2018年8月28日火曜日

今週の今昔館(126) 野田藤 20180828

〇今週のイベント・ワークショップ

企画展示室では、大阪市中央公会堂開館100周年記念
特別展「大大阪モダニズム ― 片岡安の仕事と都市の文化―」を開催中です。
9月2日(日)まで。残りわずかとなりました。


9月1日(土)
イベント 町家寄席-落語

江戸時代にタイムスリップ!大坂の町家で、落語をきいてみませんか。
出演:桂出丸、桂宗助

9月2日(日)
町家衆イベント 町の解説

江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00-16:00

8月29日(水)~9月1日(土)、12日(水)~15日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。
当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
時 間:①11:30~、②14:30~
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)

9月2日(日)、16日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00

※9月3日(月)~11日(火)は、展示替えのため休館します。

9月15日(土)
イベント 上方の華と粋 座敷舞

上方の地で生まれ育った「上方舞」
山村流の立方が町家の座敷で華やかな舞を披露します
舞い方:山村若女 他
14時~15時

9月16日(日)
イベント 町家でお茶会

町家の座敷で「ほっと一息」一服いかがですか
先着順50名、茶菓代300円
※当日12時より8階インフォメーションでお茶券を販売します
協力:大阪市役所茶道部
13時~15時

町家衆イベント 今昔語り
大阪に残る昔ばなしを、町家の座敷でお聞かせします。
あたたかくなつかしい風情をお楽しみください。
開催日:お茶会と同日
時 間:14:30-15:00

町家衆イベント 連鶴(有料)
折鶴がいくつもつながった連鶴。
一枚の紙から折るところに特色があります。
作り方を詳しくお教えします。
開催日:奇数月の第3日曜
時 間:13:30~初心者向け、14:30~中級者以上向け

町家衆イベント 町の解説
江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00-16:00

そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。



〇浪花百景に見る江戸時代の大坂(32)

 「浪花百景に見る江戸時代の大坂」では、前回まで大阪のウォーターフロントである港区・大正区の名所を見てきました。今回からは福島区に入ります。第32回目は、「野田藤」をご紹介します。

■野田藤(芳瀧画)
 古来、吉野の桜、高尾の紅葉とともに並び称される野田・春日神社の藤。貞治3年(1364)室町幕府の二代将軍足利義詮が住吉詣の帰途、来遊し「いにしえのゆかりを今も紫のふじ浪かかる野田の玉川」と詠じています。太閤秀吉も御伽衆らを伴い藤見物に訪れたといわれます。大坂の花見のうちでも藤之宮として第一の名所でした。
 明治期に植物学者牧野富太郎博士が自生の原種として認め、ノダフジと命名しました。第二次大戦や台風災害のため絶滅の危機に瀕しましたが、地元の努力によって再生を遂げています。

浪花百景「野田藤」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)
現在の春日神社
野田の藤跡の碑


 江戸時代天保年間発行の「浪華名所獨案内」の野田付近を見ると、「野田」と「下福島」の間に「春日社」の地名が見えます。観光ルートにもなっています。このほか、野田付近では「円満寺」の「二十一人討死旧跡」が描かれています。この地図は、東が上に書かれています。北を上にしましたので文字は右を向いています。

浪華名所獨案内(「津の清」蔵)

 次に、天保8年(1837)発行の天保新改攝州大坂全圖を見てみましょう。「野田村」の東に、「玉江春日」「円満寺」「極楽寺」「エビス社」の文字がみえます。堂島川の傍には「下ノ天神」もあります。

天保新改攝州大坂全圖(国際日本文化研究センター蔵)

 大正13年発行の大阪市パノラマ地図では、市電の「玉川町三」と「下福島」の北東に「戎神社」が描かれています。「春日社」の文字は見えませんが、公園の周りにいくつかの寺社の絵があります。位置的には公園の左上の緑が「春日社」と思われます。省線(現在のJR大阪環状線)は地上を走り、それに並行して市電も走っています。「玉川町四」の交差点では、市電が立体交差している様子も描かれています。

大阪市パノラマ地図(大阪くらしの今昔館蔵)

 昭和12年発行の大大阪観光地図を見ると、市電「玉川町三」停留所の北に神社と公園()の記号があります。これは戎神社とその北側の公園と考えられます。それ以外に神社の記号は表示されていません。中央卸売市場が絵入りで大きく描かれています。

