11/17・18は今昔館の入館料(常設展)が無料です!両日は、町家衆イベント「楽市町家」を13時~16時に開催しています。
〇浪花百景に見る江戸時代の大坂(41)
今回は、「今橋つきぢの風景」をご紹介します。
■今橋つきぢの風景(国員画)
大川から分かれた東横堀川の流れはまず葭屋橋(奥の橋)をくぐり、息つく間もなく今橋(手前の橋)をくぐります。今橋は南の高麗橋とともに豊臣時代から架橋されていた橋で、この堀川は大坂城の外堀の役割を持ち、真っ先に整備されて船の通行も多かったといわれます。
葭屋橋の西詰(左側)は天明3年(1783)に新たに造成された新地で、「築地」あるいは「蟹島新地」と呼ばれました。葭屋橋はこの新地と東横堀東岸とを結ぶためにその際に新設された橋。眺めの良い築地は料亭や旅館が軒を連ねる街で、遊郭も開かれ、船場の旦那衆が遊楽の場へ出入りする架け橋となりました。
今橋の北には北浜、西側には天王寺屋や鴻池屋など名だたる大両替商が集まり、当地の繁栄はのちの証券取引所に引き継がれます。
浪花百景「今橋つきぢの風景(国員画)」 (大阪市立図書館デジタルアーカイブ) |
江戸時代天保年間発行の「浪華名所獨案内」を見ると、天神橋の西に「ヨシヤバシ」があり、渡った対岸には「ツキヂ」の文字があります。その西には、「金相場」があります。この地図は、東が上に書かれています。北を上にしましたので文字は右を向いています。
浪華名所獨案内(「津の清」蔵) |
次に、天保8年(1837)発行の天保新改攝州大坂全圖を見ると、東横堀川の一番北側には葭屋バシが架かり、対岸には「ツキ地」の文字が見えます。
地図の上部には、右から天神橋、難波橋が架かっています。難波橋は現在の堺筋ではなく一筋西側の「ナニハバシスジ」に架かっていました。
天保新改攝州大坂全圖(国際日本文化研究センター蔵) |
大正13年発行の大阪市パノラマ地図を見ると、土佐堀通には市電が走り、東横堀川に架かる「よしやばし」が拡幅されています。その南に「いまばし」「こうらいばし」「ひらのばし」が見えます。
土佐堀通りを走る市電の「北濱一」停留所の北側には、通りに沿って町家が並んでいます。そのいくつかは、白いビルに建て替わっています。天神橋は、トラスの鉄橋に架け替えられています。
大阪市パノラマ地図(大阪くらしの今昔館蔵) |
昭和12年発行の大大阪観光地図を見ると、北浜二丁目の角に「株式取引所」の建物が描かれています。堺筋と土佐堀通りに市電が走り、難波橋は市電の建設に合わせて、元の位置から一筋東の堺筋に架け替えられ、大きく描かれています。天神橋も拡幅され、天神橋筋商店街の一筋西側に市電の走る広い通りが整備されています。
大大阪観光地図(国際日本文化研究センター蔵) |
今昔マップ3を利用して、周辺地域の変遷を見てみます。
左上の明治42年では、土佐堀通り、堺筋も拡幅前の姿で、橋の架かっている今橋通り、高麗橋通りがやや広く描かれており、「高麗橋通」の文字が見えます。
右上の昭和4年を見ると、土佐堀通りと堺筋に市電が走り拡幅されています。停留所名は書かれていませんが、葭屋橋の西詰に停留所があります。中之島が東側に広げられ、天神橋まで届いています。
左下の昭和42年を見ると、堺筋の市電が廃止されています。堂島川から東横堀川の上空には阪神高速道路が走っています。天神橋の南詰の東側が埋め立てられて、川幅が狭くなっています。
右下の地理院地図では、阪神高速道路の守口線が開通し、地下鉄道の路線が茶色の点線で表示されています。堺筋線、京阪本線のほか、京阪中之島線が描かれています。
明治41年から最近の地形図 (今昔マップ3より) |
現在の葭屋橋は土佐堀通りとなり、阪神高速道路の入口となっている今橋よりも、通行量の多い橋となっています。橋の西側には、大阪会議が開かれた「花外楼」や、北浜レトロビル、北浜長屋などが並んでいます。
天神橋から見た葭屋橋と阪神高速道路 |
現在の葭屋橋 |
現在の葭屋橋 |
葭屋橋の袂は北浜リバーフロント ギャラリーになっています |
花外楼が入っているビル |
花外楼の玄関 大阪会議開催の地の石碑 |
北浜レトロビル |
リノベーションされた北浜長屋 |
今回は、「浪花百景」の「今橋つきぢの風景」をご紹介し、周辺地域の変遷を見てきました。今昔館8階展示室の床面には大きく拡大した「大阪市パノラマ地図」がありますので、昔の地図、現代の地図と見比べながらお楽しみください。
