■戎嶋天満宮御旅所(国員画)
まずは、「戎嶋天満宮御旅所」。天神祭宵宮に行われる鉾流神事は、水辺を禊の場として行う厄除け神事で、天神祭の中でも重要な祭事です。もとは神鉾が流れ着いた場所に祭場を設け、御神霊を移し御旅所としました。翌日氏子たちが船を仕立てて奉還を行うのが船渡御です。
木津川を挟んだ江之子島の対岸、現在の本田小学校付近をかつて戎島といい、岸に面して大坂天満宮の御旅所がありました。江戸時代、旧暦6月25日に行われていた天神祭の船渡御神事では、祭礼では太鼓船(どんどこ船)を先頭に、神楽船などの渡御が進みます。趣向を凝らした御迎人形を掲げた船は、芸能の町大坂らしい。木津川を下った船が夜8時ごろこの地に到着し、周囲は人形を飾りつけた御迎船や多数の見物客で賑わいました。
この御旅所は風水害の被害により明治8年(1875)ここより南の松島に移転し、跡地には華僑の商館が建ち並びました。
浪花百景「戎嶋天満宮御旅所」 (大阪市立図書館デジタルアーカイブ) |
■天神祭り夕景(国員画)
2枚目は「天神祭り夕景」。天神橋は天満宮への参詣にあたる道に架けられた橋であるところから名付けられました。三大橋のなかで最も長い橋で、17世紀中ごろは、大川には淀川と大和川の水が入り川幅が広く、最長時には百三十七間(約250m)あったといわれます。
また、天保8年(1837)の大塩平八郎の乱の折りには、天満橋とともに幕府の手で一部が撤去されています。町にとってのこの橋の重要性が見てとれます。明治18年(1885)に流失後、明治21年(1888)にトラス構造の鉄橋となりました。現存の橋は昭和9年(1934)に改築されたアーチ式の鉄橋です。
天神祭は大阪の夏を彩る大祭。天暦5年(951)に神鉾を流して、流れ着いたところを斎場とし心霊を禊したのが始まりといわれる天神祭。船渡御は著名で、神輿が難波橋から船に乗り楽を奏して戎島の御旅所まで往復しました。地盤沈下の影響で昭和28年(1953)からは大川を遡行することになりました。
浪花百景「天神祭の夕景」 (大阪市立図書館デジタルアーカイブ) |
■天満天神地車宮入(芳瀧画)
最後は、祭のクライマックスの「天満天神地車宮入」。大阪の祭りといえば天神祭。大坂天満宮が天暦3年(949)菅原道真を主祭として創始してから2年後には鉾流し神事が始まりました。三大市場を氏子に抱えた天満宮は経済的にも支えられ、祭りも盛大でした。
陸渡御の主役は地車(だんじり)、鉦や太鼓の地車囃子が賑々しく奏でられる中、氏地曳航と宮入りが威勢よく行われました。氏地の町々や市場、職人・商人集団が奉納した地車は、安永9年(1780)には84基を数えましたが、幕末頃から衰え、明治29年(1896)には最後に残った一台が天満青物市場から奉納されました。以降は、天満宮境内に飾り付けられたこの「三ツ屋根地車」の上で地車講によって地車囃子の奉納が続けられています。
浪花百景「天満天神地車宮入」 (大阪市立図書館デジタルアーカイブ) |
錦絵の解説は、関西学院大学博物館「浪花百景ー大坂名所案内ー」、大阪城天守閣「特別展浪花百景ーいま・むかしー」を参考にさせていただきました。
7月に入って天神橋筋商店街もすでにお祭りモードに入っています。大阪くらしの今昔館も夏祭りの飾りの展示になっています。
今昔館の展示を見てから天神祭の陸渡御、船渡御に行っていただくと、一層実りの多い天神祭見物になることでしょう。
大阪くらしの今昔館の「夏祭りの飾り」 (公式ガイドブック「逍遥指南書」より) |
〇次回の企画展示は、大阪市中央公会堂開館100周年記念
特別展「大大阪モダニズム ― 片岡安の仕事と都市の文化―」です。
会期:平成30年7月21日(土)~9月2日(日)
開館時間:10:00-17:00(入館は16:30まで)
会期中の休館日:毎週火曜日【7月24日(火・祝)は開館】
今年は、大阪市中央公会堂が開館して100年の節目の年になります。そこで、大大阪時代の幕明けを告げるこの名建築の実施設計を手掛け、大阪の都市計画を指導した建築家・都市計画家の片岡 安の仕事を通して、大大阪時代の建築群と都市景観を展望します。また大大阪時代の都市美を描いた絵画を紹介し、大大阪モダニズムとも呼べるこの時代の美術・文化を再評価します。
本展覧会は、片岡安が初代校長を務めた常翔学園(その前身である関西工學専修學校)の常翔歴史館と、大阪の建築文化の専門博物館でもある大阪市立住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館)の主催により開催します。
