2018年10月16日火曜日

今週の今昔館(133) 北瓢亭 20181016

〇浪花百景に見る江戸時代の大坂(38)

 今回は、曽根崎新地にあった「北瓢亭」をご紹介します。

■北瓢亭(国員画)
 河村瑞賢らによって堂島川が改修されると、新興の堂島新地には茶屋などの遊所が開かれ、すぐに繁華街となりました。堂島に米市場が移転してくると、さらに、曽根崎川(蜆川)より北へ移動し、北ノ新地として定着しました。
 瓢亭は曽根崎新地にあった料亭。広大な敷地のなかに数種類の座敷や茶店があり、庭には滝や池、鳥居、百度石なども配置されていました。曽根崎新地は宝永5年(1708)に成立し、米商人などの遊興場所として繁栄しました。現在も「北の新地」としてサラリーマンその他で賑わう歓楽街です。

浪花百景「北瓢亭(国員画)」
(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)

 江戸時代天保年間発行の「浪華名所獨案内」を見ると、地図の中央部、堂島と北側の曽根崎新地の間に川が描かれ「俗ニ蜆川ト云」の文字があり、「シジミバシ」と「サクラバシ」の文字があります。桜橋は、大阪駅前第一ビルの南西角の交差点の名前として残っています。北瓢亭は曽根崎新地の文字のある辺りにありました。この地図は、東が上に書かれています。北を上にしましたので文字は右を向いています。

浪華名所獨案内(「津の清」蔵)

 次に、天保8年(1837)発行の天保新改攝州大坂全圖を見ると、曽根崎川にいくつかの橋が描かれていますが、「大江小バシ」以外には名前が書かれていません。川の北側には「曽根崎村」の文字があります。渡辺橋から北に進んだところの曽根崎川に架かる橋が桜橋で、橋の北詰に「芝居」の文字が見えます。北瓢亭は、「芝居」の東側、曽根崎新地二丁目にありました。

天保新改攝州大坂全圖(国際日本文化研究センター蔵)

 大正13年発行の大阪市パノラマ地図を見ると、曽根崎川はありません。明治42年の北の大火の後、瓦礫によって埋め立てられました。埋め立てられた跡は現在の新地本通りになっています。
 梅田新道から桜橋を走る市電が描かれている通りは、現在の国道2号線です。北瓢亭は2号線の一筋南の通り(曽根崎永楽町)に面して建っていました。

大阪市パノラマ地図(大阪くらしの今昔館蔵)

 昭和12年発行の大大阪観光地図を見ると、堂島には「毎日新聞社」が大きく描かれています。市電の「曽根崎上四」停留所の南、毎日新聞社の「毎」の字の右辺りが北瓢亭のあった場所で、「曽根崎永楽町」の文字も見えます。天保8年の地図に「芝居」のあったところには、「曽根崎演舞場」の文字が見えます。市電の停留所の名前として「桜橋」や「蜆橋」の橋の名前、「曽根崎」「堂島」「梅田新道」などの地名が残っている点は興味深いです。

大大阪観光地図(国際日本文化研究センター蔵)

 今昔マップ3を利用して、周辺地域の変遷を見てみます。
 左上の明治42年では、堂島川から北側一帯が白くなっており、北の大火によって焼失した地域であったことが分かります。地図の右側は、明治41年のものですので、焼失前の様子が描かれています。
 右上の昭和7年を見ると、地域一帯は復興が進み市街地が広がっています。堂島の北側にあった蜆川(曽根崎川)は埋め立てられ、川の跡地は堂島の敷地に取り込まれています。国道2号線と御堂筋、四つ橋筋に市電が通っています。2つの筋の中間あたりに「米穀取引所」の文字があります。「米」の字の右側辺りが北瓢亭があった場所です。
 左下の昭和42年を見ると、国道1号線・2号線が(1)(2)と表記され、御堂筋には(25)の表記があります。市電は国道2号線以外は廃止されています。
 右下の平成8年では、地図の右端に新御堂筋が開通しています。地下鉄の路線が茶色の点線で描かれています。

