今回は、堂島にあった「堂じま米市」をご紹介します。
■堂じま米市(国員画)
米取引はもと米商人淀屋の自主運営で行われていました。
諸国米市場の中心的存在であった堂島米市場は、元禄10年(1697)に開発されたばかりの堂島新地に中之島の米市場が移転して成立しました。堂島米相場会所は公的機関として認可され、ここで立てられた相場は全国の基準となり、いつしか「堂島」といえば米相場を意味するようになりました。
諸国の蔵屋敷に運び込まれた蔵米は、実際には米切手の入札によって仲買に払い下げられる先物取引。早朝火縄に火が点され、夕方水を撒いて消されるまで、仲買のすさまじい雑踏と熱気の中で立会いを行いました。相場を混乱させないようにとの配慮から、米相場の立会い中は役人も市場を通行できず、犯罪人が逃げ込んでも逮捕できませんでした。大阪経済隆盛の主役は米市場にありました。現在、米市場跡の記念碑が立っています。
錦絵は、仲買人の足元とその様子を眺める人物だけが描かれた面白い図柄となっています。米市場は米切手を取引する市場ですので、現場には実物の米俵はありません。
浪花百景「堂じま米市」 (大阪市立図書館デジタルアーカイブ) |
江戸時代天保年間発行の「浪華名所獨案内」を見ると、地図の中央部、堂島と中之島の間に架かる「大江バシ」と「ワタナベバシ」の中間あたり、北岸の堂島に米市場がありました。地図にも大きな文字で記載されています。「八木」に見えますが、「米」です。堂島は、堂島川と蜆川(曽根崎川)に囲まれた文字通り「島」でした。この地図は、東が上に書かれています。北を上にしましたので文字は右を向いています。
浪華名所獨案内(「津の清」蔵) |
次に、天保8年(1837)発行の天保新改攝州大坂全圖を見ると、堂島川に「大江バシ」と「渡辺橋」が架かり、2つの橋の中間あたり堂島川の北岸に米市場がありました。地図には表示はありません。堂島や中之島には多くの藩の蔵屋敷が林立していました。
天保新改攝州大坂全圖(国際日本文化研究センター蔵) |
大正13年発行の大阪市パノラマ地図を見ると、堂島と中之島の間に「大江橋」と「渡辺橋」が架かり、その中間の北岸に「米穀取引所」が描かれています。
大阪市パノラマ地図(大阪くらしの今昔館蔵) |
昭和12年発行の大大阪観光地図を見ると、堂島には「毎日新聞社」が大きく描かれています。その南側に「米穀取引所」の文字が見えます。対岸の中之島には、日本銀行、中央郵便局があります。これらの敷地はもとは各藩の蔵屋敷でした。
大大阪観光地図(国際日本文化研究センター蔵) |
今昔マップ3を利用して、周辺地域の変遷を見てみます。
左上の明治42年では、堂島川から北側一帯が白くなっており、北の大火によって焼失した地域であったことが分かります。地図の右側は、明治41年のものですので、焼失前の様子が描かれています。中之島には東西に市電が走っていますが、右側はまだ通っていません。
右上の昭和7年を見ると、地域一帯は復興が進み市街地が広がっています。堂島の北側にあった蜆川(曽根崎川)は埋め立てられ、川の跡地は堂島の敷地に取り込まれています。2つの橋の中間あたりに「米穀取引所」の文字があります。御堂筋と四つ橋筋、中之島通りに市電が走っています。
左下の昭和42年を見ると、堂島川の上を阪神高速道路が通っています。市電はすべて廃止されています。
右下の平成8年では、大江橋と渡辺橋の間に「中之島ガーデンブリッジ」が架かっています。この橋の北詰が米市場のあった場所で、記念碑が建っています。
明治42年から平成8年の地形図 (今昔マップ3より) |
堂島米市場跡記念碑 |
最近行ってみると 新しいモニュメントの設置工事中 |
以前あった記念碑は橋の西側に移設 |
堂島川に架かる「中之島ガーデンブリッジ」 平成2年に架けられた新しい橋です |
ガーデンブリッジは歩行者専用です 正面はANAホテル |
ガーデンブリッジの北詰 ANAホテルの所に米市場がありました 写真右下に米市場跡の記念碑 |
今回は、「浪花百景」の「堂じま米市」をご紹介し、周辺地域の変遷を見てきました。今昔館8階展示室の床面には大きく拡大した「大阪市パノラマ地図」がありますので、昔の地図、現代の地図と見比べながらお楽しみください。
錦絵の解説は、関西学院大学博物館「浪花百景ー大坂名所案内ー」、大阪城天守閣「特別展浪花百景ーいま・むかしー」を参考にさせていただきました。
〇今週のイベント・ワークショップ
10月10日(水)~13日(土)、15日(月)、17日(水)~20日(土)
町家ツアー
住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。
当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
時 間:①11:30~、②14:30~
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
10月14日(日)、21日(日)
町家衆イベント 町家ツアー
江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00
10月13日(土)
ワークショップ 『和風マグネットを作ろう』
①13時30分 ②14時30分
各回先着10名、参加費:300円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します
10月14日(日)
町家衆イベント おじゃみ
古布を四角く切って縫い合わせて作るおじゃみ(お手玉)。
作り方をていねいにお教えします。
開催日:第2日曜
時 間:14:00-16:00
10月20日(土)
イベント 狂言
上方の地で生まれ親しんだ芸能。磨かれた芸の技をご覧ください
14時~14時40分頃
町家衆イベント 折り紙(有料)
季節に合わせてさまざまな折り紙をお教えします。
作品は持ち帰っていただきます。
開催日:偶数月の第3土曜
時 間:13:30-15:00
10月21日(日)
イベント 町家でお茶会
町家の座敷で「ほっと一息」一服いかがですか
先着順50名、茶菓代300円
※当日12時より8階インフォメーションでお茶券を販売します
協力:大阪市役所茶道部
13時~15時
町家衆イベント 今昔語り
大阪に残る昔ばなしを、町家の座敷でお聞かせします。
あたたかくなつかしい風情をお楽しみください。
開催日:お茶会と同日
時 間:14:30-15:00
町家衆イベント 町の解説
江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00-16:00
そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。
〇企画展示室のギャラリー利用
企画展示室は、9月15日(土)~12月9日(日)までの間、貸ギャラリーとして広く一般の方々のご使用を受け付けています。
大阪くらしの今昔館ギャラリーは、当館主催の企画展を開催するほか、住まいと暮らしに関わる展覧会の会場として、広く一般の方々のご使用を受け付けています。平成30年度の貸出期間が決まりました。下記により、お申し込みください。
平成24年度から使用料金の割引制度を導入しています。使用日数が1週間を超える場合、超えた日の使用料金が1割引きとなります。
貸出期間:平成30年9月15日(土)~12月9日(日)
ただし、次にあげる日は休館日となります。
10月9日・16日・23日・30日、
11月6日・13日・20日・27日 、
12月4日
週末はほとんどお申し込みが入っていますが、平日は若干の空きがあります。申し込み方法など詳しくはこちらをご覧ください。
≫ http://konjyakukan.com/kashidashi.html
大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
≫ http://konjyakukan.com/index.html
「今週の今昔館」は第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪のまちづくり」に掲載しています。 「今週の今昔館」第1回はこちらからご覧ください。
≫ http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html
「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。
≫http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。
≫http://www.sumai-machi-net.com/howtouse
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