錦絵の解説は、関西学院大学博物館「浪花百景ー大坂名所案内ー」、大阪城天守閣「特別展浪花百景ーいま・むかしー」を参考にさせていただきました。
〇今週のイベント・ワークショップ
11月7日(水)~10日(土)、12日(月)、14日(水)~17日(土)
町家ツアー
住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」の9階「なにわ町家の歳時記」では、楽しいガイドツアーをおこなっております。
当日ご来館の方は、自由に参加していただけます。
※団体でお越しの場合は、事前にお申し込みください。
開催日:平日・土曜日
時 間:①11:30~、②14:30~
(※日曜日・祝日は下記のとおり、町家衆による町家ツアーがあります。)
11月11日(日)、18日(日)
町家衆イベント 町家ツアー
江戸時代大坂の町並みについて町の特色や見どころをわかりやすく解説します。
時 間:13:10~14:00
11月10日(土)
イベント 町家寄席-落語
江戸時代にタイムスリップ!大坂の町で、
落語をきいてみませんか
出演:桂出丸、桂文昇14時~15時
ワークショップ 『ふくろうストラップを作ろう』
各回先着10名、1人300円
*当日12時より受付で参加整理券を販売します
①13時30分 ②14時30分
11月11日(日)
町家衆イベント おじゃみ(有料)
古布を四角く切って縫い合わせて作るおじゃみ(お手玉)。
作り方をていねいにお教えします。
開催日:第2日曜
時 間:14:00-16:00
11月17日(土)18日(日)
関西文化の日、11/17・18は今昔館の入館料(常設展)が無料です!
町家衆イベント 楽市町家
13時~16時
11月18日(日)
町家衆イベント 連鶴(有料)
折鶴がいくつもつながった連鶴。
一枚の紙から折るところに特色があります。
作り方を詳しくお教えします。
開催日:奇数月の第3日曜
時 間:13:30~初心者向け、
14:30~中級者以上向け
町家衆イベント 町の解説
江戸時代の大坂では人々はどのように暮らしていたのか。
当時の史料(複製)とともに町会所で詳しく説明します。
開催日:第1・3日曜
時 間:13:00-16:00
そのほかのイベント・ワークショップはこちらからご覧いただけます。
そのほか定期開催のイベントはこちらからご覧ください。
〇企画展示室のギャラリー利用
企画展示室は、9月15日(土)~12月9日(日)までの間、貸ギャラリーとして広く一般の方々のご使用を受け付けています。
大阪くらしの今昔館ギャラリーは、当館主催の企画展を開催するほか、住まいと暮らしに関わる展覧会の会場として、広く一般の方々のご使用を受け付けています。平成30年度の貸出期間が決まりました。下記により、お申し込みください。
平成24年度から使用料金の割引制度を導入しています。使用日数が1週間を超える場合、超えた日の使用料金が1割引きとなります。
貸出期間:平成30年9月15日(土)~12月9日(日)
ただし、次にあげる日は休館日となります。
11月6日・13日・20日・27日 、
12月4日
週末はほとんどお申し込みが入っていますが、平日は若干の空きがあります。申し込み方法など詳しくはこちらをご覧ください。
≫ http://konjyakukan.com/kashidashi.html
大阪くらしの今昔館の展示内容や利用案内などについて詳しくはこちらからご覧ください。
≫ http://konjyakukan.com/index.html
「今週の今昔館」は第1回から第52回までは、「古地図で愉しむ大阪のまちづくり」に掲載しています。 「今週の今昔館」第1回はこちらからご覧ください。
≫ http://osakakochizu.blogspot.com/2016/08/blog-post_5.html
「住まい・まちづくり・ネット」では、大阪市立住まい情報センター主催のセミナーやイベントの紹介、専門家団体やNPOの方々と共催しているタイアップイベントの紹介などを行っています。イベント参加の申し込みやご意見ご感想なども、こちらから行える双方向のサイトとなっています。
「住まい・まちづくり・ネット」はこちらからどうぞ。
≫http://www.sumai-machi-net.com/
初めての方はこちらからどうぞ。
≫http://www.sumai-machi-net.com/howtouse
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