大大阪観光地図(国際日本文化研究センター蔵)

 今昔マップ3を利用して、地形図の変遷を見てみます。
 左上の明治42年では、西野田の地名の右上に神社や寺の記号がいくつか見られます。一番上(北)の神社が春日神社と思われます。省線(現在の環状線)の北側はほとんど農地であったことが分かります。
 右上の昭和7年では、省線の北側まで市街地化が進んでいます。「玉川町」の地名の右側に神社や寺の記号がいくつか見えます。
 左下の昭和30年では、白い部分が戦災によって焼失した地域です。西野田、江成町、中江町あたりと江川町の一部は、戦災を免れたことが分かります。
 右下の昭和42年を見ると、市街地の復興が進み、市電の一部は廃止されています。玉川町に寺社の記号はありますが、春日神社は表示されていません。

明治42年から昭和42年の地形図
(今昔マップ3より)

 今回は、「浪花百景」の「野田藤」をご紹介し、周辺地域の変遷を見てきました。
 室町時代の1364年には、足利義詮が住吉詣の途中、野田に立ち寄り、玉川の藤を見て「いにしえの ゆかりを今も 紫の ふし浪かかる 野田の玉川」と詠みました。その後、玉川の藤は「吉野の桜、野田の藤」と並び称せられました。

 福島区の住居表示案内板は、「野田藤」にちなんで藤色が使われています。他の区では、ブルーやグリーンが多い中、地域性を生かしたユニークな取り組みです。

 区のホームページにもトップページで「のだふじ」が紹介され、藤色を基調としたページ作りになっています。シンボルマークにも藤の花がデザインされています。
www.city.osaka.lg.jp/fukushima/
 今昔館8階展示室の床面には大きく拡大した「大阪市パノラマ地図」がありますので、昔の地図、現代の地図と見比べながらお楽しみください。


 錦絵の解説は、関西学院大学博物館「浪花百景ー大坂名所案内ー」、大阪城天守閣「特別展浪花百景ーいま・むかしー」を参考にさせていただきました。


〇企画展示室では、大阪市中央公会堂開館100周年記念
 特別展「大大阪モダニズム ― 片岡安の仕事と都市の文化―」を開催中です。
 9月2日(日)まで。残りわずかとなりました。


 開館時間:10:00-17:00(入館は16:30まで)


 大正14年(1925)、大阪市は市域拡張によって面積・人口ともに東京市を抜き日本第一の都市となり、当時世界第6位の大都市「大大阪」が誕生しました。御堂筋の建設や公営地下鉄の開通、築港整備などが進み、また大阪市中央公会堂、大阪商科大学(現大阪市立大学)、大阪城天守閣、大阪市立美術館などの教育文化施設が誕生しました。次々と都市計画が実現する中、機能性を重視した「モダニズム建築」が現れ、大衆文化にもアールデコ風の新しいデザインが取り入れられます。

 今年は、大阪市中央公会堂が開館して100年の節目の年になります。そこで、大大阪時代の幕明けを告げるこの名建築の実施設計を手掛け、大阪の都市計画を指導した建築家・都市計画家の片岡 安の仕事を通して、大大阪時代の建築群と都市景観を展望します。また大大阪時代の都市美を描いた絵画を紹介し、大大阪モダニズムとも呼べるこの時代の美術・文化を再評価します。

 本展覧会は、片岡安が初代校長を務めた常翔学園(その前身である関西工學専修學校)の常翔歴史館と、大阪の建築文化の専門博物館でもある大阪市立住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館)の主催により開催します。

「大阪市公会堂新築設計図 透視図」
(岡田信一郎案)大阪市蔵
小出楢重《市街風景(街景)》個人蔵
川瀬巴水《大阪道頓堀の朝》
大阪市新美術館準備室蔵
「大阪の三越」個人蔵



 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
http://konjyakukan.com/index.html


 「今週の今昔館」は第1回から第52回までは、大阪市立住まい情報センターの住まい・まちづくり・ネット「スタッフのつぶやき」に掲載されています。
「今週の今昔館」第1回はこちらからご覧ください。
http://sumai-osaka.blogspot.jp/2016/04/blog-post.html


 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。

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