「大阪市公会堂新築設計図 透視図」 (岡田信一郎案)大阪市蔵 |
小出楢重《市街風景(街景)》個人蔵 |
川瀬巴水《大阪道頓堀の朝》 大阪市新美術館準備室蔵 |
「大阪の三越」個人蔵 |
〇大正イマジュリィ学会公開シンポジウム 第43回研究会 大阪イマジュリィをもとめてⅢ「ヴィジュアルから切る”大大阪”-アート・博覧会・マスメディアー」
日 時:平成30年7月29日(日)13:00~16:00
会 場:住まい情報センター 3階ホール
参加費:無料
“イマジュリィ”はフランス語でイメージ図像を指し、挿絵・ポスター・絵はがき・広告・漫画・写真など大衆的な図像の総称です。本学会は“イマジュリィ”を対象に、日本の視覚文化上、重要な大正時代を中心とする二十世紀初頭をクロース・アップします。
特別展「大大阪モダニズム ― 片岡安の仕事と都市の文化―」関連イベントで、朝日新聞に「大大阪君の顔」を連載した漫画家・岡本一平や、天王寺公園で開催された大大阪記念博覧会、池田遥邨《雨の大阪》など絵画、そしてメディアはいかに「大大阪」を発信するかをとりあげ、街も人もダイナミックな、この時代の大阪についてディスカッションします。
詳しくはこちらからどうぞ。
https://www.sumai-machi-net.com/event/portal/event/33208
〇今週のイベント・ワークショップ
※本日17日火曜日は休館日です。来週24日火曜日は天神祭に合わせて開館します。
7月18日(水)~21日(土)、23日(月)~28日(土)
町家ツアー
住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。
当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
時 間:①11:30~、②14:30~
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
7月22日(日)、29日(日)
町家衆イベント 町家ツアー
江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00
7月21日(土)
町家衆イベント ワークショップ 『風鈴を作ろう』
①13時30分 ②14時30分
当日先着10名、参加費300円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します
講師:大阪くらしの今昔館 町家衆
7月22日(日)
町家衆イベント 絵本で楽しい時間
むかし話などの絵本を表情豊かに読み聞かせます。
じっくりとお聞きください。
開催日: 第4日曜
時 間:14:30~15:00
7月28日(土)、29日(日)
ワークショップ 大阪欄間を彫ろう
伝統的な手づくりの味「大坂欄間」。
大阪欄間の説明、伝統工芸士によるミニ欄間作りの指導を行います。
時 間 ①12時30分~14時 ②15時~16時30分
対 象 18歳以上、各回15名
材料費 A1000円、B2000円、C2500円の3コースから選択
(B・Cは難易度高、数量限定。別途入館料必要。)
申 込 往復はがきに(FAXも可)、住所・氏名・年齢・電話番号・希望日時・希望コースをご記入の上、
〒566-0052
大阪府摂津市鳥飼本町1-4-26サンハイツ西本101号
大阪欄間工芸協同組合宛
(FAXの場合、072-646-8471)
締 切 7月13日(金)必着(多数申込の場合は抽選)
問合せ 072-646-8470(大阪欄間工芸協同組合)
そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。
大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからどうぞ。
「今週の今昔館」は第1回から第52回までは、大阪市立住まい情報センターの住まい・まちづくり・ネット「スタッフのつぶやき」に掲載されています。
「今週の今昔館」第1回はこちらからご覧ください。
≫ http://sumai-osaka.blogspot.jp/2016/04/blog-post.html
「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。
≫http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。
≫http://www.sumai-machi-net.com/howtouse
0 件のコメント:
コメントを投稿