明治42年から平成8年の地形図
(今昔マップ3より)
北瓢亭があった辺りの現状
近くには「曽根崎川跡の碑」
曽根崎川跡(平成十四年作成)
曽根崎川跡(昭和51年春 大阪市)
隣には蜆橋跡の碑
実際に蜆橋があった場所はここではありません
蜆橋のあった場所には滋賀銀行のビルが
御堂筋に面して建っています
近寄ってみると「しじみはし」の親柱を模しています
側面には「史跡 蜆川跡」の文字があります

 今回は、「浪花百景」の「北瓢亭」をご紹介し、周辺地域の変遷を見てきました。今昔館8階展示室の床面には大きく拡大した「大阪市パノラマ地図」がありますので、昔の地図、現代の地図と見比べながらお楽しみください。

 錦絵の解説は、関西学院大学博物館「浪花百景ー大坂名所案内ー」、大阪城天守閣「特別展浪花百景ーいま・むかしー」を参考にさせていただきました。



〇今週のイベント・ワークショップ

10月17日(水)~20日(土)、22日(月)、24日(水)~27日(土)
町家ツアー

住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。
当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
時 間:①11:30~、②14:30~
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)

10月21日(日)、28日(日)
町家衆イベント 町家ツアー

江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00



10月20日(土)
イベント 狂言

上方の地で生まれ親しんだ芸能。磨かれた芸の技をご覧ください
14時~14時40分頃

町家衆イベント 折り紙(有料)
季節に合わせてさまざまな折り紙をお教えします。
作品は持ち帰っていただきます。
開催日:偶数月の第3土曜
時 間:13:30-15:00

10月21日(日)
イベント 町家でお茶会

町家の座敷で「ほっと一息」一服いかがですか
先着順50名、茶菓代300円
※当日12時より8階インフォメーションでお茶券を販売します
協力:大阪市役所茶道部
13時~15時


町家衆イベント 今昔語り
大阪に残る昔ばなしを、町家の座敷でお聞かせします。
あたたかくなつかしい風情をお楽しみください。
開催日:お茶会と同日
時 間:14:30-15:00

町家衆イベント 町の解説
江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00-16:00

10月27日(土)
ワークショップ『バランスとんぼを作ろう』

①13時30分 ②14時30分
各回先着10名、参加費:200円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します

10月28日(日)
町家衆イベント 絵本で楽しい時間

むかし話などの絵本を表情豊かに読み聞かせます。
じっくりとお聞きください。
開催日: 第4日曜
時 間:14:30-15:00


そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。


〇企画展示室のギャラリー利用

 企画展示室は、9月15日(土)~12月9日(日)までの間、貸ギャラリーとして広く一般の方々のご使用を受け付けています。

 大阪くらしの今昔館ギャラリーは、当館主催の企画展を開催するほか、住まいと暮らしに関わる展覧会の会場として、広く一般の方々のご使用を受け付けています。平成30年度の貸出期間が決まりました。下記により、お申し込みください。
 平成24年度から使用料金の割引制度を導入しています。使用日数が1週間を超える場合、超えた日の使用料金が1割引きとなります。

 貸出期間:平成30年9月15日(土)~12月9日(日)
 ただし、次にあげる日は休館日となります。
  10月9日・16日・23日・30日、
  11月6日・13日・20日・27日 、
  12月4日

 週末はほとんどお申し込みが入っていますが、平日は若干の空きがあります。申し込み方法など詳しくはこちらをご覧ください。
http://konjyakukan.com/kashidashi.html


 大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
http://konjyakukan.com/index.html


 「今週の今昔館」は第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪のまちづくり」に掲載しています。 「今週の今昔館」第1回はこちらからご覧ください。
http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html


 「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。

「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。
http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。
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