万円。外に面しては採光目的の窓を設けず、採光は中庭からだけに頼っています。玄関から内部に入ると居間があり、台所や2階に行くには中庭を通らねばなりません。限られた予算と敷地という厳しい条件の中で、建蔽率などの多くの条件をクリアしながら通風や採光を確保し、豊かな空間を創作するため機能性や便利さを犠牲にしてまで、真に必要な生活の質を究極にまで突き詰め、機能性や連続性に絶対的価値をおくことに疑問を持っていたという安藤の渾身の表現であり、関西に根付いた長屋の住み方を現代風にアレンジしたものとして高く評価される一方で、「使いにくい」、「雨の日に傘を差さないとトイレに行けない」などの当然起こりうるべき非難もありました。

 近畿地方(京都、大阪)の長屋住宅は、中庭・通り庭・後庭を備えることを理想とする住宅様式です。しかし敷地が充分でない場合など、良好でない住環境となることも少なくありません。 安藤自身がそうした住環境に長年住み続けて、生活にとって重要である通風、採光、日照などの確保を知悉していたことから、大胆なデザインによる革新的な住宅が着想されました。

 敷地は間口2間、奥行き7件で14坪しかなく、施主の当初の意向など到底反映されないと考えた安藤は、長屋をすっぱり切り取ってコンクリートの箱を入れ、抽象的な芸術に近いような物にしたいと考えました。 安藤曰く「単純ではあるけれども実際には単純ではない、物理的にはどれほど小さな空間であっても、その小宇宙のなかにかけがえのない自然があり豊かさがあるような住宅をつくりたかったのです。」と述べています。また、全体の約三分の一を中庭にすることで、建ぺい率60%でも敷地いっぱいに建てられる合理性もあると考えました。西洋的な環境の中に日本的感性を持ち込むため、日本建築で採用されてきた寸法を採用し、7尺5寸(約2.25m)という天井の高さを決めたとされます。内装材や家具などは天然素材を使用、床は石材、フローリング・家具は木材です。

 1979年(昭和54年)に、日本建築学会賞を受賞。2006年(平成18年)にはDOCOMOMO JAPAN選定 日本におけるモダン・ムーブメントの建築に選ばれています。以上、ウィキペディアより引用させていただきました。


住吉の長屋(近代都市住宅年表)

 今回は、「近代都市住宅年表」から、村野藤吾氏設計の「大阪パンション」と、安藤忠雄氏設計の「住吉の長屋」について、ご紹介しました。


〇今週のイベント・ワークショップ

9月20日(水)~22日(金)、25日(月)、27日(水)~30日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
時 間:11:30、14:30

9月23日(土・祝)24日(日)、31日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00

9月23日(土・祝)~24日(日)
イベント 彼岸の屋台

「のぞきからくり」や「宝引き」など・・ 昔ながらの遊びは、大人も子どもも楽しめます
13時~16時

ぜんざい
11時~
100円/杯(なくなり次第終了)

9月30日(土)
イベント 町家寄席-落語

江戸時代にタイムスリップ!大坂の町で、落語をきいてみませんか
出演:桂出丸、他
14時~15時

10月1日(日)
町家衆イベント 町の解説

江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00~16:00


そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。


大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。

 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
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